バンブロ-レイアの小さな箱庭で猫に出会う
奴が参陣するとは思わなかった、まあ良く考えれば、ありえない展開ではない、予想パターンの一つくらいには考えていたし。
鉄の女王レイア、世界を作った始祖たち、その大派閥4大鉱物種族、の鉄の種族の女王だ、今はヒルダネットワークに種族していたっけ?たぶんな、確信はない。
アウルベーンがイルミナードで爆伸びして、ほとんど世界のエーテルの流れを決定づける位置に立ち、さらに空白のトキが迫り、攻め時ではある。
奴の真の狙いは、少なくとも俺は知っている、長い付き合いだしな、実際に直接的な付き合いも接触も、あまり無かったような気がするが、存在を知ってからと数えれば最古かもな。
奴は他の4大鉱物種族に恨みを持っている、客観的に見て可能性は高い、過去に何があったかは、アカシックレイルレコードにも記載されていない、世界歴史以上に過去なので予想でしかないが、
たぶん世界創設以前の4大鉱物種族間の争いだろう、今の始祖が軒並み死んでるような状態の鉱物種族内では序列的に最下位な有様を見てても、それは察せる話だ。
さて、そんな奴から、今回の我々の策謀に対して、どこから感づいたのか、少なくとも接触を要求する打診が来た、規定現実での話だ。
話しは変わるが、それにしても、と思う、ソシャゲの話だ。
俺の力はアウルベーンの提供するイルミナードに依存しない、それは今の世界的に言えば、ほとんど潜りに値するが、潜りは潜りで存在できる後ろ盾があれば幾らでも存在できるというモノ。
それはアウルベーンの提供するバンブロだったり、他にもアウルベーン以外にも大なり小なりエーテルの流れは存在していて、もちろんマイナーだが、ないわけじゃない。
それで、俺の力の源の一つ、アウルベーンの提供するイルミナードの提供する、とある宇宙大戦、言うならイルミナードの世界で起こる宇宙戦闘、イルミナード宙域軍とかいうのが担当するようなゲームがある。
そこで最近は大変な騒ぎが起こっている、セルラン激落ち、サービス終了レベルの大惨事である、たぶん実装するキャラの戦力のバランスでもミスったか、深くはしらない、俺はそこでは新参、ライトユーザーだからである。
とりま、そのソシャゲは基本、というより最初は沢山のギルド的なモノがあったのだが、だんだんと煮詰まってきて、最終的に二大派閥に収束した、実質プレイヤーはゲームを始める時に、どちらかの派閥に所属する、そうしなければ即刻で狩られてゲームオーバー、初心者狩りなんてレベルでもない、瞬殺である...少なくとも現状は。
そして、その二大派閥がどこでバランスが崩れたのか、最終決戦的に相手を完全に滅ぼす流れになってるらしい、フルダイブでリアルの事が分からなくなるタイプの没入ゲーなので、本末転倒してても、しょうがない。
ぶっちゃけ二大派閥に収束するのはいいが、その派閥が一つになった場合、ゲーム的には詰みである、敵はいなくなるのだから、ゲームがゲームとして成り立たなくなる、それは構造なのだ。
これらはゲーム的に概念的に説明した、実際の宇宙域での戦闘的にいえば、地球を本拠地にする連邦側が拠点を地球だけにされて、残存艦隊も15戦域艦隊程度、無双する歌姫たちは3人とも健在だが、正直苦しすぎると思う。
対する連合は、既に地球周辺に到着している艦隊だけでも83個戦域艦隊、これは最低でも確認できる数である、連邦所属のプレイヤーである俺視点だと確認できる数である。
