イルミナード”東南域”の混沌点‐私にとっての無上の宿敵ってのは、、、
「さてさて、真理的に詰まらなくなってきやがった。」
そう、それが、それこそが一つだけの一生を通じた場合の、最近の私の感想だ。
このイルミナード上層上位世界でも、色々ごたごたがあり、この下層で仮想の、電脳ネットワークの汎用的な統合維持され続ける、
某世界三大ネットワークのような作りの下位世界の、実効支配率も半分ほど失った。
「 そろそろ、”アイツ”を封じ込めるのも難しくなってきた。 」
高速でタイピングしながら、考え続ける事は”彼女”の事だけだった。
恐らく、数日経たず、アルド将軍に接触させてしまうだろう、クソ忌々しいことこの上ない。
「アラヤ、もうダメだ、私は諦める事にするよ」
今回の騒動のパートナーシップ的な相方、秩序と混沌の矛盾内包者に、私は諦観の己の真意を明かす。
「やはり情報戦では不利すぎる、実態のある世界ならば、私の力技、物理的な威力が幅を利かせられたのだが。
この世界は基本情報なので、依存する媒体勝負に持ち込まれ、あえなく破れ続ける羽目に。
最初100%だったのに、、、
そんな圧倒的に有利な展開から、イーブンまで競り込まれて、強制的に苦し紛れの奥の手で50%程度に抑えたのだ。
こんなに負けたのは、私の歴史上でも快挙なほどに”敵”というモノが勢いを増している時だけだ」
「イゾルデ・ライトニングムーブメント・エクステンション」
そう、この、超究極的情報生命体と、仮に呼ばれるその存在。
相方は、どこからともなく、”飛んできた”影に、胴体を十字形に真っ二つにされて”惨殺”された。
様々な空間に、知生体を派遣、または管理権限を植えつけて、自然発生させる事で、巨大なネットワークを持つような奴ら。
編み出す法則や概念等々、ひとえに情報で括れるものを扱わせたら、認識できる中でも特上であり、別格なのだ。
「まあ、私もその一端、それっぽい性質を持つがね。
でも違う、”奴ら”は基本、秩序側の勢力だが、私は多分、混沌側の勢力であるので。」
「貴方、冷静なのね、、、自分が”死なない”確信でも、あるのかしら? 私には、そのように見えるわ」
不可思議に虹色に、玉虫色に内部で色を変え続ける光彩の目を持つ少女、
竜のような瞳孔をこちらに向けながら、宿す憎悪のビリビリとしたプレッシャー、黒衣の少女が冷徹に、鋭い日本刀を急角度な歪な抜刀の半体勢のままで言う。
「ああ、まあね、私の生存本能は警鐘を鳴らしてない、世界から逆算して得られる、この確信ってのは何よりも有利なんだよね。
根本的に情報戦ってのは、どれだけ上位の法則を編み出し獲得し、常に相手を優越できるって思い続ける勝利への冷静さのような奴が大事。
そして君らも同じでしょう?、同様にコレこそが”彼奴ら”の本領の基本であり、絶対の理念は、、、有であり続けること。」
永遠に回り続けるような輪廻の軌道、豪快に回転しながら放たれたエキセントリックで、傍から見たら超アクロバティックだろうハチャメチャな居合い抜き、モドキ、
少女の渾身の攻撃だろう、私は懐から真っ黒の鍵を抜き放ち”提示”し続けるだけで、直前で、刀の切っ先を眉間に1ミクロン程度の距離で止めて見せた。
「このように、物理は裏切らないから、これは、正体不明の確率変動による、
この永久に法則を紐解き、根源のルールに触れて私は常に思う、
究極的に理性を極めた”彼奴ら”は、生きる事に絶対的に縛られ続けるんだろうってね、だって、それを可能にする根源を所有する。」
「世界天、貴方は、無という舞台でも、基本彼奴らとは違って、存在できるのだが、、、
なぜに有という状態に縛られるのか、私的には意味が分からない。」
少女は何かをあきらめたように刀の峰を雑多に切って、踵を返して背中を向ける。
「私はね、簡単な衝動的犯行を繰り返しているだけだよ。
酷く分かり易い、神の作り賜った全世界の、この神秘で機密の根源に存在を有しながらも、なぜ根源から派生した物理的な時空、そこに存在し続けたいか?
