極点MR・メタソード・リベレイター‐UMOの統合物語としてのエミリとイツキの会話
「世界は突き進み続ける剣の切っ先のように、情報が先鋭化し続けるだけの、閉塞された開放するべき宇宙である」
博物館勢力は、大別して三つに分けられ、
黄金郷・ゴールド‐エリュシオン、永久水銀・メルシリック‐エターナル、そして、、、
世界の鬼集と真に真なる特異点による、世界の終焉という名の剣の突端への到達を望んでいる、超越者集団である。
それは、保守による世界幸福の真なる実現を望む、某極点ARとは対立する、世界全体を革新する奴らだ。
「それで? 世界の外側から来た、”青銅の種族”、
その女王様は、この青の博物館・蒼の回廊・螺旋に連なり、永遠に続き続ける水庭園、アクアリウムを使って、何がしたいん、、、でしょうね?」
真なる青の瞳と蒼の髪を持つ乙女は、決して頂から覗けない、価値観を超越した特異の点、
それは、特異の最上段で、あざ笑いながらも、世界に真理の輝きを見出そうと、そうしている。
「なあエミリ、ドッペルゲンガーっていると思うか? 実存すると思うか?」
俺達、俺とエミリはいま、真っ白い、ただただ地平線までも真っ白い場所に居る。
デフォルトデザイン、精神と時の部屋ってタイトルは、どういう事だろうかね?
まあ此処は、そういう場所で、そういう空間に机と椅子がぽつん合って、俺とエミリは向かい合って座っているのだよぉ。
「いるわけないでしょ、馬鹿じゃないのぉ?」
「まあ、普通はそう考えるよな」
「そうよ、普通はね。
だけど、勘違いしちゃいけないのは、それは私達、現実世界での話よ。
このゲーム自体が、普通じゃない現象で溢れてるんだから、
イツキの言う、ドッペルくらい、此処では別に、居ても不思議じゃないわよ?」
「そうだよなぁ! そうだよなぁ! そうだよなぁあああ!!!!」
「っ、うっさい! この、やめなさい!」
「うわわはっはっは! そうだよなぁそうだよなぁそうだよなぁ!」
「くっ、っ、よくも私を馬鹿にしたわね、このクソイツキ!」
俺は一通り大笑いしてから、事情を話した。
「ふん、そう、それにしても、さっきの、私を馬鹿にしてくれたお礼は、高くつくわよ?」
「なにすればいいんだ?」
「ふーん、そうね、、、」
エミリは、中空、何も無い真っ白な空間を遠く見つめるようにして、告げる。
「雑談しましょう、そうしましょう」
「どういうことだ?」
「雑談よ、それも、わたしの無茶な話題に合わせて、イツキは真剣に付き合うこと」
「はいはい、どうぞ」
「うーん、まあいいわ。
それじゃあ、話題、現実と空想、幻想の話、これ誰かとしたかったのぉよねぇ。
この世界にはさぁー、沢山の物語が実存存在しているわよね?
でもそれって、全部からっぽの空想、ハリボテのような、背景に何も無い妄想って言われてるわよね?
それって、私は違うと思うのよ、
いえ、こう言い換えた方が分かってもらえる、理解して、共感、シンパシーにシンクロニシティーしてもらえると思う、
そう、どうしても違うと、妄想じゃないと、みんなに知らしめたい、洗脳したい、思い込ませたい。
そうすれば、自分も、より思い込めるじゃない?
みんなが馬鹿みたいに物語を「世界だ!」っとか言って、馬鹿みたいに信仰してれば、それでそれが一番いいのよ、みたいな。
私はそういう世界が見たいし、みんなにも、そのように世界を観測して欲しいのよねぇーーー」
宵闇エミリは、それだけ言うと手を叩いて、さあはいっと言った。
「どうしろと?」
「私の思想、感情、発したメッセージについて、心躍る、気分が高揚するような、感想を頂戴、プリーズ」
「うえぇ、無茶振りだろぉ、、、、まあよし、ちょっと待ってろぉぉぉぉぉ、、、、、、」
エミリは「はやくはやく」とか
「このくらいの感想返事、返信レスポンス無しで返すくらいの、優秀でエンタテイメント性の高い、ハイスッペク脳髄、
頭脳が求められているのよぉー、だわさ」とかぐちゃぐちゃ、よしなし事に言ってるが、煩いよ。
「よし、そうだよなぁ? エミリ、お前の考えてること、分かるぞぉぉ!」
「うざい、キモイ、いっぺん死んできなさいよぉ」
「うるさいよ、まずはこれは前置きだ、最後まで話を聞きなさい」
エミリは「はいはいへーい」と頷く。
「他人に、己の信じるパーソナルリアリティ的な世界を否定されるのは、面白くないよな?
