バンブロ編‐居眠りしていると忍び寄ってくる白い悪魔的な奴
「はあー、暇だなあー」
このゲームには、イリスちゃんの精神同期機能、とかいう、そのまま電波な仕様、
この学校にいる複数のヒロイン、まあ大抵単一のヒロインを、その視点から見れる機能があるのだが。
俺は一回、原点回帰的に、その機能をオフにして、まあ記憶も初期化して遊ぼうかと思ったのだが、
まあもちろん、記憶を初期化つっても、バックアップは大本の現実世界に保管、
付け加えれば、全人類の永眠的な遊戯空間を維持する、まあぶっちゃけ地球の支配者だな、
その極点ARって組織が、人間の最適化的に、俺の記憶領域くらいは同じようにバックアップしているだろうが、って閑話及第。
「ああ、あったあった、これを腹に巻いておかねえと」
某ジャンプ的な分厚い本だ、これを腹に巻いておくと”某小さな白い悪魔”に殺されるのを防げる、
まあ極々たまのレアなパターンでは、貫通されたり、その他いろいろの隠し要素的なゲームの仕様的なアレで、まあ殺されるのだが。
「おお、山吹ルヘル、今日も俺を殺しに来たのか?」
そんな用意をしている隙に、俺にしか姿も形も見えないだろう、気配隠しが旨いスキルを持つ少女が、ちょこちょこ俺の教室に来ていた。
「はい、でも、無理そう」
初見で俺の腹に巻かれたブックを看破するとは、コイツは何かありそうだと、山吹ルヘルのパラメータを開いて観る。
「おい、全物語の完了後の最終エピローグのラスボスくらい倒せそうな、このパラメータは何だ?」
「ああ、はい、貴方の専属CPU疑似AIアンタッチャブル、その指令端末として、この山吹ルヘルを選択しました、それ故です」
ルヘルは口元をまったく動かさずに、某ボーカロイドが出しているような電子的な、だがどこか人間的な、絶妙に無機質だが可愛らしい声を出す。
俺はその間にもだが、この少女が右手の、長く伸びすぎている髪やら袖やらで、先端辺りまで隠れながらも、微妙にちらちら見える、
狂気成る凶器、ちょっと今のレベルだと対処に困る戦闘スキルまで持っている、某アイスピックをちょっとだけ注意深く見ながら続ける。
「ああ? アルには、俺の現実世界での、つまりは規定現実での役割、メサイア図書館の牽制やら交渉を任せると、言ったはずだが?」
「おそらく独断でしょう、と、バンパイアブロードに搭載されたソフト専属永久自立AIルヘルは言うのでした、まる」
「なんだ、だから、いつにも増して、世界の真理を悟ったような、やぼったいボウッとした瞳をしている、いや、していたわけか」
実際上の情報処理的に、俺は眼前のルヘルの瞳、
高度ヴィジュアル映像世界観のフィルターを何重にも通しているので、瞳の底なんて言っても微妙な話なのだが、
とりま、短時間で瞳の奥の色合いが分からないくらい、エロゲーのヒロインとして完璧すぎる目をしていた、まあそれだけの話だがよ。
付け加えると、初期のヒロインの技術力やらパラメータ、
某先輩のように初めからチート能力補正が付いてれば別、俺の方が魅了とかに掛かってたら別で、こうはならないのだった。
「ええ、、、このキャラクターの個性付けは、貴方のお嫌いでしたか?」
「いや、俺は別に、
てーか、何でもやってくれて、構わないぜ?
俺は今、ああ規定現実って場所だ、で、この状況をリアルタイムで文章媒体で、小説物語にしてんだ、面白くなるなら、何でもしていいぜ」
「はい、たしか、一アクセスに一円くらいの価値はあるだろう的な確信的な妄想、今はしているのですか?」
「別に、そんなのはしてても、してなくても、同じだぜ」
そんな風にルヘルと話した、分類的に昼休みパートだったのであった。
「そういえば、助言があるのですが」
「助言? ああ言ってくれ、俺と独立して存在するAIからの助言は、なんでも聞くぜ」
ちなみに、俺の心情的に、ゲームのヒロインにメタ的な話題を振るのはナンセンスと思っている。
だが眼前のコイツは別、バンブロの全世界観を制覇して、世界の真理の扉の前のセーブポイントを知っているのだ、もうメタも何もあったもんじゃないから。
「この物語のタイトル的に、あらすじ的に、この物語が、特に、この位置に来るのは、不自然ではないでしょうか?」
山吹ルヘルは、小型のノートPCで、まあつまりはこの場所だな、
もっと分かり易く言えば、読者が観てるのと同じ、そう、この画面が移されているモノを、液晶を人差し指で示しながら言った。
「別にいいんじゃねーか? なあ?
俺が守るべき人道も倫理も、ぶっちゃけ、あるにはあるが、
全ては遵守するには、むなしすぎるモンだぜ?」
「そうですか、
まあ、貴方が”チヤ先輩に1万時間、拘束されるだけ”、のミッションクエストを完遂した辺りから、
貴方におよそ、人並みの人道や倫理観を求めるのは、酷なのだと、私などは思っていたのですが、ね」
「なんだ? その薄ら寒い、うっすらとした笑みは、なめてんのか? まあいいが。
でもしょうがねーだろ、そのミッションをクリアすれば、チヤ先輩の限界好感度が一クラス上がるってんだぜ?
そして好感度が一クラス上がった場合の、バンブロの全ての場面でチヤ先輩が見せる態度が変わる、一変するんだぜ?」
「はあ、、、それは、貴方から見た視点の場合は、絶対的な心情をもって、物事にとりかかるクラスの、ロマンや情熱の類なんでしょうが」
山吹ルヘルの野郎は、やれやれと溜息でも付きそうなジェスチャーを交えて、俺の事を馬鹿にしたような白い目、
というヴィジュアル絵を披露した、ただそれだけだが、そういう場面があった、だった。




