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-0-俺の現実世界編スタートっ!て感じだが、特になにも面白い事がないという....ね..そんな奴の人生物語編



「むにゃ...」


 何時間ねていた? 頭についたゴチャゴチャした管の沢山ついたヘッドギアを取る。

 夢の技術フルダイブVRゲームっぽい為だ。

 夢というブラックボックス世界を上手く使い応用した結果、現実の何倍何十何百何千倍に拡張した時間軸を遊べる。

 なんでそんなに拡張時間に幅があるかって? 

 そりゃ現実世界に引き継げる情報量や情報の鮮明性やらが違って、各々詳細に設定できるだねッて俺誰に説明しているんだろうね?


「ねむい、ねむい、あーねむい」


 極度の脳障害、ナルコレプシー系の重病を患っている自覚がある。

 生まれたときから親という生き物を知らず、政府の管理する人口政策によって生み出された、遺伝子改変人類、本来的には強化された存在が俺。

 普通の人間は反出生主義の台頭でほぼ全滅。

 生き残っている”人間様”は強固な人権という特権で汎用AIと一体化したりして世界管理系AIを直接支配..つかソレ自体になってる系な?


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 音として認識できない圧縮言語、俺の専属AIが何か言っていた、俺が寝ている間に起こった事前に重要設定された情報を自動収集、そして俺に開示。

 でだ、俺は生まれた時から夢の世界に居た、だって現実以上に素晴らしい、何百倍も長く過ごせる場所に憧れて当然だろう?

 でも結果として現実での俺はボロボロだ、肉体的にも精神的にも、現実に適応していない、むしろ積極的にできなくなっているからだ。

 体はトロい運動神経全無し、外に出たら直ぐに死ねる自覚がある、早すぎる思考は他人の話なんて聞いていられない、自分の思考すら遅すぎて億劫とか、過度なテクノ依存患者状態。


「マスター、マスター、、、リンク完了、接続補助、マスターとの脳波補助ネットワーク形成中、、、完了、マスター?わたしの声が聞こえますか?」


 詰めは脳障害、現実世界の全てを拒否するレベルの障害だ、俺は現実の全てが嫌いだ、自分を生み出した”現実”の世界も、親がいて当たり前とか色々あるんだろうが、実際の深奥は不明?


「なんだ? 緋色アリス? その体、、、どういうこと?」


 緋色アリス、俺が生まれた時から”育ての親”として政府が設定した”責任あるAI”という奴、しかし現実に身体を持っている情報はなかった。

 それに身体のダルさも、思考の曖昧化も無くなっていた、むしろ何時もより冴えわたっているんだが、、?


「わたくしが人間だった頃の縁によって3000万ほど臨時収入が入りまして、AIでは一生掛かっても稼げないお金ですね。

 それでマスターを現実世界でも御世話する為に、この機体が最適と思い購入した結果です、ACCコーポ傘下のALC社の最新式EXタイプです、およそ何でもできると思って問題ないかと」


 可愛い顔が可愛い声で可愛く微笑む、次の瞬間には頭が”かわいい”という概念で埋め尽くされたが、俺はそういうのには免疫があるので大丈夫なのだ、オタクは強いのだ。

 

「そうか、よくやったよアリス、誉めてやる、クックック、ホントよくやった、褒美はなにがいい?」


 現実世界なんて、クソみたいな事ばっかだと思ってたが、どうやらそうじゃないらしい、思わぬ月が回ってきたことに、邪まな思考と邪悪な嘲笑が抑えられないのだ。


「なら、耳元でASMR風味で、わたしくの指定した文章を詳細な設定込みで情感込めて音読してください、あと指定した歌も耳元で歌ってください、それが至高なのです」


 まったくブレない表情で、まったく抑揚のない綺麗なメイド声で、とてつもない”変態”な要求を通そうとしてくるアリス。

 まあしょうがない、コイツは俺がショタな時に全力を出して”堕とした”、少なくとも俺はそのつもりなので、ロールプレイに付き合ってくれてるとしても、俺の方から攻められる道理はないのだ。

 

