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カヤ編‐小さな領域と、そこにある庭☆



「私は、此処から眺める景色が好きだ」


 私には、明確に描きたいと思えるモノの、果てしなく明瞭にして明確、素敵なヴィジョンがある。

 私は、持っているのだ。

 

「大抵の観測者において言える事だが」


 観測者とは、眼前に見える世界以上に素晴らしい、内的な世界を所持しているモノだ。

 もちろんその世界は、自己愛による美化など、様々なアシストによって、その固有の観測者に特化して観測されうるようにできている。

 だが、わたしは眼前に映る景色、それ以上に素晴らしい、私の内的な世界を持っている、そういうこと。


「此処はイルミナード、王国の覇者と呼ばれる存在が支配する場所。

 私は支配の支配を受けて、この小さなマンションが立つ、半径三十五メートルを、絶対的な権限の下に支配している」


 私は世界の最前線領域に興味があった、

 加えて、幻聴伽耶において、一定の価値と意味のある情報提供をしなければならない、所謂やとわれの一観測者だ。


「それにしても、この眺めは果てしないほど素晴らしい、永久に観測しても、飽きる果てがしれない」


 マンションの隣には、マンションよりも高度のある、細長い塔が有り、その天辺が屋根のあるテラスとなっている。

 凄く狭い、小さな机を用意すれば、ほとんどのスペースは埋まる、私は其処に居る。


 マンションに、モンスターが、蛙のような巨大な生命体が取りついている。


 最近、王国の覇者が、中立宣言をしている、一定の理性のあるモンスターを王国に移住させていると聞く。

 私はそれを、放置している。

 景観が多少損なわれている気も、しないではない。

 この塔にも、一定の間隔で周囲を行ったり来たりする、警備兵のような、いろとりどりのスライム系の奴が居る。


 そいつらは、糧を求めているのだろう。

 私は絶景を見ていると無我の境地に至るので、そいつらは敵対者が来れば、知らせてくれる契約を私としているのだ。


「ただいま」


 私は帰宅した、マンションの自分の部屋に、だ。

 そこには、設定としての、私の両親が住んでいる。

 別に、なんの興味も無いが、それが死体として惨殺されていれば、気にもなる。


「はあ」


 別に感慨は一切ない、私には敵対者が幾らか存在する、数えきれないほどじゃ無いので、特定して、この後速やかに惨殺する。

 拷問の果てに、無限大の不幸と、特異点の不幸を味あわせ尽くしてから、永久の死と終わりと地獄の底に永住させると誓っている。


「それで? 君たちは、実行者かな?」


 マンションの廊下に、敵。

 特攻をかける。

 私がこの領域において、所持するスキル。


「スタンガン」


 腰だめに構えて、抜刀する直前のスタイルで、発動。

 零距離からの攻撃において、パラメータ的に無限大の攻撃力を発揮する、私固有の特異なスキル攻撃だ。


 稲光と、雷が落ちるような激音、全ての敵を全て、一撃の下に消滅。

 

 私はマンションを出る、そして、見知ったゴロツキ共と邂逅する。


「私の両親が惨殺された、手を貸せ、報酬ははずみに弾む」


 相手は話が分かるタイプで、この一言で、私が悪ふざけも何もない、本心からの言の葉であると見抜く。


 観測能力を発動。

 この世界は、イルミナード、最前線の最前線、情報の質量がケタ違いで、わたしは初歩的な観測スキルでも過剰情報の処理に苦しむ。

 さらに言えば、このゴロツキ共を含めても、この領域における敵の討伐に苦慮する。


 処理終了、敵対者の、判別不良、確定情報なし。


「ならば、疑わしい奴を徹底的に調べて、その場の気分でぶっ殺す」


 私の命令を聞き、ゴロツキ共が散開する。


「よおよお、カヤの旦那、身内を殺されて、怒り狂ってるって感じか?」


 ゴロツキ筆頭、ロエル、銀髪のゴミ屑みたいな外道で外人顔、私に多少の興味以上の感情所持する可能性大な奴。


「別に」


 それ以上の問答はしない、コイツは機嫌を伺う必要無く、わたしに付いてくる奴だと認識している。


 状況が推移し、敵対者の判別はしないが、高い確率で実行犯人が特定できた。


「イルミナードにおいて、てめえの存在はめざわりだったんだよ」


 敵は、こちらが殺しにくるとは、思っていないようだ。

 素直に知性が低い、喧嘩の領域で、こちらの動きを見ているのだと分かる。

 こっちの気勢を見て、喧嘩とは思わない、殺気みたいなの、見て分からないのだろうか? 疑問を呈したくなってしまう。


「おら、しね」


 私はスキルを使用するには、この集団戦は無理筋だと判断、傍に落ちてた排水溝の蓋を、ただぶん投げてみる。

 敵は難なく防御、常人の動きではない、この世界でも高いレベルの存在だと分かる。


 私の観測は終了した、この場に居る、全勢力と、状況推移からして、高い確率で、こちらが負けるという結末を。


「散開、撤退」


 私は逃げる、逃げる、逃げる。


 一応の味方のゴロツキ、その中でも私が常々クソ女クソ女と思っていた奴が、敵の攻撃を受けて、足を止める。

 そんな光景が、後方の方に、あった。

 高架に存在する、高速道路を足で走って、山のようになっている場所、道路から一足飛びに行ける森、林の陰に行こうと思った矢先。

 

 私は敵と一対一になれるなら、勝率は100%だと知り、クソ女を助けて恩を売る選択を実行。

 速攻で敵を蹴散らしてみる。


「おい、クソ女、わたしの旗下に所属しろ、もちろん口約束じゃない、契約だ」


 シチュエイション的に断りづらい、高架下に落ちるような位置取りで、高圧的に宣言する。


「やだよ、わたしはヒルダネットワークに所属する、高潔なる観測者だ」


 奴は、そんな事をするくらいなら、死ぬと、発言。

 ぶつぶつと「崇拝しますヒルダ様、こんな場所で死ぬるわたしをお許しください」とかなんとか、祈っている。


「じゃあ死ねよ」


 私は蹴り転がして、高架下から落とす。

 普通なら即死、だが私は知っていた、そいつが高架下に落ちる前の、何かが落下した時に受け止める、

 よくわからんが、高架を支える柱に生える、落下防止柵に落ちて、鉄の柵に落ちた衝撃で、とてつもなく瀕死になることを。


「うがぁ」


 私は下を見下ろしながら、告げる。


「痛いか? 致命傷だよ、死にたくないなら、目の前に映る液晶に、音声認証で、私が望む受け答えをしろ」


 奴は涙を流しながら、致命傷に対して、絶叫を迸らせながら、わたしの旗下に成る契約のボタンを押した。


「どうだクソ女、お前はもうわたしの絶対的なしもべなんだからな」

 

 わたしの力で全回復させて、高架の上に戻してやった奴は、もう死んだような目をしていた。

 

 わたしは速攻でプランを立てる。

 こいつはメイドにしよう、こき使って、私に対する反抗心はねじ伏せず、焦らし焦らしで楽しんでいこう、と。

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