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魔都のナイト‐ヘルムとスワン、シャルとレイジ


 


「たくゴミ掃除に関しては、まあ片手間でやってやるがぁよぉ~。

 ああがぁあああ!!!

 片手間程度でやっていくなら、処理限界があるつぅ話しだろうがぁ!」


 外敵の排除、割のいい役目だと思っていたら、意外とそうでもなかった、という話。


「ヘルムさん、気長にやってましょーっかねー。

 何せ、私達は、形だけとはいえ、ですが、魔都の幹部なんですから」


「知るかよ、第一いらねーんだよ、そんな名誉、俺は地位に興味はねえ。

 世の中金だろ金、次点で余暇の時間だ、くそが、割りに会わねえぇ、ああ! 合わねえよなぁ!」


 暗い空を飛びながらの会話、奴、スワンは俺の前方に回りこんで後ろ飛びで起用に流暢に話している。


「いえいえ、社会的地位とか名誉は意外と侮れないほど大事なんですよ?

 一応の信用、信頼によって、どれだけ色々捗ることか。

 金融の世界で言えば、信用創造によって生み出される、莫大な仮想の富とか、分かりませんかね?」


「ハンッ、俺には必要皆無、ただ孤高で孤独に好き勝手できる環境ありゃいいんだからよ」


「出世したり、成り上がったり、したくないんですか?」


「いらねーよ」


「例えばですが、私、お前が傍にいれば、それだけでいいとか、言ってくれたり?」


「戯けが、寝言は寝て言え、いや寝言でも言うんじゃねぇー」


「はいはい、そうですね」


 魔都の中心地、巨大な尖塔、その頂点部分の階層に戻ってきた。

 目の前の扉を開けると、暫定の上司が二人いると、気配で分かる。


「をい、あのふたりのプレイヤー、俺達が外を回ってる最中、ずっとお喋りかよ」


「私たちも、だいたい同じだったじゃないですか?」


「偶々な、もし敵に会ってたら、無茶や無理をするハメになってたかもしれねーんだぞぉ。

 やっぱダメだな、こんな二流、いや三流の役どころに収まってたら、俺が腐っちまう、力が延命できねーぜ」


「これから、魔神の奇跡を、与えてもらう立場の人の意見とは思えませんよ?

 だいたい、こんな相手にとってかなり微妙な取引を、嬉々として取りつけてくれた。

 ヘルムさんは多少なりとも感謝してないんですか?」


「それをするためには、まずは人並みに幸福に、十二分に恵まれなくちゃなぁ。

 十二分、120%以上で満たされてからじゃなきゃ、俺は、てか人間は絶対に、他人に真底から本音で感謝なんてできねー」

 だからな、無茶や無理なんて俺達は一切している暇はねーって話に戻るわけだ」


「それでも、です、私は、受けた恩を、まずは清算する為の、恩返しをこなさなくっちゃ、って思いますよ?

 あ、いけませんか?

 だったら、今はひとまず、優先順位を定めて、地道にヘルムさんの流儀の取り決めて、取り掛かるしか、ないわけですが」


 とっいたしましょー!、と、何かわざとらしい感じに拳を掲げる。


「そうだ、奴らの話す内容を盗聴しようぜ、何か握れるかもしれねーぞ。

 暗闇に潜む道化、発動、、、暗号式はタイプRだ」


「なにも聞けませんよ、防諜が無いんですから、それに気づかれたら事になるかもぉ」


「いいんだ、問題無いわけじゃねーが、好奇心が勝ったんだ」



「まったく、この世界は不完全に過ぎないと想わない?」


 今日も今日とで、シャルは取りとめも無い事を話す。 


「ああそうだな、だけど俺は、それなりに不完全なりに、絶妙な均衡を保てていると思うぜ」


「可愛そう、本当に可愛そうな人達で、溢れかえっているのに?」


「その分だけ、可愛そうじゃない奴も溢れてるからな、全体としてはバランスが取れてるだろ」


「そうとも言えるだけで、だけど、不完全である事に変わりないわ。

 世界を広く見れば、せっかく一度きりの人生なのに、生まれて間もなく死んだり、そういう不幸な人達が溢れているのよ」


「ふーん、だったら、シャルお嬢様は何してんだ? 世界を救うような志とかを抱いてんのか?」


「そりゃ、ちょっと荷が重い話ね。

 せいぜい毎日毎日、人並みを最低限の目標で、お勉強するくらいよ、私にはそれで精一杯」


「はぁ、たく、類稀に恵まれた環境に生まれてんのに、この凡人凡俗がぁ」


「なによ、私の才能は十人前くらいなのよ、文句言われる筋合いは無いわ」


「無いわな、お前が有能だったら、果たしてどれだけ世界がより良くなっている事かねぇ」


「うるさい、黙りなさい。

 だいたいね、私は物心付くのが遅かったって、そういうハンデがあるのよ、分かってくれない?

 五歳の頃にはもう、完全に英才教育で仕込まれてて、まるで人形のような生活だったの。

 そんな生活じゃぁ、自意識なんて生まれない、つまり馬鹿だった、ホント人生をドブに捨てられてたの」


「ふーん、でも、今は違うじゃないか、もっと頑張れよ、って話し」


「貴方、頑張ってる人間に頑張れっていう、デリカシーの無さを自覚するべきだと思うわ」


「なんかシャル、お前、可愛そうな奴だな」


「もう、勝手に言ってなさい、私は誰にも影響を受けない、確固として独立した個性なの。

 絶対に貴方なんかから、なんかからぁ、、、一切の影響を受けて変わったりしない」


「まあ、それで別にいいけど」


「ふん、私に日々多大なプラスの影響を受けて、変わりまくってる分際で、貴方って凄く偉そう、感謝しなさいよ」


「はぁ?どういうことだ?」


「私はハッキリ言って、自分で言うのも難だけど、超一流の女なの。

 だから、貴方はこうやって、何気ない感じで関われるだけで、凄く人生における活力を得れてる、そうでしょう? そういうことよフフン」


「知らないね」


「それでもいいけどね、どうせ所詮、自分には嘘をつけないわけだし、私に恩や負い目をせいぜい感じて。

 他にもさ、私のおかげで、貴方はそれなり以上に良い生活が出来てる、そこら辺、どうなのよぉ?」


「知らない知らないね」


「率直にズバリ言うけど、もっと死力を尽くす感じで、私の為に動きなさいよ。

 そうじゃないと、ホント許せないし認められないし、我慢がならない気が済まないの、憤懣滾ってやるかたない」


「チッ、毎日メンドウ臭い糞女の相手してやってんだろうがぁよ」


「貴方、今日は終日調教ね、離れの小屋に行きなさい」


「何処だよ、離れなんて無いだろうがよ」


「冗談よ、もちろん貴方も冗談で言ったんでしょう?」


「半分な」


「ふん、可愛くない下僕だこと」


「言ってろ、可愛くない嬢ちゃん」

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