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将来的に無限の幸福を賭けた最終闘争が始まる



 さて、盟約の口づけを


 その人物は、世界の方向性の悪、混沌の盟主、ナルディアだった。


「ええ、最終決戦のことトキ、盟約を交わさずに、貴方に背中を託すほど、ワタシは貴方を信用していない」


 そして対する相手は、世界の方向性の善、秩序の盟主、白‐マリアだった。


 アウルベーンの引き起こした、新世界創世計画に対して、

 世界の方向性の統合的な象徴の主、アルド将軍は世界総動員を宣言した、

 そして共通する脅威に対して、この二人はお互いを絶対の宿敵としながらも、イルミナード円形包囲陣の一角を双翼として堅持していた。


「久しぶりの距離感ね、マリア、貴方とこれほど近づくのは、何時以来かしら?」


「ふっふ、まだ世界の形が絶対値で定まらず、

 ワタシの、私たちの悲願、幸福にのみ飲み込まれる世界、その巨大な儀式世界のゲーム空間の、絶対最終局面のイベントで、貴方が乱入してきたとき、とか?」


「ああ、あはっは、アレは面白かったねぇえ? 

 この世界では、‘バロックナイト・ゼロ”で知られる、有名な悲劇映画じゃないか、歴史の登場人物に至れて、ワタシは酷く光栄だよ?」


「なんで? なんで幸福なだけの世界を、貴方は拒否したの? ずっと、ずっとずっと、ずっとずっとずっと、不可思議に思っているの?」


「当然だよ、マリアちゃん、君が真に心の底から幸福を望み、それが叶わない、絶対の宿敵として、集束された愛情を、憎悪を、ワタシは至高の混沌の一つとしているから?」


「戯言ね、貴方の口からは戯言以外の何かを、ワタシはそういえば、聞いた事が無かったわね」


「戯言じゃないよ、本心から平和を、人々の善意を信じる純白のマリア君に、

 私の醜い醜い、男のはきだすアレのような、おぞましい心をブチマケテ、ブチマケテ、その身に一生消えない形で刻みつけたいから、ワタシは生きているんだ?」


「はあぁ、そうね、貴方はそういう存在だった、久しぶりに感じる、この圧倒的で、全てを超越する、純粋な嫌悪感、思い出させてくれてありがとう、

 これからも世界に秩序を、平和を、温和を、与え続けるだろうワタシの唯一無二の、糧にするわ」


「ふっふっふ、つまりはそういう事なんだよ、

 君はワタシに汚されて、致命的に凌辱の限りを尽くされたと思っている、

 その反動できっと、世界に純白を求めているのだと、ワタシは只管に邪推させてもらうよ、可愛いんだねえぇ、マリアちゃんは潔癖できれい好きなんだ、

 このワタシによって、薄汚れる事を恐れ続けるんだ」


「死ねばいい、死んでしまえば良い、アンタは世界の歪み、その元凶だ」


「まあ盟約はするよね? そうしないと、やっぱ守るべき世界自体が、永久に無くなるんだから」


 そう言って、ナルディアはマリアの唇をガチユリ的な、深いキスで舌と共にからめ取ろうとする。


「っ、、いっや!!!」


 マリアは当然のように、中空に白銀の秩序の剣を、この世に唯一無二の純白を成す聖剣でキリ払って飛ばす。


「ああやっぱり、ていうかね、言わせてもらうと、私の恨みごとも聞いてもらえるかな?」


「なによ! 薄汚い孤児のような、誰にも恵まれずに、求められずに、祝福されずに生まれた、ホント薄汚い孤児よりも薄汚い、穢れた存在が!」


 この世の全てを抱擁する聖女でも、これほど醜く穢れた存在は、受け入れら無いとばかりに、唯一無二に差し向ける嫌悪の表情は、美しくも拒絶を示している。


「ただの人だったころ、私には妹が居たんだよ?

 まあ死んだけど、悪いヤブ医者に、親身に看病してもらっている裏で、毒を盛られていたんだよ、

 ヤブ医者は暗い喜びと悪意で、撃ち震えるほどに震えていた、己の罪深さの根底が何であるかも知らずに、

 まあ、それがワタシなんだけども、

 まあ確信したね、この世には、絶対に幸福のみで構成されない、確かな理由があるんだって、そうだね、

 君のように純白に狂えるのならば、私のように純黒に狂えるって道理も、果たして確かに存在する、唯一無二の摂理なのだよ」


「分かっています、この世界は無限に破綻・破滅・崩壊的に在るがままに在る、

 それをただ受け入れればいいだけ、

 なので、世界の半分は敵であり、半分は友、だからこそ正義の現場は常にギリギリの戦いを強いられているのですから、

 常に常在戦場、灼熱の戦場を渡り歩いてきましたが、それが運命と割り切り、死んだ方がましな人生でしたから」


 その言葉の通り、聖女はなによりも研ぎ澄まされた、剣そのものの存在感を放っている。


「ですがワタシは革新的に断言します、悪である貴方を、永遠に葬れた時、ワタシは無限の幸福に至れると、

 正義を絶対視し、善良と平和、何もかもを超越する秩序と正義の御旗を、貴方自身に付きたてたトキ、きっと世界は救われます!」


「きなよ、いや来いよ、宿敵、身も心も全てをけがし、永久に汚してやる」


 ナルディアは瞳を紅に染めて、無限の罪を刈り取ってきた大ガマ、サイファースの赤い夢を取りだした、


「神よ、秩序よ、正義よ、善良さよ、望むのなら、全てを解き放て、この眼前の無限の暗闇が晴れたトキ、きっと究極の幻想は拓かれる!だからこそ!」


「撃ち砕け! マリオネット、フィール&アネムトン!」


「ディバインセイバー! フレキシブルアマテラス! インパレスクォーターフルオープンザ! マイマインドネス!」


 駈ける駈ける、二人の影が残像も見えずに交差した、果てはきっと世界を滅ぼす、開闢の鐘の音があたりに響き渡っていた、

 善と悪の戦いは終局から始まりに向かい続けるのだった。


 そんな光景を、どこから、果てから、全てを統べるイスに座る男が観ている。


「 まず第一に自覚するべきなのは、今が超情報化社会で、本当に掛け値なしに真に娯楽が溢れかえっている、ということ 」


 男は誰かに言うでもなく言う、

 さて、この世に唯一無二、一つしか純粋理論的に言って存在しない、真理を紐解き語っていこうか? と。

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