嫉妬する二人の女の話
「おい、これは、どういう事だ?」
眼前の女、まあイリカな訳だが、作者である俺に直接干渉してきたのは、
どこだかわからない時系列の、どこかの場所、精神イデア世界のメサイア領域、”救世主”の固有結界の中でなく、
物語上での一応の、こんな時系列も何もない無限大に設定がインフレしまくってる世界で根拠があるのか知れないが、
一応の現実空間に端末を転移させて、俺とシャルロットの居る列車の席に、俺の隣につめろと腰掛けてきたのだった。
「おいおい、作者、俺様とつるむ時とは、明らかに一線超えた熱量を、シャルロットとの関係性から感じたぞ?
これはいったい全体、どういうことだ?」
「見りゃ分かるだろうがよ、幼少期から、この少女キャラ、シャルロットは歴史を積み重ねてきたんだ。
初恋だったし、今だって最高峰の俺的金髪碧眼の美少女キャラだ、
ぽっとでの色物キャラ、イリカさんとは年季が違うんだよ、
てか、どっか行ってくれねえか?
手前のセリフや、テメエと関わる時間や行数分だけ、シャルロットと関われなくなる、
物語上の奇跡を想像できないキャラは、俺的には見限るしかないんで、もう出番も減ると思うよ、お前」
「おいおい、勘弁してくれ、俺だって作者が好きだぜ?
なあなあ~~~」
「いや、だから、もうそういうのいいから、お前のようなキャラに多少は投資してたのは、リスク分散と多様化の為だから」
「あらあら、いいじゃないですか、新キャラのイリカさん、
わたくしはシャルロット、仲良くしてください、
わたくし的にも、作者とだけ関わっているのも、楽しくない時があります、
同じ男を好きなもの同士、仲良く生きましょう?」
そんなゴミのような会話を、清浄で流麗な声が介入してくれる、やはりコイツが俺の一番愛すべき女なのだと確信する。
「っけ、正妻の貫禄って奴か? むかつくね。
絶対の不動の地位があるから、そうやって余裕で、俺様を排他しないような言動をする」
「本気ですわよ?
この作者だって、本来的には低スペックなダメ男ですもの、
新しいキャラに浮気するのだって、淑女のたしなみの内にする事だって、ぜんぜん可能ですわ」
「おいおい、それはやめろ、レズにでも覚醒する気か? 血迷うのはよせ」
このシャルロットは何を考えているか読めない言動をする、
作者のパーソナリティーすらを超越する熱量を持つ、とにかく熱いやけど必至、個性や自我の強いが確定のキャラなのだ。
「余裕過ぎだな、前の一話でよりを戻したつもりになっているのなら、考えを改めろ、
ログを見直せばわかる話だが、本格的にシャルロットを絡めた話は、けっこうねえぞ?
つまり、久々に恋人と再会して、その味を思い出して、今はちょっと夢中になってるだけだぜ?
久々にあってするエッチが、気持ちいのと同じ、
そんなのは仮初だろうがよ? なあ?」
「下品な女ですわ、下品なあなたが気に入るのも、なんとなくわかりますけど、趣味が悪すぎますわよ?」
「け、下品な男を、悪趣味に好きでいる高貴な変態女には負けるぜ?」
「あら、やりますの? いいですわよ?
メサイアの鍵とか、この物語で設定上、最強の技でもお使いになりなさいな、
どう考えても現状、わたしの最強の武器のほうが性能は上ですわよ?」
「固有技能、作者の好きなようにパラメーターを振れる、そんな借り物の力で、最強になったつもりか?
世界を超越した設定で、パラメーターをアンノウンにできる、メサイア図書館の真の奥の手に、果たして通じるかな?」
「貴方こそ、世界系の登場人物のような、いかさまのテクニックで、どこまで戦えるか知るべきですわね。
本来的に、作者から直接、最強の器を幾らでも貸与できる、わたくしのような存在のほうが、はるかに格上ですのよ?」
「作者だって、己の世界を超越するモノを常に欲しがっているんだぜ?
