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フロンティア‐国境地方、あるいは上位世界からは辺境と呼ばれる、開拓された地域の最前線。



規定現実が、つまりは、”この世界だ” 

ああ? よく分からん? 知らん、そういう話だ。

そして俺が話す、”この物語全部”が、リアル現実って訳だ。


簡単に言うと、リアル現実の上に規定現実があり、そっから上部構造として広がり続けながらも収束し続ける無限の世界、イデア世界とか色々ある訳だ。



 

「ふあぁー眠いぞぉー!」


「知るか、寝たいなら寝ろ」


 旅行とか適当な理由つけて来た此処、アトランティクで。

 俺は意味不明な時間を過ごしている、ナルディアと。


「ねえーねえーアルド将軍、なんかしようよぉー、楽しいことがしたいよぉー」


「うぜえ、お前は嫌悪を醸す天才だ」


「そうかぁー、それじゃぁさ、北の最果てに行って見ない?」

 

「ああ、ってえと、ノースラストの事か?」


「へえ知ってるんだ?」


「まあな、お前の小説に良くよく出てくるだろ、あそこ」


「あれれ、読んでないって言ってなかった?」


「ああ、読んでないな」


「どっちよぉ!」


 さて、普通なら転移門で直接直行で行くのだが、どうしたことだ?


「おい、なんで電車だ」


「旅行なのに、一瞬で着いたらつまらないじゃん?」


「何日掛かると思ってんだ?」


「最速電車なら十時間、景色を楽しみながらの速度電車なら三日から四日だね、もちろん後者だね」


「ふざけろ、電車でんな過ごせるか」


「大丈夫大丈夫、超凄い電車だから、むしろもう超豪華客船級だからぁー」


 行って見ると、そうでもなかったが、思っていたよりもそうだった。

 超豪華客船とまでは当然いかない、だが、豪華客船級の設備の整った快適な旅が保障されてはいそうだ。


「しゃーねえ、乗ってやるか」


「うんうぬ、そうこなくっちゃね」


 俺達以外に客はあまりいないようだ、アトランティックから乗り込んだ客が数人程度。

 それなりにゆったり出来そうな席に腰掛けて、外を見つめる。

 

