死のゲーム・祝福は存在意義と血盟の獅子によって、、、
ジャラジャラ、たくさんの生徒の手錠の音が響き渡る。
ざっと400人にはいるか?
俺の両隣の小さな少女、、、と女も同じ様に手首に無骨な手錠を施されている。
周りにはモデルガンのような、見た目おもちゃの様なアサルトライフルや軽機関銃を持った一見は警備員や教師風の男たちが沢山いる、というよりこの場合は見張っているか。
俺たちは広いホールのような場所に入り、次に長い通路を歩かされ、段々とクラスごとに通路の両脇の部屋に連れていかれた。
中は意外なことに全向き吹き抜けで、吹き抜けでも雨などの心配はなく、全周囲がドーム状の構造体、野球の観戦状のようになっているからだ。
今は少しだけ開かれ曇り空が垣間見え、それが光量となっているようだ。
俺達が連れてこられた場所には、沢山のロッカーがあった、ロッカーより少し離れると小さな柵がある、だがコレを乗り越えても逃げるのは難しいと直ぐに分かるが。
ロッカー、というより、所どころに縦長の、俺の感覚が可笑しいかもしれないが、銃のマガジンを少し小さくしたようなモノがある。
よく見ると、それは先の方に何か飛び出すような感じで、実際に丸いフリっクスのような円形のモノが見えるだけでも一杯に装填されている。
これが飛び出す仕掛けは縦長の先の方についていると少し突き出た突起かと、当たりをつける、それを手にするかは分からない所だ、このロッカールームに入ったクラス員全員分は十二分以上にあるだろうが、、。
「レイジ、、、どうする?」
俺の背中におぶさる、少女、、、いや女は、いや女性と、もう言って良いか、憎まれ口が酷すぎて女呼ばわりしてきたが、なにかやんやあって、もう心を許してしまった女性だ。
見た目は少女と言いたくなる位の華奢で童顔でオマケに低身長、俺の隣にいる立派な少女と同じような感じなのだがね。
「美香、黙っておけ、すべて俺がなんとかする」
「あー、お前はそういう奴だ、黙って従っておけば、すべて軽々、オムライスのフライ返しのように、なんとかしてしまうのだろうよ」
呆れたと言わんばかりに、それでも不安は消えないようで、俺の背中に捕まる強さを強めた。
ちなみに、美香がなぜ俺に負ぶわれているかは、もともと足腰が弱いのもあるが、色々あって足を負傷して歩けないからだ、詳細は色々と省くがな。
「ふっふ、やっぱり君は頼りになるね、わたし、夕日も、君を頼らせてもらうから」
隣に付きそう少女も、若干気落ちし、今まで緊張に淀んだ顔つきを緩めた、俺達の会話に救われる所があったのかもしれない。
「私たちという、重荷に、足を救われない程度に、負ぶってもらうよ」
「わたしは物理的に、負ぶってもらっているがな」
普段なら美香のツッコミに笑いの一つでも起きたろうが、そこでの会話はそれだけだった、先方の用意ができたのか数人の男たちが部屋に入ってきたからだ。
既に何人かは縦長の手のひらサイズの器具を勝手に拾って、いろいろ試していたが、勝手を許されないと思ったか、その場に置きなおしたりポッケに隠したり、色々しているな。
言っている俺も、いつでも取れる位置に縦長の器具を目視しているが、これが必要になるのだろうか?
