バトルギアなFPS的なオンライン-シャル編
ゲームの中でも、ヤバイレベルって言うのは存在する。
ガチで中毒になるレベルって意味である。
”バトルギアソリッドFPSオンライン”は、確実に俺の中で中毒を発症した。
今はそうではないが、もう少し前までは、一日のほとんどをこれのプレイに当てていたしな。
総プレイ時間、およそ五千。
うん、そうとうにやり込んでいる、例えオンラインで友人と遊びながらでも、立派な廃人だ、人生を半分やめているに等しいぞこりゃ。
今は多少落ち着き、友人とクランをつくり、偶に遊ぶに留まっている。
今は西暦、その現代的な戦場と武装、それらのリアリティーのある制限を設けて、割と泥臭い戦場を設定してプレイしている。
このゲームは制限をしないと、どこまでも超科学的な世界観へと変貌するので、こういう事をしないといけない。
「ほらぁ、とっとと歩くぅ!」
目の前の金髪碧眼少女のシャル、彼女の後ろを歩きながら思うことである。
茶色の砂煙上がる、中東のような町並み。
寂れて荒廃した、ある程度領域を限定して、16対16、このゲームにしては比較的低人数で分かれて戦っている。
俺達クランのメンバー5人、それを片方のチームに集合させて、高度な連携をとってこの戦場では行動している。
具体的な役割分担は曖昧だ。
ただツーマンセル二組、遊撃的に何でもする奴が一人、そのような2・2・1で別れてだけはいる。
俺達は辺りを展望できる、大きなビルに忍び込む、ライフル陣地を敷くためだ。
「くぅっ!」
シャルが焦ったような声を出す、待ち伏せがいたのだ。
敵の大柄の男とCQC、近接格闘術を行っている、後ろに続く俺も援護しようとした、だが。
チキ、何かの作動音、彼女を助けるのが夢中で、足元、ビルの暗がりへの警戒を怠った代償、それが爆発した。
一瞬でアバターが消滅。
収束し、爆力が制限されたその攻撃で、周囲に居た人間以外の俺だけがリスボンポイントに転送された。
味方のリスボン陣地、マップ上西の末端、そこでシャルを待ってみる。
おそらく、シャルの相手していた敵と、罠を設置していた敵、俺が死んだ後即座に二人を相手した事だろう。
二人組みだとシャルでも相当分が悪く、勝負は一瞬、もしやられればココで直ぐ落ち合える、なら待つ方が良い。
20秒ほどの後、シャルが案の定転送されてきた。
「くそぉ!やられたわぁ!」
蒼の目を鋭く、キリリと、目が覚めるような容姿でさせていた。
なぜこんなにも、こういう凛とした態度や表情が映えるのか、生まれながらの戦士のような彼女。
「うぅー、貴方が役立たずにやられたとはいえ、私が敵の、それもたった二人に容易くやられるなんてぇ!」
心底悔しそうに、茶色の砂の地面を踏み、地団駄を踏む。
彼女はこのゲームで、誰にも負けたくない、そんな信念を持つ人である、ある意味俺よりもこのゲームに嵌り愛しているとも言えるのだ。
真剣勝負で、更に本気を出している時には、誰にも負けたくない。
狂気的な勝利への願望、壊れた執念とも言うべき、そういうものを持って、常にプレイしているのだ。
それも、そのはずなのかね。
事情を知る俺は、彼女の背景を思いながら考える、壮大な設定、そのようなモノが、彼女にはあるのだ、人に歴史ありである。
彼女は幻聴蚊帳、人々の夢を統合した、そのような仮想世界に没入している時に、ある幾つかの前世を手に入れた。
その一つが、シャルロッテ-ライミーズ、ただの一軍人に収まらない軍神であり、戦乙女。
