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レイルとリリー‐指回し系統のエアタイピングとか極めてる奴いるのかい?☆☆☆☆



「ハッキリ言って一定以上で極めれば、自給自足できる形の人間スキルで最強レベルだろうコレ」


 レイルちゃんとの出会いは運命的だったねぇ~~。

 激しく胸が高鳴り、生まれて初めて感じる類の、果てしない心臓の動悸であり、

 「ああぁっ今わたし胸がきゅんきゅんしてるうぅ!」って自覚できたのがあの時だった。


「私は完璧に会得している、あとはその技術を転写する為の物理現象を誘発させる素材の多さが重要なのだが

 まあそれは、良い」


 とにかく素敵だった。

 過去を回想して、もっともっと美化してみようと思う。

 数学の時間というのは、別名、私の中で妄想の時間なのだから。


「お前だ、お前が恐らくは、まだまだ初歩の段階で、この可能性に気づいているのなら、注意しろ。

 その技術を完成させるのは、茨の道を歩むことになるだろう、と。

 既に、完成に至っている私からは、、、私だけは忠告できるのだ」


 其処は、天蓋を覆う空が割れそうな、遮光の陽光が溢れる学校の屋上風景。


 それは、ある意味で幻想的な、酷く中二病の魂が揺さぶられる、そんな世界の終末を歌いだしそうな神の黄昏時。


「その技術は、身体を限界超えて起動させて、

 なお且つ精神的な技法で安定して扱えなければ、己の身体を己の力量で壊す」


「知っている、よ」


 わたしは言う。

 この技術は誰よりも、良く知っているつもりだ。

 たぶん、この時までは、私だけが知っているつもり、だった。

 全人類すべてを見回しても、私だけしかしてないような、特異で高次元な領域に存在する、異能で異端な技法だと思っていたのだ。


「まあ、例えになるが、お前が旅館卓球のような低強度でしか、この技法を使わないなら、問題無い

 だが、スポーツ卓球のようにアクロバティックに、ダイナミックに、サイケデリックに、この技法を扱うなら直面する問題だ」


 その絶対の確信が打ち破られて、己の精神世界に、土足で踏み入られた気分だったのだ。

 そう、目の前の彼女、少女は、わたしの目から見て、一目瞭然、その技術をわたしよりも高度に扱っていたのだ。


 

 わたしは屋上で、日課のエアータイピングをしていた。

 彼女は言う。


「高度な精神制御で、安定して扱う事が、ほぼほぼ前提なのがこの技術だ」


 踊るように、舞うように、強引に力強く、身体能力と精神を超過させて、

 知性によるアシストによって、わたしの機動は、変態的だが、高次元な軌跡を描いている事だろう、

 と、わたしは私を客観的に見つめていた。


「若い内に見つけたなら、まだいい、だが老けてから見つけたらヤバいモノだろう」


 わたしは屋上に居たのだ、だが屋上には更に高い場所、貯水槽の上という場所が存在していたのだ。


「なぜなら、この技術には人生を投げ打つほどの魅力があるからだ、あるいは武道のようなモノだからだ」


 わたしはこの時、初めて、そこに人が居た、舞っていた事に気付いたのだ。

 一見して、わたしは初見で、それが私とほぼ同じ業である、技術体系に基づく技だと、術だと見破った。


「技術が完成に至るまでに、掛かる肉体的な負荷が高い傾向にある」


 自らをビデオで客観視している様な、それを実物で見ているという、現実的には不可能な所業なのだろう、

 私は、とてつもない、現実ではありえない、ありえてはいけないような、そういう現象として感じた、


「それに高度な大道芸のように、中毒性が高く、身体に負担が掛かっても、やりたくなってしまうのがキモだ」

 

 それは自らの分身、ドッペルゲンガーと遭遇したような、酷く不安感を駆り立てる、

 だがそれは、同時にカルタシスでもあった


 退屈な日常をぶち壊す、破壊の号砲、

 運命の破滅的な衝突、

 わたしはなぜか、この時、酷く死を覚悟していた。


「そう、この技術は、客観的に見た場合の見目が麗しい、恋なんて低次元な物理じゃ解明できないほどに、

 もちろん、この技術の根底から枝先まで続く、連綿なる流れを読み解ける、同じ技術の保持者じゃ無ければ、奇異にしか映らないが。

 それでも、お前は一目で私に恋しただろうし、私だってお前に恋慕以上の何かを確信した。

 そして、この技術は、とある世界、ここよりも高いレベルの何所かの世界では、、、全てを創造する神格万能の利器となる」


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