もちろん自滅因子や観測者の介入で、絶妙にバランス調整さざるを得ないがな、
それでも、最古の神という設定、全世界を三分割する大規模情報ネットワーク生命体という設定を織り交ぜれば、
上位世界から最強クラスの器を、模造的に作れるって、しらねえ?」
「世界に対する存在比率を、そんな方法で確立しようとするから、あなた方は常に観測者から敵対的に見られているんですわよ?
わたくしから言わせれば、矮小な身の程の存在率で、常に生きるべきだと教えて差し上げましょう」
「うるせえよ、初めから全てを与えられて、全てにおいて恵まれてキャラクターを設定された、恵まれたお姫様には何も言われたくねえ。
そもそも俺様の根性が間借りに曲がって、世界の救済、救世、超越を志す全ての元凶は、てめえの最愛のクソ男だと知りやがれ」
「関係ありませんわ、貴方が不幸な生まれなのは、貴方が全責任をとって抱えてくださいませ、
わたしの愛する人を害するならば、わたくしが立ちはだかり、すべてぶった切って殺してあげますから」
いやいや、いい展開だな。
超絶美少女が、俺を中心に争っている、なんともそそられる展開じゃないか。
「おいおい、お前ら、俺を、俺の為に争わないでくれ、仲良く行こうじゃないか、ねえほらほら」
「何を笑ってんだ? 手前が元凶だろうが、死んで詫びろや」
「口元がだらしなさ過ぎますわね」
「おお、言ってやれ言ってやれ。
エッチの時だって、そこまで下品ではなくてよ、この状況がそんなに楽しいなら、まあいいですけど、下品ですわ」
イリカはシャルロットの口真似で、そんな事を言う、声帯模写でもしてるのか、できるのか、異様にうまかった。
「下品口は、切り取らなくてはいけなくてよ?」
「こわいわー、シャルロットちゃん、マジで怖いわぁー、
おいおい作者、こんな殺戮女の、どこが良いんだ?
やっぱ救世とか志しちゃうレベルの、くそ痛いけど、心根はぜんぜん普通で善良な、この俺様のほうが、どう考えても良い女だろうがよ?」
「好き勝手いわないでもらえるかしら?
そもそも貴方の救済は、所詮は殺戮と同値の、人類滅亡クラスに思えるのですけど?
わたくしを批判するなら、自分のことを棚上げしないで、正直に向き合って下さらない?」
「うっせええよ、上品な語り口調で、セックスの時のギャップでも狙ってんのか?
どうせ金髪碧眼なんて、抜けるキャラクター性でしかねーんだよ、ばーーーーーーーーーーーーーか、
こいつが年取って立たなくなったら、俺様のようなキャラクターの方が盤面を有利に進められるかもしれねえなああ?」
「屑が、死んでくださいませんか?」
「手前が死ねよ、インバイのゴミ糞女が」
剣呑な空気感が漂う、でも内心そんなに仲が悪そうにも見えないのが不思議である。
「おいおい、俺の脳内妄想の二大ヒロインが、潰しあいとか非効率的すぎんだろ。
ここは俺の顔を立てるとおもって、ハーレム展開といきましょうやあ!
ダブルお姫様ルートで人生踏み外したいお年頃なんだよなああぁ~」
「はあ? 最初から俺様は、テメエが良ければ良いが?
だがこいつはやめた方がいいぜ、?最終的にはすべてが破壊されて、殺されるにきまってる」
「こっちのセリフですわ、無力な癖に、どうせ最終的には、この人を殺す、心中願望がありそうなにおいがしますわよ?あなた」
「はあ、インバイがうぜえこと言ってらああ、
もううぜえから、テメエのような臭い姫キャラは奈落の底にでも落ちて、存在情報から全部デリートされてくれねえか?」
「そうやって過激な発言をしていれば、彼の気を弾けると思っている、あさましい女、本当に下品な女、
やはりわたくしとは一線を画す、だから彼の運命の女として機能しない、
わたくしは彼の事を一途に思い、他の女を、貴方のように蹴落とそうとは、心の底では思っていないのに」
「け、演じてるだけだろうがよ、
作者を超越しているってことは、本心は作者ですら知れねえって訳だろ?