さらに連邦は拠点を地球周辺、太陽系に限定されている現状なので、継続的な戦闘能力が激落ち、一年で生産できる艦隊数は10個戦域艦隊程度、連邦は軽く100個を超えるだろう、しかも更に増加する見込みだ。
最終決戦と言ったが、それは戦争という意味もあるが、地球周辺での最終艦隊決戦も近い、つまり15対83の比率で戦うようなモノだ。
もちろん歌姫が無双する、とかいうコンセプトもあり、アイツらは強い、強すぎる、他にも太陽系に要塞を結集させ、要塞のバリアを複雑に統合して、太陽系を全て包み込み、カバーできるような防御システムを構築中とか聞く。
他にも敵の索敵を妨害する、むしろ完璧に妨害するシステムも同時に作るらしい、完全な戦域防御を可能にする副産物として、索敵ジャマーを広範囲に設置可能ゆえだろう、これで敵の索敵だけ無効化し、自軍は大丈夫とかの追加要素もあり。
たぶん、いや?どうだろう? 最終決戦だけは勝てそうな気がするが、次が無い、地球から拠点を前方に伸ばせば、資源策源地も得られるので、継戦能力を得られるが、次は二正面作戦を強いられて、ただでさえ少ない戦力が分散される。
「潮時かもな、、、」
俺はソシャゲは厳密に足切りする、日課だけでも大変なのだ、俺がそんな決意で、ゲームをアンインストールをするかしないか、迷っていると、スマホからメールの着信が届いた。
例の件だ、そうだ、レイアの件だ、この規定現実で落ち合うらしい、しかし、メールを読んでいると、他にもいろいろあるらしい、まあいいかと判断して、俺は支度にとりかかった。
「なんだ、ここは?」
春香は「しらないよ!」と気軽に言い、目の前には高速で突進してくるトラックの大群、普通の人間ならミンチにされて、顧みもされないだろう、超田舎の細道を抜けたら、いきなり突っ込んでくるトラックの群れ。
現実改変か、常識改変か、規定現実でこのようなファンタジーは通常不可能なのだが、魔術師の庭ともなれば、長年の構築現象の積み重ねで、このような事も出来るらしい、現象がどれだけ観測者に捕捉され減退されてるかは分からないが、凄いのは確かだろう。
俺の背中にへばりつく春香、当然春香の異能では、このトラックの大群には無力だ、俺の空想演算術による補助とかなければ、一瞬で死んでる、まあ俺もあんま余裕ないんだが、この重石を持って行かなくちゃ話が始まらないのだから、しょうがない。
そう、春香はエルダーネットワーク所属だ、ツインに双子な感じのヒルダーネットワーク、そして春香とレイアも、まあ双子みたいなもんだろう、実際はしらんが、そんな感じのニコイチキャラとして認識している。
さて、トラックが突っ込んでくるエリアを抜けた、ような気がする、雑木林にしか見えん、僅かばかり人が通った形跡のある畦道らしきモンを通り抜けて、どこか物々しいコンクリートだけで構成されるような、デカい建築物が見えてきた。
「やあ、レイア!」
春香が言う、ここに来たことがあるらしいが、建物の設備に言っているのか? 俺には完全にコンクリートで構築されているようにしか見えんが、細穴から収音できる構築なのか、入り口らしき場所が、その声によって開いたように見えた。
中もコンクリート、そこを多少進んだ先に、いつからか多少はコンクリート以外の要素が垣間見えた場所にて、扉を開くと平然とレイアが居た。
「ようそこ、私の研究所へ」
警戒を強めた、なぜか?
