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-余話(にもならない噂話)0.5-バロックソルジャーゼロ-見えざる影 上

 

 

 頭がイカれる、つまり頭がイカれそうなのだ。


 息を整える、体が重い、生まれ付き体の弱い私だった。

 私は、なにもしなくても、なにをしていなくてもダルい。


 息が上がっているのは極度の緊張からだ、心臓が痛い。

 体が全体的に重い、鉛のようなものだ。

 「あーはあ、あ~はあ」、今にも死んでしまいそうに、痛い、鈍い、暗い。


 全てがダルい、「ダル」言葉とともに涙が零れた。

 数粒、しかし拭いても拭いても涙が溢れ出した、そして体感滝のように流れてきて、鎮静剤を注射して、やっと止まる。


 創造を日々更新する純粋な想像を絶する痛み世界、その強度、ダルさだったが。

 ダルく、なんのやる気もない私、生まれてから少しと少々、転機が訪れた。


 神に出会い、救われた私は操り人形だ、既に死に体の身体を神様に延命させてもらっているだけ。

 私を繋ぐ細い糸が切られたら、その次の瞬間には己の生命すら自分で保つことができないと、そう知っている。


 アサヒが登ってきた、私はなにも遮るものがない簡素な、そして質素なテラスで、ただ座っている。


 原風景のような白いテラスで、私は誰かと会話していたのだと思う。

 私の命を繋いでくれている神様から、私へのメッセージ、宣託とでも言い換えようか。

 それによれば、今日、私はある人を殺さなければいけないと、そう仰せつかったのだ。


 あー、人形が歩いている、私であって私でないが。


 コツ コツ コツ


 杖、仕込み刀、目が見えない、というより本当に見る事しかできないのだ。

 私の瞳を移植した結果、私は人形の視界を得られたが、人形自体の視界を喪失したデメリットだ。 


「主様、現場に到着いたしました」


 コレは、能力によって歪で複雑な精神的な繋がりを持つ、防腐剤とスキル・錬金術によって生かされている人形。

 モノによるが、この個体は特注であり、数多の捨て駒のパペットを制御する、言うなら上位存在。

 だから見た目は綺麗なモノだ、金髪碧眼でスタイルも良い、柔軟に動く死肉と血の通わない機構で構成されたアンドロイド、に近い。


「うん、ありがとう」


 介助を伴って、車いすに乗せてもらい、後ろで引いて頂く。

 さて、能力行使において、遠隔よりも可能な限り近接した方が強力になる性質がある。

 今回は神様からの重大な天命だから、リスクがあっても私は自らを赴かせるのだ。

 

 

 早朝のオフィス街、なにもない街路。

 対面には地上10数階のビル、他のドール達との集合場所に現着した。


「到着したことを、律儀に告げる必要はないよ」


「はい、心得ました」


 その時、上空から大ぶりの攻撃、鎌が降ってきて、首を狩りとるコースを通った。

 隣のドールが咄嗟に動き、仕込み杖から流麗で綺麗な動作で刀を抜いた、鎌は弾かれ、攻撃者と一緒に後方へ飛ばされる。


「主様」「追撃の必要はないよ」「・・・・追撃なしですか」


 疑問はあるだろうが、口を噤む最優秀な、私の忠実な愛すべき最高の手駒。

 今のは私の私に対する攻撃だから、追撃も何もない。

 一応、本当の一応、私に対する忠誠心とやらを試しただけのこと、何時もの事だからバレているのか慣れているのかどうか。


「おーーーーい!」


 向こうから声。

 赤っぽいブロンドの活発そうな釣り目の女、特注の上位存在というより上位統括種、捨て駒の管理を任せている人形である。


 ペチャクチャ、ペチャクチャ、大まかに聞くが耳には入っていない声達。

 私は厳密にはその場に居ないのだから、会話など憂鬱なのだ。

 私は、常に精神を乖離させている、この場にいないのだから、会話など心に届かない。

 極限の集中力を有する、人形を操る事象において、常に絶対の客観性を持ち、常に理性を律する必要すらない、自我の希薄さ、ゆえだ。


 そうだろうに、人形同士は勝手に話をする、大まかな支持を行えて、基本絶対服従だが。

 しかし操り糸などで直接人形の全てを操作するのは辛い、というより物理的に不可能なので、脳を維持しているゆえだ。


 さて此処にはいない、別の場所で待機させている一人を加えて、三歌神姫と呼ぶ、私が勝手に決めた呼称だ。

 

