星図詠図書館の奮戦
「はあ、中々に大変だったわねぇ」
大変な訳が無い、全神経が過剰に酷使されて、指の神経はズタボロ、
ありとあらゆる意味と価値において、シンディは劣化したのだ。
「そんな顔しないの、いいじゃない、二人が助かったのだから、ねえ、ホント、そんな顔しないで」
「こんなボロ屑のようになって、お前は不満じゃないのか?」
「別にいいわ、何時かは、こういう風に全てを失うって、知っていたもの、必然として全ては衰退する、運命のように知っていた」
そこまで話して、お互いは笑い始める、可笑しくて仕方が無かったのだ。
「そうよ、死者蘇生のように不条理なモノよ」
シンディは飲み薬のように、とある薬品、エルクシールを飲み込んで、全回復した。
「この程度の、あたまが可笑しくなる激痛と引き換えに、
旧人類が一生の後遺症を重症で背負うはずが、新人類は死なない限り、幾らでも再起がなるのよ」
瞼の液晶フィルム操作、無限のストレスを伴う訓練によって、可能になった技術で、シンディは脳内のプラットホォームに展開される図を写す。
「書けたわ! これは確実に書けたわ! これこそが! 商業ガンガン売れる小説、究極のライトノベルと言って過言ではない出来よ!」
「おお! 館長にみせてくる、ちょっと待っていてくれ」
掛け値なしにプロットなし、それで作者自身が格段に世界観に没入、先の見通せない展開と物語と世界観を構築し、情報の加速度を最大限化、
その後に、最適にその書き方故の不足をバランス調整、素材とスパイスをミックスさせて、史玉の物語に変えたのだろう。
「オーケーらしい! 良かったなあ! シンディ!」
「ええ! 私たちの勝利よ!」
ヒルダーネットワークの統帥、ヒルダに許可を無事にもらえて、俺達は死から解放された。
そうして喜びあった、次の日。
「いやいや、俺は大好きなエロゲー声優のラジオ聞くのが、一番の喜びだから」
「駄目に決まってんでしょうが! あんたナニ様!
アンタってさあぁ! クソ馬鹿ごみくずね!
アンタは超絶一流の作品や文明の利器で、今まで圧倒的に絶対的に助けられて、今まで生きてきたのよ?
そういう自覚って、マジでガチで、頂上の領域で、しっかりとある?
あるわよね!? それがアンタの人生の全てを構成するピースなんだからね!」
「いやいや、もう日本なんて落ち目で、ロウガイばっかで腐敗してるし、そこまで頑張らなくても、いいだろ?」
「ばーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーか!
だからこそよ! 私たち発信で、世界を変えていかなきゃ!
商業ガンガン! 掛け値なしで商業ガンガン売れるレベルの圧倒的で、絶対的、有意差で社会をより良くするような、
超絶の究極のライトノベルを書いて、日本を再生させなくちゃ駄目なの! 絶対に!」
うぐうぐうぐ、いくらエルクシールで超回復できるからといって、一週間を徹夜して、マジで出版できるレベルの小説を書いた少女の発言は、
やはり発言力というか、あふれ出るオーラというか、勢いがケタ違い過ぎた、俺は改心するしかないと絶対の悟りで痛感したのだった。
「うぐぐうぐぐ、わかったよぉ、ごめんよぉ、シンディ、俺も頑張るよぉ」
「よろしい、それじゃあ、一週間徹夜してね、私よりも頑張ったら認めてあげる」
「おお、俺も男だ、シンディよりも寝てないくらいの勢いで、頑張るぜ!」
「やっぱそれでも駄目、徹夜し過ぎて死ぬ、それ以上じゃないと、絶対に認めてあげない」
「それってつまり、徹夜して死ぬか、徹夜して死ぬ以上の成果を出さないと駄目って事?」
「あたりまえでしょうがあああああああああ!
私たちの為に死んだ、星図詠図書館の司書が何千、万、憶万人居ると思ってんの?
物語の創造の為に散って行った仲間たちの為に、私たちが出来る事なんて、決まりきってんのよ!!!!!!!
分かったら! とっと書く書く! ライトオアでぇええええええええええええすすよ!」
それからマジで一週間以上徹夜して、俺は倒れた、死んでたらガチでごめんな、みんな。




