異世界超越＆転生‐アウルベーン＆イルミナード・ソーシャルネットワークゲームス

世界を終わりに終わらせる存在‐ナルディアの素晴らしき世界の見方

　この世界は、素晴らしき世界だ。

　その真髄を、私だけが精確に把握して、その全てを知覚しているのだ。

　私以外の存在は、この世界の素晴らしさを知らない。

　私と同格の存在は皆無で、私以外の存在が、世界の価値や意味の一片を知る事も叶わないのが真理。

　私だけが、私だけの素晴らしき世界を知り、その真髄を無限に語れるのだから。

「世界とは、掛け値なしに無限大に在り、

　永遠に連続しながらも不連続し続ける、存在の根底にあるのは絶対共同体としての命令文。

　終わりへ続き続ける物語、この世界を完成に至らせたいという、世界知性体の理性による芸術賛歌の衝動」

　脳が走り続ける。

「　　　　　　　　　　」

　終わりへの歌が、鳴り響く空間で、恍惚を味わい続けている

　この快感のみが、今の私の生を繋ぎとめているから、終わらせる事ができない、ずっとずっと、何を犠牲にしてでも。

　私は酷く矛盾した感情を抱く。

　だがそれは、絶対矛盾のように渾然一体のモノではない、

　只管に悲観的に漆黒に混沌に在り、エントロピーが際限なく上昇指数を示す。

　黒髪の美女が居た。

　人とも言えないが、見た目だけを評すれば、そのように形容できた。

　彼女を駆り立てるモノ、それは世界の価値、その全て。

　ゆえに破綻した、無限の価値が、彼女を破滅的に捻じ曲げ歪に尽くしたのだ。

　そして今、彼女は手に入らない、無限の価値を、手中に収める方法を実演している。

　それは、、、終わりへの序曲を告げ続ける、この、破滅の衝動を喚起する存在性の実演で成される。

「生きたい、どこまでも生きたい行きたい逝きたい、そして、

　死にたい、どこまでも死にたいシニタイ屍にたい、

　世界における無限の幸福と不幸を、それに加える、私だけが知る真実の不幸を、

　どうしようもなく破綻・破滅・崩壊したくなるほどの狂想を、愛を込めて歌うの、

　確信的にそう思わせるほど、残酷なまでに素晴らしい、この世界だから。」

　終わりへの歌、終わりという、無限の素晴らしさを内包する歌。

　それに魅せられるがゆえ、、終わらせる事ができない、終わらせたくないと、思い続けてしまうのだ。

　どこかの私が命令を下す、その情景が想起されている。

　必死に決死に、走り続ける少女に。

　鉄の雨が降り注ぐ。

　それが肉を裂き、咲き乱れた、錆び色に染められるわたし。

　この程度か、と、”この命の終わり”を、儚いものとして受け入れる。

　沢山に分化し、沢山に存在を枝分かれさせた、その一端末の最後を、本体である私は、そう知覚した。　

「・・・・・・・」

　沈痛な面持ち、対面する紅に染まった情景に、佇み続ける誰か。

　世界地図に、新たに生まれた、もう一人のわたし、だ。

　それが一つ、棺を回収する。

　棺の中には私、もういらなくなった私、しっかりと娶り、私全体の生きる糧とする。

「蒼のミスリルです」

　眼前に、この世界の創作者が居た。

「私は、限界の下で、できる範囲内で、効率的に、最大限を極める存在の規模、スケールを発揮している」

「それでも駄目だ」

「そもそも、蒼のミスリルとは、同名で私の知覚において、３５６種類存在するが？」

「アホが、話が冗長に成るのは人間性を完全欠如した、ロボットのような有様の絶対存在の常套句だろうが。

　まあしょうがねえほどにヤバいモノだ、蒼のミスリル名では最大強度だろうが、さっさと検索しろ、

　蒼の回廊が提供する、というより対価として行使するアレだよ」

「貴方も、手早く脳神経を光ファイバーのように、完全に完結させる事をお勧めするよ。

　私のように安定した存在からすると、貴方のような酷く絶対に不安定な有様は、秩序を乱すのだから」

「秩序じゃない、お前の心を乱すのだろうよ、だいたい混沌の存在が言うセリフか？」

「私は私の世界を尊んでいるだけさ、絶対の強度でね」

「なるほど、その尺度からすると、俺のような世界を超越し、お前の素晴らしい世界を乱すのは最悪か？」

「ああ、殺せるなら、存分に殺してあげたいよ、貴方」

「まあいい、好きにしろ、やれるならヤッテみろよ。

　さて戯言はやめだ、改めて言うが、俺が混沌の勢力に属するのは、お前の世界を超越する、絶対的な力に期待しているからだ。

　ハッキリ言って、この程度の強度すら超越できないようでは、話にならない。

　俺が力を貸すのは、俺が存在する上位世界において、お前が役に立つほどの強度を所持すると信じるからだ。

