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-とある施設でエイリアンの軍勢に襲撃され撃退する



 うす暗い午後5時ごろ、ヘリの中から見る町の風景、最近は開発が進んできたが、まだまだ田園風景然としている我が故郷を眺める。

 横切る空気は湿っている、曇り空ゆえに7月といえども闇が満ちるのは若干早いようだ。


「貴方に、これが分かるのか?」


 普段はメスガキみたいな女子高生くらいの機体で僕に対する彼女、イリカと呼ばれるスゲー有力者なのだが、

 今はアメリカの諜報員の長くらいの見た目、そんな風に見える端末、彼女的に言えば”観測端末”、世界を見据える視座を変えている。

 

「そのようだねぇー」


 適当にヘリの中で返答しながら、俺の目的は全然ちがった、というより、正直かなり焦っている。

 ぶっちゃけ吐きそうなほどの金欠で、焦っている、てか吐きそうなのは空腹が過ぎて、頭が空回りしているからだろうか。

 

 すこし前からの、僕に対する超時空から全世界を直接支配するレベルの、まあ難しく言わないでシンプルに言えば世界観測者だな、

 このぶっちゃけ世界そのものに匹敵する、というか軽く既存世界すら超越する世界法則とイコールの、連中というか?そのもの?

 まあ僕に”観測者のバランス調整”という名目の、制限・制約を沢山、つかマジでフザケルナ、マジでぶっ殺すくらいに、俺を焦らせ”奔らせる”、文字通り走らせる為に色々やってきたのだ。


「厳密に言えば、所持金の矮小化、0,00001分化、他者からの支援の直接制限etc,etc、さて、、、いきなりこんな事をクラック的にくらったのは...果たして、誰のせいだろう?」


 その一応の疑惑のある本人に、隣の席でたくさんのよく分からない紙片をペラペラと捲って読んでいる当人に問うつもりで、独り言風味で言っているのだが、どうやら聞いてない。

 ようだ、、と一言で言えんね、コイツはこの手の曲芸も特異だから、関係ない風を装って企みの第一当事者である可能性は十分ある、そんな疑惑を持ちながらイリカの男な横顔を眺めていると。


「ついたぞ、我がメサイアの管轄する量子CPUの集積場、簡単に出力結果が手軽に得られるのは、ここしかない、、、本当にこの場所に用があるんだろうなあ? しかもこの私様をわざわざ連れてくるほどの、重大な?」


 もちろん、ない、本当は併設される社内用の購買、実質無料で色々なモノが買える、買えるって表現は違うな”もらえる”、そこに用があった。

 でも理由を無理やりテコ入れするなら、イリカの対立する派閥のとある姫様に、俺から直接接触して、イリカの求める譲歩を引き出すために、あの施設の量子CPUのアレコレを知っておくと多少は捗る、成功率が上がる位か?


「ここからは、歩きだ、降りるぞクソ野郎様だ」


 ヘリが降下する場所、簡易発着場のような原っぱ、イリカは英語で口汚いスラングを述べた風だが、何時ものメスガキな見た目じゃないので恰好が付いていない、ぶっちゃけメチャカッコイイだけだ。

 そして直行する場所なんだが、俺が社内購買上に行こうとすると、突然胸元から拳銃を取り出して、俺の脳天に突きつけてきた、いやーまああ、分かっていた展開だけどもれねコレ。


「やっぱ君の目的は、これですから、失望しましたよ」


 もちろん怒り狂うイリカ、、演技かもしれないが、さて事前に言い訳の口上は用意してきたわけだが、コイツに通じるかは五分五分だな、さてどうしたもんかねっと悩んでいると、また先ほどのイリカの読んでいた紙ペラを渡される。

 僕の頭に当てられた銃口でノックされながら、読めのジェスチャーだ、だが一向に理解不能だと目だけで伝えると、なにやらイリカは説明を始めた。


「ここにある、既に実用化されたレベルの、試用すら済んだ量子コンピューターで何をするか、何ができるか、その数字の羅列、あるいはアルファベットを含んだクロスワードの穴抜けのような奴は、

 科学者が果てなく強力なCPUで、現実に利益をもたらす為の、法則書や手引書や攻略書のようなものだ、どれだけ強力な計算能力を持っていても、現実での有益な使い方が分からなければ、無為だからな」