「君たち、この部屋にある縦長の器具を一人につき一個、とりたまえ」
腹の底から響くような、重低音の声に促され、クラスメイトが一人一人、縦長の器具を手に平に所持する。
「これは、このように使用する、全員傾聴!」
教官らしき男は、全員の注視が集まったタイミングで縦長の器具の突起端末を指先で押し、フリスク状の物体を飛ばす芸を披露する。
「以上、一人一個、必ず所持する様に」
それだけ言って、男たちは去っていった、こと此処に至って、大仰な説明などは不要と言わんばかりに、そそくさと去っていった。
「このロッカー、俺一人、ともう一人入れるか?」
ロッカーは一人一個ではなく、3人で一つの配分だった。
ここに隠れるとなると、想定するに美香と夕日を入れた方が、余剰スペースがありそうだ、などと思う、もちろん二人は俺の左右ナンバーだ。
「ちょっと試してみよう、レイジ、わたしと一緒にロッカーに入るぞ」
「ああ、そうだな」
いやに積極的な美香の発言、夕日は不服そうにするが、現にいままで、この手法で助けられた事がある。
この程度の小細工で救われるのは、この主催者が悪趣味で、ゲームのようにルールを規定していると言わざるを得ないが、有効な手ならば事前準備は幾らしてもイヤはない。
「ぐぅ」
若干狭い、美香を背負うわけにもいかず、さっき下ろして、前向きに俺が持って、いやもうこれは密着してるような、せまぜましいロッカー内。
長時間このような状態は流石にマズイと思う位、俺なら問題ないが、体力に難がありそうな美香が参ってしまう可能性を危惧するくらいには、現に既に今もう美香が顔を紅潮させて、なんだか苦しそうにしているじゃないか?
「やめだな、このロッカーは非常時に美香と夕日のペアで使おう」
「いいえ、夕日とも試してみることを提案します」
なぜだ? 言う前に、いやに積極的な夕日だけはロッカーに侵入し、俺に来いとでも言うようにクールに手招きする、まあ結果は美香のとそう変わらなかったので省略するが。
「宅間、、なにか予想できることはあるか?」
そして夕日と美香にロッカーに長時間入れるか、少し試しておけと言って、閉じ込めるような形になって、少し時間が空いたので、クラスでも顔見知り程度以上に親しい男に会話を持ち掛け情報共有しようとした。
「、、、ああ、間違いないが、さきほど大ホールのような幅広の通路があったろう?レイジたちの側からは見えなかったろうが、こちら側からは壁に貼られたポスターが見えたんだよ。
中央を歩かされてたから、遠目で確定はできないが、過去に同じような催しがあったんで、似たような構図で書かれていたから、たぶん確定とみて良い、まあ時期に分かる事実で、なんの意味も価値もない情報かもしれんが、、」
それでも有難い、宅間は見た目クマの様な男で、実際お喋りな男じゃないんだが、いやにらしくない饒舌さで俺に話してくれた。
このゲームは、第一ラウンドで合同クラス、七つのクラスの人間をふるいにかける、第二ラウンドでさらにふるいにかけ、最終ラウンドで仕置き部屋といわれる場所で、死傷率の高いゲームというなの殺戮が行われると。
確かに、いままでの流れ的に、ありえる流れだ、予想の範囲内に収まって、逆にせいせいした気分だった、俺はひそかに、覚悟をきめたのだった。
「これより、昼休憩に入る、その後は合同試験だ、各自準備する様に」
ロッカー内の人間は、おのおの不安そうに時間を過ごした、この場において会話は不要と言わんばかりに、中が深いグループだけで内緒の会話をしているだけだった。
だが昼休憩と言われ、ロッカールームから出られると、多少は開放的になったのか、外に聞こえる位の話し声が生まれた、この機会に宅間の言っていた、大ホール通路のポスターを見ておこうと思う。
「いつまでもわたしを負ぶっているのも、邪魔だろう? 夕日と二人で言ってくれ、私の分は適当に見繕って」
「了解した、夕日いこう」
「うん」
俺は速足でスタスタ歩き、夕日も若干遅れながら付いてくる、宅間の言っていたポスターは複数あり、俺達の歩いた側、窓側には一枚もなかったが、逆側にはこれでもかと、あったらしい。
そして事前情報通りの、趣味の悪い絵ずら、最終的に到達する仕置き部屋には、真っ赤なマークで危険色の配色でおどろおどろしさを演出していた。
「なるほどな」
「なるほどなって、レイジ君?」
手に入る情報は十分と思ったので、夕日と一緒にその場を去る、むかうは売店だった。
腹に入れすぎてもマズイと思い、俺はバー型の栄養食を幾らか、美香と夕日にはなにが良いか分からず、夕日に選ばせたら、というより管理するわけでもない、勝手に持ってきたのだが、カップラーメンが二つだった。
俺はカップラーメンが嫌いというわけじゃないが、栄養に懐疑的で、こっちの栄養食を提案したが、すげなく断わられた、言うに「病は気から、気から活力」らしい、まあ問題は大きくないと判断、オーケーを出した。