「なんか、すげぇー寂れてんな、巨大な廃墟ばっかりが見えるぞ」


「そりゃそうだよ、転移技術が普及してから、全盛期の路線数千から、今じゃ数十に減ってるし」


「ああなる、景色わりぃーな」


「そうかな? 巨大な廃墟って萌えない?」


「萌えないなぁー」


 本当に廃墟ばかりだ、それも並みの廃墟じゃないガチな都市レベルの廃墟群。

 この列車は大都市間直行便(アトランティクからノースラスト直通)だから、途中の駅に止まらない。

 見てみると途中の駅周辺はまだかろうじて生きてるが、それ以外は軒並み死んでる感じだ。


「そういえば、途中の駅に止まらない直通便しかなかったな」


「つーかもうそれしかないよ、需要ないから無くなったんだよ」


「この列車も旅行目的だけだけどな」


「そういえば、アルド将軍って田舎好き?」


「キライだな、無くなればいい、いろいろな足引っ張ってるだけだろ。

 しかも路線と違って、田舎は需要が無いからって切り捨てられない、しな」


「ふーん、都市のどこ好き?」


「活気があって、造形美に優れ、様々なフリーライダーできる見世物やイベントに溢れてるとかか?」


「人多すぎとか、思わない?」


「思うがな、人間観察できるが、まあ田舎と都市の中間の郊外最強ってことで」


 そういって目を閉じる。


「アルド将軍なにやってるの?」


「退屈だから、寝る」


「えぇーーー」


「うるさい、おやすみな」


 視界を暗転、強制睡眠状態に以降、夢の世界に旅立った。


「おーーーーい!!!おいおいおい」


 頬がぺちぺちんと叩かれているような感触。


「やめろ」


 覚醒して立ち上がる、外気の肌触りに訝かしむ。


「なぜに外だ?」


「怪物に襲われて、列車から放り出されたんだよ!」


「うそつけ! あの列車は武装していたはずだ!」


「そんな武装は役に立たなかったんだよ!」


「ちぃくそ、てめぇー、徒歩で向うとどれだけ掛かる?」


「うふ、い・ち・ね・ん・く・ら・い☆ 二人だけでサバイバル長旅だね! エンジョイしようねぇ!」


「はぁ、こいつ今此処で惨殺ころしてやろうか」


 開けた草原だ、周囲は林や森や山や、とかく自然に溢れている感じだ。


「現在地は分かるんだろうなぁ? おい」


「もちろん、地図あるけど、見る?」


「貸せこら」


 奪って見る、するとココっと指をさされる、なるほど、なるほど。


「丁度道程の中間当たりかクソくらえ、目的地をノースラストに定めると、どのルートが最適化か、、。

 いや、やっぱりお前を使って、そっこう電車に戻るかどうか、するのが最適だろう」


「やだーよですよぉーだ。

 電車で二人だけの旅行なのに寝ちゃうアルド将軍が悪いのだぁーべろんべろんばー」


 クソむかつく顔晒してくれるクソやろう。

 顔芸の極地、俺はコイツに対する滾る熱い思いを抑えられそうもない、一バチで恋と錯覚できてしまいそうだ。


「まあしゃーねえな、歩きながら話すのが建設的だろうが、着いて来いよ」


「うんうん! レッツラゴーレムたぁーーいむぅ!」


 いちいち癪に障る奴だ。


「そんな顔しないでぇ、わたしを信頼してよぉ、わるくしないよぉー」


 あいにく話だ、俺は最後の最後の最後まで、コイツを信用できそうも無い。

 コイツは一体全体、何考えてるのか全く読めない。

 インテリすぎて底の読めないタイプだ、しかもただハイスペックなだけじゃないのが最悪。

 コイツが最悪であるのは規定なのだ、だから、俺は常に安心を得られるわけが無い、コイツとの関係性においてだ。

 だから、当然一定の距離を置く、安心や信用信頼のない所に、真の人間関係など望むべきも無いのだ、こいつが人外だろうと同じこと。

 一線越えるつもりなら、即座に迎撃して弾き出すのだ、なにをかするな、俺は拒絶以外に選択しないから。


「アルド将軍と一つになりたいよぉー、もっと一緒に居たいよーお喋りして時間を共有したいんだよぉー」


 無視してスルーしていたら、なんか睦言を捻くりだしてきてるしっうぜぇえ。

 見ると、純情そうな、見るからにわたし貴方が大好き大好き恋してます愛してくださいっみたいな目だった。


「うぜえ野郎だな、ぶっ飛ばすぞ」


「愛があるなら、むしろぶっ飛ばして欲しいよぉぉ」


「ないから」


 本当に、愛など欠片もない。

 コイツは平時、俺には普通だが、それ以外には掛け値なしに外道だからな。

 

「なんだ? 俺を殺したそうな目してるぞ?」


「違うよ、アルド将軍をそんな風にしてる、世界に対して無限の憎悪滾らせてるだけだから、気にしないでぇ。

 ちゃんと、アルド将軍のことは大好き大好き好きだから、ホント気にしなくて大丈夫だよ?」


 意味の分からない理論に思える、まあ解明も分析も一切するつもりないけど、無駄だから。


「変な鳴き声聞こえるな」


「ああ、これは怪鳥の化け物モンスターの鳴き声だよ」


「変な怒声も聞こえるな」


「それは、未確認、良く分からない反応だね」


 見ると、空から十メートル近い、機械と生体が歪に混ざった、近代武装してそうな怪鳥が迫ってくる。

 そして地から、なんか巨大な鉈っぽい武器をもった、頭が金属の三角で構成されてる、なんかすげぇ奴きてるよ。


「おい、俺の命を死守しろ」


「もちろん、たとえ世界が敵になっても、守るよ」


「そうだろそうだろ、お前俺のこと好きだもんな」


「うん、愛してるんだよぉ」


 怪鳥は突如出現した巨大鳥篭に封印、三角頭は、なんかエネルギー流の直撃で肉片が弾け飛んでるのが見えた。


「つよいな、ナルディア」


「最強で無敵だよぉ! 好きになった?」


「ああ、好きにはならんが、頼もしいな」


「ぶーぶー、好きになってよぉー」


 流れで、生け捕りにした怪鳥に近づく。


「なんだこれ?」

 知的好奇心の侭に聞く。

  

「なんだろうね? 自然生物じゃないし、人口的な調整もされてる。

 多分だけど、生物兵器の実験場じゃないのかな? ココは」


 地面を指差し、ナルディアが言う。


「そうか、それじゃ、まあ、適当に首謀者をどうこうするか」


「さすが! 正義の味方!」


「囃し立てるなら、全工程はお前任せなんだ」


「うんうん、それでもよし!」


 工程はこうなった。

 この機械鳥の中をくり貫いて、潜伏。

 ナルディアが言うには、そうすれば回収班が来るだろうと、そこを逆襲する。


「ここが、内部か?」


「うん、四次元空間だから、広いでしょ?」


 意味の分からない魔術か科学で、なんか普通の部屋がそこにはあった。


「どれくらい待つ事になりそうだ?」


「さあ、教えてあげない」


 まあそうだろうよ、本気になれば、どうにでもできるレベルの事件だもんな、お前にとって。


「まあ、お約束過ぎるから、口には出さないがな」


「そうだよね、賢明な判断だぁー」


 とりあえず、何か起きたら起こしてくれ。


「うん、おやすみだよ、寝る子は育つから、沢山寝てね」

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