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超絶神回配信という名の英雄譚‐風来坊!トラネコの大冒険試練!!


 


「トラネコやろうぜぇ!!」

「ええ、しょうがないわね付き合ってあげるわよぉ!!」


 超ノリノリな声、それから数時間後!!


「この低層ルーパァーがぁ!あんたの所為で何回低階層で死んでんのぉ!この足引っ張りがぁ!!」


 と説教を受ける運びとなっている。

 俺達が今回取り組むことになった、昔からの傑作VRゲーム”風来坊!トラネコの大冒険試練!!”内での出来事である。


 トラネコの試練と簡略的に呼ばれるこのゲーム。

 主人公のトラネコが自由なファンタジーっぽい現代なのか近未来なのか、はたまた神話のような世界観かスペースオペラも交じったヘンテコな世界を旅するのが基本だ。

 風来坊の彼なのか彼女なのか性別不明の擬人化猫が、自分のお店を持つためって当初の理由を半ば忘れて世界各地にあるダンジョンを制覇する大冒険譚なのだぁ!!


 俺達は二人プレイで、ゲームバランスが二倍に難しくなった迷宮を探索中である。

 しかも既に最終級ダンジョン”無限のほこら”に挑戦中、99F到着でクリアのある意味最難関、いや不可能ごとだとも、しかし俺達はクリアするって決めたのだぁ!

 意気込み逞しく挑戦したものの竜頭蛇尾、いや彼女は超絶神プレイを連発したのだが俺が駄目だったね。

 このゲーム、二人プレイで一人が死んだらもう一人も道連れのシステム、俺が凡ミスを連発しもう5、6回低層(1~10F)でゲームオーバって流れを繰り返している。


 しかも世界に冠するスマイル動画で二人の共同コミュニティ”黄昏の花園”で同時配信中。

 彼女の視聴者の信者の方々にもボロクソ言われている、俺の応援団とコメントで戦争状態で混沌とし始めてしまっているではないかぁ!うわぁ!世界はどうなってしまうんだぁ!!


「このばっかばっかぁ!貴方何回同じミスをすれば気が済むのぉ!」


 今現在彼女の広大な部屋で、テレビを二台横に並べてプレイ中、なぜにこんな無駄な催しをする必要が合ったのか考えあぐねる今日この頃。

 横で顔を膨らませて怒り、プンスカするなんか可愛い人。


「まじでぇごめんって!今度はちゃんとやるから許してくれぇ~」

「っち!言い合ってても時間の無駄ね、次いくわよ次ぎ!」


 トラネコとその相棒、ウミネコの桃色と青色のプレイヤー衣装を身に纏う俺達。

 VRゲームだからもちろんゲームに入ってやるような感じだ、テレビは一切必要ない、だが用意した。ゲーム画面を写すためだけに意味ないのに。

 金髪碧眼超ナイススタイルのシャルが桃色のコスチュームプレイを披露する、観客が沸き立つ!

 そして俺、桃髪桃目のナイスなお兄ちゃんが青色のヒラヒラ衣装を着て失笑を買う!はいはいお決まりの流れですねぇ!!


 それでは第一回?(って事に自分の中だけでして!心機一転!)スタート。


「貴方、私の後ろに付いてきなさいよ!」

「おお!全部任せたぜ!」

「他人任せすぎでしょう!」


 そんなやり取りをしながら0F、つまりほこらの入り口、真っ黒な大きな口を開ける洞窟内に二人で入り込む!!


 ターン性を敷くこのゲーム、つまり一歩動けば敵も一歩動く、どんなにドン臭い人間でも比較的上位のプレイが期待できるこの方式。

 だが俺には圧倒的に不利に働く要素、策を練ったり先見の明で先を予測した行動!アイテムの行使等々!いろいろ苦手分野も多いんですわぁ!


 そして既にもうピンチ!!うえぇ!!まだ1Fなのにぃ!!

 ひぃ!!!敵の進化した強敵!マルムドラゴンの攻撃を奇跡的に乱数による、つまり運だけの回避で首の皮一枚繋ぐ。

 壁の方に逃げてなんとかかんとかやり過ごすが、アイテムも何もない状態でこんな強敵倒せるかぁ!ボケぇ!!


