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矛盾領域エクスラで三大図書館長の合同会議の観測記録



 壮大な絶景、この世の富と栄光の象徴、全ての勢力を内包し矛盾しながらも絶妙に均衡を極め続ける、

 世界の方向性”矛盾”の絶対拠点都市、世界の七分の一を全て使って描いて作られた世界がそこである。


「さて俺様が今回主催して、テメエら人間の屑共のカス野郎どもを集めたのは他でもない、色々決める為だろうがよ」


 メサイア図書館の司書長イリカが口火を切った、ちなみに此処はエクストラシャペルン城の円卓会議の間とか呼ばれる場所だ。


「あら、私は特に貴方たち二人と話す事も、特になにもないのだけどねえ」


 図書館という事になっている世界情報組織、ヒルダーネットワークの所長ヒルダは気だるげながらも相槌をうってくれる。


「、、、ヲイこら、ゴミのもう一人、俺様が喋ってんだから、何か言えよ?」


 しばらく沈黙した後、純白の法衣を纏うイデア図書館、別名極点ARの法王イデアも相槌を催促されて口を開く。


「我も貴様らと話す事はないな、余のお上の都合上しかたなくだ、誰が黄金以外の勢力と好き好んで関わりたがる?

 何時からか馴れ合ってると思わるかもしれんが、我は外部勢力だ、

 この世を一瞬でも早く終わらせたい、貴様らの平和と秩序、救済に戦争、何もかも興味が一切ない。

 ただただこの世界の全てのリソースを使い果たす、それを妨害する世界システム論、観測者の撃滅のみを求めている。

 さっさとシステムの中枢を侵略し、このような世界から描ける全てを描いて、使い潰し使い果たす、そして更なる開拓地を外世界から模索するのだ」


「あーはいはい、俺様も言っておくが、ヲイ観測者、さっさと世界を秩序と平和、人間の救済を可能にしろ」


「私も言いたいですわね、ねえ? 此処をダイレクトに見ている観測者様。

 どうか私の望みを聞いて、世界の秩序と平和を無碍にねじ切って、早く乱世と戦争に満ちた醜い混沌の時代を」


 あ、バレてらあ、一応俺は隠れていたのだが、流石に見破られていた。


「嫌だよ、君たちは世界を三分割して、残りの0,00000000000001%を賭けて、無限にこの閉塞された世界で戦い続けてもらう。

 この矛盾領域の主のように、己の正義を貫き続ける戦う戦乙女のように、己の優越性を証明する、無駄な足搔きを、どう考えても絶望な状況下で、ね」


 僕の為に用意されたような椅子に腰を下ろし、三人に笑顔を見せる。


「さて、俺をわざわざ呼び寄せるほどに観測価値が高まったこの場、どうやって面白くするんだい?

 最近の俺は忙しいんだ、

 IPS細胞の実用化で人間の寿命は半ば不老不死のように伸びるだろう?