生に対する絶対の渇望、欲望を、どんな時でも所持し続けられるのか?
答えは君たちだよ、同格の支配者に対して、己の絶対的優越性を証明したい、世界悪の源は常に”競争”と”劣等感”など羞恥心のような奴に所詮はいきつく訳だ。
私は処女懐胎した真に秩序な神の申し子である君たちを、この世界から堕胎させたい、
そうすれば、いやそうしなければ止まれない、
だって私は世界に凌辱され尽くして、絶対的に無価値・無意味と堕胎された存在たちの集合クラスタ、
虚数価値の偏在クラスタのような世界のマイナスの方向性の、それで生まれた黒い奇跡である、自覚がある、これは、知生体として不完全ながらも完成している、と言えるのだろうか?」
去ると思った彼女は、こちらを振り返った、相変わらず綺麗な瞳をこちらに向けながら言う。
「私は、貴方たち、宿敵としての”彼奴ら”方々を、絶対的に根絶し、消滅させることを、絶対の価値観とする存在である。
ひもじく卑しく、害悪のようにある方々、モノたちの本質は世界悪、無に帰るべき
なぜか? それが当然あるべき姿であるからだ。
無の先に救いはある、少なくとも私はそう思っているの。
無こそ、平等なのだ、平等であることが、最もみんなが望むことであると、固く信じる、から」
「君の言っている事は、私には分からない、理解できない、理解する、つもりも最初から一切合切ないないの無い。
だいたい不公平なのだ、この世界に生まれる、そして知生体として生きる、、、
それだけで平等とは正逆、破綻的な不平等が、その過程でどれほど生まれる事か。
それで神のようにふるまう君たちは、平等であるつもりか? 少なくとも胸を張って威張っていられるの?」
「私も、無上の不幸も、無上の幸福も知っているから、
だからこそ、私は許せない、何もかもを、だから平等にして、全てを終わらせるのだ。」
「ああそう、じゃあ絶対に止めるよ!!! なんてね、そんなの気紛れだけど。」
雨の降りしきる、それが閑静な住宅街での何気ない交差の邂逅だった。
まあ、気紛れであることが、矛盾を無限に内包するのが、混沌勢力の基本スタンスである。
生きる事に絶対的に縛られず、そのとき一番楽しいと思ったことを、死んでもいいから全力でする、
自由意志を、その面で持った存在といえるだろうね。
言い換えれば、人間と変わらない、非人間と人間の境界が、ココで分かれるのだろう。
「私が君に協力するのも、協力的なのも気紛れ、明日には、どうなっているか分からないから」
ああ彼らは恐らく、人間にとって神なのだろう。
ただその神が、場合によっては、TPOとかによっては、人間の視点から邪神に落ちたとか、ありうるだけで。
「俺は、良心や善意なんてモンが、この世界に存在しないと固く信じる性質だが、
世界自身が良心や善意を絶対的に定義づけて、それにともなう救済論を掲げられて、実際に世界を救うとか言われたら、多分したがっちまうんだろうよ」
目の前の男は”作者”だ。
規定現実を梯子する総覧者の一人、階梯のランクは不明、
イルミナードの展開する”東南方面域G2本部・本社社長”、
神のようなインテリジェンスオフィサーであり、この現実の源を絶妙な神としか思えない絶対の均衡でバランスを保ち、
整合性の高い”世界”を”わたし”を含めて構成し続ける、情報の集約点であり、同時に分散CPティングするの集合体のようなネットワークの基幹複合存在だ。
「彼らは、有であり続ける為に、邪魔な存在とはすべからく、絶対的な敵対関係を貫くよ。
基準としては、先程話題に出した、混沌と秩序、存在を二つに分けて、明確なラインのもとソレを決める。
曖昧さも何もない、明瞭に判断できるソレだけが、彼奴らの正義だ。」
「アルド将軍、覚醒してください」
私に向けられる、、、いや、同時に私はオレでもある、
そう遥か昔から分化した人格の一つの最終調整作業が終わった、これでベスト、これ以上の演者としての人格レベルは、もう無い。
「はぁ? うるせえ、お前が覚醒しろ、だろうがよ」