 そんな感じで一人で勝手に死地に飛び込んでいると。

 大部屋の通路から一筋の炎の流線。

 ちなみに今は隣に誰もいない、ゲーム中は彼女もダンジョンのどこかに飛ばされる、1Fではまずプレイヤー二人がランダムに迷宮内に飛ばされる。その後は大抵階段続きで一緒にいられるが。

 そしてジャストな、まるでお姫様を助ける王子様のような、そんなタイミングで助け舟をくれたシャル。

 目の前で凶悪な姿を晒していたマルムドラゴンを一撃、火炎の杖で固定ダメージを食らわせ撃退する。


 このマルムドラゴン、初回の階層でスライム的ポジションの敵マルムンが進化した場合のみ低階層でも、いるよぉ!やってるぅ!的ノリで平気な顔して現れる。

 その発生過程は大体何かの偶然でマルムンが味方に攻撃してしまって、味方を同士討ちみたいな形で倒してしまうとレベルアップ!

 この姿になり度々登場する、そして冒険者を低階層でオワタするのだぁ! 

 つまり偶発的によわっちいモンスターから、この中ボス級モンスターにクラスチェンジして出てくるってわけだよぉ!

 HPは低すぎてメタルスライムだが、攻撃力が跳ね上がって普通に一撃死を通り越した十回は平気で死ねる攻撃を繰り出してくるのだ!

 しかしそんな強敵も、こういうアイテムによる固定ダメージ、つまりそういう対策さえあれば楽勝で倒せる。むしろ初回の階層ではありえない程経験値をもらえるのである意味良いカモ、獲物である。

 何回も連続でレベルアップを繰り返しながら、よいBGMを鳴り響かせてシャルが目の前に近づいてくる!!


「なに!また低階層で死にそうになってるのぉ!!」

「しかたないじゃないかぁ!!事故だよ事故!!俺の所為じゃないぜぇ!こりゃ!!」

「いいわけ無用!!合流したんだから!次いくよぉ!」


 怒りの小言ももう言い飽きたのか、さっさと前進してしまう。

 同時中継の放送コメントをフライウィンドウ越しに見るも、これまた酷い言われよう「wwwwダセェ」「学習能力のないグズ」「だからお前にはまだ身の丈~~~(長すぎるので省略)」

 くっそがぁ!!この身の丈~~~~弾幕書いてるやつ誰だよぉ!!!出て来いやぁ!!スカイポ上げるから凸してこいやぁ!!!!!


 理不尽で逆切れでしかない、内心のムカつきを目にも見えない視聴者にぶつけていると目の前にシャルの大きな微笑があった!


「あ・ん・た・はぁ!!!!なんでゲーム中によそ見しまくってるのぉ!!そんなに死にたいのかぁ!!私の足を引っ張りたいのかぁ!!」

「わりぃーわりぃー!ちょっとムカつく視聴者がいて戦ってたんだぁ!!」

「そんなのどうでもいいでしょう!適当にスルーしてなさいよ!もうぉ!」


 プリプリ怒って、頭を数回ポンポンしてくる。うひゃ!可愛いぞ!いいぞぉーこれぇー!もっとやってくれぇ!!


 すると次の瞬間神の悪戯か、この大部屋に続く六つの通路から同時に敵が雪崩れ込んできた!!

 シャルちゃんの生放送やってるぅ~♪みたいな感じでキモイ視聴者!っもといモンスターが現れたのだぁ!!やってねぇよ!シャルちゃん放送やってねぇからぁ!どっかいけやぁ!キモオタ共ぉ!

 そんな感じで生放送中だからそういうウィットに富んだ小粋なトークも忘れない、コメントの桁が段違いで増えて押し寄せて来る!!主に俺に対する罵詈雑言だがなぁ!


 ちなみに情状酌量の為にも一応説明しておくが、俺が低階層で死にまくってるのはこういうマイクパフォーマンスが原因でもあるのだ。

 ゲームを面白おかしく実況しながらも、一切プレイの質を落とさずやり続けるのはやってみると意外と難しいものなのだぁ!

 それに比べてシャルは終始無言とまではいかないが、かなり無口、喋ってない感じだ!

 おおぉい!!!お前はそれでも生配信者かぁ!!と言ってやりたい気分だぜぇ!

 それでも全然盛り下がってない。偶にシャルが「あっ!」とか「うぅ!」とか「くそぉ!」とか言うだけで観客は大フィーバァーだ!全く持って不公平だとは思いませんかぁ!?奥さん!!


