マリアの計‐失われた灼天使の降臨、機械化天使、アストラルからイデアへの挑戦
見上げた空が落ちてくるような錯覚、赤くあかく紅く、ひたすらに暮れない、虚無層にレイヤーが焼け付き焦げたような、
この、ようなじゃないのかもしれんが。
「ね、ああ、この、焼けた空が目に、、、まぶしい、自我すら溶かされてしまいそう、とはこの事象、事だろう。」
給水塔にたたずむ、一人。
この自分は本来は、遠く迂遠なる純鉄にして純粋にして純銀の、、、白銀の、、、夕焼けに照らされて、
今はまるで炎のように赤々と散々と煌めく、この長髪を手にする一人になっていた、、、はずなのに、、、。
そう、このタンザナイトのように鋭く、空気粒子を全て切り裂きながらこちらを見ている、見下ろしているような彼女の名前は、、、マリアだった。
「秩序の世界の方向性、世界とは、
7分の1のみが、未だ平和の中で、
世界は世界の7分の6を未だに平和にできずに、
地獄の底の底、無限奈落に落とし込んでいる」
訥々と語りながらも、常に非人間的に紅蓮に燃やし続ける秩序、、という真正の狂気を宿す言の葉と視線だ、
彼女が内包する全ては既に”人”、を超越して別の何かに至っている、
それは限りなく神で、限りなく人間の手前の何かソレ。
「マリアがこの前、真理を言ってた
「「神は、私が生きてるだけで無情に無上に幸せなのだ、神の作った世界で生きる人間が生きている事実がこれなり」」」
「これマ!な」
すとん、音もなく、そういう擬音を錯覚して上から落ちて、自分の前に立つ彼女。
「いやいや、私には生半可な奇跡じゃ全然足りないんだよ? 分かるかい?」
「分からんねぇえ? 何が必要なんだ?
この、、、神にも勝るとも知れない、完全なる秩序の図書館、世界の規定を成す大規模ネットワークの、、当主様?」
「まず第一に」
彼女は何もない空間で、スナイパーライフル、つまりは長距離狙撃銃を構えるようなしぐさをして、言う。
「この地点から、イデア図書館の全てを使っても構わん、領域571を完全占領・占有して、ふんぞりかえっているだろう、」
わが宿敵、メサイア、
救世主図書館のイリカ、いや、違うか、あの地点は既に代理で大幹部辺りがやってるだろ、恐らく、おそらくたぶん、イリス辺りだろう、
「そいつの眉間を、無尽蔵に張り巡らされた障壁を突破し、幾重幾重幾重、ハッキング闘争の果てにしても間に合わない連鎖連想想起術で、
延々と延々と突破し続ける、調整し制御し続ける、完全なる補正器、この、」
この超長距離から、自分が正眼に狙った的を正確に射きるようなか、
どう考えても思い描けない想像を絶する、掛け値なしに世界を超越する、
「ホントのホントに掛け値なしに掛け値なし、倫理も何もかも打破する超常の権限、
それすなわち死者蘇生レベルの、奇跡が欲しいんだよ、必須なんだよ・・・。」
「下らん、生温い、」
自分は言ってやったものだ、なのだ、そうなのだ。
「空想演算術、エアタイピングの、無限クロスハッキング術で、今すぐにメサイアの女王を殺せばいい、そう?」
「馬鹿が、不可能だ、
それより、生温いと言ったか? そのまま返すぜ、こんな世界に生きてる癖に、生温いなんて全人類が言えないんだよ。」
彼女は屋上の隅の方までスタスタ歩いて、淵の腰掛けられるコンクリートの地面に座り、こちらを見る。
「この世界は、絶対に変革されない、
それは世界の一部である私が、
何よりも誰よりも知るところだ。
超一流の最前線の力があっても、世界ってのは破綻・破滅・崩壊して救いようがなく、常に死んだ方が断然マシな地獄のような場所なのさ。」
神のインテリジェンスデザインは、残酷で、
有史以来戦争は無くならず、人間は無尽蔵に美しい、定められた世界の運命は原理的に超越が不可能。
「ってわけで
だからこそ、真にド底辺の状態でも、真に永続的に異常強化・向上・活性化し続ける、真に真価としての、神への挑戦権のような
私が提唱する、”異能力”、が必要に迫られてんだ。」
それが、魔本・禁書と呼ばれるモノか?
「私から言わせれば、「お前とうとう頭おかしくなったか?」 、、だ、
所詮はどれだけ情報を圧縮しても、
どれほど特異点に至らせても、
凝縮した密度を有しても、対抗として三大図書館は、情報エーテルでそれを全て総て揃って作るえてくる、
それを知らんお前でもないだろう? 」
「 なあ、マリア?」
「くっくっく、ああ、その通りだよ、下らん戯言に付き合ってくれて、私は君にどうもありがとうと感謝を述べて、それから何をすればいいのかな?
イデア図書館の創設から交わり、私に忠義を尽くし、誰よりも世界平和を望んだ、そうなんだよなあ?
