エクストラシャペルンに居る、俺の唯一無二の読者的な存在?☆☆☆☆☆5
ぶっちゃけ、ルヘルだ。
ながい銀髪で、ちっちゃい、でも超絶ウルトラミラクルハイパー、暴力的なまでに武闘派な美貌を持つ、可愛い女の子だ。
可愛すぎて、俺は一瞬で一目惚れするわけだが、
まあ、この愛しすぎる愛しさ、あいしさ、って奴はプラスして事情がある。
「なあルヘル、俺の物語って、おもしろいかあ?」
つまりは、”これ”だ、いま某大規模ネット小説投稿サイトにやってる、これの話だ。
「いいえ、詰まらないですよぉ?」
ルヘルも執筆している、無敵のネクロマンサーとして生き、様々な平衡世界から魂という魂を鬼集する彼女は、
既に言語体系が常人とは離れすぎている、執筆している言語は日本語のようだが、一見では、
いや十見しても、意味の33%くらいしか平均して読み取れないものだ。
「でも、俺の書く物語をチェックしているんだろう?」
「はい、ライフワークですから、
でも、勘違いしないでください、
それは貴方の書く物語が面白いのでなく、私の退屈な人生から見て、暇つぶしになるから、わざわざ観て上げているのです」
俺の方は直接言わないが、俺がルヘルの書く正体不明で意味不明な物語を読むのも、同じような理由である。
そして、そのルヘルの書く物語に、俺の物語の要素が随所にある、みたいな所があると、
とてつもない同調感、シンパシーのような、共感、
まるで、この超絶に可愛い、魅力にあふれる少女と、一つになったような例のアレ的な感覚で、
とても嬉しくなって、すごく目の前の少女が好きになってしまう、愛しいと思えてしまうというロジック回路であるのだ。
「今、貴方の考えていることを読心したのですが、意味が分かりません、何を考えているのですか?
どうして、そのような考えに至るのですか? わたしには皆目見当がつきません」
「俺の方こそ、だよ。
心が読めるのに、心が読めないの?」
「それは、言語としては100%、間違いなく貴方の心が分かりますが、ニュアンスが意味不明です。」
ルヘルは底知れない透明な瞳、空の色のような鈍色のような、光の加減か、今は薄霧の張ったような有様。
「なんなんですか? どうして、その思考回路で、わたしに好感を抱くのですか?
実際上の数値では、私からの干渉値は限りなくゼロなのに、
貴方の書く物語なんて、わたしはわたしの描く理想の、素晴らしい世界の参考にした、つもりは少なくとも自覚は無いのですよ?
それなのに、勝手に、そういう風に思われて、不快ですね」
「嘘だ、俺のことルヘルは好きだから、そういう風に真似っこ、してくれているんだと、おれは思ってるんだよ?
でもルヘルって、ときどきツンデレだから、そういう風に言うんだね、そうなんだね」
「気持ち悪い、ネコナデ声で、気色の悪い人ですね、、、、死んでください」
それだけ言って、執筆に戻ってしまう。
俺は画面を観て、何となく俺の物語に被ることがあって、嬉しくなって、ルヘルの首筋に抱き着いて、耳もとに口をよせる。
「ルヘルぅー、好きだよ、すきすき、だいすき、しゅきーーーぃ」
「ああもう、うざったい人ですね、、、なんなんですか? かまってほしいんですか? さみしいんぼうですかあ?」
「そうだよー、ルヘル、かまってよぉお~~、
だいたい、このルヘルとの絡みも、俺は物語にするつもりだからね、
もっとなんか、物語が面白くなるような、ことしてーーーっ」
「勝手なことを、好きかって言って、どんだけですか貴方は」
ルヘルは不満げだが、どうやら付き合ってくれるパターンのようだ、気まぐれかもしれないが、、、。
「そして、ここに来たと?」
俺は「はい」と答える、ここは某エクストラシャペルンに暫定本部を置く、
極点AR、つまりは世界の真理、まあ俺の図書館だな、を置く、星図読図書館、
まあ俺は、自分が世界の神の化身、ネットワークの中心点とか、言ってないから、その方が面白そうだから。
「なんか面白い事ないですか? 俺いま、この状況も小説の、ああこのセリフも脚色するかもしれないので、書くんですけど、
とりま、なんか面白い事いってください、お願いします」
「ルヘルさん、魔本の方はどうですか?」
司書長、あるいは所長のお姉さんは、苦笑いで、華麗にスルー成された、まあ察してあまりあるので、俺もスルーされた事をスルーすることにした。
「ええ、魂の情報を精査して、魔本のようなモノを把握、情報を提供しているわ」
「そうですか、ありがとうございます、
何度も言いますが、魔本は世界の害悪です、除去・切除しなければ」
魔本排斥主義、この世の異端としての、というより最先端とも言い換えられる、それらの要素、
まあ、根本的に主導しているのは、俺の訳だが、
だってそりゃしょうがない、この世界は成り立ちからして、新領域に常に脅かされる。
今という世界、今という俺の自我の防衛反応的に、それは仕方がない必須なのだろうがよ。