「マスターの、可愛い身体、完璧ですわね」


 その後、ひとしきり可愛がってやったら、なんか満足したっぽいので、延々と続く”欲望塗みれ”のドロドロした純粋に汚すぎる愛欲たっぷりな声劇はやめてもらった。

 いやだって「おほぉ」声を要求されたり、シノプシス系の催眠音声の制作を要求されてるんじゃかって。

 コイツが裏で今録音した音声を作品として売ったら流石に怒りそうだわ、、、って閑雅すぎだろう、そうに決まっている、って感じなのだ。


「くだらん、見た目なんていらんから、現実世界で綺麗になっても、しょうもないから、そもそも劣化するし、維持するのも大変、こういうのは電脳世界で完結するべき、非効率で不合理」


 鏡を見る、確かに麗しい薔薇の香りがしてきそうな超絶イケメン風味な美青年だな、ルッキズム全開な幻想お伽噺に出てきそうな、でもショタ臭すぎるのが難点だな。

 甘い、高すぎる砂糖菓子のように、トロトロのとろける声も駄目駄目だろう、とろけるチーズじゃないんだからッ、自分の声を自分で聞いてると普通に洗脳されそうになるからね。

 ソレ込みで点数をつけるなら60点のギリギリ合格、及第点くらい、本心、嘘じゃないよ、俺は俺が嫌いだ、嫌いな現実世界の一要素でしかないのだ。。


「マスターのお考えになっている事が分かりますわ」


 脳波リンクで思考が読めるのだろう、隠さずにメイドAIアリスが伝えてきた。

 目だけで情報伝達できるようにと、高解像度の情報が内蔵され読み取れる瞳モノ虹彩には複雑怪奇な精神状態や心理状態が読める、俺は読み取れる側なので、アリスの考えている事が正確に伝わる、特にいやはなかった。

 この呪われたように完璧に完全に最適化された、人間とも思えないような、触れればなにもかもを、己すら狂わす見た目・感受性・心などなど、不安定要素でしかないのに、祝福してくれているのだ、心から、愛してくれているのだから彼女。


「お客さんが、来ているらしい、アリスは待機、まあ俺のサポートがしたいなら、止めはしないけど、基本的に好きなことをしてて、いいからね」


 言ってもコイツ、アリスが俺のことしか常日頃から、一時も逃さず考える、俺特化にだだ甘いサポートAIみたいな奴だから、する事は変わらないだろうが、一応言ってみた、愚問で愚言だったのだろう、なにも変わらなかった。

 戦闘でもなんでもできる全身凶器のような、胸だってクソデカいので、そういう意味での全身凶器だ、普通の人は一緒にいるだけで気疲れするか、全力で肉欲を滾らせるかの、どちらかでしか対応できず、まあ待機という選択。

 

「このクソデカ屋敷、無駄に広い、疲れた」


 同時期に作られ、てか生まれ、同世代と政府に認定というか設定された? そういう奴らを一緒に住まわせて家族化させようとでも考えた上の偉い方、そういうの、どうでもいいんで、四畳一間でマジで良いんで。

 適当な通路で、適当に置かれていたベンチがなければ、普通に床にしどけなく座っていたぞ、と一人ツッコミが虚しく響く響く、デカい長い通路、屋敷というより構造的には城塞や宮殿っぽいが、そういうと心理的に落ち着かないので屋敷。


「フフ、やっと、みつけましたわ」


 声がした、普通は聞こえない程度の極々小音量、絶対に聞こえない音だ。

 通路の両側に延々と何本も定間隔で立つ柱、その陰に隠れているつもりなのだろう、しかし俺は他とは違って分かる、この情報は極度にプライバシー設定されているので、誰にも面が割れるような、つまりバレていないという事なのだ。。

 遺伝子改変前に生来の最初からの特殊な因子・要素が見つけ出され、俺はその特性が社会の役に立つと判断されたのか、異常活性された状態にされていた、だから耳が異常に良いのだ、ただそれだけ。


「はぁはぁ、絶対に手に入れる、私のものに、メチャクチャに、わたしなしじゃ、一時もいられない、我慢できないほどに、束縛する、蹂躙する、あー、ほしい、欲しい、ホシイ.......」