 カラクリで構成された歌声で能力を行使し、神のような姫という意味を込めた、私の重宝し常用する主力ユニット。

 戦闘時に人形を3体同時に動かすのが限界なため、これ以上の無駄に手の込んだ人形が必要がない。 


 二人、暫くの後、一つのビルを登る。


 頂上屋上、ヘリコプター用吹き抜けの見晴らし台に、目を閉じて何かを操作する、魔女のような衣装の人形がいる、最後の一人である。

 

「主殿、敵は補足済みです」


 では始めようか、私たちの聖戦を。 



 乱立するビルの間を、細い糸と不可思議な眩い煌びやかな影が躍る。

 

「チィ、クソ痛えなぁー」


 出会いは朝。

 昨日の手負いの少女と和解したような気もしたが、当然かえしがあると予想した俺の事。

 俺のテリトリーである町の都市部で待ち伏せしていたのだ。

 町を見張らせる摩天楼の隅にテントを張り、夜も更けてきた野宿の先、アイツは目にも見えない影として出現した。


 ここは俺の庭のように手足だ、ビルとビルを交差する間、中空に複雑怪奇に張り巡らせた鋼糸が幾億とある。

 その全てを俺は正確に記憶している、だから糸と糸をバネにして中空をパルクールのように移動したり、あるいは攻撃としても利用できる。

 対手は光のようにビルの面鏡を反射して移動しているようだが、どうやら糸で身を切られている様子がない。

 どういうスキルセットで”あのような”芸当が可能か不可思議で、頭の隅で気にはなるが、今は戦いに集中しなければいけない。


(マスター、制御能力が落ちていますよ~、爪釘の深度、追加しておきますねぇ~~♪♪♪) 


「チィッー、頭が痺れるッ、つーか指がクソ糞。死んだ方が断然マシだわッ、、、ギャは!ゲハ!!!」


 指先に何もかもを吹き飛ばすような激痛が走る、走った、走り続けているわけだが。

 しかし激痛によって意識が加速するスキル・ペインアクセルによって糸を正確に操れるようになった。

 

 まず一指し指に連結した糸を連結路1528に絡める、それによって背後に一本だけ糸が通される。

 それは鋼糸ではなく柔軟性のある糸である、靴底鉄板ブーツで柔く踏み込み、俺は中空に浮かび上がる。 


「逃したわ、やるね」


 攻撃時に一瞬だけ姿を見せる、だがコレで7体目、等身大日本人形のような奴に脳天風穴コースで鉛玉を叩きこんだわけだが。

 喋る人形は腹話術のように口を動かさずに声を出しながら落下、コンクリートの地面に当たってバラバラに砕け散る。

 

「銃は使わないのか?、、、それとも、、、使えないか?」


 浮かび上がった進路上に、また現れる影。

 俺はまた似た要領で糸をスライドさせて、跳ね返るように進路を変更、攻撃タイミングで一瞬あらわれた奴に拳銃射撃を浴びせた。

 宙返りするように糸を軸にバク転しながらの射撃。

 俺は腰のホルスターから銃を抜いた、しかしそこからは周囲の糸を巧みに操作してオートで射撃できる。

 撃鉄を起こすように職人芸のような糸の操作、狙いの微調整も糸による補助に任せる、構えの固定は中空で糸を結ぶことによって可能にする、最後の打つためのトリガーも糸によって行うからだ。


「卑怯だと思う、、、それ」


 段々と焦れてきたのか、憎まれ口を叩き始めた、良い兆候だと思うことにする。

 

(マスター、補助人工知能の補助が外れますよ~~、タイムリミットまで10分と少し、ゲームマスターのバランス調整が入りましたよ~、敵も同様だと思いますが、、気を付けて~武運を祈りますよ~~♪♪)


 落下中であった俺を狙う、ちょうど首を切り飛ばすラインに居たはずの、もやもやとした光とも言えない影。垂直に飛翔した。

 俺はビルの20階から10階まで落下していたのだが、膨大な透明糸をトランポリンのように十字に張り巡らせた、敵もこれは予想済みだろう。

 そんな状況推移を視覚で把握しながら、また煙は方向転換してきた、正確に次の俺の進路上に。


「なるほど、アレか...さしずめ、奥の手と言ったところか?」


 ビリヤードで例えるなら垂直に切り立つビルに反射して影は水平に移動するはず、俺の移動方向は南南西であり絶対に来れないのだが。

 しかしビルに据え付けられた監視カメラ、その鏡面が、いま明らかに不自然、歪なタイミングで僅かにズレた、加えて言えば、内部のレンズが右に振れて大きく揺れたせいだ。 

 内部構造を正確に把握しているのは勿論、アイツは都市に存在する監視カメラの動きを操作できる、その映像情報を視覚情報として共有できるかまでは分からないが、厄介だ。

 少なくとも意のままに挙動を操作できる様態、今までほとんど稼働していなかったハズなので意表を突かれる、確定情報を脳内で思い描きながらの飛翔だ。

 