だから彼女は、ある意味転生者、二度目の人生を歩む、そういう感じのシャルという一個存在なのだ。
その背景を、一年ほど前に聞いた。
彼女は、前世で、祖国、ノースウェストル王国失った、戦争に完全敗北し、首都星を直接攻撃で宇宙の塵にされるほどの大敗北を。
だから、彼女は基本、自分自身を信じない、どこまでも悲しいほどに。
なぜなら、全力全快の自己の限界、それで、無上の愛を向けていた大切なモノ、それらを一度全て守りきれず、全てを失ったから。
だから、彼女は己を絶対に無限に信じず、ゆえに限界をどこまでも超越し続ける、心の底からしたいと思える、そのような強く気高い存在でもある。
俺はそれが美しいと思う、誰よりも影を持ち、不幸を経験し、それでもその果てにそれらを克服、乗り越えて。
ただただひた向きに頑張り続ける、それも己の限界を信じず、その身が壊れる一歩手前、割りに合う限界擦れ擦れの自助努力を続け、その限界を模索し続ける。
俺は純粋に可愛いと思うのだ、彼女を。
ただ不幸なのではない、同量以上の幸福も希望も抱えて、大きな活力や糧を得て、人生を誰よりも活き活きと生命力の溢れる形で生きる彼女が。
本当に、誰よりも思い入れがある、彼女の個性が、どれほどの伸び上がるか、その成長や将来を思うだけで夢が膨らみ、膨らみ続けて胸が爆発しそうになる。
「どうしたの? イツキ? 変な顔してるわよ? 頬、叩いて着合い入れてあげましょうかぁ?」
「いや、大丈夫だよ、シャルが可愛いなって、見惚れてただけだから」
頬を思いっきり、はたかれた。
「集中しなさい、次は絶対負けないわよ。
相手は、おそらくあの連携、アキノとカイのペアだわ。 私をあれほど容易く負かすなんてあいつら以外にありえないもの」
その二人は俺達共通の友人だ、超絶ナイスガイのイケメン二人組み。
感性が鋭くも頭の回るアキノ、更に理性で全てを見通せるのではないかと思うほどの頭脳明瞭な男、カイ。
この二人が組むと、それはそれは厄介で、ある意味最高に相性のよい最強の組み合わせなのだ。
「ああ、次こそ負けないように、努力するよ」
「生温いわ、負けたら死、全てにおいて、この勝負の鉄則、血の掟を自分に課しなさい。
そうじゃなきゃ、とてもじゃないけど、私に肩を並べて着いて行くことなんて不可能よ。
貴方、わたしを守りたいんでしょ? 孤高に戦い続ける私の、たった一人のパートナーとして常に在りたいんでしょ? どうなのよ?」
ニヤニヤした、サディスティックな笑みを助長させる彼女。
うわぁーやっぱそういう事しますかね貴方。
シャルは、このゲームをすると、その手の昔話に近いアレコレを、かなり頻繁に話題に出す。
俺が約一年前、シャルと出会う切欠になったこのゲームで、そういう事を言ったのだ。
今とは相当キャラも何もかも、がらりと変わった気がする、そんな彼女だから、そういう恥ずかしい台詞も言ってやったのだが。
もし今、昔の自分に出会えたなら、そんな事は言う必要のないことだと、口を酸っぱくして言ってあげたい。
「ばろぉーが、お前は一人で戦い続けられる、化け物だろうが、なに寂しがった振りしてんだ」
彼女の根本、その果てを知ってる俺だから言えるが、こいつは本当のところは助けを必要としない。
なぜなら、もう一つの前世、悪の魔王とも言うべき存在、それすらも内包している事くらい、もう分かっているネタなのだ。
「それでもよ、私の中の王国軍中将様や、たった一人のシャルって人格は、きっと貴方を求めている。
そういうわたしの一部、それの為に動いてくれても、いいんじゃないの?」