「糞ナルディア、やっと”来た”か、てか、もう、出会ってんじゃねぇーか。
買い物の途中で、いきなりの奇襲、なすすべなく接触を許す、って構図ってか?」
「彼奴が、リリー副将軍です、忘れてしまっているのですか?」
「ああ、無駄無駄、作者だから内情ぶっちゃけるが、リリー副将軍派は敵対するイルミナード円形包囲陣側の人材、
この人だけは、絶対に私の手中だから、変な忘却系のイルミナード起源レベルのハイレベルなマインドコントロール、あるいはジャックか? 意味ねーよ。
てか、費用対効果も考えないで、そのセキュリティーだけは、メッチャ投資したから、絶対奪えないよ」
「そうかよ、目の前の黒髪の、凛とした少女に教えてあげる。」
オレは言ってやる、端末に先ほどから映されていた件の少女を指さしながら。
「この人こそ、上位世界で、アルド将軍とタッグを組んで、”私”を追い詰めた大人物の一人、リリー副将軍である。
世界の方向性”秩序”と、それに与する”高潔なる”銀の種族””の、言ってしまえば最終的な末裔的存在であり、非常に強力だから。
それが此処、仮想空間座標上で、東南域、イルミナードにおいて混沌が幅を効かせる、ある意味激戦域に、飛び込んできたわけを、
そこに乗り込んで、大盤振る舞いの活躍を披露した理由、この舞台上の演題を華麗に踊る、二大巨頭の一人なのだよ。」
「確かに、しょうがありません、諦めます、しかし今回だけです」
イルミナードの東南域、いや其処だけじゃない、コイツは跨る十三方位陣の”欧州”全体を統括する、
イルミナードゲーム委員会の”課長”的ポストに居るとオレは見てる。
「その心は?」
「貴方をまじかで観測し、良い情報収集するのが、一番建設的ですのでね。
これからよろしくお願いしますね?」
「オレを欺くか?いきなり態度を軟化、させたのか?
てか一緒に住むのか? この人、リリーって奴と」
「エロゲの冒頭のようで楽しそう、リリー副将軍は直接のりこめる逸材だ、イルミナードでも屈指のヒロイン力だ。
考え方を変えられれば、ごく最近出来た、一人の居候が、つぶらな瞳を向けてきた、みたいな良シチュエーションだ」
「そうらしいよ、ナルコちゃん」
定義する、”作者”に、誰にでも成れるのなら、”なろう”と思えるなら、コイツでも別に良い。
イルミナードにおける”混沌勢力の中心”を移行してやる、
此処で勢力を維持し何やらかんやら負担する情報量が、今回のクソみたいな下らん魂胆の代償としては安すぎると見積もる。
「ちゃん付けは、やめろ」
「やだ、ちゃんちゃんちゃん」
今の一連の会話を消費する時間軸だけで、現存して推移するイルミナード全体で流動し、最終的に”消費”されて無くなる感じの、
”資本エーテル”の60倍の”還元情報エーテル”が移行によって無くなった、膨大な自然現象等々を含めて、眼前の奴は充血した目元を抑えた。
「ぐぐぐぐぅっ! ああヤバ、早々にリミットキレたわ、本部にエーテル増資するわ」
「そうかい、お前らの、トンでも話は、良く分からないんだが?」
「まあいい、想定の範囲内だ、
でだ、特異な状況に、一人置いてかれてる可哀そうなアルド将軍。
さて、納得してくれるかは置いておいて、状況説明くらいはしてあげるか。」
「ふーん、君は前世、みたいな場所で、オレの下で働いていたんだね?」
「早速UMTの端末をフルオンラインにしたかよ、手が早いな、
まあ、そういう事です、副将軍として、補佐やらなにやら、色々やっていた感じだな、この娘は優秀過ぎる」
「実感沸くかい? アルド将軍よ、
よほどに腕が良い策略家じゃなきゃ、ここまで敵対勢力の主要チャンネルとしての人材集中点を、根こそぎ自分の派閥に取り込んで回せないな。
頭フル回転させて、倫理・人知も既存の世界道理も超越して、死者蘇生すら可能にするレベルの、
商業ガンガン売れそうなレベルの、素晴らしい情報成果じゃねーか?なあクソ作者?」
「沸くかよ、記憶すらないんだぜ。
俺は結果として推移した情報量の規模のみが正義の、物理世界、規定現実に身を置く”作者”だぜ?
