侵略系ヒロイン・リリ☆★
俺達は毎度毎度飽きもせず、王城において軍議をしてたわけだ。
これは終わりが無い、このクソ電波ゴミエロゲーを保つ為だけに、やっている事だと思うと吐き気がする。
俺好みの戦闘という戦闘は、イルミナードでは最前線だけと決まっている。
ヌルゲーの、言うならゲーム感覚で、遊びのバランスの取れた戦場を演出する、その為の調整作業なのだった。
「さっさと鬼畜ゲーにする為に、この王城が落ちんものかね」
この城が、侵略者に支配されれば、つまりはイルミナード的に総力戦になるしかない、身もテイも関係ない状態が、俺の理想だ。
だが王城の女王の近衛兵、これを突破できる外部勢力、侵略系のヒロインが弱過ぎるせいで、それも途方も無い夢物語と化す。
「俺的には、次元の魔女レイアと、水の都のアトリエのリリ、こいつらは幻聴伽耶とも繋がってるから、期待しているんだがね」
「いやいや、彼女たちは幹部クラスで、図書館の命令に従うんじゃないの?」
俺の呟きに、主席参謀の位置に居るヒロイン、男装女装なのか不明な装いのゴミが呟く。
「情報収集能力のないゴミめ、幻聴伽耶は図書館の命令に従わない、スタンドプレーが常態化している無能な集団だろうが」
「へえ、それ初耳なんですけどねえぇ」
「この程度も知らずに、王国の覇者の主席参謀って名を名乗っていて、恥ずかしげも無い厚顔無恥がくたばれよぉ」
罵詈雑言を並べ立てていると、だんだんと白い目が本気っぽく、メンヘラっぽく怖くなってきたので、やめてやった。
そんな時だ、軍議の場に繋がる扉が、盛大に吹っ飛ばされて、蒼っぽい奴と黒っぽい奴が豪快に登場する。
「ほらほら!! 王国の覇者でてこいやぁあ!!」
そいつは先ほど名に上がった、リリで在った。
「どうした、俺がそれだが?」
「あんたを制圧して、わたしがこの場を支配するから、さっさと権限を寄こしなさい!」
「だったら俺でなく、城を支配してくれ。
その支配値が一定以上に成れば、くそチートな女王親衛隊が馬鹿ほど出てくるから、そいつらも駆逐しろ。
さらに言うならその後、各イルミナード十三方位陣の防衛隊が、イルミナード解放軍になるから、そいつらの相手もしろ。
そしてその後、イルミナードが凌辱ゲーになったら、俺をお前の傘下に加えて、存分に戦わせてくれよ、それじゃああな」
「ちょっとちょっと、レイア、あいつ妄言吐いてんじゃないの? どう?」
リリの隣の、妙にグラマラスなエロイ奴が、理知的な瞳で虚空を眺めてから、言う。
「そうね、真実ぽい話、隠し設定みたいなモノだったらしいわ」
俺は観測者としての能力で、いろいろな察知能力を駆使して、この状況をこう考察した。
こいつらは幻聴伽耶の勢力で、幻聴伽耶はエクストラシャペルンとも繋がる存在群だ。
そして最近の矛盾勢力筆頭の奴ら過激派は、世界の混沌化を進めている。
まあそれは、最近の秩序の勢力、それもサンクチュアリゼロの働きが有り。
その奴らが活性化してるのは、世界の最前線であり、それが下位世界に解放されているイルミナードの現状による。
ハッキリ言って、イルミナードは、なんかさっきも言ったかもしれないが、楽園の中の楽園だ。
最前線以外はゴミ屑みたいな幸福に溢れた、温いエロゲーみたいなモノであり、観測者は世界に公開しているようだ。
そしてサンクチュアリゼロ、実質上世界において聖域に位置する秩序の幹部が犇めく場所は、世界の本格的な浄化を決意する。
それに対抗する形で、不幸が存在しない世界など、絶対に許せない復讐者達。
喪失者で在り、混沌の勢力が動いて、この結果が結実したモノと、俺は理解する。
「ほらほらあああ! ハンセイしたぁああああああ”!!!!」
俺は、リリに尻を丸出しにされて、ぺしんぺしんと、一回一回で尻房が赤くなるほど強烈に、叩かれていた。
「ひぎぃいいいいいいいいいごめんさいいいいいいいいゆるしてえええええええええ、
って言ってみなさい!ほら言いなさいぃいい!!」
俺は言わない、こんなガキみたいな事をされて許しを懇願したりしないのだ。
「超越者を馬鹿にするな、俺を屈服させたいなら、世界を超越した痛みを用意しろ」
「はあ?」
俺の語りがリリ的には意味不明だったらしく、俺に覚めたような目を向けてから、尻が真っ赤な俺を床に放り出す。
「こいつ詰まんない、苛め我意が無いわ」
「そうね、まだイツキの方が苛め我意があるわね」
イツキ、観測者伽耶の兄的存在であり、七つの巨大な観測者の一角、世界の外側にすら影響力を有する絶対存在クラス。
「レイア、そろそろ城の支配値が、その、一定以上になった?」
「ええ、なるわ、、、そう、今」
奴らは軍議場の中央で、女王親衛隊のクソチートなパラメータを見て、絶望的な表情をした、笑える話だ、ざまあみろ。
「ちょっとちょっと!
