白のマリアと王国の覇者
今日も今日とで、俺は究極の幻想の完結という究極最終の未完成永遠の渇望を持って、生きていたのだ。
「失礼する」
剣のような、ようなか知らんが剣のような気を発する、女が俺の執務室に入室したのだ。
「善悪二元論主義者か」
「その言い草はなんですか? 私はただ善を尊んでいる、ただそれだけの絶対信仰者です」
「この世界に絶対的に信仰できるナニかがあると、本気で信じているのならば、
それは一言で言って、幻想絶対主義者ってだけで、
俺とは一生の程度で縁が無い、平行線をたどり続ける、相容れない奴って事なんだが?」
「妄言ですね、世界の方向性に定義されるレベルのイデアなのですよ? 善とは、神とは、絶対なのですから」
「規定現実において、知生体の持つ系統樹の、統合的無意識を集束させる七つのコア的産物程度が、神を名乗るかよ、下らねえ」
「貴方こそ、下らない範囲に収まっているようですが?
私はハッキリ言いますが、私の信仰が絶対でないのならば、私の信じる神が絶対になるように、ワタシがするまでです」
「それが最高位の剣聖の、聖剣の、最終的な意志かよ、善とは、神とは下らねえ、人間みたいなモンだな?
所詮は戦争と競争と、無限大の成長・拡張・飛躍主義者なだけじゃねーかよ」
「確かに、人間である私は間違います、
ですが間違ってはいけないのは、私の信じる信仰が、絶対に間違いのない世界の真理という事です。
だからワタシが間違っていても、人間のように無限に救いようが無い存在でも、関係なくなるのですよ」
「勝手に言っていろ、
それはつまる所が、人間程度の矮小な知的生命体の観点から言って、間違いが絶対が無い程度の、そういう認識レベルだろうがよ。
階層レイヤーを引き上げれば、即座に破綻・破滅・崩壊する、その程度の絶対真理が、俺にナニを言ってんだが」
「ふん、貴方と話していても、埒が明きませんね、本題に入りましょうか」
「こっちの台詞だ、さっさと要件をすませろ、馬鹿野郎が」
まあそう言ったが、コイツの言いたい事は大方において予想できる。
現在イルミナード王国は鉄壁だが、ソレ以上が奴らによって阻害されている。
その阻害している奴らは規定現実に基盤を持つ、絶対級の三大図書館群だ。
「テメエらは規定現実において、観測者級の特権を持ってんだろうがよ、さっさと奴らを裏側から殲滅できねえのかよ?」
「馬鹿ですか、私たちは所詮は管理されているのですよ、
その事実を忘却の彼方に置き去りにして即行動すれば、芽を摘まれるように消されるだけですよ?」
「絶対無敵に偉大なる、無限大の真なる作者って奴が、世界を神のように操るか?
だったらテメエの崇める神も、所詮はゴミ屑って話になんだろうがよ」
「我々の世界の方向性としてのコアは、観測者も含めた、知生体がそもそも前提として存在する上で絶対必須の構成要素です。
ですが、それも新領域の登場に代表されるように、絶対的に代替不可能なモノではないのですよ」
「で? メサイア図書館に裏で裏切らせて、その他にもいろいろと後押ししてやって、
どうして勝てない? イルミナードを円形で阻害している、この包囲陣を打破できない?」
そこで白のマリアは顰つめらしい表情をして、告げる。
「言わなくても、分かっているのでしょう? 貴方が原因です」
「ほお、無上なほどに果てしなく、神すら見通せないほどに、永遠級で遠方から、戦場の因果を支配・コントロールしていたはずだが?」
「もう一度言います、貴方が裏切っているからですよ?
それと付け加えますが、私は果てしないほど、この全世界で無双の夢想を極めるほどの、情報戦も含めた、いわゆる実践の実戦主義者なのですよ。
貴方は知らないかもしれませんが、過去に何度もあった全世界を巻き込んだ、世界大戦にも参戦していますよ」
「馬鹿がよ、知ってんだよ、全部。
テメエは世界の方向性・善における実戦部隊、”サンクチュアリ”の初代を超える次代の指導者的な地位に居るって事もな。
そして俺と同じ、ヒルダーネットワークの企図する企み、リベレイト計画をかいま知る、そういう存在だって事もな」
「なるほど、私の遥かなる認識では、貴方はヒルダーネットワークに絶対の執着を持っているのだけの存在でしたが、裏があるのですか?
どう考えても、貴方の世界に対する存在比率が、現時点で高過ぎるような気がするのですがね」
「存在の運命を、世界という遠方から観測するだけじゃ、観えない真実という名の実態を持った”質量”って奴を痛感的に読み取る事は不可能と知れ」
「私の予測になりますが、貴方はヒルダーネットワークから追放された、振りをしている?
または、追放されても大丈夫なほどの布石を打ってから、あえて追放されている?
ヒルダーネットワークすら出し抜く算段が、もしやお有りになるのですか?」
「下らんカマを掛けるな、所詮はテメエ程度の観測じゃ、俺の底には絶対値で届かねえからよ」
「リベレイト計画を知りながら生き延びた存在と定義してましたが、どうやらそうでもない?
真なる作者は、”リベレイター”と定義してましたが、
全世界の究極的な開放による、無上にして無限大の、無限の闘争状態の現実を望むのならば、
きっと無量大数以上の、莫大なエーテルの算出方法が難問として立ちはだかる、そうでしょう?」
なるほど、察したがついた、勘だが、確証もないが、俺の直感がコイツの真意を読み取った。
「ああ、観測者を全て殲滅・撃滅して、その上で世界の方向性すらコアごと粉砕して、
さらに、現状の世界の構成の根幹、ネットワークを掌握して、さらに司る三大図書館を屈服させて、解体させて、
世界をそのように白紙にした上で、なお余りある渇望の根源が、そこにはあると、テメエは思うか?」
「あるから、私たちは戦っているのでしょう?
この観測者が制御して、絶対の価値を幻想と貶める、無限という名の檻に閉じ込められた、絶対のイデアを開放する為に」
「くっくっく、分かってんじゃねーかよ、最終目的は違えど、そこまでの道程には、それなりにテメエは協力的って訳かよ」
奴は意志確認に情報共有、その他の事項を済まして、普通に自分の巣に帰って行った、ただそれだけの事だ。