とても不可思議な感覚である、彼女と接していると、常人では感じれない、いくつもの感覚を開発されるような心地だ。
「まあいいよ、俺は個人的に、シャルの事は好きだし、いくらでも協力してやるって決めてるんだしな」
「よろしい、では、作戦を立てるわよ」
俺達があーでもない、こーでもないと、作戦会議という名の、スマイル生における雑談配信みたいな事を始めてしまって。
いつの間にか、二人で何だか談笑気味で、良い雰囲気になっていた。
これはちょっと、シャルとなんか良いことできるかも~っとか、確立は低いが期待せざるを得ない、期待していた頃合いである。
まあ、だってシャルちゃんだからな、こいつは表面上は切れたナイフのような乙女だが、俺の中では燃えであり萌えキャラの分類なのだ、つまり最高って事。
要約すると、ゲームの事をすっかり忘れていた。
「あっははぁ、おもしろぉー、貴方ってそういう事までするの? 匠ね」
「まあな、まあ職人の成せる技って奴?」
「笑わせないでよ、職人は言いすぎ、精々趣味の領域よまだまだね、もっと精進しなさい、そしてもっと私を楽しませなさい」
そう言いながらも、ご褒美なのか、俺の頭をいーこいーこ撫でてくれる、うひゃー嬉しいなぁーこの極上すぎる感覚、至福やわぁ~。
「うっふふ、こうやってね、頑張れば、きっとご褒美がもらえる、しっかりとパブロフの犬が如く覚えておきなさい。
そういう仲間との楽しい思い出、それが、本当に貴方が辛いとき、唯一支えてくれるものなのだから」
「わかってるよ、もっと頑張るよ」
「可愛いわぁ、しっかりと私に尽くしなさいよ?
そうすれば、もっと快楽的に、貴方を可愛がって満たしてあげても、良いと思えるのだからね」
犬コロ、ペット、ポメラニアン程度の愛玩動物かのような扱い、でもいいのだ、それだけでも至極なのだからなぁ!!!
「ああぁ!!!!」
シャルが慌てる、どうしたのだろうかぁ? いきなり。
「不味いわ! 貴方に飴ばっかり与えてしまったわ、そろそろ鞭を与えないと、それで引っ叩かないと、貴方が堕落してしまうわぁ!」
「クソが、なに言ってやがるぅ! ちょっ!やめろこのぉ!」
近接格闘、毎度おなじみ拘束され、荒縄でふんジバラれる、そして蛇に睨まれた蛙状態となる、いつものこと。
舌なめずりして、サドとしか言えない、それ以外に表現しようがない顔をする。
きっと、俺が苦痛に悶えるさまを想像して、愉快に愉悦に浸っているのだろう、この悪魔めぇ!
「さて、今日は貴方に、この世の、どの負の感情を、苦を味わってもらおうかしら?
別に、わたしはそんなの、望んでないのよ? でもね、より強く生きるためには、仕方ない処置なの、しっかり仕込まないとね、貴方の命が輝けないのぉ、悪く思わないでね」
「このカスがぁ!人間のくずがぁ! お前がやりたいだけじゃねぇーか!それぇ!!」
「まあ、それも、否定しないけどね。
貴方が苦痛を吐いて、指先一本動けずに、血を滴らせ続ける、それに甘美がないと言えば、嘘になるわ、最低な話だけれども、わたしは辞めるつもりないから、よろしく」
「よろしくじゃねぇー!!なに淡々と、俺への拷問調教陵辱願望吐露してんだぁ!!ぶっ飛ばしてやろうかぁあ!!」
「ふん、弱者。ホント弱者。ぶっ飛ばせる事もできない癖にね。
悔しいんじゃないの? 小娘に、糸も容易く、それも赤子の手を捻る以下の労力で縛られて動けなくされて、これから至極の辱めを受けちゃうの。
もう、男としてのプライド、再起不能にされちゃうくらいにねぇ」