世界を妄想だと、信じるものを妄想、そのように定義されて、否定されても、
俺達なんかは挫けない、他人は他人、自分は自分の現実を抱えて、妄想だろうと何だろうと、
たとえそれが、押せば崩れる砂上の楼閣のような不安定なモノでも、それに縋って依存するかのように糧にして、
日々少しでも頑張るために生きてんだよなぁ! それをまるごと否定されたかのような気がして、エミリは悲しいんだよなぁ!」
「ふーん、気安い同情チックだし、馴れ馴れしいけど、分かってるじゃないのよ、続けなさい」
「おおぉ、てかちょ、これ以上、何を続けろと、暫し待たれよ。
そうだな、そうだよな、、、。
うん、エミリ、少なくとも、お前の世界を、俺は肯定してやれるぞ?
俺はエミリが大好きだから、エミリが世界を肯定して欲しいって思えば、俺は信じるんだぜぇっ、
なぜなら、特定世界を肯定するデメリットより、エミリを助けられる、肯定できるメリットの方が、そこはかとなく高そうだからだ」
「ふーん、そう、イツキは、貴方は、そういう奴なんだ。
そうかそうか、上手く精神分析できたわ、
プロファイリングで当て嵌めるなら、他者依存独立傾向型の乙種に分類できるわね」
「ちょっなんすかエミリ先輩、その上位者の語り口調はっ、
ちょ、やばいですてぇ、やめてくださいよぉ、マジでガチで、勘弁してくださいよ、お願いしますぅ」
俺はテーブルに勘弁してくださいのポーズで突っ伏す、
チラ見れば、エミリは嗜虐的な目をしていた、なにその瞳っ爬虫類みたいで怖っ。
「いーやっ。
ねえイツキ、わたしの世界を肯定してくれるんだわよねぇ?」
「ああ、まあ、そうだが」
俺はちょっと威圧されチックに、後ろに反りながらもコクコク頷く。
「それじゃさ、私の頭の中にある世界を、特別に教えてあげる、その実存を、貴方は信じてよね」
「おっ、おう」
「それはね、酷く残忍で冷酷、極悪人が、無垢で善良な少年を甚振り苛めて、絞りつくす悲劇の物語。
少年の名前はイツキ、陵辱者はエミリちゃんと言ってね、それは可愛いけど、無垢な、殺戮の天使みたいな子」
「ちょ待ちっ、そんな世界はありえない、否定させてもらうぞぉ!」
「否定しないでよ、イツキがこの世界を信じれば、この世界は確かな現実として、完成するのよ?」
「そんな世界は永遠に不完全でいい! 完成すなぁ!」
「ダメダメ、この世界は絶対に、別世界の平行宇宙に存在しマース。
だいたい、全ての可能性が存在する、わたしの宇宙論に照らし合わせれば、全ての空想は現実になるのよね?
貴方も、それを知るべきだわ」
「なっ、なんだそれは、ちょっと興味があるけど、聞くのが怖い」
「それは聞きたいって事よね、怖いものみたいさってのも、あるしね。
私の世界論、宇宙観は、無限大の可能性が、無限大に存在する、多次元宇宙論みたいなモノよ。
最小単位でも、微量に可能性があれば、必然的に、人間はそれを、その世界を創造することができるの。
だから、先ほど言った、わたしがイツキを調教して完全屈服、支配し尽くして、悦に浸って一生を終える、ハッピーエンドも、この世には実存するのよねぇ」
「実存するのよねぇーじゃないよぉ! そんなのは無いよ!」
「あるわよ、私の頭の中にあるのだから、この世界の何処かにはあるのだわさぁ」
「もう適当言うなって、無いなありえない、かたつむり無い!」
俺は発狂するかのように、頭掻き毟ってみせる。
「ふっふ、そう、イツキの世界では、絶対にないって、可能性の世界を創造されてしまったわね。
この場合、私の宇宙論は矛盾する。
だから、その矛盾の解消の為に、他ならない貴方に、わたしの世界を肯定して欲しかったのだけれど」
「ふんっ、それなら好都合だね、否定させてもらうわ」
「そう、至極残念だわ」
そこで、一旦会話が途切れた。
エミリとの話は、毎度、このように下らなかった、
でも、悪くない、話自体は面白かった、面白いことが多いようなのだな。




