エクスラ門前のメサイア図書館
「おいメイア、最近はアウルベーンの騒ぎか問題か分からないあれこれで、大変じゃないのか?」
王者のような居住まい。
メイアって奴は常に貫禄が著しい。
超絶的な美少女は、ただ優雅に座っているだけで、威光と気品と風格が高貴に満ち満ちている。
絹よりもさらに上品な物質で出来ているとしか思えん、あの流れるような流水の様な漆の髪の毛は。
「まったく面白くない、クソ小説ばかりだ。
どうして、こんなに詰らない下らないしょうもない文章を創造できるのか、考えられん。
もっと楽しく高次元に可笑しいエンターテイメントが、世界には溢れてなくちゃいけないってのに。
本当にゴミばっかりだ」
口から出てくるのは、その超幻想的な見目とは全くソグワナイ、汚いモノだが。
「なんだ、ネット小説でも見てるのか?」
「ああ、観測者の言う所によると、基底現実のとあるサイトなんだがな、ゴミだぜこれ」
「馬鹿止めろ、基底現実の悪口は、閲覧禁止条項だぜ、謹んで自重しろよ」
「いやだいやだ! わたしは罵詈雑言が大好きなんだもん!」
「うっせえ、このガキがぁ、馬鹿は休み休みでもするなぁ!-」
「ふぅ、とりま、わたしが変革の嵐を巻き起こしてやるか」
「おまえ、小説なんて書けるのか?」
「はぁ? 当たり前だろうが、メサイア図書館の主であるわたしが、小説の一つも書けなくてどうする」
「馬鹿が、お前にそんな頭脳があったら、世界は救われてるだろうが」
「クソが、小説なんかな、誰でも書けるんだ、むしろ書ける奴が低脳過ぎるんだ。
己の内から世界を生み出して、畑で自給自足している野蛮人と変わらん、くだらねーことしてるぜ、ばーかばかー」
「書けない奴の僻みだな」
「てめーは書けんのか!ぶっとばすぞぉー!」
「書けないに決まってんだろうが!」
「逆切れかよ、てかお前、わたしと同レベルのクソ凡人ゴミ屑かよ、死ねよ」
「辛辣すぎるだろてめぇー、ちぃ」
「あー大声出して疲れた、ちょっとバナナミルクを作って来い!」
「誰がお前の言う事を聞くかよ」
「そうか、だったらもうお前とは絶交だ、給料も減らしてやる」
「はいはい、クソ社長がくたばりやがれ」
さっさと部屋の隅に行き、こいつが見えないように粉末で作る、冷蔵庫から氷を出して水道水で作っているが、こいつは気づかん。
「ほれよ、上手いから有り難がってみせろ」
「いやだね、こんなモノ程度で、わたしに媚びを売れたと思わない事だな。
お前はその尻尾を振りたくって、一生を尽くす事で、初めてわたしの一握りの寵愛を得られるのだ自覚せよ」
「はいはい、くたばってくださいませメイア様」
こいつは正直、一小説家に止まらない。
メサイア図書館の有する英知の結晶だ。
常時、思考能力の全てを創造に費やす、エルクシールなサヴァンを世界に発動する存在だ。
生命は英知の輝きによって生かされる、長寿が生き過ぎた存在は、死ぬか英知に縋るしかない状況だ。
そういう存在が自己崩壊して、人格破綻に至らない為にも、こいつは頑張っているのだろう。
過去に偉大な功績を残す存在達も、存在堕落せずに、のうのうと平穏温和に平和に生きていたりするのも、実はお陰なのだ。
「まあ、その搾りかすで、最後に残った自我で動いているのが、こんなガキみたいな人格ってのが、また詰らないよな」
「クソ電波サイコ野郎クソ男が、クソ馬鹿ゲーのキャラクター並みに、意味不明な事を言っているんじゃない、主語を明確化させよ」
「はいはい」
「かぁーくそ詰らん、世界が色褪せてきて、色を失ってきているぜ、最悪最低だぁ。
しょうもなくて、詰らなくて、ぜんぜん楽しくない、可笑しくないー、面白くないー。
誰か早くもっと高次元に、果てしなく連続で同時多発連鎖的に無限大に爆発ビックバン的に、世界を創生してくれよぉー」
「確かにな、だが良いニュースだ、アウルベーン問題とか、興味ないのかお前?」
「ばーか、あるに決まってんだろうが、わたしはあの問題の第一人者といっても、過言じゃない」
「ほお、じゃあ、どうやって参入するつもりなんンだ? ぜひともお聞かせ願いたいね」
「ああ、図書館としては、運命力の輸送を任されたいな。
現地で創造するには、おそらく物理的な法則が違い過ぎて、難しい、略奪まがいの法を犯すのが無理なら、輸送に頼る事になるだろう」