憎悪、これは間違いなく、積年の長い時を掛けて降り積もった、復讐鬼としての激情だ、それがシャルを向くのを感じた。
誰よりも不幸で、誰よりも幸福、そして無上の愛の対象も、無限に存在するそれらも同じ境遇だと言う、己の。
そんな事を骨の髄まで悟らせてくれた、彼女が憎い。
彼女との秘密の遊戯は、俺にとっては間違いなく、塗炭の日々だった、無上の苦しみ、死んだ方がずっとずっとマシな生に、人生にされたのだ。
冗談に聞こえるかもしれないが、本当に彼女は他人に、特に俺にとっては容赦の一欠けらもない。
どこまでも暗闇が見えない、そんな絶望に陥れることもあれば。
どこまでも天国、楽園が続くような、そんな希望や夢、理想の無限極地に連れて行ってくれて、いろいろ溢れたこともある。
それが、彼女流の、俺に対する飴と鞭。
愛と憎しみ、俺がシャルに抱くのは当然、今この時は憎悪が引き伸ばされ、異常活性化されているのだった。
だがきっと、愛に絆される、真に憎めるべくもない、だって、本当は根本では彼女を誰よりも愛しているのだから。
「ほらぁー、なんとか言いなさいよ? 最悪の王女様なんでしょ? わたしって貴方にとって? なんか面白い恨み文句でも言って、私を楽しませなさい」
余裕の表情で、つま先で俺の鳩尾を捻りこむ彼女、俺が血嘔吐吐いて苦しむと、その笑みを更に深める、至福なのだ、こういうのが彼女にとっては。
駄目だ、意識が薄れるが、そんな彼女がうつくし可愛い愛らしくて、眠っている場合じゃないし暇もない、強制覚醒させられ続ける。
「あれ? もう駄目になっちゃった? ざんねんだわー殺しちゃおうかしらねぇーもういらないし~」
「いやいやぁ!!ちゃんと起きてますぅ!!意識もありますぅ!!!」
ガチの殺人者アイと、殺人鬼の狂気的な声色で、演技だろうけど脅されたので、ビクビク震える声で絶叫してしまった。
「ふっふ、でしょうね、さて、どこまでも苦しむのと、一瞬で楽になるほどの苦しみ、どっちがお好み?」
「どっちも嫌に決まってんだろうがぁ!!ふざけるな!!偶には俺に調教させろぉ!!」
「うん? いいわよ、わたし、ドエムな気質もあるし、加減が上手くできるなら、いくらでもやっちゃってよ」
態度と立場を反転。
一瞬で俺の拘束具を取り去り、自分で自分を拘束という、高度な技を、これまた一瞬で行う。
そして、真っ白な瞳で、俺を見つめるシャル、あれ? なにこれ? なにすりゃいいの?
「はやく、体が、いい感じで震えてきたわ、わたしの方は準備万端、いくらでも甚振っちゃってよ」
やば、これ、チャンスじゃね? 日頃の恨みを晴らすチャンス。
「ふぅーふぅー」
「あひゃうぅ、や、やめなさいよ、そういう事しろって意味じゃ、ああんっや、やだ、やめてぇ!!」
勃起した、やっぱコイツは、至高だ。
見た目も声も、一挙手一動作、全てが最大限俺を満たす、今回は性欲方面にメチャクチャふり幅が大きかったが。
「はぁはぁ、この、最低、今頃きっと、そのズボンの下で、自分の息子、汚く大きく膨らませてるんでしょ?」
敏感な耳を、何回も沢山吐く息で刺激され、真っ赤に興奮したような顔でシャルが言う。
まったくこの子は、どうしてこっちの性欲をどこまでも刺激するような、エロ漫画みたいな台詞を狙ったように絶妙に吐けるのだろうか、素晴らしいし素敵過ぎる。
「ふぅー、やっぱシャル、お前って俺的史上最高の女の子だよ」
「はぁ? 当たり前でしょう? 貴方の矮小な人生で、もう私以上の女の子に出会う確率なんてないんだから。