「890円です、お兄さん」
店員は暗い感じの青年、いやまだ少年といっていい男だった。
「、、、すまん財布を忘れた、、、夕日は」「私もないよ」
「、、、いいよ、お兄さん、プラチナランクじゃないか、、、信用できるよ、タダで持って行きなよ」
俺はお言葉に甘えて、商品をそのまま持っていった、確かに、この手のコンビニは監視カメラの画像認証で、後からの後払いに対応してそうだった。
それにしてもプラチナランクか、まあ俺以外に、このランクに到達した奴はいないが、こんなゲームの祭典で、そのような栄誉を賜っても嬉しくはないがね、役に立つなら利用するのだ。
「夕日、カップラーメンか、栄養に悪いぞ」
「栄養はいいよ、だってこんなに野菜たっぷりだもん」
二人はなにか言い合いをしているが、俺はアプリの決済機能で支払いをすませながら、もそもそと栄養バーを齧りながら見ていた。
「いや、カップラーメンの野菜など、たかがしれている、こんなちびっこの野菜で、栄養などとれるものか。
レイジ、なぜ夕日に許した?」
「いやまあ、俺だってガキの頃は、こんなモンよりカップらメーンを所望したろうからな。精神的ストレスを考慮すると、栄養よりも取るべきものがある、それに幸い、今回は短期決戦だろうしな」
「そうだねレイジ君、だけどガキの頃っていうと、美香ちゃんがガキみたいな言い方だね、気をつけよね、オマケに私まで子供扱いされてる風で、オコだよ?」
カップラーメンを食べれて満足そうな夕日からの御小言だった、美香はやはり満足できないのか、その後おちつかないのか、また俺と売店に行くことになる、もちろん財布は忘れずにな。
「これより、第一試験に入る」
宅間の情報と、掲示板のポスターの説明から、予想されいた流れだ。
全クラス参加の、障害物レース、らしきもの、簡単な足切りだ、腑抜けていれば、落とされる。
まあ普通にやれば、足を引っ張られる、それでもない限り、楽勝と言っていい。
俺は自慢じゃないがプラチナランクとか言われる位に、恵まれた身体能力、奴らに言わせれば異常、化け物め、と言われたことも数知れないが、まあ人間の枠内だと個人的に思っているんだが。
まあそれで、美香を、必要ないのか知らんが、ついでに夕日も、二人を抱えても勝利できると、確信できるのだが、さて、どうか。
美香は得意の人間不信で、プラチナランクの俺が嫉妬やらなにやらされて、クラスの、その他にもクラス外のアウトローに妨害される危惧をくれる、夕日はなにも言わなかったが、若干は賛成の風だ。
だが俺は知っている、このクラスの、それも他クラスも、悪い奴は一人もいない、のだという事実を、真実としてのって意味。
この集められた、学園という名の機構には、そもそも最初から救いようが無い奴は紛れないと見ている、これだけ人を集めて、一人も俺の観察眼に引っかからない、いわゆる腐った奴、悪人が一人もいないのは、異常だからだ。
ゆえに、足を引っ張る奴はいないのだった、もちろん俺に対抗心やライバル心、プラチナランクとかいうモノに嫉妬する奴もいるんだろうが、それがそのまま問題になるとは思わないのだった。
「美香、分かると思うが?」
美香は、恥ずかしそうに、そっぽを向いている。
はじめの頃は、頼る位なら死ぬくらいに喚いたものだが、可愛くなってしまったものだ、その頃の美香を知っているから、なおさらである。だってなあ、比較できてしまうから、露骨に可愛く見える。
「夕日は、レイジ君に全力で頼るよ、体力温存しておきたいし、不測の事態が起きたら困るもん。
それにレイジ君ぶっちゃけ人間じゃないし、テレビに出てくる変態スーパーヒーローみたいなもんだよ、頼らない方が失礼になっちゃう的な?」
夕日は全力で、これでもかと頼るようだが、全幅の信頼の目がキラキラしてて、物理的に痛いくらいだが、美香もこのくらいで良いのだが、後ろめたい視線は消えない、夕日も分かっててお道化て言っているのだろうが、効果は薄そうだ。
「まあいい、俺は断れても、お前を、お前だけを連れて行くつもりだ」
「夕日は? 私は?」
もちろんお前もだ、と言って、肩に手おく。
そう、俺はこの二人に、救われた、個人的に一番苦しく、自責の念から死を思っていた時に、この二人の少女に救われたから、命に代えても守る、守ると誓った、たとえ他の全てを犠牲にしても、、、それが俺の絶対の前提条件のルール。
その後、連れてこられた全クラスが集められ、呆気なく空砲によって、試練はスタートされた。
そして呆気なく、とくになんの問題もなく、子供の御遊戯と思えてしまう内容には、なにも言いたいことがないわけじゃない、個人的にもっと凝ってもらっても良かったと、余裕風邪を吹かしたいくらいだったのだから。
美香と、ついでに夕日も担いで、ゴール。
するところで、俺は足を止めた。
さて、俺がいないと、この二人は危ないのだが、難しい天秤だが、まあいいかと、俺の楽観が出たのだろうか?