 そりゃそうだろう、AIによってその点の辺をカバーできると思っていたが、どうやらその口ぶりからだと上手くいってないの丸わかりだし、難儀してんだろうよ。

 分かり切った事だ、ソレも俺から言わせれば大いなる世界法則”観測者のバランス調整”による様相、簡単に世界を崩壊させたりインフレさせ過ぎるような事は事前に禁止されたり、制限される。

 簡単に人間の構造解析が済めば、人間の時代になんて簡単に終わる、どれだけイリカが世界の深奥に迫る権力者で実力者、実行者でもだ、人間以上の存在は常に人間の振る舞いに興味があり、人間の時代を堅守する傾向法則がある、と僕は思う。


「分かったよ、そんなに怒らないでくれるかな?イリカ君、君の要望を叶えるために”僕はヘリで研究所長イリカと共に、とある量子演算コンピューターなどがある巨大複合施設に来た”、しっかりと明言しておくよ。」


 いい加減だ構内で物騒な銃を突き付けられるのも飽きたので、俺は口約束してから、その場で一端イリカと別れた。

 渡された社内IDと、この場で目立たない服、研究者が着るような模範的な白白衣の上下、まあ来るのは初めてではないので、自分のデスクをとりあえずは見つけて、そこまで行って、座った。


 ”いま上映中の、某映画は、わたしが制作したモノの中で、最高の出来だ”


 デスクで白の紙に鉛筆で、そのような文言を書いている、もちろん意味など無い、この小説を書いているレベルの、どうでもいい小説の執筆の序章文だ。

 こんな場所に来ても、特にやることなんて無い俺は、時間つぶしで、こんなことをする、だが最初の文から、特になにも思いつかず、だんだんと眠くなってきた、ちなみに無料購買では腐るほどモノをもらい、食ったりして、今ねむくなってきた頃。


 モヤモヤとした夢の世界だ。

 くらいくらい雑木林、俺は歩いている。

 薄暗い月すら見えない、だが若干夜目が効く、よく分からない空間だ、たぶんゲームかなんかなのだろう、この世界はフルダイブのVRゲームが実用化されてるようなチート科学時代じゃないので、これでも夢だと直ぐに分かる。


「仲間と逸れたか、俺はどこに行けば良いんだか」


 無意味に吐き気を催しながら、頭の中がグルグルと回りだす、走り去るクソ女、剣戟の抜刀の音、仲間の手引き、いろいろな事が一瞬でまわりだしたような感じだ、所詮は夢だ、後になって振り返れば、これは一瞬でしかない風景。


 起きた、覚えている限りを、目の前の白紙の紙に鉛筆で書きつける、しかし少ししか覚えきれてない自覚がある、夢の内容を書き留めても、実際に夢であった素晴らしい風景は、矮小化されて僅かばかりも描けた試しは、ついぞ無いのだ。


 衝撃音、どこからか何か巨大な物体が降下する音、意味が分からないが、何かがあった、それも相当ヤバいもんだ、こんなクソな音は聞いたこともない、昨日の記録的な雷で一分に数十回カミナリが落ちた時でも、ここまでの爆音はない。

 イリカが携帯で知らせてくれた、どうやらエイリアンが来襲したと。


「どうなってる? いや、どうなる?」


 イリカは「知らん」と一蹴するが、俺は独自に情報を集積する事に決めた、ちなみにここは施設で一番安全度の高い場所、量子CPUが集積されている施設の三階、外側が見渡せるような展望ホールのような場所だ。

 スマホで何時ものニュースサイトを眺める、そしてスレッド検索でネット掲示板をサーチする、加えてSNSで確度とリアルタイム性の高い情報を検索する。

 

「おいおい、イリカ、日本を飲み込むレベルの大進行なんだが、なんとかなるか?」


「チィ、だから知らんと、、、まあ、もう焦るな、事態は私様の手を離れた」


 イリカは展望ホールのような場所に併設される、外を見渡せる位置にあるベンチに座り、葉巻のようなタバコのような中間くらいの変な奴に火をつけて、うまそうに吸いながら、俺の目を見て語る。


「ぶっちゃけ、あの数を私兵でどうにかなるレベルを超えている、直轄の奴らじゃ、どうにもならん。

 この国の軍隊は動かせるが、装備の質と量が足りな過ぎる、アレの撃退には電磁投射式の突撃銃や高射砲、戦車や航空機の装備も、なにもかも現状の最先端を漏れなく紛れもなく必要とする。