　俺の期待を裏切るって事は、お前の素晴らしき世界を汚す行為に等しいって訳だ」

「なぜだ？」

「言わせんな、俺の期待を裏切るたびに、確実にお前の中で何かが減少しているはずだ、気づかない訳じゃないんだろう？」

「私は、この世界において私が認める絶対の尺度において、確実に、桁違いにゼロを増やし続ける、

　が、終わりは近い、そう知覚する」

「なるほど、この世界もそろそろ本当に終わりなのか？

　その真実は、お前が認める素晴らしき世界の、限界をお前自身が規定するのと同義なんだぞ？」

「知っている、どれだけ感情を激動させて、感動をしようとも、有限大が存在する」

「絶対存在は絶対的に安定しているが、絶対故に、不完全を認知できないように在るんだが、認めるんだな、それを」

「その真実が在るならば、無限強度で絶対に至ろうと、私は私の真実を見通せるんだよ」

「なお且つ、有限大を知覚できる理性を所持する、世界を内包した絶対存在が、

　世界そのものが、究極的に突き詰めて不完全だと断ずるか」

「ああそうさぁ、この世界は、きっと無限大を許さないのだろう、

　どこかでリミットを、限界を規定している、がゆえの、終わりへの予感である」

「まあいい」

　男は即急に話を切り上げて、蒼のミスリルを提示した。

「この物質に、確実に対抗する必要がある。

　俺の存在する上位世界に、これを打破しなければいけない事案が有るんだ」

　男はそれだけ言って「西の果てで最高強度の世界が在る、よく見てみろ」それだけ言って、去って行った。

　私は、最古の方位指針においての、西を観測し続けた。　

　そこでは、

　呪いのように、連綿に続く、終わりへの歌の、そのピリオド。

　神々の、更にその上のほう、そこに存在する存在が、終末の旋律を奏でようとしている、そのような光景を目視した。

「ああ、これには叶わない、きっとカナワナイ」

　私は世界を無限大に一望した。

　全てが愛しい、全てが狂っている。

　最後まで終わりのピリオドを打たなかった、愛しているからだ、真の意味で。

　だが、この愛も、上位互換が現れれば、終わってしまうものだった。

　私が絶対存在の自己矛盾、絶対の愛を、絶対の強度で、私の意志の下に破壊する。

「所詮は私も存在か、絶対に価値観に縛られる存在だった、知っていた。

　絶対の上位世界の、絶対の上位互換、絶対の強度で認めよう。

　私は私の世界を、私の最愛を持って、凌辱の限りを尽くして、完全破壊しようではないかあ」

　終わりの終わりが始まるのではない、これから終わるのだ、他でもない私の手で。

　美しい私の願いとは。

　最果ての、終わりの、終わりまでの、美しい日々を歩みきる事。

　神々の真実、そこに辿り着きたく、地上の調和を極め続けた果てに、

　遂に私は、真の真実、禁忌とも言えるソレに、到達しようとしていた。

　それゆえに、じきに終わりが始まる。

　不連続に続く存在の終点。

　始発はなし、掛け値なしで、、、、上位の存在に生まれ変わるのだから。

　私が終わり、別の私に。

　私という存在が無に至れば、強制的に、私は別の私になれるのだから。

　眠りに至る為の、灼熱の言葉を、得る為だけに生きてきた。

　最大級の祝福は、果たして、どこにあるのか？　

　呪いの炎を纏い、世界を支配しても、どこにも見つからなかった。

　ならば、上位の世界に。

　神々を死に至らしめる、更に上位の、神々なのかどうかすら分からない、終わりの旋律が鳴り成り響こうとしている。

　宇宙開闢から数えても、最大値を更新し続ける、この素晴らしき日々。

　繁栄と絶頂を極め続ける、私の世界。

　それを許さないかのように、終わりの旋律、波動の近づきが次第に強まる、存在の接近感。

　茜色の空の下、人々が甘美なる抵抗。　

　雨宿りを命がけで、どうせ助からない、全てが無くなるのに無駄な事。 　

　錆色の血が、雨のよう。

　どうせなら世界を転覆させて。

　何もかも清算すれば、一片の不幸すら沈められるのに。

　鈍い光の中で、神々が無為な抵抗。

　永遠に空から降り注ぐ、彼らには見えない棺。

　彼らを納めて、全てが私の糧となる、終わりに駒を進める為の活力になる。

　錆色に、暁を染めていく、最果てに最果てを広げて、広がる、広がり続ける空。

　私だけが美しいと思える、そんな空。

　墓碑が私の周りに連なる。

　銘すら書かれない、幾数無き命の群れが、呪いを吐く、終わりを早めてくれる。

　輝ける日々が、神々すら超越し、私の下に平伏さす。

　私は人の旋律で、神々を永遠の眠りに誘う、抱いて眠ったソレラは暖かく、人間のよう。

