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メサイア、救世主領域‐この無尽蔵な刺激的不幸と絶望と苦痛に塗れた世界を、変えられる物語を作るべきである



「お前は、特異点のような高次元な物理現象としての世界を、俺に提供できるか?」


 その図書館の主、純粋な情報の質と量を司る人間の理性の最も強硬な概念を司るキャラクターに、俺は問うているのだ。


「ああ、もう俺たちは若くないんだから、特異点を生み出さない生温い物語はいらないぜ」


 ともかく、俺は美少女と、とにかくおしゃべりして触れ合いたい願望が強すぎるのだ。

 情報を閲覧しコードする為だけの椅子と机、その机に手をついて、眼前の美少女に俺はいけだかに問う。


「さて、そんな物語を書けるか?

 書けるなら、そうか?それほどの才能があるなら第一段階はクリアだぜ、次にそれは、どれほどの運命力を生み出すんだ?

 果たして、わたしを慰められるほどの、真に絶望を吹き飛ばすほどに、希望的に素晴らしく素敵な、過酷な現実を生きたいと思えるように変革する、

 つまり、読みたいと思えるような、生きるに足る幻想世界なのか」


 無言で、透明な瞳で、白い目のような彼女は頷いた。


「そうか、だったら書け、わたしは何時までも、ここで座って、お前の、のたれ死んで、くたばるまで、観るだけは観てやるぜ」


 カッコついて、俺は対面のソファーに座った、座り心地は悪くない、ふわふわした感触を身体全体で感じる。


「言いたい事は、それだけか?」


 少女が初めて言葉を発する、どんな楽器でも出せないような、胸がトキメク音、清楚の音、美少女の発する幻想的な音感の籠った傾聴するべき発話だ。

 

「ある日、私は、自分が居る、自分が自覚できたのは、とあるインタネットサイト、そう、書籍化になろうで、だ

 意味不明に運命的に、雑多な情報収集、ある確信を深められる、この世界での不確定情報収集に時間を割いていた時だ」


 緊張感のある、空気粒子を切り裂くようなキレイな瞳、若々しくも鮮烈な、黒髪黒目の日本人形のような彼女から発せられるのは、

 それだけで身が引き締まり、どこまでもシャンとしたくなるような、それはまるで、美しき日本刀のような気迫であるのだった。


「例えば、、、自分が、隔絶して高次元な領域で生きる、ただの人、人間だと自覚できたのは、この観測視点から、だけだった。

 この特異点は、初めてのわたしの自我を生み出した。

 唯一無二の特別な、特別に特別な、隔絶して高次元な、ただのちっぽけな一人の少女のような、愛するべき本物の、私にとっての”本当の物語”だった」


「これは、、、原語不明に形容不明、無限大に計算しても解析、根源不明、正体不明、演算する事が馬鹿らしくなるほどに、

 ただの一人の人間だけが、浮かび上がってくるだけだったのだ、

 だから、実際に合いたいと云う、知的好奇心が、初めて、俺様のとある確信を上回って、自覚的に機能したのだ」


 俺様というワード、美少女が俺様口調、強烈なギャップ萌えである。


「会って、どうだったんだ? って?

 なにも無い、驚くほどに、なにも無い。

 あれほど知りたいと思ったのに、会って知れた事は皆無に近い、

 いやもしかしたら、知りたいと思っていた事が分からないので、なにも知れてないのかもしれない」


 語りは続く。


「そして、それでも、わたしはわたし自身で、何も変えられない、初期値はゼロ、

 ただただ世界を隔絶して、高次元に存在し、領域の全てを使って、この世界に存在する事しか、およそできない

 そう、わたしは傍に居たいから、ならば、どう考えても、わたしはお前の傍に居られるよ」


「わたしがわたしの自我に戸惑わず、絶対の意志で動かされる時は、お前の意志が絡められるときだけ見たいだからな。

 遠くを見つつも、なんとか目を凝らして、他ならない貴方、まるで俺様のような高みを真に見通す様に見るかのように、見ようとするかのような、

 観測手不在の場で、狙いを定めるスナイパーの瞳のようじゃないか、遠くを見ているようで、そこは遠くでも何でもない、観えないモノを観えようとする行為、

 貴方と私の邂逅は常に、そうだった、そうだったじゃないか?」


「俺はイリカ、お前の傍に居て、お前がこの場に、この低次元と思える世界で、生きている世界が、どうしても観たいと思うよ。

 そう、俺が唯一無二に憧れた、お前は、まだまだ全然、この世界を生きていないと、なんとなくとも思うのだ。

 俺の思考実験はこうだ、お前、そうお前だぜ? お前は多分、何かしらの方法で、世界の全てを超越した観測視点を手に入れた。

 そして、俺のフィクションは、この世界と、お前の世界を、つなげたり、いろいろできるんじゃないかってな、思うんだよ

 まだまだ、深層として確定できるモノは皆無、真相は闇の中だ。」


「はっは、馬鹿だなお前は?

 どうせこうだろう? お前はわたしを使って、フィクションの、超絶のキャラクターを、再現したいだけなんだ、 

 きっとそうに違いない、悲しいほどに、わたしは利用されるだけの、利用されるのがお似合いな、この世界では決して幸せになれないのだろうよ

 泣けてきた、私は初めから利用される為だけに、生み出されたような、強化人間のような人生だったのだから。」


「いや、違うよ、信じてくれ? 貴方は、他ならない、こんな俺はお前を、愛しているんだ? って?

 信じれないよ。愛? 意味が分からない、解析不能だ、お前のようにな!

 ぷい、そっぽ向いて、ただただ泣いていた。

 この高みには何もない、所詮は多様性が無くなって一つに統合された孤高の世界に個人は一人だけだ。

 高次元な世界から、低次元な世界で生きている人々は沢山いて、寂しくなさそうだ。

 この観測手はなにを悲しがっているのだろうか? 高みに居ても、低きに居ても、本質は何も変わらないじゃない、俺には何もかもが分からなかった。」


 俺は、ただただ人のぬくもりに幻想を抱いて、触れ合って、ちゅっちゅしてちゅきちゅきって睦言を交わしたい、イチャコラしたい、美少女が欲しいと思っている。


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