アメリア=ウィンスターの第五世代機による宇宙戦闘記録
「ふふふ、お姉さま、ついに貴方を、この手で撃てる日が来ましたわぁ」
舞台は整えられた。
歴史的に最大の裏切り行為である、西側三大国の一角が致命的な裏切り行為を決断した、この日。
国際連合平和維持軍を中心にして、三大国は主力のほとんどを東側へ差し向けた、はずだった。
しかし、銀河帝国第三艦隊だけは、その進路を巧妙に秘匿し。
東側に向ったと思われた、そのほとんどはハリボテ、主力は連合最大の首都へ電撃的に進行したのだ。
「ここで、歴史は決定的なターニングポイントを迎えるでしょう。
そう、貴方達が破れるという顛末において、それは完遂される」
第五世代機の、五臓六腑が波立つような巨大な波動を感じ、順調に主基に火が灯されていく。
これは錯覚ではなく、超兵器レベルの武装を幾つも乗せた、そのような超重量型の機体ゆえだ。
必要推力が尋常でなく、彼女はその事象を機体内から敏感に知覚し、内心の戦意を高揚させているようだ。
感じとっているのは、ただそれだけでなく、敵の現在の布陣等をリアルタイムで精密に読み取ってもいる。
それによって彼女は、この後の展開・状況を予測し、スピーディーに敵陣に切り込み、最大の戦果を得るための戦術・戦略を編み出すのだ。
この点、彼女は非常に優秀に過ぎる、特一級の戦士に止まらない、普通なら艦隊総司令官でいるべきな、言うなれば大将軍の器なのだ。
そんな彼女が、なぜこの場にいるのか?
その理由は、多岐に渡るが、その最も足るものは彼女の人生を掛けた、プライベートな理由に基づいている。
最も、それだけの理由で此処にはいないはずであろう、そんな人材の不適材配置は、幾ら東側の、西側に劣位に見える司令部も、しない。
それは純然に、彼女のたった一機の機動兵器戦力が、全体の戦況を揺るがすほどの、決定的な戦場のファクター足りえるからだ。
「これより、独自作戦行動を開始します、アメリア=ウィンスター出ます」
最新旗艦、その最大出力射出で、宇宙に飛び出でる彼女と、その機体。
彼女は回想する、各部の兵器の設計思想を、特に一対多数に非常に特化した、その悪魔的な殲滅能力を。
『前面、距離3000に、敵性機動兵器群を確認、数百三十万機、主要構成は、、、アンノウン』
「新型? それともマイナーチェンジかしら?
まあ関係ない、どちらにしろ第五世代じゃなければ、問題ない数だわぁ」
彼女は機体各部の武装を解放する。
まずは、背面の巨大なバックパックから、四十八の独立機動砲台を、機体周囲に展開する。
次に、機体両肩部に設置されている、二門の砲塔、それを前方に差し向ける。
そして最後に、腰部に二丁、四つに折り畳まれて収納される、超最新型の、歪に余りに銃身の長すぎるライフルを両手に構える。
「総司令官機は、あれね、一撃で仕留める」
彼女は武装を撃つタイミングを正確に測る。
敵にしてみれば、まだまだ超長距離砲戦距離(700~300)範囲外である。
距離3000では、既存の機動兵器に搭載されている標準武装の射程外なのだ。
「、、、見えたぁ! そう、いま!」
彼女のブルーサファイアの瞳が煌めく。
敵機動兵器部隊群、その全体的な動きを見極め、幾瞬間後の精確なる挙動を先読みする。
普通、この距離での射撃の直撃を可能にする道理は、ほぼ無いに等しい。
が、彼女はそれを類稀なる無限に近い才覚と才能で可能に変えしめた。
(まずは、敵隊長機の破壊を達成)
その第一は、凄まじくも、厳格なる宇宙機動兵器戦の道理を打ち破るには、些か見劣りする。
それは彼女の針のような、何よりも鋭いが、広大な宇宙空間から見ては非常に細い第一射だ。
精確に表現するなら、ほぼ同時に放たれた、超最新ライフルからの二射目が存在する、
一瞬にして二射、超光速で敵に飛来する精密射撃だ。
だが、そのたった二射で、敵は部隊長を失うに至る。
大将機を、完璧に不測の事態で突然失えば、当然全体の動きが多少鈍る。
彼女はそれを予めシミュレーションして、今現在は非常に予測しやすくなった敵斜線上に狙いを定める。
「消し飛びなさい!」
彼女の号令が引き金になり、四十八と二門の特級の砲撃が敵に撃ち込まれる。
独立機動兵器の、11532mm相転移式次元跳躍殲滅砲。
それが、その有効範囲内を広げながら敵に飛来する。
それはまるで食らい尽くすかのように、敵の中心部に直撃し、強固なはずの防壁を舐めるように透かして次々宇宙の塵とする。
そしてそれよりも凶悪な、時空跳躍式爆撃拡散砲、それは敵の中心部に出現し、同時に空間を歪めながら拡散、敵を次々脱落させる。
『敵部隊、約10%の破壊を確認、第五射の全武装一斉砲撃での殲滅が可能です』
機体に搭載された全武装が火を噴いた、その結果は、余りにも圧倒的であった。
彼女は無機質な戦果の報告にも、一切顔色を変えずに、淡々と戦況を俯瞰する、この程度、通過点にすら思っていないかのように。