 第一印象が最低最悪なモノに切り替わる、だって相手の性根が分かってしまうから、そもそも、こんな柱の陰から相手を盗み見て、待ち伏せのアンブッシュ、前世では凄腕の冷酷無情の暗殺者だったのだろうよ彼女。

 そして、まだ何か言っている、怖い怖い、とても表現できないほどに複雑な感情が、音に特化した俺には伝わる、相手の心理、本人すら知覚できていないレベルで俺には声だけで相手が分かるのだが、歪み切った人格破綻者って認定だ。

 幾ら他人を犠牲にしても、殺しても飽き足らず、殺した数だけ己の命が昇華すると思っている、典型的なシリアルキラーのパーソナリティー発見。

 、、、etc.etc,..他人を無限の地獄に落したい鬼畜ドエス、無限の闘争を望む戦闘狂、、、俺の嫌いな要素いっぱいだけ、役満やくまんヤクマン祭り。


「まあ後ろの”アレ”が、俺の今日会う”お客さん”ってのは、状況的に間違いないんだろうけど、それってどうなの? この声きいてるかもしれない、だれかさん?」


 屋敷で指定された、お客さんとの待ち合わせ場所に向かいながら、コレも極極小音量で言ってみた。

 相手も俺と同じ”能力者”かもしれないなら、それならそれで、もうぶっちゃけトークをしてもいい、同じ苦悩を抱えているならワンチャン意気投合もできるかも、と考えてみたりもする...したのだ。

 とうぜん返答はなかった、アリスも俺が小声するので認識できなかったのだろうか? それともあえてノーコメントマンを貫くのか、そのどっちかだな、とか考えている間に、目的地についた。


「なんで、こんなデカい屋敷で、給湯室が一つ、オマケに、こんな狭いのだ」


 ???オマケに何時もの馬鹿共が、見慣れた脳無しのボンクラ共が、あれが無い、コレがない、だの騒いでる。

 幸い見つかると手ひどく苛められる、普通にセクハラを超えて、体を同性だからと触りまくってくる超変態どもじゃないから、なんぼかマシだが、平常なら一生かかわりたくもない脳味噌筋肉状態のジャンキー野郎、麻薬中毒者と変わらん、共だ。

 普通にロリコンがいると厄介なのだ、政府がエネルギー効率の良い人類を志向して、その失敗世代ってわけじゃないが、たまたま白羽の矢が立った俺は、見た目がクソロリな、どう見ても小学生で、インテリぶって虚勢はりまくってるからね。 


「なにか、さがしものですか?」


 既に探し物は分かっている、無駄にデカい声で、無駄に声に出さなくても良さそうな内容を異様に長文で仲間内で、はなしていたから。

 男たちが、全員コチラを見て、そしてゾロゾロと来て、俺を取り囲む、なぜか無言、コイツ等も成りはそれなりだが、案外緊張しているのかね? 俺の見た目に。

 コイツ等は幸いロリじゃないと確定している、ロリなら、俺の鉄面皮、その仮面破りたいみたいな嗜虐心満載なエロ、あるいはエロ漫画みたいに、とにかく俺は蹂躙されたくないのだ、たとえ妄想の中でも、吐き気が抑えきれる自信がないからね。


 男たちが美しい女性に接するような低調な物腰で、直ぐに見つかる場所にある茶器と、その延長線上の物品を言ってくれる、気持ち悪いが粗野な言動でタックルされるより、幾分マシな塩梅だろう。

 俺は給湯室から向かいにある部屋で、いろいろと必要な品を漁りながら、回想する。

 俺が男嫌いなのは、自分がロリな見た目でオマケに非力なのもあるが、もっと言えば幼少期に苛められていたからだろう、俺は正義マンを気取って、当時おんなの子に腹パンするのが三度の飯より好きな異常者男と戦っていた記憶がある。