もっと全力で、己の全存在を100%フルに働かせて、常に死ぬ気で、感情のままに生きるべきってのに、馬鹿な貴方はまだまだ全然悟りきれていない、やになるわ」
うん? まあそうなのかね? なにはともあれシャルは、俺の中で絶対の聖域だ。
誰にも、それこそ俺にすら汚されたくない、だからこそ、誰よりも綺麗と感じれる、そんな女の子、尊敬と憧憬の、最上位の対象なのだ。
しかも無上だ、限界を無限に自分で決められない、見極められないと確信できる、至上の感覚、そんな存在感を持つ人間だ。
傍にいるだけで、幸せと、何か満たされた感覚を持てる、そんな普通はありえない、何かしないと普通はそんな感情抱けないのに。
俺の中での、無上の神、偶像崇拝的なポジションを占め、これからも占める事が予測される、大事な女性なのだろうね、おそらく、おれ自身の内面を観測し、分析考察を強いてするなら、そうじゃないと、こういう感情は説明できない気がするのだ。
「それで? どうするの? これから、言葉にするのも憚れる、どろどろ的なエロイ事でもしてくれるのぉ? 上等よぉ、掛かってきなさい」
そんなこと、できるわけがない、分かって言っているのだ。
俺が、どこまでもシャルを大事にしている、だからこそ、自分にすらそれを欲望のまま汚させる事を許さない、そういう心理。
神を絶対に信仰する、俺はそんな盲目的な信者なのだ。
彼女の延長線上、その傀儡のような存在なのだよ、きっと、どこまでもそう在りたいと、願ってやまない。
神のシモベ、その尖兵でありたいような、某神父のような心意気で、彼女を重ね合わせ、同一視したりもしているのかもしれない。
または、某銀の青銅の人みたいに、金髪碧眼の彼女を愛し慕い、身を捧げる事しか知らない、追い詰められた存在なのかも。
とにかく、俺は、彼女に愛を、それこそ無上に集中し、強度高くどこまでも収束させたいのだ、そしてそれに殉じたような人生がお好みってわけだな。
だからこそ、何かを高次元に愛している沢山の人を思い、そのように彼女を思えるように、模倣し型を真似して、日々自己の愛を少しでも、高められるように足掻いているのだろう。
それが彼女の満足するレベルでなく、一生掛かっても、到底不可能な、天文学的確立でしか事象でしか、望みを完全に叶えることが出来なかったとしても、俺はソレのみをしたいと思い続けるのだろう。
そもそも、俺がシャルを助けれない、そんなの絶対認められないし、絶対嫌だ、絶対できる、そういう根拠の無い確信を、もうずっと前から妄信して、精神が極まっているのだから。
全て自己暗示かもしれないがな、それですら良いのだ、俺がおれ自身で俺を定め、方向性も生き方も、何もかもプロデュースした結果なんだし、後悔も一切ありえないし、満足や達成感、充足も最大限確定されているだろうよ。
まあ、たぶん、何よりも俺を突き動かす、彼女に向かって方向性を一切たがえず、その至高の原動力、きっとそれは。
俺がこんな風に、無上に慕ってしまえる彼女が、なぜだか知らないが、俺を一番に思って、好きで、愛して、ホントなぜだか知らないが全てを捧げて生かして活かしてくれるからだろう、それがどうしようもなく胸を熱くさせるのだ。
「なに? 感じ入った、キモイ顔して、持病の発作? かわいそうね、貴方には専属で病院が来るべきだわ」
「うるさいんだよ、この愛いやつめ、可愛すぎんだよ」
俺は、多分、高度に自分や自己の人生を、客観的に見ることができる。
傍から見たら、俺のこのような、シャルとの歪で無上の関係性、どのように見えるのだろうか?