 状況を戻す。六つの通路上から表れた六体のモンスター、一匹一匹は弱いが囲まれて袋叩きに会えば確実に致命的になりうる状況。

 しかもこちらはHP真っ赤な俺一人と、こいつら全員素手で楽勝の超レベルアップしたシャル様。

 だが残念な事にこの位置取り、シャルがターン性という縛りで超光速でこいつら八つ裂きにできない以上、俺は戦いの最中に死ぬ事になるであろう、そうすればシャルも道連れだぁ!!うわぁーー!!また俺の所為で低層ルーパァーだぁ!!

 さっきからこの低層ルゥーパァールゥーパァー、ウパールパーみたいに連呼しまくっているが!これは本当にいけないことなのだぁ!

 トラネコゲーム実況、あるいは生放送において絶対にやってはいけないのがそれぇ!!

 低階層で死にまくってループするって意味!!普通視聴者は去り盛り下がるのだぁ!今回はなんとか俺のトークやシャルの頑張りで持ちこたえているが!そろそろ視聴者もこの事態に飽き飽きしているはずぅ!!

 だから早く!せめて10Fという区切りの階層くらいには行かないと行けなかったのにぃ!!またこのパターンかよぉ!!


 そんな感じで俺がゲームの神様を呪っていると、隣で背中を預けあうシャルが声を掛けてきた。


「くぅ!貴方何かアイテムは持ってるぅ!!??」


 ちなみにターン性なので全く急ぐ必要はない、じっくり作戦を練る時間はそれこそ無限にある。時間の許す限りという現実的な話しを置いておく必要はあるが。

 そんな風にシャルが話しかけてきたので俺も答える!


「すまん!おにぎりしかない!食べるかぁ!!」

「いらんわ!!この役立たずぅ!!穀潰しのボンクラぁ!!」


 そんな酷い事を言って、俺が差し出したおにぎりを食べてしまう。

 満腹度なんて1Fだから大して減ってないだろうに!なんて無駄な事を!

 このトラネコでそういう事を平気でしてしまう!!そんなところに痺れる!憧れるぅ!!、、、じゃないぃ!!!!

 シャルがおにぎりを俺からとって、更に食べるという動作で、アイテム交換+行使で俺たち二人のターンが経過してしまう。

 通路に顔だけ見せていたモンスターが大部屋内に一歩侵入!!もう絶体絶命だぁ!!


「ど!どうするんだぁ!シャルぅ!!」

「うるさい!煩いと書いてうるさいよぉ!!良く覚えておきなさいぃ!」

「そんな事は知ってるよぉ!この状況もうオワタなのかぁ!!!???」


 ふんっ!と鼻だけで俺を一蹴し、懐から何か取り出す!そ、それはぁ!!マキモノ!!!(なぜか外国人的発音、マキ↑モノ↓で言う)


「口惜しい!!こんなレアアイテムをこんな所で使う事になるとはねぇ!無駄に切り札を一枚消費したわ!」


 彼女はマキモノ、ではなく魔術書?でもなく、なんだアレは?陰陽師が使う札とも違う、良く分からない紙束を取り出す。


 あぁ!あれは式神降臨のアイテム!!こんな低階層で良くそんなレアアイテムを引き当てたなぁ!

 運否天賦ウンブテンブも味方に付ける、ある意味幸運の女神様!!シャル様様だぜぇ!!

 とか喜んでいると、既に術式は完成、シャルの歌い上げるような詠唱とともに式神たちが動き出す。

 六つの通路に五体の式神、紙を大きくしたペライ人型のモンスターっぽい形で立ちふさがる!!

 残りの一体はシャルが直接相手にして封殺!式神も召還者のレベルに応じて強さが決まるので、今のシャルの超レベルに比例して流石の強さ!!

 あっという間に六体の敵は駆逐され、晴れて俺達は危機を脱した。


 俺は喜び勇んでシャル達に駆け寄る、しかし!その瞬間足元で何か歪な音。

 明確に音で表現するなら”カチっ!”これはぁ!!

 俺はどうする事も出来ず罠に掛かった、迷宮ではお約束の定番、しかし避けることはできない。

 今さらゲームシステム上逃げる事は絶対に不可能!そういう罠に掛かった瞬間に確定される運命とも言える不文律ルールなのだぁ!

 こういう罠は武器を振って見破る事もできるのだが、それではあまりに時間が掛かりすぎて費用対効果が悪いのだ!

 主にゲームを純粋に楽しむという致命的で超重要な点に置いてなぁっ!!

 だからこういう展開も仕方ないと思う。そう、先程の事故と同じだ!!俺は付いてないだけなのだぁ!!だから許してくれぇ!!