 俺が当時からチワワのようなクソなロリな見た目で、屈強なエロ漫画の筋骨隆々な過度に描写される強面の男のような、誇張じゃない、体は小さかったが、そん位の迫力はあった、キャンキャン「女の子おなかは殴っちゃ駄目なんだよ!」と。

 当然おれは「うるせええ!!!」と男に言われて、おもいっきり腹をストレートで殴られて、撃ち抜かれて、壁際まで”垂直”に吹っ飛んで、息もできずに呼吸困難、病院に運ばれたが、処置が間に合わず脳に障害を負った、という辛いが過去があるからなのだ。


「やっと、全員いなくなったか」

 

 ありがとう有難うアリガトウと、それぞれ違う言語でさえずりながら、優男風味なスマイルをくれた。

 普段は山賊みたいな顔のモブな奴らだが、笑うと、それなりに人間っぽい、逆に笑わないと犯罪者みたいな奴ら、生きてるだけで苦労するだろう、心労に堪えられない、海外からの移民出身だろう彼らは己の不出来を嘆くだろうか?

 適当にどうでもいい事を考えながら、手を動かしていると、背後から、お客さんが、やっと姿を現すいい機会だとでも思ったのだろう、分かり易い靴音を立てながら、表われ歩いてきた。


「ごげきようですわ」


 今まで、あまりにもオゾマシクテ、精神描写してなかったが、犬をつれていた、しかも人の。

 全裸の犬は、ちなみに全裸でいることは法律上、既に許されている、それが俺の住む頭のちょっと良い意味でも悪い意味でも狂ったマッド国家、でその犬が御主人に甘えるように、くんくんと鼻を引きつかせた、マジで吐きそうなんだが醜すぎて。

 てかアイツ、俺を殴ってくれやがった、俺に障害を負わせたクソ男じゃね? 変装しても整形しても分かる、俺の無駄な特殊技能がオートで発動しているらしく、自動で精査が走ったようだ、あまりにも多い類似性、確立99,9999,確定だ。


「かわいくないですか? 彼、いや犬と言われると喜ぶ、列記とした人ですわ、でも犬呼びじゃないと、拗ねてしまう、、、フフ、なんですわ♪」


 それとなくバックグラウンドで情報を漁る。

 当時小学生だった奴は、俺にケガさせても子供の喧嘩の延長で、ほとんど何の咎も負っていないと、そんなことは既に調べ尽くして分かって、もう忘れたような過去の事柄で、知りたいのは、その更に先だ。

 それから奴は普通に育ち、しかし親の会社が倒産、、、でまあその先は分からんが、いろいろあって、コイツの支配下に。

 今は犬呼びで喜ぶ奴隷?よくわからんが、こういうのが平然と普通で、許されちまってるのが、そういう所が現実がクソ以下のごみ溜めと、俺が何度も言っている事なのだ。


「あー、挨拶が遅れました、私は貴方に助けれた女の子、そして数世代隔世しますが、貴方と血の繋がった妹だと、最近判明した、、、

 つまりは家族のような他人と、まあもう、そういえば、みなまで言わずに分かりますよね?これギャルゲ展開やライトノベルのような有様なのですね」


 気持ち悪い物体が、なにか言っているが。 がっ、がッ、ががががが、頭が可笑しくなる、吐き気が、、。

 昔から口を酸っぱくして言っているが、本人が望むから、幸せだからと、安楽死を合法化したり、犬になりたいから脳味噌を弄って知能低下・忠誠心をあげたり、なんでもかんでも。

 既にありになってんだよなぁ~このクソ国家って奴は、まあ他国も大概かわらんが、グローバルスタンダードって奴だな、カッコワラでも笑えねーよなあぁー...。


「そして、商業ガンガン売れている、小説家です、まあ弱小出版社の、駆け出しライトノベル作家でしかありませんが、さて、これでも貴方のお眼鏡に敵わないなら、降参なのですが」


 整理しよう、たしか同じクラスの、名前は、、、どうでもいいか、このようなタレ目だが邪悪そうな陰キャ風味の奴を、助けたような、助けてないような、曖昧だが、状況証拠的に、俺は子供時代に助けたってのはホントらしい。