俺はスーパーでハイパーで魅力的だが、シャルほどじゃないし、てかこいつと比べたら誰だって見劣りするだろうよ。
俺だって、かよとかその他色々、沢山の人に支えられ、既に神格、人間性の真の極地くらいは到達しているつもりでいたんだ。
それを全部ひっくり返したのが彼女とも言える、俺に新たな世界を示し、上には上が無上に存在する、そんな実感をくれて、生きる喜びを沢山与えて、今も与え続けてくれている彼女なのだ。
てかこいつ、ホント何もかもが規格外だ。
俺は少し前、全国模試のような奴を受けた、当然全国同着一位の満点だ、俺の周りでは珍しくない、何人もこれくらいの学力や性能は所持してる、いやガチでマジで、これは不思議ではない、幼年の頃から、超優秀な親に、徹底的に”仕込まれれば”誰でも至れる、それこそ俺みたいな天才でない凡人も、普通に努力で成れるレベルなのだ、だから不思議じゃない全く、奇跡的な幸運に恵まれ、堅実的で最大効率な努力の結果なだけだ。
だがこいつ、シャルは、それすらもうわまった。
前世の記憶を利用したかどうか知らないが、全国模試の真の一位だ、なぜか表彰されていたのだ委員会に、その同着組みの中でも一人だけ、どういった手段かは知らない、だが結果が全ての学歴と偏差値の複合社会において、彼女が絶対的で究極的な勝利を収めるのは確実だろう、それによって着ける社会的ポジションの位置も計り知れないだろう。
そういう存在が、なぜか、俺を大好きなのだ、超絶に愛して、俺に尽くすしか知らないようなありさま、生き方なのだ。
そりゃ嬉しいのさ、シャル、お前はどれだけ俺を満たしてくれているのか、果たして理解しているか?
「死んで、もういいわ、貴方嫌い、キモイ顔、もう一生見せないで」
拘束を自分で解いて、どっか行ってしまう。
どうやら、相当に気味悪い顔してたようだ、最後に見せた顔は、怒りか何かで真っ赤に染まっていた。
「おいこらぁまてよぉ!どうせ読心で俺のこころ読んだんだろぉ! 嬉しかったかぁ!!!!!
俺がお前のこと、真に愛している、その理由が一から十まで分かって、実感のともなう愛情を感じれて!!股びしょびしょかぁ???!!!!」
「うるさいわよぉ!!!ころすわよぉ!!!ウザいのよ!くさいのよ!こっち来ないでぇ!!」
回し蹴りで吹き飛ばそうとしてきた、咄嗟に紙一重で避けて、懐に潜り込もうとしたが、襟元掴まれて直ぐ傍の茶色の壁に押し付けられる。
まったく、風情も何も無い、そこが、そういうのがリアルってもんだ、そういう胡散臭さを感じる。
物語と違って、どこまでも無情なのである。
VRMMOの仮想空間で、俺達はなにをやっているんだか、そういう哀愁を感じる時点で、これは絶対アニメ化できないぜ? 映画化なんて夢のまた夢って感じだぞ。
「そのドヤ顔、ホントムカつく、貴方勘違いしないで、私を篭絡したり手篭め? できると思ってんじゃないわよ?
もう、どうせよ、私の言う事なす事、貴方くらいの変態になると、大方私に関わる万象全てがご褒美になるのだろうけどね。
もうやなのよ、私がなにやってもニヘラ、本気の感情を見せない、そんな飄々としかしない貴方に、飽きたって意味、さよなら。
わたしはもう、本気のセックス的関係にしか興味ないの、貴方はもう男として、牙の全て抜け落ちた奴、ペットとしても落第、終わりよ、別れましょう?」
「い、いやだ、よ、頑張るから、シャルの為に、今からでも死ぬ気で頑張るから、見捨てないでよ、うぅ」
涙目である、彼女の意図、わかる。
俺を限界、そこまで追い詰めて、精神の揺れとかを観測して楽しむ。
俺の言う台詞など、最初からお見通しなのだ、聞くまでも無いのに質問し、追い詰めた風な気や酷い台詞を吐くのもそれが狙いなのだ。
さんざん気を持たせておいて、何も期待には答えられません、そうやって逃げるくらい最低な行いだ、俺にとって。