「つかまえた...もうあの姑息な糸はつかえない」


 一足先に姿を現した相手は、周囲を鋏で一掃する。

 複雑に張り巡らせた糸は消失し、これで全ての事前計算による演算集積結果の高速利用が狂う、狂ったからには、もうこれからは反則やチート染みた糸は使えない。

 、、、まあ、告白するとAIに補助を任せた戦闘時間は終了したので、もう用済み、これからは白兵戦の時間だ。


「糸はもう良いのであまり痛くはないが? ソードスマイト、、Ⅴ!!!」


 高速戦闘に移行した事を告げる、一瞬で移動速度25倍のアシストを受ける、そして眼前に迫る鋏、近接戦では絶対の攻撃能力を有する対手の武器。

 アレは初手で、どんな歪な能力が付与されているのか分からないのだが、鍔ぜり合いをすると必ず競り負けるのだ。

 俺も必殺の間合いで獲物を、抜いた。


 キィンキィン チン


 結刀、ベルトのように見えるが刀だ、本当は背中に仕込み太刀でも持っておきたいが、今までのアクロバティック戦闘を考慮すると不可能で、コレがせいぜいだった。

 抜刀術による一瞬の攻防によって、鍔迫り合い自体を回避したのだ。

 あまりに高速すぎる抜刀は、敵の受けに対しても効果的なもの、一瞬に全ての力がぶつかり合うので、その作用反作用によって一瞬でお互いの距離が開いた。 


 落下しながら拳銃を全て手動で発砲、マガジンが空になっても、落下しながら予備弾倉を交換しながら、全弾発砲した。

 牽制程度の射撃は光の中に潜られて回避された、だがその後、監視カメラの鏡面レンズを見える限りの全てで破壊を成功した。

 敵の鏡面移動方向を正確に制御しながら、無数に存在するビル併設の監視カメラを潰したわけだ、落下中に追撃は来なかった。


 そして俺は、落下地点の1cm上に鋼糸を設置、靴底鉄板ブーツで正確に踏みつけ、衝撃を全吸収、着地。


「さて空中戦は終わった、まるで昨日の焼き直しだな。」


 白兵戦で決着をつけるなら、もうスキルなんて小賢しい殺人術、大して役に立たないだろう。

 アレは事前準備と事前修練がモノをいう機動兵器戦なのだ。


 ぶっちゃけ、負ける筈がないと確信に満ち溢れている。


 第一に昨日の戦闘で敵の主要スキルが一つ判明している。

 ミッドナイト・ステップ、暗闇で移動アシストを得るスキルだ。

 もちろん、この場は朝焼けのするビルとビルの合間の、ちょうど空白地帯のような空き場、効力を発揮しないだろう。

 そして、この。


「ライトニング・ムーブメント、起動」


 周囲に電撃が迸る、反射を超越する電気伝導反射による移動を可能にする、俺の領域展開だ。

 アクティブ・ディフェンスと併用する事によって、ほぼ鉄壁となる、速さと同等の完璧な防御術による、これは”純粋に強い”、最強の剣術が俺にはあるからだ。

 

「くだらない、つまらない、わざ」


 周囲を旋回する光に対して、意味もなく縦横無尽に動いていた俺に対して、女はまろび出るように、あっけなく、その姿を不可視の光の中から現した。

  

 3人いた。

 予想通り、一人は霧として移動する、移動速度は光に比べれば遅いが、糸でも切断できない。

 光の速度で移動する人形は捨て駒、光の速度で移動する過程で鋼糸に切断されても、最低限の攻撃可能な状態に、常に糸で修復され続ける感じだったのだろう。


 まろび出たのが魔女のような女、次にビルから降りてきた、二人、合計3人。

 赤い髪のビッチギャルのような女は手元に機械端末のようなものを持っているので、監視カメラの遠隔操作を行えたか。

 最後の金髪のリーダーっぽい風格がそこはかとなくする奴、尋常でない流動強化系のオーラを立ち上らせる、なんとも言えないが猛者っぽい。


 まあ、もうチェックメイトなんだがな。

 