こんな戦力が居るなら、なんで銀の種族に、ハスラーの物理で無双艦隊の迎撃を、法外な契約でしたのよ!!」
「馬鹿が」
もちろんそんな説明をご丁寧にしない、だいたいが長くなる話なのだ。
「ねえお願い、ミヒャエル」
「ちっ、しょうがねえなあ」
「ちょっとちょっと、レイア、あんたとどんな関係だったのよ! わたし今の今まで知らなかったんですけど!」
「第一に、女王の親衛隊は、王国の絶対領域から移動が不可能だ。
第二に、銀の種族は、この周期において、エクストラシャペルンに向けて、銀の防壁を移動中だった。
言うまでも無いが、エクストラシャペルンから此処までは、あの特異点存在がワープゲートを開けていた、そういう事だ」
「待って待って、ミスリルシールドはアレでしょ、超デカイでしょうが!
例えるなら、青銅の種族で例えるなら、蒼の街道のルクレツィアみたいな奴なんでしょ?」
「リリ、圧縮空間に入れるのよ、銀の種族は特筆兵器を圧縮する技術に優れるの」
「はふんっ、むかつくむかつく、血に濡れた青銅の種族が、清浄なる銀の高潔に屈するみたいで、すっごくムカつく!」
うるさい奴らだ、てーか、そろそろその、こいつらを遥かに圧倒する女王親衛隊がくるわけだが。
「てかさ、ハスラーを迎撃する件、放置で良くなかったの? アウルベーンが対応するんじゃないの?」
「知るか、、、あれだろうが、イルミナードとかを維持する装置が、イデア的なモノでなく、アストラル、物理的な装置群とか、そういう話だろうがよ」
「なにそれ、意味分かんない、世界の最先端なんだから、根源物理の生粋くらい、超越しときなさいよ。
なんか萎えてきたわ、なにが最前線の超越世界よ、宣伝文句に誤りありだわね」
クソ共が、くらえ。
「覇王の剣、伝家の宝刀にして、竜の絶刀、エクスペリエンス、マリー=アライエンスフィールド、爆裂圧縮核分裂」
ゲーム的な制約において、オレすらも、女王の親衛隊である事を、知らなかったようだな。
「はあ? あんたの能力って、ゴミだったでしょうが!」
「ミヒャエル、やっぱり隠し持っていたのね、でもこれは、、想像以上だわ」
四つの光り輝く剣と、一人の守護精霊、特筆スキル、まあ何もかも想像以上だわな、表情がモノガタっている。
「きゃっはっは、愚民共くらいなさい! パンが無ければケーキが無ければ、死ねばいいじゃない!!!」
白色の化け物、それが早漏にも速攻をかける。
「リリ撤退よ、私の傍に」
次元の魔女の真骨頂、だが甘い、お前ひとりなら、単純なれど高制御が必要なシンプル転移で逃げられたモノを!
俺は次元切断に特化した竜王の絶刀で、空間を切り裂き、転移を阻止する。
「なに? やる気? この水の女王様にむかって、超絶に不遜なんですけど!」
「うるさい黙れ雑魚」
俺は口だけのゴミを、まずは葬る為に、こいつに関しては殺す、俺の尻を叩きまくった事で、実は俺はキレている。
それに、こいつに関してはこの場の勢いで殺した方が良いと、俺の運命的な直観の全てが盛大に警鐘を鳴らしまくっているのだ!
「くっ、なにこいつ、純粋に早過ぎる!」
ファンタジーな魔法の杖で、これまたファンシーな水玉を繰り出すが、俺と精霊が悉く切り裂き、ついには接敵をリリは許す。
しかしこの辺で、俺は隣のレイアが何もせず、悠然とたたずむ姿に疑問を抱く。
「ちょっと待て」
俺の制止を無視して突っ込もうとする守護精霊、マリーに拳骨をくらわせて、処刑よ処刑と騒ぎ出すので、さらに拳骨をくらわせて黙らせる。
だが涙目になって声も出さずに泣きだすので、あやすのにさらに時間を費やす、リリが「ロリコン」と呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
「さて、これは交渉の場が必要か?」
「まあそうよ、幻聴伽耶が、このイルミナードにおいて必須な時点で、私たちに手を出せないって、分かってるでしょう?」
「いいや、幻聴伽耶はスタンドプレーが当たり前って点からして、お前らの独断で、放置放逐されるのが当然だろうが」
「いいえ、それは中核メンバーだけの話、私たち真に幻聴伽耶においてコミュニティーを形成している場合の例外もあるって事」
「そんなネットワーク構造は、幻聴伽耶のシステム的にありえないだろうが」
「ありえるわよ、黄金の姫すら陥落させる、あの特異点の観測者、イツキが全てを変えてくれたのだから」
俺は、下らん物語に興味は無い、孤独な旅人のように、全てを一人で完結するモノたち以外に、誇りも秩序も感じない。
高次元な知性で、全ての一線という一線を超越し、単独にて簡潔にして完結、独立世界で生きるモノ以外に、直観的な興味が無い。
だからか、俺は直観的に思うのだ、そのイツキって奴は、俺の全てをぶっ壊してくれるんじゃないかと、
危機感と焦燥感、対極に位置する高揚感と、つまりはただ単純に全てを超越して在る、期待って奴が湧くのだ。
「ちぃ、みすみす見逃すしかない訳か」
「べーだ、そういうことよ、ざ・ん・ね・ん、だったわねえええ!」
百回殺しても飽きないだろう、壮絶にムカつく殺したいドヤ顔をリリが残して、レイアの転移で二人は消えた。
「イルミナードの傍にある諸国家、侵略系ヒロインに対する警戒に費やす軍備を増強しろ」
俺は全てを傍観して、既に書類仕事をかたしていた参謀に言う。
奴は「そんなお金も軍備も無いよ」とこちらを向きもせずに、端的にクールに言うのだった。