この後には、どうせ何も無いのだ、いつもの、それこそ水戸黄門のように、テンプレートなやり取り以外の何物でもない。
「はいはい、再認識の繰り返し、こんなんで大丈夫なのかしら、約束の時まで、もうあんま時間もないのかもしれないのにね。
貴方、冗談じゃなく今から、全力全快、限界を常に最大最適に無情に突破超越し続けるような、そういう生き方、ちゃんとしなきゃ駄目よ、それじゃ、行くわよ、後ろ付いてくるだけでいいから、後は全部、私が導く」
「ざけんなクソかすが、誰がてめぇーみたいなクズに、のこのこ付いていくかよ、死ねやぁ!!!」
ブルーマテリアルライフルをノンタイムで顕現、クロックバーストで激鉄を撃ち抜く。
これが俺の回答、俺は俺の無上の愛の対象を無限の殺意で扼そうとする、それで特異点を越えてやるってそう思ったのだ。
もちろん、彼女は絶対に倒せない”そういう設定”のキャラだし、そもそもここはゲーム。
でもそれでもいいのだ、何でもかんでもとりあえずやってみる、男は挑戦が大事ってもんだ、糞味噌テクニックとかでも謳われている事だ。
俺の擬似的な殺意の込められた弾丸、万物を砕く、そのような設定の異能の攻撃だ。
彼女は一瞬で、人間の反応速度でありえない、スキルも行使、トリプルアクセル、三倍速も用いて、これを避ける。
「あら、面白い事するのね、ふっふ、貴方の命がどれだけ続くか、試めさせてもらいましょう。
もちろん敗北は死、その時は貴方の命もここまでって事で、潔く消えなさい」
緋色の日本刀を顕現、チャキと、光り輝くキラメキを鞘の縁、刀の刃を少しだけ見せて、抜刀術の構えを剣を水平にして見せる。
「ほら来なさい、円よ、私の範囲に納まった瞬間、一撃決めてあげるわ」
「馬鹿がよぉ!誰がそんな誘いに正直に乗るかよぉ!くらいやがれぇ!!」
もう一つの能力、既にゲームに勝つ為に、ゲームの枠、制限を全て解除、全力でコイツを排除する為の手段を行使する。
物質召還術、頭の中で兵器の構造を、一部のブラックボックス無く理解、それによってそれを一から生成し創造する術。
それによって俺の両隣、アクティブ防護システムとして開発された、自動銃座が二機展開され、シャルに向かって大口径の弾丸を連射する。
もちろん、日本刀なんて馬鹿な選択をした隙で、勝負を決めなければありえない。
人間離れした動きで、弾幕シューティングのように弾丸を避けたり斬りながら、俺に突撃してくる。
ライフルを連射、だがどんな魔法を使っているのか、一発たりとも当たらない、だが形勢は有利だ、こっちには援護の自動銃座もある。
薄青色の鞘の、長刀を展開、顕現、迫るシャルに実剣術で挑む。
横薙ぎに一閃しようとして、タイミングを見切られ、一瞬の交錯でこちらが致命傷を負う、それを悟ったときには既に実行。
錬金術、地盤を大きく隆起させ、壁を作る、更にそれは正面だけなので、俺の左右の銃座からの攻撃は有効だ。
どうやら、シャルはゲームを成り立たせる為のハンデでも背負っているのか、大き過ぎるな、色々制限を設けているらしい勝手に。
逆にコレで負けたら目も当てられない、必ず勝つという気概を強化する。
前方の壁が崩れる、その一瞬。
「瓦解しろ!!潰れろ!ディンブルメドぉ!!!」
一定領域を氷結させ、絶対零度化、それから一瞬で開放し、一時的ブラックホール、超重力場を形勢、その空間内のみ、素粒子まで物質が分解されるほどの重力空間を形成する。
だが、斬られる、その空間を、次元断裂、力場とも呼ばれる。
ただの刀ではない、空間の法則、その次元で”斬る”という事をするから、形成した全てがごわさんになったのだ。
アドバンテージをフル活用、機械神フォルシオンを召還、高速で上空に退避。
