秩序の盟主・マリア・サイド
「さて、此処が現在の世界の命運を賭けた収束一点、イルミナード世界なのね?」
言わずと知れた言葉が口の端を自然と滑り出る、それだけ、気分が僅かでも高揚している気配が己で自覚できた。
「はい、貴方が統べるべき世界です」
返答は最も信頼し、同時に尊敬もする相手からのもの。
「サイファス、ふふ、まるで私の従者のような言い方ね、まあ、それはさておき、そう、貴方から見ても、やはりこの世界は大きな世界に観えるようね」
「ええ、マリア、
君は知らないだろうが、一度は冥界の淵から、真無というイデア領域と同格の宇宙規模を、ギリギリ知覚できた私から言うと、ね」
「それは私も、よ、
天界から、世界の果ての先を、僅かでも、ギリギリで観て、この”秩序の力”・”聖なる力”・”最も禍々しく尊く美しく、残虐に全てを絶つ力”
例えは何でも良いけれど、それを一心に受け入れ、刻み込まれた私から見ても、それは全く同じような認識なのよね」
そうである、
最も聖なる天使、それは神でなく、この世界に存在しない空想の存在であるはずの、けれど絶対に存在する、だって私は常にその存在を認識できる、故に存在する、
この神の意志を体現するのが、世界に在るべき姿として顕現させる為だけに存在する、わたしは神の意志の権化であるのだ、
それと、本来なら対極の存在であるはずの彼、
一度は最も尊い最古の天使だったはずの彼は堕天して、世界輪廻から抹消された、はずだった。
どんな因果で、彼は今、わたしの隣に立つに至ったのか? 至ったのだろう彼の人生の経緯を空想するには、あまりに私の想像力は貧困に過ぎるようだけれども。
「私の意志は君に意志と変わらない、
全ての生命の幸福と平和、平穏、救済による、絶対的な幸福の運命、因果の構築現象を紐解き、この世界に最大限の体現を成す事」
そう、まったく変わらない、私と彼は一心同体の様に、けれど、最後の最後で常にズレを感じさせる、最も愛すべき他人であるのだと。
王都バリオゾランデ、
イルミナードを頂点とする王都連盟のような王国の、イルミナードを最も規模の大きい王都とするなら、
ここは七つある王都の一つで、
風光明媚な、主に観光と芸術、特に宗教色の強い建築が多い印象である、主要に特化した武器産業は、銃器一色、その他に特筆するべきものは無いようだ。
「規定現実から、十三階梯ある並行大宇宙世界から、もちろん欠損なく、稼働的に半永久的に次元間兵力転換の可能な、言わずとも分かるか、、
我が”秩序世界”の勢力を、
この第七位特殊相対性式異界七徳情報変換式の特異点領域・汎魔法陣結界”でろでろ”無神論・観測情報観群世界まで、どれだけ運べた?」
「23戦域函体です」
一戦域函体とは、56憶7千、という戦闘力場相当であり、
これは純世界的に言えば、一つの大並行世界宇宙を、
他の力・能力・情報など全ての総合・相対的な、言うなら根源の、
つまり闘争に特化した感じの、相殺力場のみで埋め尽くし、あらかた内包し、統合する、純粋な情報力場の容量と言ってよかった。
「それで、、、勝率は?」
「もちろん33、3333333333333、、、、%です」
「なるほど、戦力で力押しの戦いをすれば、運ブ天ブ、神のみぞ知る、になるか、、
所詮は並行世界、力の根源である”秩序””混沌”に分けても、同じような観測結果で、どうようの算出方向でも、世界の方向性に偏りはでないときた」
「それでも無駄にはなるまい、世界超越組織の”図書館”もこぞって此処に集まり、イルミナードを完全包囲している、
どう考えても、此処に機会がある事には違うまい、、、そうだろう?」
「ふふ、、、ええもちろんよ、
その為の鍵である、この古文書と魔導書を、これからこの世界で解読するのが楽しみ」
それぞれ、イルミダスの記した手記、エーデルワイズ・最終楽章の魔道式、
これは本人すら解読不可能な、音階不可解な魔道楽章という荒唐無稽に圧縮された情報を、
これまた最果て指定の、頭の可笑しくなった魔女の、空想染みた言語の解読全章で明らかにするという手法、
前世界で再契約した第三位の神候補の化身が読み取った、この世界で最も収束情報力場の大きい、言うならメサイアの鍵のような特装砲的な破壊力を持つモノだ。
「それはかの魔女、メサイアの鍵に対抗する手段に、果たしてなるのか? マリア」
「ならなくても、撃つべき時には撃てるわ、
それに、どう考えても、あの女の鍵は劣化しているはずだもの、
どうせチャージサイクルなんて、臨界を無視して、使うべき機会なんて腐るほど、この世界にはあるのだし、使いまくっているに違いないわ、
、、あの女のあばずれのあそこみたいに、ね、、、
おほん、、、おっほっほ、口が滑ってしまったわ、今のは聞かなかったことにして頂戴ね」
「むろん、オレだって、あのメギツネの事を思えば、そのような空想は五秒に一度は想起してしまうだろう」
指定”混沌”の真の盟主、メサイアのイリカ、奴が混沌の黒幕だという事は、前のクルセイド、聖戦の一幕で、
上位種族の、観測者の生命体によって、白日のもとに成っていた。
あの女、無限に地獄に叩き落しても気が晴れない、最低最悪にして劣悪最大のクソ女を殺す事だけが、目下の私の課題と言っても差し支えないだろう。
なぜなら、彼女は全知的生命体が、心の底から地獄の底に、不可逆的に、絶対的に落ちてしまう事を、変わらない、変えられない精神で思っているのだから。
最低だろうがよ、
最悪だろうがよ、
「本来的に、神の片鱗である、私たち、超上位生命体が、絶対に思ってはならない事」
「そうだ、彼女は真に堕落している、最後の最後まで、我々の障害となる、、、敵だ」
私の心が真に善で、良心によって、人間が思いもよらない、隔絶した天界の天使の意志によって、世界の真なる救済を望んでいるのならば、
対極の彼女は、真に悪で、悪心によって、人間が思いもできない、隔絶した地獄の悪魔のような意志によって、世界の真なる破綻や破滅を願っているのだ、心の底から。
「あの女の事を考えると、無限に虫唾が走るわ、想像をひたすらに絶する怒りが湧くの、身が何度破裂しても収まらない
そう、彼女をこの正常なる清浄の世界から抹殺しないと、絶対に私は認めらない、ゆるせない、我慢がならない、、、そう、報われないのよ」
呪いのような思いなのだろう、
真に愛し合った、最も古き、彼とは違う、友だからこそ、愛憎と共に、私は永遠に彼女の抹殺を救いとするのだろう、そう切に思ったのだった。