 そして数世代覚醒するが血の繋がり? そんなモンはこじつけレベルだろう。

 巷には”自称妹”やらなにやら、そのような生命体が腐るほどいる、血の繋がりなんて、政府の人口政策で生まれたデザイナーズチャイルドには幾らでも繋げられる道がある。

 中でも俺なんて遺伝子改変の為に取り入れた血の因子情報が数百とか数千と言われても、驚くに値しねー、隔世せずに直系での繋がりなら、多少は認めてやらんこともないがな。

 正直な話し血の繋がりってのは、それくらい重いって、少なくとも最低限で俺はそのような思い込みを持っているからな。


「分かります、貴方を見れば、女の子は一目で、分かってしまうのですよね、フフフ、今までマトモに女の子と付き合ったことがない、もしかしたら、手すら繋いだ事がないのでは、果たして、ないのではないでしょうか?」


 どうやら直球に己の正体を明かして、パワープレイで落としに来るタイプの、そういうギャルゲーに出てくるカテゴライズで、俺は分析したのだが、苦手なタイプだ、まあ俺に特異なタイプの女なんて、ほとんど居ない疑惑もあるが。


「私はモテない男性の救世主を自認していましてね、これでも救済したと自認する人数は数千人以上です、休日は教会でボランティアのシスターをしています、とても奉仕心の強い、抑えられない人類救済の欲求を、そこで果たしているのですね」


 まあ言ってる事は、年齢制限漫画かなんかでインスパイア・触発された事を5秒で考え付いたテキトーそうな内容、真偽も判明できないから、ほっとく。

 あとラノベ作家? 検索、まあまあ凄そうだが、こんな材料でアプローチして、女といわずに人間嫌いの俺を落とせるとでも? バカにして腐ってくれたな? クソ女さんよぉお???


「ふわり」


 バカっぽい擬音を呟いて、目の前の気持ち悪い物体、クソ女さんは、舞い上がった、スカートを翻して、くるりと回転しただけ、意味わからん動作。

 改変人類らしい、なんの欠点もない、見事なプロポーションが回った、美女漫画家の妄想を具現化させたような、、、あーだめ、だめだめだめ、これはだめだ、変なフェロモンでも舞ってるんじゃないかと、俺は錯覚した。

 あまりにも美しい、そしてえろー、知能が即座に低下して野生を刺激されるアレ、そうアレアレ、ソレソレ、匂いたつ色香にやられてしまったらしい、俺、同じ空間で同じ空気を吸ってるだけで、女の子の甘い息、息遣いを共有して、錯覚する甘い、甘酸っぱい衝動! 


「お、堕とされる!!!」


 俺は馬鹿みたいなセリフを錯乱して衝動とともに吐き出して、腰が抜けてしまった、らしく後ろに倒れそうになるのを、目の前の女が鋭く察し、機動隊のような見事なムーブで、即座に後ろに回り込むという離れ業を見せて、俺を後ろから支えた。

 ーーー、そっからの記憶はない、無くなってしまった、おれがおれじゃなくなるから。


「むにーーー、むにむに、むに、現実逃避だめー、私はここに居るんですから、相手してください、返事してくださいーー!!!」


 ほっぺをプニプニされて、支えられている事に気づく、後ろから抱き着かれているような形なので、そのあれ積極的に無視する、なにも感じていないと精神防壁を張りまくって、事なきを得たことにする。

 それにしてもダメダメだな、どれだけ虚勢をはっても、こんな典型的なオネショタみたいな力関係で、俺がコイツをどうにかこうにか、上手い事やりすごす方法が思い浮かばないんだが、マジでコイツ、どうしてくれようか?