レイアは眼前の机にクリスタルらしき、異様な塊を大量に、それこそ数百単位、しかもデカい、規定現実で規格外が力を行使する以外に、クリスタルによる異能の行使法があるが、あれはその中でも特上以上、規格外のクリスタルであることが、一目でわかったからだ。
目で見る、赤・青、黒っぽいミリタリーな見た目のクリスタル、黄色、桃、水色、あまりにも多彩すぎる、色素根源種族でも裏に絡んでるのか? 辺りはをつけながらも、ソレはいったん棚上げして、目の前の奴に語り掛けた。
「レイア、なぜ俺まで呼んだ?」
「それは、直ぐに分かるわ」
言いながら、なにか端末を操作する、すると突然アラームらしきモノが施設内に鳴り響き始める、俺は大方の察しがついた。
「狙われているようだな? 俺達の件とは別件か?」
レイアは曖昧に頷きながら、何も言わなかった、様子を見ながら、無謀にもレイアに近づき、机に並べられた特大のクリスタルを興味深そうに眺めていた春香が、あっけらかんと言う。
「君は戦力として連れてこられたらしいね~、あーアタシは知らなかったよ?君が危ない目に合うなんて嫌だしね、でもしょうがないね、君しか本格的に戦えそうな”男の子”はいないみたいだ、、、」
ほぜけ屑がッ、と内心吐きながら、状況を閲覧する、空想演算術の応用だ、ほとんど施設内の状況を俺だけの単独の力で読み取った。
敵は4面程度、すくない、しかも一人は車いすの女だ。
「貴方、決して逃がさないように、そして車いすの少女は生け捕りをお願いね」
「それは無理だろう、生け捕りできるほど戦力が離れてない、むしろ拮抗気味だ」
するとレイアは施設の隔壁を閉じ始めた、端末を操作しながら、それも敵が侵入した後のモノをだ、つまりはそういう事らしい、初めから敵を内部に閉じ込める為の、時間稼ぎをしないのが不思議だったが、そういうことかよ。
「あー、わかった、しかし状況は複雑に推移する、突発的に殺してしまうかもしれないが?」
「それならそれで、構わないわ、最大限の留意をお願いするわ」
言って、古風なピストルを取り出したレイアが宣言した、直後である、この部屋の入り口がひとりでに開いた、自動ドアだからだ、敵は4名、最初に見た時と同じ、そして敵とカウントしなかった、無力っぽい女もいる、決して少女なんて形容できるほど若くはない、それほど年も行って無さそうだが。
「レイア、貴方の不審な行動は、こちらでも察知している、大人しく投稿し、身辺調査含めた身柄の潔白を証明する用意があるなら、手荒なことはしないわ」
誰だ? 見る、視る、観る、分からない、誰か分からない、ヒルダネットワークにそれなりの注意を払ってきた、内部にスパイもたくさんいる、だが分からない、俺の”物語”に登場していない、初見のキャラだ、警戒度があがる。
車いすの女はキイキイと耳障りな音を立てて、部屋の中央まで進む、他の4名は主人を前に出して待機、先手を打つなら今か?と思いながら、とりあえずは状況を見る構えの俺。
「そのクリスタルは何?そんなモノを大量に規定現実に持ち出す許可を、果たしてヒルダは与えたの? 貴方の独断? もし献策があるのなら、今私に説明しなさい」
バンッ、、!!!
銃声がした、目の前のレイアが撃ったのだ、ダンッ!!!!と、車いすの女はよろめき、車いすを回転させながら衝撃を逃がし、何かで防いだか?器用に何回転かしながら同じ姿勢に戻った。
「うるさい」
レイアはまた銃口を定めて、決裂の構え、ということは? どうやらこのまま戦う流れか?と俺は見て取って、演算を開始する、車いすの女が何かを言うとした、その前から、展開して。
「やって!」
女の声と共に、背後の4名が服の下に隠されていた銃器を抜いた、一瞬の早業、なめらかなる技は異能でもない研鑽の賜物、歴史だろう、俺は一瞬前から構築を始めていた物理バリアで、銃弾を防ぐ。
色彩ゆたかな虹色のフィールが、歪みながら実弾を防いでくれているのを見ながら、いやな予感、車いすの女が、これは侵食、俺の異能を妨害するような系統の、嫌な感触と共に、実弾から俺たちを守ってくれていた障壁に、歪な歪みが発生。
次の瞬間には歪みは亀裂になり、大きな亀裂になる前に、俺は春香とレイアをデカい机の下に押し込んだ、いや押し込もうとした、しかし二人ともに手を押し返される。
「もう終わりだよ」
春香が言う、確かに、もう終わったようだ、春香の異能、カレイドスコープ・万華鏡、その成果だろう、どれほどの接触で相手を操り人形にできるか知らなかったが、相当な高速で、しかも接触したのかも分からん、この今の状態で、敵を無力化できるとは。
しかもオマケに無力化ってか、既に敵だった4人は、部屋の中央からやや後退した、車いすの女に銃口は向けずとも視線を、敵意のようなモンを向けてんじゃねーか、お手柄ってレベルじゃーねーだろう春香、その異能、俺にもくれよ。?