 そんな金は全て、この施設の装備などに回した、そうだろう?この国は国防も含めて、すべて他国に依存するような、そんな国家だ、みずから武装しようとしても、立ちはだかる壁の大きさに初手でとん挫する。」


 よく分からない回りくどい言い方だなヲイ、外様のエルダーネットワーク、国という枠に縛られないイデアネットワークに対して、メサイアネットワークは、特に”この国”に縛られ愛国主義というか愛国傾向が強かったなと思い出しながら。


「えー、つまり、、、米軍を動かせるエルダーと同等レベルの傭兵を持つイデア、対立する派閥の軍事力に頼ららないと、この事態は沈静化できないと?」


 イリカは「そうだ」とコイツにしては恥もなさそうに事態の手の施しようが無さを認めた。

 俺もガックリと肩を落とした、この世界では俺はコイツの派閥に強く肩入れしている、つまりコイツの派閥の危機は、ほとんどイコールで俺の危機だ、忸怩たるモノを覚えながらも、なにも出来ない状態なのだろうが。


 一時間後。


 7時、完全に暗くなる前にソイツラは現れた、うじゃうじゃと地球防衛軍でしか見たことも、聞いたこともないフィルム・フォルメット、奇声を上げながら、ドシャドシャとアスファルト粉砕しながら巨大な怪物が見えてきた。

 施設に併設された防衛装備が火を噴く音が聞こえる、見たところ少々の足止めと敵の損壊が見える、だがイリカが前に言った通り”量”が致命的に足りなそうだ。

 

 しょうがないので、俺も二階に降りて、さらに一階に降りて、手持ちの”装備”で、焼け石に水かもしれないが、迎撃しようとする、するとイリカも付いてきた、てか、そんな自動小銃程度で”コイツ等”と戦う気か?いやまあ、コイツに限って、そんな愚策をするはずないが。

 

 二階の時点で、なにかコロコロと転がるタイヤ程度から、その三倍くらいの歪な球体や楕円形の物体が見え始めた、視界を埋め尽くすほどじゃないが、緑と白っぽいカラーリングで無秩序にコロコロと転がっているのだ。


「気を付ける必要は現状ない、コイツは防御力は高いがな、戦意をなくした場合に限り、その貝のような機構がパカっと開いて、対象を丸呑みしたり捕食行為を行うとデータにある。

 つまり全滅とか、そういう極限状態にでもならない限り平気だ、まあ日頃から自殺志願者とかで、戦意も何もあったもんじゃない状態になってる奴がいると、ソイツに食われちまいそうだがな」


 イリカはニヒルに笑いながら、説明してくれる、あーなる、なるほどね、怖いねーそれ、俺とか割と日頃から断然死んだ方がマシとか、自殺志願のような思想を持っているからね、今だけはそういう心構えを改めておこうっとッ。


 一階は既に厳戒態勢を取られている、重機関銃っぽいモノを持った奴らが跋扈していた、てかこの施設に、こんなに沢山の兵隊居たか?と思うが、地下構造までは把握していないので、まあ”そうだった”のだろう、イリカの私兵って奴かね。

 でも、どいつもこいつも駄目そうだ、装備がアレだ、電磁投射式じゃないし、雰囲気からも焼け石に水を注ごうとしている感じが伝わる、端的に言って覇気がないのだ。


 「「「まあ、俺もそれは同じなんだがね」」」」


 一番ヤベー奴を見つけて、時空振動系の余波でセリフが盛大にビブラートした、急激に観測者のバランス調整を受けて、僕の戦闘能力が急激に下がっていくのを感じる。

 極限まで演算能力と幻想具現化能力など、特殊スキルに該当するチート、そんなのに頼り切りな僕は、この世界の厳密な計算される法則群に嫌われているのだから、いつも排除されているような、排斥されるような感じはしているのだからね。

 世界の排除力に対抗しながら、それを上回るレベルの、かぎりなく新規で編み出し、見つけた”上位法則”によって、制限やらされながら、それを上回る法則改ざん・改善、次第にソレは実態を形成し始めた。