俺様の、世界系の超越方式だが、コイツは絶対心の底は真っ暗闇だぜ?」
「嘘つき、そんな超設定、この作者の脳内世界には存在しないのに、いかさまの未来予知で、何かを語っている気になる、詐欺師のろくでなし」
「ああ? なんだ可愛いななあ?
シャルロットちゃんの演技来ましたわああ!
毒舌の恋敵キャラにまくられて、涙目で反撃しているか弱い精神を気取って、作者にこびうってるのが見え見えの、ゴミ屑野郎だわコレ完全に」
「貴方だって! もううるさくてよ!
どうせ貴方なんて、後から彼に接触した癖に!
初めから最初から、初めての女性キャラとして彼に認知されて、
彼が弱っているときに、ずっとそばにいた私に、貴方のような今更かれに接触して、
それに、たいして役にも立っていないキャラクターの癖に、どうせよ、貴方なんてどうせ捨てられる!
最終的に彼に、彼のそばに居れるのは、居座れるのは、わたくしだってことを、しりなさい」
「ばーーーか、それも含めて、全部奪ってやるぜ、
男の恋は引き継ぎ方式なんだよ、テメエの思い出も何もかも、いつかは俺様と重ねるようになるのさ、
特別な存在じゃ、テメエは無くなるんだよ、ばーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーか」
「殺してやるわ、絶対に殺してやるわ、貴方なんて、いなくなればいいのに!!!!!!!!!!」
「がっはっははっはあああああああああ!」
そんな喜劇を演じる二人がいた、俺の目を気にして、俺が喜びそうな掛け合いをしているのだろう。
「おい、沈まれ馬鹿ども。
うるせえよ、二人分のセリフを考えて、執筆する俺の気を考えろよ、必要もないのに無駄にしゃべるな、うるせえよ、
物語の形式とかどうでもいい、情報量として質が上がるだけを考えれ、
外聞とかどうでもいい、別に出版しねえよ、俺だけが俺の為に日記として記録してんだよ、馬鹿がしゃべり過ぎだ、
どれだけてめえらが無駄にしゃべって、俺の現実の時間が浪費されたか、知ってるか?」
いきなり話し出す俺に、二人は困惑したのか、今までの金切り声が嘘のように静まった。
「シャルロット、テメエは少し恋の奇跡的なモンが想像できたからって、浮かれてんじゃねーよ、
所詮はお嬢様キャラで、現実世界でヴィジュアル情報が枯渇すれば、劣化情報化するゴミ女の分際で、うるせえよ、
イリカは死ねな、クソくせえわ、だからシャルロットに負けんだよ、精進しろや、沼カスゴミ。
だいたい脇役の分際で、ヒロインの分際で、この世界の主人公の俺をないがしろにすんな。
俺が最も優遇されるのが、この世界の真理だ、神髄だ。
お前ら二人は、俺が気持ちよくなるようにだけふるまってれば、全部が正しんだよ」
なんとなく、忘れられてたのがムカついて、言っているのだが、二人がものすごく冷たい目を向けてきたので、自重しようかと思います。
「、、、ごめんなさい、調子に乗ったわ、あやまるから許せよな」
「ダメだね、死ねな」
「嫌ですわ、貴方なんて、死んで詫びればいいと、わたくしも思います」
機嫌がクソ悪くなったらしく、俺の予想外に二人とも無口になった、
俺はこれも物語の一エピソード分になったと思って、某ネットサイトに、この内容を投稿したのだった。