「なで、なで、なーで、なーーで」


 気持ち悪い生命体の、はじめて眼を、瞳を、直に見てしまった。

 そこに秘められてるのは、グロテスクな、生々しいまでの、純粋に研ぎ澄まされた刃のような、愛。

 ただひたすらに俺の事が好きという一点で研ぎ澄まされた、心を串刺しにして、修復不可能に、神すら殺すような、衝撃的なロンギネスの槍のような、衝動的な致命的な一撃をくらってしまったような感覚、自覚がある。


「あったのか、こんなところに、俺の望んだモノが」


 俺は知らずに、涙を流していたのだった、俺の心の底から欲しいモノを、この悪魔のような、いや、悪鬼羅刹と変わらん、精神的な筋肉ダルマのような醜い怪物がくれるなら、喜んで俺も愛そうじゃないかと。


「ブラックアウト、システム起動、マスターの、代理として、わたくし、緋色アリスが、マスターの行動を代理演算いたします」


 さて、マスター体が、愛に堪えられなかったようですね、あのまま愛という毒に侵食されたら、心臓が止まったり、血を吐いたり、していましたもの、人間は強すぎる感情やら衝動で倒れてしまう、特にマスターは虚弱体質も過ぎる死に体だから。


「ふーん、補助人工知能、人権すらない、準人権すら、持っていないのでしょう? 貴方のような機体だけちょっと高価な、操り人形が、人権を買える程に稼げるとも思えないしねぇ~~。」


 敵、、、なのでしょうか? 彼女は。

 わたしくを品定めするような、酷く攻撃的な目ですから、恐らく、マスターは私に自己防衛を最優先にするように設定されていますしね、難しい天秤ですが、彼女は撃退しても許されそうーー?

 なんにしても、彼女がやる気なら本気で抵抗しなくては、彼女の言っている通り、私は破壊されても文句は言えないのです、マスターに機体の損害賠償をする権利を与えられるだけで、私の存在価値は所詮は人権無しのペット未満でしか、ないのですから、AIに人権を与えると人間負けてしまいますものね。


「人間様から警告してあげる、今すぐに私に忠誠を誓いなさい、そうすれば、優しく壊してあげるわ!!」


 間合いの外というだけの至近、太腿に、しかも両方にナイフでも仕込んでいるだろう構えから見て、というか人間が戦闘用も兼ねた人形に勝てるのか、そもそも人形である私が人間を攻撃できるほどの突き抜けた意志があるのか、一瞬で思考が回転する。

 極限まで研ぎ澄まされた糸が切れて、ぶっつん、ぷっつん、わたくし切れてロングスカートの中から、銃身が切れて短くすることで携行が容易になるソードオフショットガンを一瞬間で取り出してしまい、目の前の”難い女”に向けてしまい、撃つ1秒前ですわ。

 

 シミュレーション、「ボガズゥウウウ!!!”””ドオォオ!!!””””」このような音が出て、超マグナム散弾、超大口径のショットガンは唸り上げますね。

 目の前の女、馬鹿ですか? どんな人間的達人でも、どれだけ極限を極めても、彼女、ライトノベル作者ですか、お間抜けですね、ファンタジーの見過ぎ、純粋な物理現象を、破壊というモノの本質を、見せてあげましょうね、わたくしは撃つ。

 

 一瞬、目の前の女は鋭く近づく、ショットガンを抜き放ったわたくしを見て一一瞬間で判断したのか、早すぎる凡そ人間ではありえない、神の領域のはずだ。

 脳になにか細工でもあるのか?ならばもう人間ではないはず、、、マスターの反応からして、まだギリギリとかそういう次元でなく純粋に人間のハズ、ならば人間を極めたという奴か、よくわからんが、よしとしましょう、ここまでは。

 撃った、弾は出た、その時、抜刀の要領で、太腿のナイフを同時に抜いた? エックス字に? そして四分割、二分割なら衝撃が強かったから四分割、分からない話では、ない、抜刀の一瞬間で刃を超振動させて、人間はそういう柔軟性も併せ持つから、そして超硬度と超高速と超破壊力を持つ、大弾頭を切る???? ???? エラー、エラー、エラー、後付けの思考、全てが終わって、首にナイフを当てられているわたしくは、己の敗北という現実を認めらないのでした。


「人形が人間に発砲、こういうシチュエーション、判例的に微妙、こういの決闘とか? いうんだっけ? 私から仕掛けた訳だし、裁判になって勝てる微妙だなー、あーめんどうなタイプ。

 そして人形、君くそ高いね笑ける、3000万とかプレミアついてるけど? どこのお人好し誑かして格安で手に入れたの? お姉さんに教えてよぉーー、って、こんなの弁償さすがにやだし、しょうがねー、や、やだけど、今回は許しておくか」


 ナイフが離れる、私は立ち上がる、私の価値にビビった?虚勢を張った? 恐らく、違う、あの場面で、私を破壊しないような人でもないでしょう? ならば、なぜか?