「コレを使うまでもなかったわね」
俺の手を押し返したレイアが、手に持っていたデカいクリスタル、そりゃ使わないに越したことはない、これから俺たちの仲間になるかもしれない人間の切り札である、、、で。
「この女どうするの? もしいらないなら、俺にくれないか?」
俺は靴音を鳴らしながら、淡々とタンタンと、部屋の中央に進みながら、背後の二人に呼びかける、冷徹に欲しい欲しい欲しいと、脳内で欲望が、制御できない高鳴りがダンスして、ダンスパーティーに複振していくのが分かる。
部屋に入ってきた時から予感はあった、この車いすの女、エロいのだ、人妻かしらんが、嫌に身が固そうな癖に足を晒し、生足の曲線が素晴らしい、眼もキツい印象を与えるが、可愛くなれば、とんでもなく萌えキャラになりそうだ。
侵食された時から何かされたか、俺はコイツが欲しくて堪らない、タマラナク、なっている、前提として、背後の二人をヤッちまってでも、良いくらいには、そう思っている。
「なに?、、どうするつもり?」
近づいてみても、その類まれなる美貌に吸い込まれるようだった、吸血鬼っぽい流動強化系の強烈なオーラだ、俺には分かる、バンブロをやり込んでいるのも、敵には知られていたか?と冷静な俺が分析する。
最初から吸血鬼フェチを極めている俺用の、これはカードだったのか?少なくともフェチシズムを極める前の俺でなければ、ここまで簡単に魅了されなかったような気がする、しかし過ぎた話だ、栓ない事だ・
「こうするんだよ」
怯えた顔をして後ろに車いすごと逃げようとする女の華奢な手を取る、小さいわけじゃないが男と比べれば小さい手、万事休すな手前あまり大きい抵抗もなく、俺はその場でひざまずく様にして手の甲にキスをした。
考え合ってした行動でもない、ただそうしたかった、ただそれだけ。
「無礼者!」
直ぐに返しの平手打ちが飛んできた、それも俺は甘んじて受け入れる、この女にされる事なら全てが甘美で嬉しいのだ、丁度ひざまずいて視点が低かったのもやり易かったのだろう、割と強烈なモノをくらって、一瞬よろめくほどだった。
俺は立ち上がり、苦笑しながら、「アハハ」と乾いた笑い声をあげてしまう、この場の皆様方に醜い醜態をさらしているのだ、部屋の中央で行われた喜劇のようなやり取り、どういう反応が返ってくるか想像もつかないのもある。
そして、このような裏切りを行った、春香に、理性があるうちに殺意を飛ばす。
そう、つまり、最初から、他の4名の敵と同じタイミングで、この車いすの女は既に春香のカレイドスコープで無力化していた。
いや違うか、あのタイミングだと微妙にズレる、絶妙なタイミングで、この車いすの女が俺に侵食を掛けたタイミング、そして俺が侵食を致命的なレベルでウケた、そのタイミングでだ。
あのタイミングでなければ、俺だって、このシチュエーションを想定している、幾らでもやり様はあった、4名の敵の銃弾の嵐を使って春香を行動不能にする位の芸当はできたはずだ。
まあ、ぶっちゃけ春香が、このような”フザケタ事”をする可能性はあった、あるにはあった、腐れ縁だ、長い付き合いだから分かる事もある。
アイツの悪戯は始末が悪い、最悪それほど死活問題にならないパターンが多かったので、捨て置いたが、今回もそのパターン、アイツならそれほど悪い流れにはならん、だから軽く考えているのもある。
しかし俺を手籠めにするような働きかけに対して、報復がないわけではない、奴もそれがわかっている、なのにした、果たして、どういう算段なのか、謎は深まる。
「やめて!、優しくして!」