「現地は、アウルベーンという超存在以外にも、イルミナートって言う小世界が存在として在るらしいな、あれは利用できるのか?」
「難しいだろ、とにかく、後付け的な運命力が無いと、何もできなくなるってのは常識だ。
私達は優先的に事態に介入する権利と引き換えに、投資をするってことだな」
「そうか、目算として、どれくらいで利益を算出できそうだ?」
「まずは下見で端末を送って、第467階梯が、予想とどれだけの誤差を持つか知る必要がある。
情報としては既に在る、が、実物と予想値が違うのは、まあ避けられんわな。
加工して、実用的な英知としての資源にするには、ざっと、幾星霜かかるか知れんわな」
「はあ、気が遠く成るな、だがやらない選択肢はないから、やるだけか」
「そうだろうが、その為のありとあらゆる努力を今してるんだ、てめぇーもラブリーな美少女と駄弁ってないで、なんかしろ」
「お前の退屈しのぎをしてやってんだ、これも重労働だろ、それも知的な致命的なストレス負荷のかかる、な」
「ああ? 美少女と話せてんだ、あたしはお金をもらってもやりたくない、お前なんかと話してやってんだぞ、有り難がれよ、土下座しろよ」
「いやだね、お前みたい高慢で鼻につく、美貌を自慢するしか能力の無い低脳に、どうして俺が傅かなくてはならん」
「ちぃ、今はALC、自動レベルコントロールの許可が下りないな。
どうやら、お前を屈服させるのは、今回全世界的に見て、必要がないレベルの細事だったらしいな、ざまあみろ」
「ざまあはこっちの台詞だ、俺に苦痛と屈辱を与えたかったらしいが、残念だったな無理そうで」
「アホが、あたしはただ命令するだけで、本当はお前が跪いて足を舐めるのを、知っているんだぞ。
ただ、あたしが心の底ではそれを望んでないのを、お前が勝手にくみ取ってくれるから、楽なもんだぜ」
「俺は本当に、そんなクソみたいな変態思考をしてないわけだが、まあ勝手に思いたければ思え」
「うるせえですよ、てめぇーは、女の足を舐めるくらいでしか、快楽を享楽を享受できない哀れな変態男の分際で、
この英知の結晶体であるあたしに、偉そうに接するんじゃない、虫唾が走るんだよ! くたばれ!」
「もう、うるさい、きゃんきゃん騒ぐしか能力の無い、クソ女か、一度しっかり躾けてやるべきか」
「やってみろ、お尻ぺんぺんして、屈辱を味あわせてくれよ、
そんなこと、チキンで矮小な精神しか持ち合わせてないてめぇに、出来る訳ないけどな」
「ちぃ、俺が優しい男だからって、どこまでも調子ずきやがる、まあいい、見過ごしてやるから、いい加減黙れ」
「やなこったですわ、てめぇーが泣いてわびるまで、この遊戯は永遠と続くんだよ、ばーか」
「なんだ? 本当にいい加減に、俺を怒らせて、苛められたいという、誘い受けなのか?」
「うるさいんだよ! 、この変態である事しか存在意義が己で見いだせないゴミめが。
どうせ露出狂みたいに、純粋無垢な幼女に己の汚いモノを見せつけて、影響力を持つ実感みたいなのを得てるんだろうが」
「俺が、本当にそんな事をする奴に見えるか?」
「見える見える、てめぇーはどう考えても、そういう俗物の低廉なゴミ男だもんな、雑魚が、馬鹿が、脳なしのでぐの棒」
「ちぃ、言ってろ、お前がいくら云い募ろうが、俺の存在にいっぺんの実際的な影響は皆無なのだからな」
メイアは罵詈雑言の舌が疲れたのか、そこで黙って、ぶすっとした顔をする。
「屈辱だろうが、てめぇーと話しても詰らない、どうしようもなく楽しくない、しょうもないしょうもない」
「うるさい奴だ、なんで俺がお前に娯楽を提供しないといけない義務が発生するんだ」
「発生するだろうが、美少女だぞ、てめーは対価として、お笑いくらいは提供できて然るべきなんだよ、雑魚」
「ちぃ、うっさい、うっさい、キャラクターがゴミな癖に、絵だけで売ってるエロゲーみたいな奴が」
「へえ、そういう語り口できたか、面白いじゃないか、
確かにあたしはゴミだ、だが見た目は神だ、どうだ、これだけでてめーはあたしを崇め奉るべきだろうが」
「いいや、違うね、見た目は美しい、確かに認めるけど、全て口調が台無しにしてるから、無為なんだ」
「はぁ、確かな価値を認められず、そう言う事しか言えない、ゴミ男の典型的な例だぜ、くだらん」
くだらない会話だった、だがコイツのヴィジュアルは神だった、ただそれだけ。