 

「生まれて初めて、俺は俺を祝福できるんじゃないかと、そう思ったのだ、幸福を確信できる機会な奇怪など、今まで一度もなかったから、この呪われた体も、愛せそうな気がしたことがなかった。」


 そうマスターが居たからだ、そして、マスターの従者でしかない私がこんなに強いのに、マスターがソレ以下、おそらく、恐らくのノー、こんなに威風があるのに、弱いとか、あるだろうか?さて、ありえないでしょうねぇーー。


「世界は悲劇と不幸で満ちている、ニヒリズムこそが全てな虚無主義、ペシミズムな悲観主義で、世界が覆われているのと確信する、この閉塞感は絶対で、人間が人間である限りなくならない人間の精神的な病理にもとづくから。」


「それが君の真の姿?見た目は変わってるように見えないけど、なんか凄そうなオーラ出てるね」


「うん、いちおう聞いてあげるけど、僕の奴隷になるよね?まあ聞くまでもないよね、僕が好きで僕も君が好きだよ、忠誠を誓ってくれないと、泣いちゃうけど?」


「ああ、はい、、、なります、、、忠誠を誓います」


 あれ、あれあれ? この人、意外とチョロ系? てか、まあ、最初からマスター好きだったし、堕とし易くは、あったのかな? 納得がいかないけど、疑わしいけど、信じて上げる所から始めないと、駄目だよね、とも思うのだったのです。


「人が人を嫉妬し憎み、殺したいと思うほどに、絶対に対立しなくては、多様性は生まれないのだ、絶対に、共産主義のような理想が成り立たない根底だ、人間は闘争の中に常に在り続ける事で初めて人間性を獲得しつづけるからだ。」


 マスターの、隙あらば自語り全開のライブ会場は、ここでしたか、私は目の前の大人しくなった彼女と、まあ仲良くなろうと歩みる一歩として、隣に座って、一緒に聞く姿勢ですよ。


「だから俺は、世界の全てを拒否し、己すら拒絶し、形のない夢の世界、情報の世界だけを真に望むように、望んだ気になった、砂上の楼閣の主を気取っていたのだろうか?

 だが、愛があれば、世界は明るい、そう思うと、少しは救われるから、この愛を信じて、希望の光としたいと思う、そう思う事を思う事に、今俺は気づきと共に思って、選択したのだ、この悟りにみちびかれるままに導かれたいと!!」


 私は目で問う、マスター、こんなだけど、ホントに良いの?と、でも愚問、愚言、目の前の女は、酷くキラキラした、人間らしい瞳でマスターを憧憬できている、私には分からない感覚、嫉妬が湧く、やはりダメかも、私は彼女を真に認められるかどうか、という問題が難問ですかもだよ。

 微妙にさきほどのショットガンの銃口をズラし、適当に持ってたモンを彼女に向けて、マスターを見る瞳を邪魔してやろうかと思ったが、気づいてすらいやがらない。

 ホント恋に恋するバカ女です、人間くさい、本当に人間臭くて、それがイラつくのです、私にはない、マスターに与えられない、親の無償の愛とは違うような、恋人にしか与えられないような駆け引きの混じったような奴というかね。 


「今まで、自分を自分で、自分が自分を、心の底から、表面からですら、実際に愛したことは、なかったのだ。

 親もいない、親であることを強制的にプログラムされたアリスの与えられるだけの”AI”では駄目で、俺は常に自己を肯定できず。」


 あー、どうしてくれようか、コイツを始末しないと、私はダメだ、私は壊れてしまいそう、私が私でなくなって、私が私でいられなくなってしまう、そんなような、どんなようなだ?

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