 落とし穴に落ちる瞬間見た、シャルの顔はだらしのない駄目男を見る、そんな表情だった。

 俺って今!ってかさっきの流れも含めて!このゲーム中ずっと前からすっごーくカッコ悪いよなぁ!!くっそぉ!ゲームの神様を呪ってやるぅ!!

 落とし穴に落ちる最中コメントを確認すると案の定「バカス!ww」「もうシャル一人の方がマシ」「カッコ悪すぎて逆に可愛いww」「こいつマジでダメンズじゃんwwンゴンゴ!!」

 バッカ野郎どもがぁ!!俺だって好きでこんなんなってんじゃねぇーーー!!!うわぁーーん!!もうやだよぉー!シャルにカッコ悪いところ見られたくないよぉー!!


 そんな感じで泣いてるのもつかの間、2Fに着地、というか落下。

 もちろんダメージを受けてHPが、、1!!!あぶねえあぶねえぇ!マジでガチで死ぬところだったぜぇ!!!


 しかもだ!落ちた所がぁ、、モンスターハウスだとぉ!!周囲にはこんにちわぁーー!!!って感じでモンスターが一杯!!視界に入るだけでも十数はいるぞ!!もう駄目かも分からんねコレ!!てかもう完全に詰みだろ!!ええ完全に詰んでますわぁ!!これぇ!!!


 隣にはシャル、おおぉ!!

 幸運にも落とし穴落下によるランダム要素で下層に到着なのに同フロアしかも一マス隣!!これはまさしく運命だぁ!そうとしか考えられない!!結婚しようぉ!!!!!!

 気が動転しすぎてもちろん全部口に出している!実況者だし!生放送主だし!!ガンガン盛り上げないとねぇ!!


 俺の盛大な愛の告白にも一切無反応!!周囲のモンスターを強い眼光で睨み付けているシャル!うわぁ!カッケええほどのスルー力!!全日本人は彼女を見習うべきであろうぉ!!!

 しかしそれでも絶体絶命!むしろもう絶命しているような状況下、はたしてこれからどうすればいいんだぁ!!


 そんな風に一人でフィバァーしていると突然シャルがこちらを向いて頬を叩いた!うわぁー!いたいよぉー!!

 俺が涙目でシャルを見つめていると、彼女は呆れたように俺を見ながら宣言する。


「まったく!貴方の所為で!私はまた切り札を使わないといけなくなったわぁ!憎たらしい。いいかしら?!切り札って言うのは更に奥の手がある時にしか使っちゃいけないのよ!それをわかってるぅ!?なのに私は貴方の所為で使わなければならなくなった!せっかく低階層で手に入れた最強の切り札を!こんなどうでも良いところで使う羽目になるとは!貴方一生反省しなさいよ!!」


 おれがあまりの剣幕にぽろぽろ涙流しながら、泣き顔でみっともなくコクコク頷くと。シャルは許してくれたのか敵の方に向き直る。

 そしてまたも懐から何かを取り出す!あ、あれはぁ!!

 そこから出てきたのは!今度は正真正銘巻物!!(本当に目に見えて巻物だったので偽物っぽくなく普通に日本語的発音だぁ!)

 それもこのトラネコでも最強級の強さを誇る巻物である。

 その名も”絶対領域の巻物”!!うわぁ!シャルが使うとなんかエロいぞぉ!少女領域!絶対領域!ばんざいばんざい!!!


 コメントも「うおおおおおおおおお」とか「キタァああああああ」とか「wwwwwwww超展開キタコレwwww」とか「イツキ超つかえねぇええええええええええ」とか「シャル様の絶対領域ペロペロぉおおおおおおお」とか「うわぁ!!乱数調整!不正キタァコレええええええええ」

 とかいろいろ!!盛りに盛り上がっている!!俺だって盛り上がっている!!さすがシャルだぜぇ!俺たちの勝利の女神!幸運の女神!!イヤッホォー!!


 彼女は目の前で十字を切り、そして巻物を広げる。

 そして詠唱とともに呪文名を朗読、荘厳な雰囲気とともに辺りが一瞬静寂に包まれる。

 次の瞬間巻物を中心とした辺りが大きく明滅し光が周囲を圧する!