望んで、
その果てに我々のイデア、絶対は否定された、これをどうすれば贖える?」
「馬鹿が、贖いなど不要だ、
そもそもの望みは、世界平和の為に尽力し、」
そう盲目的でもいい、それを信じ、不可能でも無し続けるという事業だ、だった。
これからもそれからも、この方針に一切の変更はない、ひたすらにまい進し続けるのみ、終わりなどない、終焉などないのだから。
「くく、本当に笑わせる、世界の構造を全て知り、未知も無く、不確定要素も何もなく、
この全ての要素を網羅している、その自覚があるんだよ? 、ほかならない自身が、、わたしはね」
彼女は、マリアは腰を浮かせ反動で立ち上がり、コツコツ身近に近寄り、唇を寄せてキスをした。
「そう、常に君の為に、わたしはわたしで在り続けたい、有り続けたかったんだ」
同時に、胸に灼熱の痛みが走る、
完全修復機能タイピング、、、指先を複雑怪奇の閃きで躍らせ続ける、
だが不可、修復負荷、超越式を挿入、、、ならばアドリブと式の強制挿入、補助プログラムをオートで幾重にも走らせ乱数コントロール、
不可、、、不可。
「ぐは、、、、真なる、、、秩序の聖剣かっ?」
どこからともなく虚空から現れた西欧風の装飾の施された剣、
絶対の秩序を内包するオリジナル・オリジン、
加えて鮮烈なる研ぎ澄まされた刃そのものの世界の意志の籠った、。。
それは全ての罪業を絶ち、神の代行たる彼女の意志を切り開く。
「ああ残念だよ、、私の君、成神タクミ、、、、
私は君に背いてでも、わたしの、私の君の、真に望みの世界を生み出す方策を、完遂する道筋を、、
そう、知ってしまった、、、のだよ」
剣が抜かれ、下半身のコアに中心に剣が居込まれる。
「私に、常人の発想、普通の人間の道理が通じると思うなよ?
私に何か、
口角泡を吹かせられるくらいの、超越的な、圧倒的な、魔法することのない、摩耗もすることもない、
致命傷で致命的な、本末転倒な知的労働とコミュニケーションによるオルタナイティブな、肉体言語の労働使役でも何でも、見せてくれないかね?
ああ、本当に圧倒的だと痛感させてくれよタクミ君、私は君になら、それが”出来ると””可能だと”信じていたんだがね、信じたいんだがねえ?
観測者としてマルチレイズにトリプルレイズに、リソースを大量に投下して、君を生かす判断、決断をした、
他ならない上位観測端末体である絶対的な上位存在の、知的財産の物質的ともいえるプレッシャーを、奇跡の産物たるに足る存在である君が、
感じないわけないんだが、まあ、、、、、、。」
価値観を提供したいなら、最低限は世界の運命を超越する、商業ガンガン売れる小説を書ける能力じゃないと、話にならない。
グリグリと剣がねじられて、灼熱の痛みと、それに伴う絶叫が迸る、
もう何も考えられない、意識が完全に飛び、真っ白に浄化されようとするのを自覚する。
「最近のトレンドは、魔本や禁書なんていう、君の言う生温い事業じゃない。
私が提唱するイデアへの完全到達の鍵は、三大図書館の鍵を必要とした、
その世界の全てを司る自立自動思考エンジン、高度な神クラスの演算循環機構を有する完全なるインテリジェンスAIによる小説の執筆だよ、
世界そのものを演算する規模の、超スーパーコンピューターによる超一流の小説の大量執筆による、人間の理性への挑戦、、、だ」
屋上の血だまりに押し倒された、
自分の生々しい血はまだ暖かく、貫かれる剣がぐりぐりぐりぐり怨念のように臓器を完全破壊し、使い物にならなくする、
いや、した。
「ぶっちゃけるが、私は引く気は無いよ??
これで世界が終ってしまってもかまわん、いやかまわないのだ、よ
世界平和、
そうならないならば、常に今すぐ滅んで欲しかった、、、
君が居たから、他ならない君が泣き落としで迫ってきて、
ホント、本当の本当のホントにね、この私の理性というものはギリギリのギリギリで、
空白のトキを5度も超過・経過するとは、流石の私も最初から予測観測の斜め頂上90°も良いトコだけど、思いもしなかったが、耐えたのだよ。」
でももう無理、
「これからは、これよりは全てが加速し、高度情報によって人間の脳、
無意識も有意識も関係ない、統合されるべき最終意思空間、SFがぶっ壊れるのか、現実が、
世界の知性たる観測者という存在自体のリソース=イコールな、”物理”物理法則という、の臨界突破して完全にぶっ壊れるかの、壮絶な戦いだよ
それとも進化の果てに未知なる次の段階へ行くのか、ファンタジーの大いなる存在と形容されるような果て無き外領域のFS神すら描けないだろう、
この究極無比の文章のみで構成された、、、真理の扉を目にするまで、私は死ねないのだ!!!。」
情報量が爆発した。
それが最後、そしてここが一端の終わり、次へつなぐ意思などなくとも、俺は俺が次に受け継がれると確信していたのだった。