「そんなフザケタ態度が許されるほど、コレは生易しい状況か?」
俺は尋問という体で、車いすの女を連れだした、レイアは察しがついているようで、俺が女が欲しいだけの下種として、ソレを許した、アイツの軽蔑の眼差しはクルものがあるが、まあ良しとしよう、、、嫌われてないといいが、苦笑が漏れた。
「うぅぅ、、、」
プライドの高い高慢な女を、いや高慢かどうかは、それほど知らないが、見た目誇り高いプライドの高い、高貴な猫のような女を、尋問という体で、やりこめる、やりこめてしまえるのは、気分が良い。
頭をスチールの固い鉄に押し込めながら、俺は絶妙に力を加減して、女の銀髪、最初は金髪のようにも見えたが、触れる、あの部屋の蛍光によるモノか、普通の白色灯もとでは美しく麗しい銀色。
絹のようなみずみずしい、すさまじく女を感じさせる、生き生きとした生命の発露だろう、これは、髪は女の命というが、今まで”良い女”というモノに面識も免疫もなかった俺は、容易く”ソレ”に魅了されて、そして、虜になる。
つまり極上の女の髪だ、ただ女の髪など興味もなかったが、コイツは違う、性的な魅力に溢れているようじゃないか、触れれば触れる程、漢のソレとは違う、細糸の癖に十分に滑らかなソレに引き込まれて、手に絡ませて感触を楽しむ。
「やめて、それはアンタのような低俗な男の触れて良いようなモノではないわ」
女はギロリと、眼だけで俺に抗議をする、俺が尋問の体ではなく、ただ女の髪を心底たのしんでいるだけだと、バレたらしい、尋問なら多少の手荒も受け入れるが、こういうことになると、駄目らしい、難しい線引きだ。
俺も体は整える主義なので、というよりもシチュエーションプレイの醍醐味は、それぞれがそれぞれの役を堅守するにある、俺は尋問者として、絶妙な距離感で、この女を楽しみたいのだ。
直ぐにねんごろの関係になるのも、やぶさかではないが、そんなのはいつでもできる、距離を詰める前の若い男女が、イメージして欲しい、学生時代の初々しいカップルを、あのような感じだ、俺の気持ちを分かってもらえるだろうか?
「じゃあ、誰なら触れて良いのだ?いっしょう、誰にも触れさせないつもりか?」
鎌をかけてみる、漢に触れられるだけで、抵抗する、そして、車いす、まさかと思ったが、当たったらしい、
コイツは処女だ、俺も童貞だから、なおさら気分が高揚する、どちらも異性に振れたことがない”新品”、初めての接触同士だからこそ感じる刺激的なイメージは俺を喚起させるのだ。
「とりあえず、脳から情報を抜けとるか」
おたのしみタイムの前に、やることはやっておく、尋問というのはウソではない、ソレができるのは、あの中では俺だけだった、少なくとも無理しないで手軽に行えるのは俺だけだ。
脳の構造を電子化、3Dデータまで昇華させて、解析する手法、現存科学では不可能、少なくとも規定現実の法則や観測規則的に、決して許されないレベルまで、俺の中の科学水準を一瞬だけ引き上げて、高速で演算、直ぐにもとに戻す。
世界法則は俺の蛮行に抗議し、凄まじく返しのバランス調整を要求してくる、俺は吐き気と眩暈、その他のバッドステータス状態、しかし、そのほとんどは他に引き受けさせる、最終的な矛盾の消費量を光速でゼロに仕立て上げる。
この瞬間に俺の異能の発露、その反動で、世界では株価が一部で暴落、たくさんの人間が路頭に迷い、この瞬間にも世界中で毎時100人がホームに飛び込む、しかし、俺はまったく困らない、他人だからだ、幾らでも俺の犠牲になれば良い。