ただの連続ジャンプ、落ちるよりも早く、空気抵抗乗数のみで空間を飛び続ける、それによって追いすがるシャル。
闇を、暗黒の化身をその間に割って入らせるが、斬られた、絶対に斬れない影が致命傷を負って、上空で黒い雨を降らせ崩壊していた。
「フェイザァーランページアクセラレーション!!オメガブーストぉ!!!!」
完全コピーした超魔術、更に自己流にアレンジ、幾何学級数的に加速度的に膨張した魔法攻撃は、この時点で世界観が違うレベルの規模。
これにはシャルも、光のシールドを展開し防ぐ、やはり、ただの刀と肉体で、できる事には限界があるもよう。
こっちも同じ土俵に立つ必要があるかね。
「おい、来いよ、この意思だけの、それこそその強さにしか、縋るものがない、大罪の生きる価値のない歪み」
ただ一人、刀を中腰に構えて、シャルを破壊する事のみを考える、この一太刀を疑わない。
何も言わず、ただ流線のように、どこまでも極めきった芸術的機動は、絶対に見切れない。
だからこそ、行き着く先を見切れた、所詮は有限大の複雑性、全ての選択肢を俯瞰できれば、シャルだろうと見切るのは容易い。
そう思った、だが、吹き飛ばされた、受けたのはいいが、意思により昇華された斬激は、俺の存在ごとある程度刈り取り、対面の壁にめり込ませた。
やはり、何もかも、真剣勝負じゃ分が悪い、有利な点が一つもない、悔しいな、見返してやりたい。
刀でなく、銃、その時点でずるいのだが、それでも、魔法よりかは現実的で、ハンデとしては小さいだろうと、自分をなにか納得させる。
マグナムリボルバーを二挺、それも壁に当たってどこまでも跳躍する、特殊な弾丸仕様。
それを色々な方向に撃って撃って撃ちまくる、ビルの間を縦横無尽に乱反射して、いくつもがシャルに向かう。
そしていくらかが、俺とシャルの間を行き交い、壁や機動を制限する為の役に立つ。
リボルバーを腰に収め、更に片手持ちのプロトンレーザー銃を二挺顕現、えと、やっぱこれだけじゃ不安てか、絶対勝てないからぁ、、。
これは絶対に刀で防げない、防げたとしてもその飽和質量攻撃に、きっと体勢を崩すくらいの衝撃波を受けるだろうよ、くらいえやぁ!!
ぴゅろろん、ぴゅろろん、SFチックな嘘っぽい音を響かせ、緑色の質量レーザーを放つ。
だが予想外、刀でそれを跳ね返した、俺に向かって。
一瞬回避が遅れていたら、体を抉り穴を開けていただろう攻撃。
「わ、降参だよ、もうやめよう、無為だ」
「そ、じゃー死んでね」
シャルが、銃を落として、両手を挙げた俺に、迫る、風のように低い姿勢で刀を滑らせ掻っ捌くように突撃、俺は目を瞑った。
「・・・・・・」
静寂、衝撃がこない、たぶん、目を空けた瞬間に来る、ヤンデレアニメとかでありがちな恐怖、ホラーを演出するつもりだろう。
「目を開けて、よくやったわ、怖いのに頑張った、それだけは評価に値するから、大目に見てあげる」
「やだ、目を空けた瞬間、オゾマシイ顔と伴に、俺を奈落の底の突き落とすんだろうが、てかキスしろや、はよせぇ」
「あまえんな、貴方とキスなんてしたら、それこそ妊娠してしまうわ、絶対にいや」
目を開けると、いつも通り、楽しそうにするシャルがいた、刀ももう仕舞われている。
「楽しかったし、もう別の事しましょう、今日はもう十分楽しんだでしょう?」
「ああ、その前に、この俺達の状況、盗み見てる奴居るんだけど? どうする?」
「別にいいでしょ、ラブラブしてるのを観察するなんて、物好きな人達」
「まあそうだな、てか、もっとシャルを愛したい、もっと愛を育みたい、その為の何かを、もっとしたい気分なんだ、今日は」
「いいわよ、わたしも、貴方と楽しい思い出、共有したいし、どこまでも付き合うわよ、さあ、遊びましょう」
そんな感じで、俺達は新たな世界に、ぴょんと飛び出したのだった。




