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第一次平行世界‐連合と帝国の永久戦争

   


「はぁ、この空の箱舟って、見た目が完全に空中戦艦だけど、大丈夫?」


「総帥、大丈夫とは、なにをさしているのでしょうか?」


「さあ、いろいろさ」


 この箱舟は今、大陸中央を浮遊して、高速で連合の首都に向っている。


「シャル、妹は連合側の観測者が隔離しているからね」


「あなたの言葉が、如何ほど信用できるのかしらね」


 総帥直属の秘書官の顔から、もとの黄金の姫の顔にもどる彼女。

 そう自分は、この少女をついこの前において手中に収めた。

 はるか天の先の果ての先にある、黄金郷。

 そこまで、気が遠くなる歳月を経て、スパイが到達。

 普通に暮らしていた妹を奪取したのだ。

 それを脅しの材料に、この黄金の姫、ジョーカーを従わせるという、

 無上と言っても良い、悦楽的行為をおこなうことができるようになったのが、まあ最近だ。


「まあ、話を戻すよ、そろそろ大陸の中央、観測者の穏健派がひしめく、

 エクスラ、正式名称、エクストラシャペルンを通るね」


 そこは、第十三階梯よりも上、第十四階梯以上の、絶対観測者特権を持つ、

 とくにこの世界の非人道的な面に憤りを持ち、なんとかして犠牲者を減らそうとする集団。

 まあ上も対処できるのに、しない面もあり、この世界を

 観測者も含めて楽しめる様にする為の、対観測者用のゲーム要素みたいなモノと思ってかまわない。

 この世界における中核観測者勢力に比べれば、なによりも数が少ないので中規模勢力どまりだから。


「おそらく、通るときに総攻撃があると思うから、カリスマ性値の高いユニークキャラクターの、強化魔法、

 一般兵に能力ボーナスを、もう最大限で連発していいから、やっておいて、

 必殺技は出し惜しみしないように、帝国で、帝国の牙城、

 この空中戦艦を唯一迎撃できる、むしろその為にあるような、あの、対空中戦艦を想定して作られた、防壁、

 それを突破するまでには、インターバルがあるから、ここで出し惜しみは意味がないからね」


「わかっているわ」


 エクストラシャペルンは、大陸の中央、巨大な大海の上に存在する。

 彼らが得意とする専売特許、海洋プレートによる、浮遊大陸の構築による超巨大都市。

 人口は1000億人程度。

 もし上空から、あの町並み都市を一望できれば、

 スケールのでか過ぎる、だが緻密な、壮大なジオラマが鑑賞できるだろう。

 噂では、都市全体の芸術性も高めて、そういう世界が与えるボーナス補正もついていると聞く。

 まあ、この世界はゲームなので、そういう芸術性を考慮して、町を作ったりすると、当然補正のボーナスがあるってね。


「前線基地を通過したわ、一般兵の能力値が300%アップで推移中、全軍突撃で、最速機動でいいですね?」


「ああ、よきに計らって」


 これによって、この空中戦艦を、敵は迎撃できないのだ。


「さて、ここを通過すると、我々の領域都市をいくつか通るね。

 そこで、特に必要なのは、必殺技、それも大規模破壊に特化した、を持つ人材。

 あれ?

 戦艦機動中は、ユニークキャラを、どうやって地上から引き上げるのかな?

 ねえシャル、マニュアルを持ってきて」


「いえ、わたしがやるので、もういいです、それにもう既に通過して、

 さきほど言った人材を、幾人か取り逃がしてますから、権限委譲をお願いします」


「はいはい、お願いね」


 シャルが端末を操って、必要な人材を引き上げる。

 いや流石だ、自分よりも能力が高い人材を、あごで使う快楽よ、たまらないね。


「揃いました、総計で382人、事前に収容した人員とあわせて、709人」


「うん、まあいいね、帝国の牙城と相対するのに、申し分ない勢力だ」


 帝国の牙城。

 それは対大量破壊に特化した超兵器に対抗するための、防衛要塞だ。

 正直な話、ここを抜ければ勝ったも同然だ。

 この戦艦で、帝都を襲撃して、重要人物を取り押さえれば、事実上の勝ちだ。


「それで、どうやって、この終わらない戦争に終止符を、うった振りをして、続けるの?」


「そうだね、これからの流れを、シャルくらいには知っておいてもらってもいいね。

 シナリオはこうだ。

 まずは連合の始祖姫を、処刑する勧告を出す。

 そして、近衛の騎士たちに、意外と階梯の高い連中が十人単位でいるから、

 彼らを覚醒させるイベントを起こす。

 円卓のほにゃからって、なかなかにカッコ良い歴史を積み上げることができるだろう。

 そして始祖姫を救出させて、空中戦艦を内部から完全破壊させる」


「なるほどね、了解、そして、私達はどうするの?」


「適当に逃げ延びるさ、死んでもいいけど、

 そうすると覚醒した騎士たちを含めた、連合と帝国のパワーバランスが悪くなる可能性もあるしね」


「話はそれまでよ、帝国の同盟国から、同型マイナーチェンジーの空中戦艦が合流、操作を委譲されたわ」


「そっちの操縦はお願い、自分はこっちで手が一杯だからね」


 そして終に見えた、帝国の切り札にして最後の防波堤が。


「あ、ごめん、必殺技って、どこで、どうやって使うの」


「死んでください、もう手遅れです、

 その操作は、何回も修練して、やっと使えるものよ。

 そして高速操作で、戦艦のすべての必殺技を連鎖的に使うもの、

 内部人員の必殺技も、よ、もう駄目だわ、

 ここは突破できない、撤退の許可を」


「駄目だね、船体ごと突っ込んで、突破できる可能性が高いよ」


「戦死する可能性も高いわね」


「別にいいよ、別の奴に成り代われるから」


 そう、観測者は、絶対観測者特権の、自分より階梯の低い観測者と、成り代われる。

 だから死んでも良いし、オリジナルの自分は絶対存在級の不死性を持っているわけでもあるし。


「最悪ね」


「ああ、ここどこかな?」


「連合の首都の、端の小国のはずよ、最後に見た地形情報から墜落の軌道をたどるとね」


「ああ、これから、また、クライマックス、楽しくなるところまで、時間があるね。

 もう自動操縦にまかせて、オートにしよう、

 シャル、別の平行世界に飛ぶよ、いいね」


「はあ、おおせのままに」

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