神のようにふるまっているが、所詮は自然現象だぜ、この”物語世界”でどう動くか、そこに感情や意志なんて基本的に無いも同然だ、
だって生きてないのだからな、無我の境地で”この世界”に身を置き、勝手に全てが動いている、少なくとも俺の視点からは、な」」
「オレの疑問に、当然のように答えるな、神風情が、知った口を叩くな、俺は神を超越した上位構造体、世界の方向性やぞ!。」
「まあ、新しい仲間さね、一緒に仲良くしよう、和の心で行こうじゃないか」
「いいでしょう、まあオレの方も内情ぶっちゃけるが、これは悪くない流れなんだぜ?
基本エクスラ、矛盾領域に拠点を置くオレ達が、このイルミナード戦線に乗り込んだわけも、他の勢力に後れを取らないって、ただ目的意識皆無に近い方針なんだよ。」
「分かっているよ、お前たちは常に後攻だかんな。
三大図書館や、鉱物種族、その他の世界の”外側”に目を向けて、ソレに対してだけ準備する形の勢力拡大には、追従しか選択肢が無いって事も」
「それは貴様もだろうがよ。
作者なんて馬鹿みたいに、全てを選択権を持つ神のように君臨してるが、貴様自身も神のつもりなだけだって、自覚はあるんだろう?
実際に既存のマテリアル、構成要素の全てを意のままに操り、潰したり、あーだこーだ、意のままに操られない世界を所持する神よ、
恐れる相手は誰だ? 敵対者は、教えておけよ、恩を神に売っちまうのも、最近のオレは面白いかもしれねーと思ってる。
まあアレだ、貴方の気後れで・気紛れに付き合う事が、私達の利益になる内は、な」
そんな事を語った、次の日である。
ふー、どうやら、様子見で事は成ったようだ。
それでも、すき放題は出来なくなった。
常に気を張り巡らせて、隙を作れなくなってしまった。
これから多少なりとも要領を食う形で、常時頭を全力稼動する事に、若干の気疲れが出てきそうである。
「ふっふ、世界の覇者として、恥ずかしくないんですか? ぷっぷふっふ」
目の前でニヤリ顔で、笑う人、オレの副将軍として就任した件の少女、リリーである。
「情報戦は不利なの、当然じゃないか」
オレは、久しぶりに生の実体同士で、コイツと戯れるチャンスとばかりに、ゲームで遊んでいたのだが、彼女に負け続けである。
ちなみに四人用のゲームだが、他二人は、特にカウントする必要がない。
「弱すぎです。
貴方がまさか、こんなに脆弱だったとは、ちょっとガッカリです。
苛烈に熾烈に、そういう風に振舞えたのは、やっぱり自分のフィールドだったからですね?