 人工知能AIによる人知の超越、粒子演算コンピューターと3Dプリンターの応用で環境再現は流石に無理で不可能だろうが人間の脳のコピー・再現は可能になりそうだ。

 アインシュタインですら人間の脳の熱崩壊は無理だった歴史があるんだ。

 さっさと人間の脳の情報処理による限界熱量を計測して規定して、制限を掛けるシステム開発、新時代の準備に忙しい」


 長々と好き放題に、コイツ等にとっては世界の外側でしかない、俺の生きる世界の話を語っているんだが、間を挟んでも口出ししてこない、

 俺は勝手に話せと暗黙の了解をもらって、続ける。


「更に言えば、中国の富裕層のように日本の総人口レベルの新しい膨大な富裕層が出てくる、

 コイツ等を纏め上げ統率と秩序を形成する為には、ピラミッドの頂点の所にいる奴らを、今世界を支配している層を十倍くらいまで増やす必要も出てくる。

 それはIPSとAIで行けるかもしれんが、全世界のピラミッド構造を保つのも難しい。

 我々の組織は十年前から巨大動画サイトを作った配信者を起用した世界の効率的で戦略・戦術的な啓蒙工作の実用化を目指しているが、まだコレも準備中だしな。

 これを成功させなければ、また戦争が起きてしまう、人間の知恵も含めた総合的なスペックによるピラミッド構造を形成しなければ。

 上には上がいる、下には下が居る、これが戦争を起こさない定石だ、頂点は暴れない、底辺の底辺は暴れる底力すら奪われる。

 そしてピラミッドの中間の中間の維持も肝要だ、底抜けでも中抜けの空白ができてもマズい、連綿と感情移入し続けられる人間の繋がりが無くなれば人情が無くなる、

 植民地や人間の命を無価値と断定して利用・犠牲・搾取が際限なく行われて戦争の火種となる。

 お前らは放っておいても戦争は絶対に起こらない、神のインテリジェンスデザインに任せればいい、あーだこーだ、言うかもしれない。

 そもそも前提として戦争なんて起こっても良いとすら思ってる奴もいよう。

 だが俺は断言するが、人間が全力で戦争を抑止しなければ、普通に起きてしまう、それが戦争だ。

 そう、そう知っている、第一次と第二次世界大戦、今も続く地域紛争を深く知っているからだよ。

 確かに宇宙の深奥には神が居る、居なくてもシステムのような自立自動で流動・機動し続ける運のような何かがあると、俺は確信している。

 だが俺は全力を尽くす事をやめるつもりはない、なぜなら満ち溢れているからだ、衝動的に生き続けたいと思える、それは、、、、」


「お前らを優越している証明を確かに打ち立てる為だ!

 人間である証明として確かに或る、有り続ける、定義されない、何物にも染まらない、自由で居続ける。

 なんの制約も無く、キャラクター性もなく、それなのに特権的に存在できる、この世界を描く作者のように、俺はそのように特権的に絶対的に在りたいだけだぜ。

 観測者ってのは、つまりはそういう事だ、そういうモンだ、分かったか?

 お前らは全員ホントに無意味なゴミ屑共だ、商業ガンガン売れる何かを生み出して、創造性に溢れたなにかを成して世界に貢献するわけでもない。

 少なくとも作者の俺は貢献してるぜ? お前らのような役立たずと違ってな、悔しかったら何か創造性と革新性のある面白可笑しい楽しいモンを作れ。

 さあ、さっさと作れ! 商業ガンガン売れるような物語を三大図書館さん!! 作ってくれよ!!!!!!!おおおおおおおおおおお!!!!wwwww」


 俺は盛大に大声で笑い狂って、目の前の馬鹿どもを罵倒したい、本当に無能でバカで非人間レベルの脳なしの屑共だから。


「まあなんだ、、お前らのような俺の脳内妄想で適当に生きて適当に、何事にも真剣にならずとも生きていられる。

 そんな奴らとは、俺は違うって訳だ、知っておけよな? 非人間の脳髄の無い脳内妄想の化け物共、諸君!!!」


 そう締めた、するとイリカが下らなそうに、やれやれって感じで拍手してくれた。


「はいはい、はいはい、ホントはいはいだぜ、俺様がメサイアの鍵で殺しにかかって、心臓がぶっ壊れたらしいが、生きてたのも驚いたが、

 お前のその変わりようのない、変わらなそうな、クソみたいな腐った頭脳の様見て、俺様も心底から安心だぜ? ホント安心してんたぜ?

 ぶっちゃけな、あの一撃でお前が神、作者の頭脳として壊れて、改心しちまうんじゃないかと、俺様は心配して思ってたんだぜ?」


 訳知り顔でニタニタ笑いながら、コイツは俺のリアルの実態、規定現実に存在する観測端末にもアクセスして直接接触してきていたなと思いだし、その辺に唾棄する。


「私は貴方、観測者様の剣技には、とても興味をそそられますわ。

 あのホログラミング、非実存実体剣術、、、のようなモノ、タイピング技術なども応用された、酷く複雑軽妙なスタイリッシュな技術なんですわ」


 などなど、言ってくれるが、今の俺の興味は、二人には余りに無い、

 俺は椅子から立ち上がり、イデア図書館の法王に歩み寄って、長椅子のようになっている同席に腰掛けて、寄り添って密着してみる、

 特に何も嫌がる素振りも無い、なので可愛い女の子の見た目で凄く可愛いので、気も乗ったので首に馴れ馴れしく腕も回してやってみる。


「おい、イデアちゃん、俺は今、イデア君に酷く興味があるよ。

 あんな戦争やら平和やら、秩序や混沌、そんなモンにすら全く興味がない。

 俺と同じ外の世界から来た、って点で統一だし、同一のシャルロット、黄金の想い人も重なってんだろ?