 その後は巻物の周囲4メートルほどが聖なる光に守られた空間に変貌する、魔方陣の文様が地盤に大きく刻まれている。


 そんな魔法少女モノの様な演出も一通り終わり、シャルは目の前の聖域空間によって一歩たりとも近づけない敵を見つめ舌なめずりする。

 こわぁ!!その表情メッチャこわぁ!!美麗な容姿がすると更に迫力も凶悪さもいろいろ増すという噂を実体験として感じ戦慄する俺を他所にシャルが敵に攻撃を始める。

 俺も黙って見てるのもアレなので、同時に敵に対して攻撃を行なう。

 もちろん聖域空間に守られて負けるなんて万が一にもありえない、完全なるワンサイドゲーム、独壇場で俺たちは敵を殲滅した。


 そのあと残った空間、モンスターがうじゃうじゃいたモンスターハウスには沢山の金銀財宝、とまではいかないが、沢山のアイテムが残されていた!!

 やったぁー!いやっほぉー!!!

 一階で大して何も収穫できなかった俺は喜び勇んでそのアイテムに突撃し、何か悪い予感がして一瞬足を止めた。

 シャルももちろん俺を制止して、いや力付くでも制止させようとして手を伸ばすが、ホント一瞬だけ遅かった。

 俺は聖域空間から片足だけ出して地面を踏んでいた、そこで”カチっ”。

 またも怖いくらいの静寂の満ちる場に響く、そう、罠作動時の効果音が、他でもない俺の足元からしたのだ。


 これを運が悪いか、それとも俺の不注意が原因か、意見が分かれるかもしれないが。今回の場合は間違いなく俺の不注意。

 なぜならモンスターハウスで武器振りなしで、つまり罠を見破り、探りながら進むなどトラネコでは常識中の常識。

 ヘビーなプレイヤーでもライトなユーザーでも誰でもが知る。そんなミスを、イージーミスをしてしまったのだ。そう、俺の話だ。


 次の瞬間大規模な爆発が辺りに吹き荒れる!大型地雷特有の爆裂音が当たりに響き渡り盛大に粉塵が立ち込める。

 もちろん俺は黒コゲ、ギャグマンガみたいな有り様に変貌を遂げている。

 それよりなにより恐ろしいのは、この大型地雷の爆発で、おそらくは、そうおそらくはだ、もしかしたら奇跡的に巻き込まれてないかもしれないじゃないかぁ!

 俺は一縷の望みを掛けて後ろを振り返る、そこには怒り心頭で黒コゲになっているシャルがいた。ですよねぇー。

 そしてもちろんの事辺りを総舐めにした爆発によって、モンスターハウスにあったアイテムは全て消し炭で塵一つなくなっている。

 それが一番シャルを怒らせているのかもしれない、いやたぶんそれが60%くらいあとの40%は別のものと推測する。


「この馬鹿ぁ!!なんて事してくれたのぉ!折角アイテムが補充できる機会だったのにぃ!!なにより貴方のそのどうしようもない間抜けさ!!苛立ちを通り越して!!っ!!!もうぶん殴ってやるんだからぁ!!!」


 そう言って襲い掛かってくるシャル!!幸い地雷系の罠は絶対にHPが1以下にはならない、半分や四分の一に減らされるのでその後モンスターの戦闘とかがあるとやっかいな罠なのだ!


「うわぁーー!やめてくれぇ!!今殴られたら死んじゃうよぉ!!HP1だよイチ!なにされても必ず死ぬよ!!」

「嘘おっしゃい!味方から攻撃されてもダメージ受けないでしょうがぁ!!大人しく殴られなさい!!」


 そうやって追いかけっこしながら、なんとなく楽しいなぁ~、と喜んでいる俺もいるのだった。

 コメントも盛り上がってるし、これ良い感じなんじゃないかぁ!!とか内心実は美味しいと思っていたりする。

 その後はゲーム内で蛸殴りにされ、もちろんリアルでも容赦ない制裁が加えられるのだろう、だってゲームで殴られても痛くはないし。

 もちろんこのゲームは痛覚なんて機能させないタイプだ、でなけりゃ耐えられないもん、人間だもの。


 でもまあとりあえず2Fに無事にたどり着けただけ良しとしよう、99Fまでの道のりは長いが、というよりも長すぎて眩暈がするがなぁ!

 でも!やって出来ないことは何もないぃ!!だって人間だもの!!人間だからやったらやった分だけ何かできるんだよぉ!!!


 そんな事をシャルに殴られながら言う、マイクパフォーマンスで放送を見てる若人ワコウドにも熱血先生になったつもりで演説調で大きな声で言う!!はっはぁ!!大きな声出すのって気持ちいいなぁ!!今回の枠マジで神だぜ神回!!わっはっはぁ!!