とりあえず、俺は二人をゴールに放って、俺は一歩、ゴールから遠ざかる。
二人は、なにも言わなかった、見透かされていたかと、そう思った。
その後、俺は第二ラウンドに進んだ、そこでも同じようにするつもりだ。
宅間の話では、そして俺の今までの経験から、最終ラウンドの確死のゲームは、一矢報いれる、過去にも生き残ったり、対戦相手を殺してでも生き残った事例がある、もちろん今回もそうだとは限らないが。
第二ラウンドは、第一ラウンドと打って変わって、野菜の千切りから、多方面の能力を試す、試練だった。
俺もこれには全部合格できるだけの技量を持っているが、すべて手を抜き、最終ラウンドにコマを進めた。
吹き抜けの大空間で、美香と夕日が席に座って、俺を見ているのが分かる。
そう、ここが最終ラウンドだ、最後まで残ったのは75人、400人程度集められたのだから、比率としては多い、見た所は不良ばかりだが、普通の奴もけっこいる、守りたいなら守りたい奴らなのだ。
「開始!」
その合図を待たず、俺は動いた。
相手は一人、毒々しい色の外骨格、そして、なによりも、その連射可能な重機関銃は、このような開けたスペースを持つ空間では非常に強力なのを、俺は知っていた。
ズっババババババ!!!!”””
閉所空間なら、銃はそれほど怖いモノではない、それも単発式なら、むしろ銃に頼る相手を”弱い”と断じるだろう。だがこの場合は事情が異なる、だろう!
銃口を見てから避けるのは容易だが、発射される弾が問題だ、あの傾向と銃の見た目から、思ってた通り、連射可能な大口径、大型スナイパーライフルに装填されるような代物で、弾速は一瞬でマッハを超える。
俺は避けれたが、あのようなモノを交わせる奴は、そうはいない、一瞬で20人ほどが体を貫通、かすっただけでも致命傷だろうか? 屍の山が量産された。
とりあえずの問題は、あの大型ライフル弾を撃ちまくっても、反動でよろけもしない外骨格の防備を貫通して、本体にダメージを与える法だが、まあ敗れかぶれだ! 全力でいく!!!
「はああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
銃口が俺を外れた一瞬の隙で、一気に間合いを詰めて、外骨格の横腹に、全力全開の掌拳を叩きこんだ、拳がぶっ壊れても、イカレても構わなかった、全力のつもりだったが。
割と脆かったのだろうか? 硬質な外骨格は一瞬で砕けちり、残念ながら内部の人間と一緒に、むこうの壁に物凄い勢いで激突し、瓦礫と一緒に、なにも分からなくなってしまった。
「はあ、はあ」
全力を超越して、一瞬だけでも100%以上を出し尽くしたので、多少は息をあげたが、直ぐに収まるだろう、俺はその場で膝をついた。
周囲の奴らも、俺を恐れるように、距離をとっている。ああ、まあ、それでいい、それでいいんだお前らは。
そんな中、向こうの方から走ってくる二人がいた。二人とも泣いていた、なにか悲しい事があったのだろうか? 可哀そうに。 俺は慰めねば、という思いと共に、立ち上がったのだった。