そんな事をしながら解析結果、コイツは、エルダか、つまり、ヒルダネットの前身、没落したに等しいが、それでも名誉会長くらいの席には座っている、つもりのコイツは、いわゆるヒルダの小間使いの一人程度か、役者としては小物だな。
てことは、俺がどう扱っても良いという事と同義だ、コイツを煮るなり焼くなり、幾らでも好きにしていい、好きにできる、好きなモノを好きなだけ、好きにできるのだ、この状況はまさに最高の出力結果である。
「まあ、あれだ、今日からお前は、俺の嫁だ」
「はあ、、、ッ!そんな事が、ゆるされるわけないでしょう!」
一瞬ほうけた後、その意図に気づいたコイツは、いやもうコイツですらない、女か、は、わめきたてる、だが、それがあるんだよなあー?目の前の女では及びもつかない世界で生きている自覚がある、俺は予想できないのも無理がないと思える。
「まあいい、今日からお前は萌えキャラになれ、俺の前では、常にかわいらしい、分かりやすく言えば、潮らしい振る舞いをして、俺を楽しませろ。
そして俺以外には、今まで通り強気のツンツンしたキャラを見せろ、そして俺だけにはかわらいしい猫のように、甘えて、心を許して、俺だけに萌え萌えの姿を見せるんだ、はじめは難しく感じるだろうが、時期に分かる、励めよ?」
俺の醜い意図に、ようやく気付いたか、女はセリフの後半は聞かないように、顔を背けて目も背けた。
「あの、お楽しみのところ、すごくすごーく、申し訳ないのだけど」
視界の外、意識の外、気配を消して、春香が、この狭い尋問室の扉に手を付けて、こちらを見るように伺っていた。
「そうだ、ついでにお前もなってみるか? 俺の奴隷に? 今から俺の奴隷になる、全てを、俺に見せてみろ、こころのなかも何もかもを、俺に見せろ、ほら、脱ぐといい、脱ぎなさいっ」
カレイドスコープ、来たと感じた時には、既に手遅れに近い、万華鏡のようなイメージが、脳内に刻まれはじめる、ギリギリで回避して、そのイメージの実像を破壊する事に成功したが、一瞬遅ければ、実像が結実し、自我崩壊しても可笑しくない、
初めて受けたが相当なモンだコレは、おそらく今のすら手を抜かれているだろう、本気がどれほどか途方も予想も付かない、それはそんなレベルだ、規格外だ、気分が高揚する、コイツの異能を奪えるまでに、、、。
「もしかして、怒ってるの?いやいや、いやいやいやいや、アタシは君に新しいガールフレンドをプレゼンっプレゼントしただけだよ、身持ちが硬すぎる君に、女の良さを、女を好きになってもらえないかって」
典型的なハニトラ戦術で、俺を手籠めにしようとした奴が、企んだ奴が、よく言う、まあ遊び半分なのは分かる、お前は”そういう奴”だ、だから恨み過ぎることはないが、それでもムカつく怒る、警戒もする、つまりはそいうことだハゲが。
「で?どうだったの?その子の異能とか? 奪えたんでしょ?君の脳味噌とろとろにして、全部吸っちゃうような奴?」
ぜんぜんそんな奴じゃない、完全に詳細不明だから勘違いしてやがる、俺から言わせればお前の万華鏡の方がそういう奴だ、対象の自我を破壊したり、自分の自我をまるごと移植したり、ほとんど何でもありだろ。
「まあいい、お前に明かしておくか、俺のスティールスレッドを視ろ」
空想演算術で昔から構築し、汎用的に高速に使えるようにした、し続けている、盗作目録、そこには女の情報、そして奪った異能など、いろいろなモノが閲覧できるようになっている。
「へえー、この子がヒルダ、そして侵食レベル危険級の使い手、エフェレラルアリスの使い手、他にも電話の男と頻繁にアクセスして、習熟度も無視できない、裏に回られたら厄介系の策士だね、