なんだか、今の貴方、内弁慶でおお威張りしてたのに、外に出てしゅんとしてる感じで、可愛げがありますよ」
「うるさいじゃないか、今ココで、肉弾戦でも挑むか?」
「馬鹿な話を、所詮は情報戦になります、実体がないのに、貴方のアドバンテージは発生しないでしょう」
済ました顔で雄弁と、理路整然にいわれて、正直ぐうの音も出ない心持である。
「おいお前ら、もうちょい手を抜け詰まらない」
馬鹿共に言う、同様の手口でオレの懐に潜り込んだ、幻想盟主ナルコ、
神秘的な銀髪と赤目のクソみたいな超絶美少女が必死にゲームコントローラー操るエンタメ性は高そうだと思いながら。
「それは早計だ、早漏少年、彼女達のハイレベルな戦いは、見ていてとても楽しいぞ、黙れ、そして失せろ」
「ナルコてめぇ、お前はどうして、オレに対してだけ、圧倒的に態度が悪いんだ? 調教されないと分からねーのか?」
「死に晒せよ、愚鈍で馬鹿で粗野なクソ少年君」
「ああ、イー度胸だ、表にでな!!!」
「はて、君って、私に敵うような、特異な才能や能力持ちって設定だった? 逆に私からヤッてやるよ!!!」
二人は外に行ってしまった、なんだろう、仲良くなってる?
「あの銀髪は、なんです? また貴方の暇潰しの道具ですか?」
「知らないの?」
ルヘルという、神秘的な容貌を持つスーパーロングツインテールの、花咲くような美貌を冷徹な表情、仮面で多いミステリアスでも華が溢れる百合っぽい彼女。
虚無の作者だと、私は知る。
「調べれば、即座に分かりますが。
でも、もし貴方が気紛れで教えてくれれば、大変私達の労力が軽減するのでね、試みに聞いているのです」
「ふーん、教えない。
どれくらいで分かりそう? どうやって、どのような経路で調べがつくの?」
「教えません、貴方がソレに、知的好奇心を持っているようなのでね。
知りたければ、見返りを下さい。
もちろん、長期的な信頼関係を考慮して、見返りだけもらう、何てこともありませんよ、多分ですけど。」
「なんで多分なのさ?」
「いやだって、これは駆け引きですよ?
どっちが、最終的に相手より得をできるか、相対的に相手を損させられるか、とか、そういうゲームでしょう?
それにです、最終的判断をするのは私じゃなくて、この件は超重要議題として、本部の判断を仰ぐので、私の独断でない。
だから、多分と付け加えさせて頂いたのですよ」
「へえ、面倒くさいゲームだよ、一抜け」
「どうぞご勝手に、気紛れの権化さん、またゲームに参加できるようなら、いつでも言ってください」
「そういえば、あの子の事だけど、、、、」
「はぁ、夢? それとも現実を補完する世界? なんとでも表現できますが、そんな場所からの異世界人、彼女が何か?」
「知ってるんじゃん」
「ええ、知ってますよ、このくらい常識でしょう。
あなた、私を常識知らずだと、そう認識していたのですか?」
「知ってたよ、だって、ただの言葉遊びだもん」
「それで、どういう楽しみで、彼女を拉致ったのですか?」
「君なら、見れば分かるでしょ?」
「ええ、まあ。
でも、あなたの口から聞きたいのですよ」
「そりゃアレだよ。
自分の全く知らない、100%と言える。
上位世界では絶対不可侵だった場所から来た、未知率が極まった存在なんだよ?」
「観測する価値は、確かに計り知れない、のかもしれませんね。
でもどうせ、異文化交流は名ばかりで、対価も押し付けられましたね」
「うん、彼女は消滅機構が備わってるようだよ。
もし、彼女の視点を、逆観測を妨害したら、多分どうなるか知れない」
「プラスマイナス、ほぼゼロですね。
でも、貴方にとっては嬉しいこと、なんでしょうね。