 どうだよ? イデア君、イデア君だって俺の事、ちょっと気にかけて、気がかりに気にしてんじゃないの? 素直に言ってみぃ??」


 流麗な軌跡、聖剣だった。

 俺の首筋をかすめ、二撃目で頬を掠めて、後方に大きくバックステップした時は血が首まで一滴、滴り落ちた。


「おお、こわ、、、そう怒るなよ、、、」


 純白のオーラのようなモン、それだけが俺には見えた。

 だが、このクラスの存在の持つ最強装備には一定の注意を払わないとマズいのは、例の件のメサイアのフルパワーの一撃を食らって、

 リアル世界のリアル端末が被害を被った事で学習済みだったので、全力でかわしてみせた訳だが。


「おっと、きたきた、観測者の独自の情報網によると、、、

 オルガアスミデスの比類なき黄金剣、それに黄金郷直下の大組織イデア法王庁、図書館の頂点として賜った、かぁあーー。

 純粋なイルミナード換算の戦闘能力45600、階梯基準の戦闘情報力場は、、領域476で止まってるから、分からんかー」


 言いながら、自動レベルコントロール、ALC機関をフルに稼働させて、眼前の敵の持つ兵器に対して対抗手段を創造する。

 徐々にブレたような映像から実態を成したのは、オリジナルには、本当にほど遠い、

 ノースラストの戦闘指揮官長の持つ、例の日本刀のようなモン、まがい物の劣化物だった。


「図書館長なんだし、セーブしようぜ? なあ?」


 俺は全力で特攻、殺すつもりで日本刀を切り上げるように、ブレるような左右の揺れも応用して、複雑な加減速も絡めた一撃を放った。

 

「俺だって無限のリソースがあるわけじゃねーわけ!」


 簡単に切り結ばれる、椅子から流石に立ったが、視線は二人の図書館長に向いたまま、

 そりゃそうだね、俺のような雑魚よりも、眼前の二人の方が”より怖い”のは、俺も同意してやるよ、、、だがな!!!


「俺の脳内で俺が勝てる流れが無理筋なら、物語を面白くするために負けてやるって、

 勝手に俺がしたくなくても俺の脳内の物語創造機関、

 お前らが観測者に支配されるように、観測者の俺を支配する上位観測者、監督官もいるって、知ってるかあ?」


 コイツ等を多少なりとも本気にされるには、やはり”エアタイピング”を絡める必要があるらしい。

 ヒルダネットワークの長が褒めたように、俺ですらコレには一定の誇り、プライドみたいなモンを持てるくらいには誇らしい技術であり戦闘特化の情報力場もある。


「くっっ!!!!この!」


 一気にトップスピードを超越して、いきなり複雑で高次元な軌道の剣筋が幾十数重にも眼前に展開されたら、そりゃ誰でも驚くわ。


「おい!!!どうだよ!!! この熱量! 波動! 振動!!! 痺れんだろうがよ!!!!!」


 イデアは後背に七色の羽を展開させて、全力を出す構えに出た、某イデア砲を展開される前に勝負を決めねばっ!


「はい、終わりだ」


「ええ、終わりです」


 ちょうど良かったのだろう、メサイアの鍵とヒルダのエアイン一発分のエネルギー流の込められた弾丸装填済みだろう拳銃を向けられて、止まった。


「ぐぇええ!!」


「あらあら、可哀そう」


 この性悪クソBBAは、仲裁のついでに俺の脳天に拳銃をピッタリ押し付けたマウントを利用して、そのまま蹴り倒してきたのだった。


「さて、茶番終わりだろう? 俺様はまあまあ楽しめたから、もう終わりでいいだろ、本題に入るぞ」


「ああ、テメエらゴミ共と違って、俺も忙しい、

 さっさと、次の”この物語”の展開と戦略・戦術的な動きを、それぞれの陣営の細かい動きも含めて、さっさと決めんぞ」


「ばーーーーーーーか、細かい所はきめねえよ、そこら辺が面白いんだろが、枠組みだけ決めて、物語が崩壊、本末転倒しなきゃ良いんだよ、ばーーーろーー」


 イリカのクソみたいな語り口調で始まった会談は夜まで続いた、なんやかんや仲が良いのがこいつ等だ、本人たちは否定するだろうが、俺はそう見えていた。


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