比較的はやめに仕留められて良かったね、私たちの決起に邪魔になりそうな筆頭系統みたいな?」
いやがる女にツンツンしながら、勝ち誇ったような口調、やめさせる、既に”そういうこと”をしていいのは、俺だけなのだから。
「で、どうして俺の心情を動かした?この状況に、お前になんのメリットがある?」
「そりゃあるでしょ、絶対に誰にも心を許さない、たよらない、自分以外に絶対に背後をとらせない、スタンドプレーの癖の強い君に、こういう人材をあてがっても、捨て駒程度にしか使ってくれない、、、他ならない君なら分かるでしょ?」
尋問室の唯一の窓、人間の背丈よりも上の方に設置された光を見つめながら、なんかそれっぽいことを言っている春香に、反吐がでる。
「俺を分かった気になるなよ? 春香、てめえ、マジで手籠めにしてやろうか???!」
対手は「あはあ」と笑って取り合わない、いつものことだ、コイツは常に俺を人間にしようとしてくる、前からあった振る舞いの一つだ、俺は人間とか言うモノに興味はない、なるつもりもない。
独我論の世界で生きているのだ、この世界で生きているのは俺だけ、他の全ては裏側が張りぼての人形に過ぎない、、、万華鏡をマスターした、今のお前になら、この気持ちが、真の意味で、分かってもらえると、思っていたのだが、それは俺の僅かな希望的観測だったのか?
「なあ、春香、この世界が、運命の糸に綴られる、幾本のバイオリンの絃のようなもので、世界はその弦で語られる、音色そのものと、思ったことはないか?」
俺は常にそう感じている、世界の運命を糸のように観測し、弦という巨大な因果律によって、厳密に未来の全ては、はじめからすべて、すべてがすべて、繋がっているように見える、全てが既知で、未知など無いかのように、全てが推移する。
「それは言いっこも、良い事なしでしょう?完全なる観測者の制御、それなしで簡単にエラーを起こすような、この電子コンピューターの中そのもののような、不確実で不安定な、世界を結実、安定して形を保てないほど、無限に脆いんだから、さあ?」
ならば、そういうことだ、自由が無ければ、自我もない、俺の提唱する独我論とは、そういう話だ、その論の中で自分だけは、自分を完全には限界を規定も観測もできないので、自我があるという、例外を除いてはな。
「現実を超越する自我、絵画、君はカレイドスコープでも覗けないほど、深淵の深みに居るのに、私が悟った清涼なる静謐な高みまで、ついには登れなかった、つまりは、そういうことか~」
適当を言っていると思う、万華鏡で再現できないだけで、俺は俺ですら、人形だと思っている、世界には人形しか居ない、しかし俺視点だと俺を人形だと感じれない、それだって知っている独我論なのだから。
「自由がなければ、未来もない、未来もなければ深淵すらない、お前の言う清涼なる静謐な高みも、今の一瞬で全てを再現できるほどの、無限熱量がなければ無為だ、そして無限熱量を再現する事なんて、できない、つまりは戯言の絵空事、机上の空論だ、くだらん、ゲスだ、下種メガ」
明瞭に見下しながら、俺の猫を撫でる、上でいみのわからない電波問答を繰り出されて、うんざりした、可愛い猫のような胡乱な目が、とびきりセクシーだ、やはりコイツは犬よりも猫っぽい奴である、まあ俺は猫の方が好きだが、って何を言っているんだろうね、萌えでやられている自覚がある、コイツは萌え萌えでセクシーで、オマケにエチエチで、可愛いのだ。