「それで? ルヘル、集めた魔本を利用して、何をするつもりだ?」
それから、無暗に図書館を巡って、背の高い所にある本をとってやったりしながら、
日がな一日を過ごす中で、何気なく聞いた設問が真理をつくことも、まあママあるよな。
「世界の救済、、、、いえ、魂の救済です」
「ほお、初めて聞く設問に対する回答だな、
ところで、俺ですら魂の最終到着店は知らないんだが? 魂を司る特異点存在として、そこら辺の件については、どうなのよ?」
「知りませんよ、そんな世界の真理に興味はありません、
所詮、真理は残酷なモノ、それは神が定めた、逃れえない摂理、
少なくとも私は、この辛い現実を生きた実戦経験から、それを固く、確信を革新的に盲目的に信じると心情にしています」
「つまり、自分を救う為に、魔本を利用すると?」
「いいえ、そんな事はしません、
ただ、わたしは世界は救いが無いことを、”知っています”、
ですが、世界を真に救ってくれる人が”絶対的に必ず居る”事を、”信じています”」
なるほど、英雄の種族と呼ばれる奴ら、こういう信仰心を糧にして、世界に必ず出現する、特異点存在。
「ルヘルは、英雄願望者だったか?」
「はっ、はいっ、お恥ずかしながら、子供のころから、私はそういうお話に目が無く、
私が物語を書くのも、少しでも、そういう現実への代償をしたくて、、
って、、、何を言わせるのですか、貴方のような屑に、こんな話をっ」
珍しくテンションの上がった語り口調を、俺が観ている事を自覚して、
開いた本を少し勢いよく閉めて、自制するような反応、まあ普通に萌え萌えだった、死ぬかと思ったわ。
「いいじゃん、いいじゃん、俺も好きだよ、英雄。
メサイア図書館の先代、英雄の中の英雄、
セフィロトの人類救済計画とか、歪んだ終焉の終わりの騎士とか、もの凄くむねあつ、
あの世界の方向性が定まっていない時代に、全てが旨く、+の正しい方向で決していれば、世界は幸福で満ちていたのだから」
「まあ、そうではあります、
ですが、それはそれで、人間の感情的には、情熱に欠ける気もしますが、
無限の虐殺も、無限大の不幸も、
人間は数値的に娯楽に変換できない感情すらも、何もかもを超越して進化するのならば、
この胸にある空虚な絶望感も、いつかは笑って流すことができるのでしょうか?」
「くっくっく、
それはね、この世の創造主、
この世界を物語のように一から創生して、全ての運命を弄ぶかのように操る、
まさしく、神のような奴じゃないと、それは絶対にできない事だよ、俺は知っているんだよ、そういうことをね」
俺の暗い笑みに、ルヘルは不思議そうな顔をする。
この嘘は見抜けないように、俺が世界の裏側の核心的な設定の領域を操作している。
だが状況証拠的に、嘘がバレている事は知っている、演技で絶対的に100%真実であることは隠せるだけだ。
「やはり、、、貴方が、この世界の神ですか?」
「ほお、その根拠は分かり易いよ、
ルヘルがネットに投稿する例のアレ、
俺が、この全世界から、ピンポイントで見つけ出す可能性、
この広い世界で、ルヘルとタイミングよく、空白のトキを跨がずに、同座標の時間軸で、出会える可能性、
その他さまざまな可能性を考慮して、
天文学的な確率、以上の、これは全世界的な宇宙の神秘すら、あるいは届く、運命としか言えない、
つまりは、神が関与していると、ルヘルは乙女チックに、ロマンチックに、思ってしまうわけだ」
「あの、いえ、貴方の、その語り口調で、ほとんどかぎりなく100%、黒なのですが、
あのそのドヤ感が、つーかどや顔が殺したいほどウザいのですが?」
「でも、俺が神だと、世界すら超越する奇跡的な運命的な出会いを、
ただの全世界を支配する神という名の俺の、ただの気まぐれの意志だと、ルヘルは認めたくないわけだぁ?」
「あのその、どうでもいいので、そのドヤ感マックスな語り口調をやめてください」
「嫌だよ、ルヘルが泣いて懇願するまで、俺はこういう有様をやめないよ?」
「殺しますよ?」
本気だった、ルヘルの持つ最大装備、
零艘アンティマティカルノ・オブレースノーブ、
名称のみ本人の核心的な明言で判明している、正体不明、設定不明、
だが、全世界の魂の循環の、おそらく限定的な直接操作能力からして、
相当に万能にして高位、この場合の高位とは、俺にとってという価値である。
「いやだね、殺されたらたまらない、それに好きな女の子だしさあ」
「その薄ら笑いをやめて、人を食ったような語り口調も、
、、、これいじょう、貴方を、わたしの貴方を、本心から疑わせるような言動は、、、ほんとうにやめて」
泣きそうな声だった、俺は心が痛んだ、
だが、これこそが観たかった、のだ。
俺は最低の屑だ。
本心から好きな女の子が、不安定な状態で激高して、悲痛な心に涙しそうな、この状況、今が何よりも、純粋に、楽しいのだから、ね。