 電磁投射式の砲台と、幾つかの超巨大な高射砲、純粋にバカでかいだけの大砲、このうち大砲は当てにならんが、無駄に威力だけは高いので敵を貫通して再起不能にできないが吹き飛ばす事はできる、つまり時間稼ぎ。

 本当は屋上とかで顕現したいが、屋上は既に”この手”の装備が置かれていて無理だったので、射角は限られるが一階のスペースで顕現した、、、つーか、既に世界から侵食を受けて、これら装備が物理現象として不安定化しているような、兆候が...気づかないふりをしながら、つか気づかない振りが、この手の世界法則と対峙する時は重要なので、つまり振りでも前向きに眼前の状況を見るのが肝心だよねって事で、俺は装備に発射を命じる。


「ファイア」、まず鼓膜が破れた、いやー、まいったね、ドガガァあああああああああああ、って聞こえたと思ったら、その次には無音、脳味噌が軽くシェイクされるようなグチャグチャとした感覚、強制シャットアウト、シャットダウン。

 装備に一番近くにいた僕だけが被害を受けた程度で済んだ、さて反省、電磁投射式の遮音性能はクリアしていた、問題は戦艦大和並みの無駄に巨大な大砲だろう、これは気流でも操作して防音しないと、次は死んでしまいそうだわ。

 装備の周囲に強制的に張り巡らせた防護フィールド、防御性の物理フィールドは展開に際してコストが高すぎるのだが、この世界ではしかたない、魔法がおよそ禁じる前に、存在しない前提のリアルワールド、侵食に対する反動が高すぎる。


「ゲバ、ガバ」このように適当に血を吐く程度で済んで御の字だ、周囲の無意味な一般ピープルに被害は出てない、僕の流儀的に関係のない一般市民に、僕のせいで何かしらの被害を出ていない、この場合に一番優先するべき問題だったから。


 さて、戦果を確認するが、遠くの方で何か取り物を捉えて、こちらの友軍らしきものを破壊しようとしてた、一番厄介そうで一番デカい目標を破壊、やはり電磁投射式の物理攻撃は事前情報通り、それなりに効くらしい。

 SNSで民間会社がレーザー系の装備であまりダメージは与えられなかった、動画つきで解説動画を見ていたお陰か、あの手の装備は実体化のコストも高かったし、設計図が脳内にあっても大容量コンデッサーバッテリーも同時に顕現しなくちゃいけないが辛い。

 てか顕現する前にイリカが言ってくれそうだったが、まあ知ってる情報は大いに越したことはない、空中から来襲するエイリアンタイプにはモノによってはレーザーが効くらしいから、その件についてはイリカに聞くかと思いながら、なにやら事前情報に無い飛行タイプの斥候みたいな奴が、既に完全に暗くなり始めた空に蝙蝠のように舞いながらパラパラ現れるのに、冷や汗を搔きながら、再度の同時顕現で、迎撃装備を増やそうとしていると。


「あ、ああ、分かった、要件を受諾した、、、だから助力を、、、、ああ、ああ、把握した、了解した、、、、だぁあああああ”””!、さっさとたすけろよぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」


 うっせーなあ、なんだ? 後方でバカでかいクソ声を出すイリカを見やる、死ねばいいのにと思いながら、その腐った声質にクソいらいらしながら、後方でグッジョブの動作、推察するに敵対する派閥に助力でも要請したか?

 まあ成るか分からん賭けだ、俺は最後まで全力の抵抗をしようと、顕現装備を増やそうとしていたら、いきなり横合いから待ったをかけられる、ここまでイリカが邪魔してくるって事は、多少は期待しても良いんだろうなあ?


「で、首尾は?」


 三階の展望ホールに戻らされて、隣のベンチに座らされる、まあ血反吐もはいてたし、無理してるとでも思われたか、僕の事を捨て駒程度に重宝してくれてると期待すれば、コイツが僕を助けたような振りも、ホント多少は納得はできるというも。

 

「とりあえずは、米軍は動いた、私様の知った事じゃないが、ああいやー、知ったこっちゃないがか? この姿だと、どっちの言い回しがカッコイイか、それくらいの事を考えられる位には、グッとに事態は好転した。」


 ここじゃない、イリカの科学研究施設、宇宙に関する事だったか、ぶっちゃけ俺もベットしている案件だ、こんな世界は、いつ核拡散して核戦争や核テロやら核の誤爆やら事故で、滅亡するか分からんからな。