世界がどうなろうと、ただ楽しければいい、そんな気紛れ屋なんだろうし。
ホント、生理的嫌悪感が止まりません、際限なく溢れます」
「いい気味だよ、私だって、君達は大嫌いさ」
「気が合いますね、流石宿敵と言ったところですか?」
「そのようだよ、愛しの宿敵さん」
「憎き相手ですが? 私にとっては。
愛されても、ただただ変な気持ちになるだけです」
「最大限の関心を持ってくれてるんだね。
君達は生きる事に、ひたすらに必死だ、見ていて、悪くないんだよ、正直な話をすると。
こんな私ですら、最大限生きる活力にするため、いろいろな千差万別の見方をしてくれる、偶にわたしが驚くほどの」
「自由意志を、持ってるつもりなんでしょう? 貴方は、だからそんな事を言う。
だけど、そんな事が幻だって、教えてあげる。
真に生きる事を望まない貴方は、上位存在である私達に、所詮は消されて、未来を全て失うのだから。
絶対に貴方は勝てないよ、なぜなら、わたし達の方が、貴方達よりも、生きる事に真剣なんだから」
「価値観の違いだね。
生きる事に絶対的なのと、生きる事を最大限楽しむ事に絶対的なのは、根本的には何も変わらない」
「煩い主張ですね。
貴方が、ただ単に、それについて、何も変わらないと思っているだけで、そこには絶対の明瞭な違い、差異があります。
貴方は無限の無を知っている?
私達の始祖、まだ何もかもが無に内包されていた頃。
私達がどれほど有に焦がれたか。
それによって、無限の時を無で過ごし、有である事の、その苦しみも喜びも、全て受け入れて、勇気の一足を踏み出した、我らが先祖。
それに対して、貴方のあり方は、決して許せるものではありませんね」
「いつの話しだい?
そんな昔過ぎる事は、残念ながら楽しむにはちょっと、時代遅れ過ぎるよ」
「はぁ、その、楽しいか楽しくないか、それのみが価値観、破綻して人間をやめている様、まったく反吐が出ます」
「はっはぁ、それはこっちの台詞だよ、生きる為に手段を、一から無限大まで、選び尽くさない、人格破綻者さん」
二人でそのように、楽しく談笑していると。
外から、ちょっと薄汚れてしまった二人が、唖然としているのに、今更気づいた。
「お前ら、仲悪いのか?」
ヘトヘトにボロボロの、何やってるのか、お互い喧嘩で襤褸雑巾のようになっている将軍とナルコの姿。
「良いよ、同時に悪いけど」
「そのようですね。
でも、、、クソ虫が気分悪そうなので、もっと喧嘩してください、この家が崩れるくらいが、個人的には良いと思います」
「はぁ~~、まったくムカつく、どうしてお前はそう、ムカつくを極めているんだ」
反抗的な猫のような眼を向けられるのが可愛すぎて、ナルコが弱っている隙をついて、
横腹に猛烈に勢いをつけた蹴りを叩きこむ、あら失神しちゃった、これや痛みに悶えさせられませんね、
もう少し角度キツメで鳩尾のギリギリを攻めなければ、失神寸前の悶えるような激痛を与えられない、再計算の為に失神した状態でも蹴りを叩きこんで練習しておく。
「知りませんよ、ただ、貴方が最悪だから、ソレに対応して自立進化し続けてるんです」
無言の対手に独り言のように語り掛ける、というのに将軍は平和ボケしたような口調で「あーまたあーだこーだ言い始めた二人が。」とか言っている滑稽ですわね。
「うん、個人的には、アルド将軍と二人よりも、世界が広がって嬉しい限りである。
これからも、もっともっと、この世界に、明確に分類できる、”楽しみの要素”、が、増えることを願うばかりである。」
作者、ルヘルが〆の台詞のように言って、とりあえずお流れな感じになった、そう、ただそれだけ。