「糸使いとしては、大した技量と言えるだろう、だが俺ほどじゃない。

 人形の使い方も粗い、せっかく維持にも使用にも莫大な手間暇労力が掛かるだろうに、使用さの能力不足か、全くダメダメだ。

 俺にソイツラを遣わせてみろよ? 今の三倍は出力出るぜ?」


 はじめから、この三人を操る本体を見つけていた。

 ゲームが始まってからのステルスで本体を直接攻撃できなかったのだが。

 もうゲームは終わったのだ、盤外で本体の首に巻き付けた糸を引けば、それでゲームセットの軽い幕引きを告げられる。


 「「「!!!!!!!!!」」」


 うん? なんだ? 人形たちが騒いでいる、というより、慌てている?

 赤髪の持つ機械端末、ノーパソのようなモノのモニターに、俺が首に鋼糸を巻き付けて何時でも殺せる奴だ、奴らの本体が移っているが。

 なんか倒れた上に、口から血を吐き出して苦しそうに体をヒクンビクンと跳ねさせて、苦しそう。


「おい、もしかして慈悲の短剣的に、殺したやった方が良いか? つかてッ、敵を目の前に、行っちまいやがったが」


 しょうがないので、後を追ってビルを上に上に、上る。

 屋上に到着すると、案の定、モニターで見た通りの光景が映し出され、人形から輸血される本体の姿があっただけだ。


「ふーん、とんでもなく可愛いな~~おーーー、いいぞーこれ~~~、って感じだわな」


 人形たちが嫌がらない程度、てか刺激しない程度に、というより視漢しまくっている。

 美少女コレクターの俺から見て、惑星級の人口規模のゲームにおいて、一人いるかいないかレベルだった。

 こりゃー手籠めにしたいねーって思わせる、ただただ顔が良いタイプ、つか中身しらねー、うるせーしらねーってーか(笑)?


「もういいか? だったらもう人形はいらねーな?」


 本体が昏睡状態でもオートで動くらしいが、切断を絶ってやれば、再接続できずに休眠状態になるのだろう、倒れた三体を見ながら本体に近づく。


「うんうん、近くで見ると、もっと凄まじく可愛いな~、あーマジでかわいい、久々にマジで滾ってきたわ~きましたわ~って感じっ!」


 ぺろぺろしてやろうか顔を近づけたような所で、ビクスドールのような女は目を開いたようだ。

 人形のような顔だったが、どこか人間臭い、つかなんだコレ?酷くダルそうな顔なんだが?ぶっちゃけ顔溶けそう???だった。


「私をどうするつもり?」


「あー、そうだね、人形遣いだし、俺の人形になって見るか? 見た目も人形っぽいし、俺に遣える人形になれよ、今までこき使ってきた人形の気持ちを、お前も知れ!」


「ああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 発狂した。

 まあ泡噴出したので、適当に当身して眠らせたが、メチャ首脆いな~、ちょっと加減できなくて首骨にヒビ入ったかも、打ったというか当て時にピキって嫌な音というか感触したし、やべーなー~~(笑)


(マスター、脳波解析できましたよ~、この少女は上司に言われてマスターを襲ったそうです、しかし上司が誰かは分かりませんでしたよぉ~~~♪♪♪)


「おう! まあアレだな、また発狂しそうだし、この女の中に入っておいてくれな」


 女の頭に特殊な針を幾つか差し込んで、ビーコンをONにする、調整のために時間が掛かるだろうが、これでコイツは意のままに俺の言う事を聞く操り人形になった、ただそれだけ。

↓普段はつかう必要があるか分からない世界の裏設定のチラシの裏のメモ書き

 

 ACCという世界の最上位法則を操る新世界がある(絶対新世界は七つ位ある設定にするか迷っている)。

 そしてALCはACCの下位組織だが、世界的に見て絶対に比する最高レベルの位階を持つ組織だ。

 そのALCが新たに最高位の神器・七色に輝く○○〇を手に入れたので、その力を使って色々している。

 それからACCは神殺しの為に、ALCに三歌神姫を派遣した。

 全世界を覆う”観測者のバランス調整”によって、下位世界に降臨した彼女らは相当に弱体化した。

 彼女らが無差別に神っぽいのを殺して回っているのか、そうじゃないのかも未設定です。

 そして主人公が世界の中心点である”真に真なる神柱”なのかも不明、というより全部未設定です(後付けで設定を設定できないと大変だからね、前提として完結とかする気もないし(笑))。

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