　鉛色の空を、錆び色の雲が彩る。

　吼える神々、支配者にも、平等に祝福は降り注ぐ。

　臨終を迎えた先には、私だけが描ける構図、絵図で、屍は芸術的に葬られる。

　生誕には、即座に、呪いを。

　炎をくべてくべて、神々は雌雄を決する、最終抵抗を、無用なる抵抗を。

　雲の切れ目から、狂ノ空、終ノ空。

　美しき日々には、神々の災厄が。

　ならば、神々の日々には？

　私は許さない、裁きを此処に個々に、最上級の災厄を。　

　神々も人々も、平等に怯える、真実の声に、わたしの声に。

　灼熱の言葉を紡ぎ、地上の浄化。

　墓で埋め尽くされる空間。

　碑には銘を打たず、平等の生命であった事だけを示す。

　もう無き命の、その群れに、最後の別れを、告げる、無に帰れ、と。

　なくなった全ては、私に帰った、はずだ。

　輝ける空のしたに、神の旋律ではない、なんれかの存在、その旋律を抱いて、やっと私は眠りに？

　左の脳を、回転させて。

　捏造を繰り返して、回して回して気付いた。

　コレでは終われない、、、、。

　呪わしき真実、我が弱さが憎い。

　締結寸前の、その誓約を破棄し、調印書を破り捨てる。

　逼迫した、世界は顔色が悪く、青く光り輝く。

　彼岸花が咲き裂き、地上が瓦解していく。

　傲慢な私に、誰が花々を添えてくれたのか？　

　周りを見渡せば、沢山のわたしが。

　鉞が天から、どこからから落ちてきた、それを握り締めて、私の何処かが染まりゆく、子宮の色が眼に焼き付き離れない。

　生れ落ちた、見た事もない色、分化し離れた、もう一人の私が、今の私を否定。

　連続しない存在がまた一つ、終わりを告げた、私の終わりを。

　天と地の全て、子孫も子らも、全てに価値がないと告げられ、世界が狂騒し明暗する。

　たゆたう命、行く末が絶え間なく、だんだんと歌えなくなる。

　その旅路で、わたしだけが残り続ける、更に純化されていく。

　立ち止まる事も罪悪で、あるがゆえ。

　私は私だけが参加する、レース、競争の中、世界の存在を私だけに純化させていくのだ。

　世界の存在比率、その比率が私だけに至った時には、きっと多様性ゼロに、何もかも破綻してくれるだろう。

　だがしかし、きっと心の底では、望んでいなかったのだろう。

　なぜなら、こんなにも世界は、沢山の、多彩に過ぎる、無限に別個の存在であるかのような、わたしだけで満たされていた。

　それはもう、私なんかじゃない。

　ならば、どうする？　

　右脳が、限界を、弄くり捏造を重ねた結果、見知った事を錯覚できなくなったらしい。

　疑わしき、全ての存在との絆。

　証明する為の、誓約と制約を、探し出そうと足掻く、消滅したそれらは、もうどこにもないから、永遠に迷宮入り。

　証拠品は、絶望した心の底で、消滅したのだ。

　空模様が暗く暗く、どこまでも暗黒色に。

　心を刺すナイフは、私だけを突き刺して、灼熱の言葉を紡ぎ続ける。

　血を滴らせて、それを自分で嘗め回していると、軽い倒錯。

　そうか、私の錆び色は、きっとずっと前から、色合いを変えていたから、だからこんなにも最高の味で、終わりを教えてくれる。

　死神は私で、私を真に終わらせてくれるのも、私だけだった。

　上など、ないのか。

　終わりの歌が、私を生に縛り続けるだけの、破滅的な物語。

　終わりを奏で続ける、永遠の夕暮れ時みたいな、そんな素晴らしくも美しい、世界での日々だった。

「おい、お目覚めか？」

「創作者、ここは？」

「西の果て、上位世界さ」

「終わりにさせたからな、当然だ」

　最後に知覚した通りの、素晴らしくも、既存の素晴らしさ全てを超越した、素晴らしい世界の風景が広がっていた、窓のそと。

「いつ終わらせるかと思っていたが、ようやく最後のピリオドを打ったか」

「ああ、あの世界を終わらせて、私が存在するべき新世界を、観測したから」

　私は悔恨する、やはり絶対存在では不可能だったか、と。

　世界を内包する絶対存在が、世界を破壊した気に成っている、これはだけ。

　この新世界に至る為に犠牲にして、完全消滅させた、旧世界のメモリーを、私が全て己の万能で再現できる真実を。

「やはり、この世界は、私などが認知するには、素晴らし過ぎるようだ」

　完全に無垢なる視点、そこから見た絶景とはかけ離れている自覚がある。

　旧世界を基盤にしている、絶対の存在性が、目に見える全てを靄の掛かったフィルターのように汚しているのだ。

「なにがしたい？」

　もちろん破壊だ。

　私は常に、己が見るべき絶景を見ることが叶わず、どんな時でも素晴らしき世界を破壊する事を最も望むのだから。