 観測者のバランス調整で、その辺の人類滅亡の可能性が全て厳密に潰されていると想定されていてもだ、仮にバグって滅亡は嫌だし、そもそもそこまで突き詰めて核の終焉が回避されないパターンもあるのか知らんが。

 とりま超常の存在に、己の存在の命運を支配されたくない、それはコイツ、イリカも含めて、この世界の深淵の深層まで至り、侵食したように在る、超知的知性生命体の総意の一端、というか一派閥だ、つまりさっさと宇宙に行きたいと。


「研究所がある例の場所の防備はしないで済んだ、それで幾らか以上の市民が助かるとか、私様は思ったわけだが、そもそも奴らは”ここ”以外に手勢はそれほど回してなかった雰囲気があるんだが、これをどう思うよ君よお?」


「さあ」


 さあとしか言えん、エイリアンは観測者の勢力と推察できる、確定じゃないが、過ぎた行動をした反動で、僕はお前が、イリカが詰められたんじゃねーの?くらいにしか思わんが。

 だがしかし、宇宙開拓事業で、コロニーまで開発して、移住形式の超巨大なモンを計画したり、2028年実用化なはずの世界協定を破って、既にこの施設のような実用化量子CPUを作ってたり、奴らにキレられそうな事案は考えれば、腐るほどあるわけだ。

 でもコイツにベットしてる時点で俺も同罪、簡単には攻められんよなー、世界協定とか、ソレに従ってれば全人類は救われる、無限の幸福に至り、全ての不幸を永遠に消滅させる、ご題目は結構だがね。

 僕は、そんな時間経過で、ただそれだけの案件で、猶予で、人類が無尽の許しを得られるとは、金輪際これっぽちも信じちゃいない、その点では隣の超越者、イリカの主導や思想には、かなり共感している、まあ危険すぎるって点は、全然ひていしないというか、超否定的に常に毎日、コイツの突飛な心臓に悪い行動は見えてるし、目下、悩みの種臭い、つーか量産されているわけだが、恨み言は言いたいが、批判はできない、そんな微妙なアンビバレンスだ。


「で?ぶっちゃけ、どうなのよイリカ、僕を止めたって事は、全てオールオッケー、解決したの?」


「ああ、米軍の装備を全て借りたなら、質量ともに、この程度の手勢は数百回撃退可能だろうがよ、加えて全ての施設の防衛能力を、”ここ”に、既に今から、つか推移が確定した段階で、してる、でも、だが、いや、チィー、つか、ああーーー」


 事態は読めてきた、ようは足元みられたんだろう、此処に対する援軍は制限されている、さきほどから砲撃音とか、施設に併設された装備の砲撃音とか、止まってないモノ。


「イリカ、対立する派閥の奴らも、無限の能力があるわけじゃない、つまり撃退するリソースを払えと、そう言っているんじゃないの?」


「馬鹿野郎、それはケースバイケースだ、エイリアンに対して圧倒的な面制圧攻撃で、被害を出さずに済むレベルの装備を向こうさんは持ってる、比べてコッチは撃退にいくらか以上の被害を出す。

 向こうが多少の弾薬代をケチるせいで、こっちの機動的で幾らでも金を払いたい高度人材を含めたリソースが永久に消失する、どう考えてもわりに合わない話に付き合わされている、ふざけた始末だ」


 あー、こりゃ、向こう”俺”が、居ることがバレてる臭いねえー、そういうチキンゲームに”僕”が巻き込まれているカッコだー、と直ぐに気づいたが、この場合は、気づかない振りしておくのが、いいんだろうけど、うーむぅううぅぅーー。


「いやー、イリカも僕に不審な目を向けるなよ、確かに僕は正体不明、経歴不明の来訪者だよ? だからって、僕を第一容疑者にするのは、果たして、どうだろう?」


 敵達の詰めの強さに、イレギュラー要素は腐るほどあるのだから、”俺”という特級の不確定要素、確かに疑いたくなるのは分かるが、絶対にバレない前提で、僕の方から白状することもなかろう。

 現にイリカは疑いを向けたのは一瞬だ、そりゃそうだ、分かるはずもない、獅子身中の虫が、こんなに近くに平然と、実態を伴わずにいるとは、夢にも思わんだろうから。

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