「このっ!!反省の色がまったく見られない!!あんたって奴は!!どこまでお調子者なの!信じられないわ!!」


 目の前のシャルは俺をボカスカ殴り蹴りゴミを見る目で調教するが、ふっふ、まったく効かないぜ!!だってゲームだもんなぁ!!

 そんな俺の余裕の態度が盛大にシャルの癪に障ったようだ、一時ゲームを中断しリアルに戻っていった。

 すると俺の体全体が鋭く痛み出した!!ぐへぇ!!これは鳩尾を容赦ない蹴りかパンチで抉った痛みだぁ!!うわぁあああああ!

 そんなゲーム内で一人体をひん曲げてビクンビクンしている俺の姿はさぞや滑稽だったろうよぉ!いいんだぁ!いいんだぁ!笑い取れればそれでぇ!ぐがぁ!!


 あまりの痛みと激痛と吐き気とその他もろもろで!俺もゲームを中断し現実に戻る。

 そこには無抵抗の俺をリンチする金髪碧眼の麗人がいた、おおぉ!久しぶり!!やってるぅ!!と手を上げて笑いかけると、またもリンチ再開!!うわぁがぁ!!もうやめて私のライフはゼロよぉ!!

 そう言っても全く手を緩めてくれない、さらに「現実ならHPもないし無限に殴れるわね!はっは!今こそ復讐の機会だわぁ!」とか言って攻撃の手を加速させる。

 ぐがぁ!!ふざけんなぁ!ゲームじゃなくても現実の俺にもHPくらいあるわぁ!やられ過ぎれば普通に死ぬわ!!暴行罪だぞこれぇ!!!うがぁわああああああああ。


 そして蛸殴りかましてくるシャルに捨て身タックルを繰り出す、相当頭が可笑しくなってるんだ、察してくれ。

 そんな感じでシャルとぐるぐる回って揉みくちゃになる過程で、変なところに触れてしまったのか、具体的には分からない、体中の感覚が無くなるほど痛めつけられてんだ、手とか足とか腹とかその辺だったのかもしれない。それでも更にパワーアップして怒り始めた事に変わりはない!


「もう!!おこった!!今日はもうゲームはやめて貴方を調教する!!一生私に忠誠を誓う肉奴隷にしてやるんだからぁ!!」


 そんな叫び声にも似た脅迫で、またもズンズンこちらに近づいてくるシャル。

 おれは一応この後のどんでん返しの月面宙返りレベルの事態を予測し、ゲームのセーブだけは済ませておいた。

 だって何かの拍子で消えたら悲しいだろ、2Fとは言えあれだけ苦労みたいな事したんだから。そしてこれからその苦労を更に積む事も予測に入れると。

 俺はもうこのシャルとの調教ごっこを楽しむことにした、もちろんこの少女のこと、ごっこがごっこに成り得た試しは一度もない。

 俺が丈夫だったり多少精神が頑強なのを良いことに、マジモンの調教一歩手前どころか半歩手前レベルの事を平気な顔して、それこそ先程モンスター虐殺時にみせた舌なめずりをしながら恍惚とした表情でするのだ、尋常ではない。

 でも、それはそれで、俺にとっては、、その、なんだ、言わせんなやぁ!!可愛い美少女にはなにされても嬉しい!そんな男のどうしようもない性サガなんてよ!!

 そして俺は大きな恐怖と不安を抱えながらも、何か甘美的な感覚に背筋を震わせながら、彼女の魔の手に落ちていくのだった。 


 つづく、、、のか??続いたらいいな、主に俺の人生が。

 彼女の奴隷として一生を生きる犬になってなければ続くのだろう、現在リアルタイムで視聴してくれている視聴者には俺の安否をホント祈ってもらいたい。

 その祈りが集まればもしかしたら神に届くかもしれないじゃないか、そんな神頼みをしたいくらい俺は精神的に追い詰められていた。

 もちろんそれも最大限楽しむ!だって俺の信条はいつでも面白楽しくだぁ!だったらこの状況も、、、できる限り楽しむんだぁ!楽しむぞぉ~!わーいシャルちゃんと調教ごっこだぁ!わーいわーい!!

 もちのろんのこと、俺がそんな軽薄で不誠実、信心の足りない様子だったので。シャルの怒りは更にエスカレート、調教という言葉が真実味を帯びてきたのは言うまでもない。

 まあそういう調教パートも別の機会に話すことにしよう。では皆さん!次があったらまた会いましょう!シーユーアゲイン!!

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