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魔都の観測者と最終異世界都市


 


 前の世界で死んだ。


 そして次の世界に転生した。

 そこで告げられた事実。


「貴方は観測者に選ばれました、喜んでください。

 奇跡的な確立でランダムで選ばれ、神の如きスキルとステータスが与えられたのです。

 俗に”観測者権限”、そのように呼ばれる絶対能力ですよ。

 さらに説明をするなら、貴方は今、前の世界の理想的な年齢、身体構成ですよね?

 それもそのはず、全自動レベル調整、ALC (オートレベルコントロール)が発動したのです。

 出生ですらない、この世界に存在が決定した時点で、両親が不在、存在すら曖昧な状態でも、観測者は存在できるのですから」


「ああ、理解した、なるほどな」


 そう、俺は目の前の、”俺と同等の観測者”、その言を精確に理解できた。

 なぜなら、既に俺自身の感性も理性も、とっくに正常からは外れていたのだから。

 直感的に、そしてそれとは別の経験等に基づく知恵によって、この目の前の存在の言を、その片鱗だけでも全てを予測できるのだ。


「話が早くて助かります。

 そして、なぜ私が貴方と接触したのかも、わかりますね?」


「ああ、観測者の絶対能力の次元、力の根源は、後天的に伸びるものではない、先天的に全てが決まる類のもの。

 そして、後から生まれた観測者の方が性能は高い、百年に一度程度の周期で生まれる観測者、観測する対象、世界の拡大で恐らくそうなるのだろう?

 つまりお前は、自らよりも力の強い、高次元な存在に取り入る為にやってきたとか、そういうことか?」


「違いますよ、ただ魅了されてやってきた、従いたいだけの奴隷根性の塊ですよ。

 そもそも貴方が、”この世界で最も力のある人間を求めた”のですからね。

 貴方の観測者権限における絶対スキル”魅了”、それは時空すら場合によっては跳躍するのですからね」


「そうか、俺が見ず知らずの世界で最初に思った事が、図らずもお前を呼び寄せたわけだ。

 そしてお前は、この世界で俺の一つ前に生まれた観測者という事も、必然予想できるな」


「そうですね、そうなります。

 それで? これからどうしますか?」


「どうするもこうするもない、ただ俺は俺なりに世界を楽しむだけだ」


「それなら、もちろん私もそれに協力させていただきます」


「なら」


 俺は目の前の金髪碧眼の少女に組み付いた。


「まずは、お前自身を楽しませてもらおうか」


「とても嬉しいです、どうか、私などでよければ、いくらでもお使い潰しください」


 その少女は、真に幸福そうな表情で、そのような己を卑下する言葉を吐いていた。




 それから数時間後、気だるい空気が充満するほどに、色々とイタした頃。

 俺はベッドから立ち上がり、この世界を”視た”。


 なるほど、広いな、俺から見ても。

 人口は、存在の総量は、数で表せば”一不可思議以上、無量大数以下”。

 今存在する”宇宙”、そこに限れば、人口は”一劾イチガイ”程度(京、兆の次の単位)。


 まあ楽しむ分には、永遠に問題がないほど広大だ、とりあえずは一安心だな。


 こういう、まずはやるべき事を差し置いてでも、夢中になった対象。

 今もベッドに寝ているように見える存在、その実、実体はどこに置いているか図りかねる。

 流石”暫定世界ナンバーツーの観測者”、俺ですら一概には底が見通せないほどの力量を持っているという事か。

 しかし、”魅了”しているのだし、敵対する事はまずありえないだろう、そこら辺はどうでも良い事柄か。



「えーと、ここは魔界です。

 そして今居るこの建物は、世界の負の遺産とも言うべき物質で構成された、永久不滅物質ってぇーこういう事は別にいいですね。

 とにかくその1200階、最上階ですよ」


「ああ、知ってる、だが一応の説明はありがとう。

 これから町に出る。

 まあ、俺のやる事を率直に言えば、この世界を適当に回って、美女とヤリまくる、それに尽きるわけだがな」


「最上級の観測事項だと、私は認識します、どこまでも付いていくご許可を」


「許可する、お前は傍にいて欲しいと思う、それほどの存在なのだからな」




 魔界の町、具体的には城塞、今いた巨大すぎる城とも一口に言えない建造物の目前にテレポートした。


「そういえば、名を聞いていなかったな」


「はい、私はエンタです」


「俺は、、、ラストだ」


「ラスト様、私の主の名、心に刻み付けました」


「様付けなど不要だ、余計な修飾は好みではない」


「では、ラスト、そのようにお呼びした方がよろしいのですか?」


「ああ、気軽に接して構わん、お前の好きなようにするがよい」


「心得ました」


 その後、町を回ったが、めぼしい者など見つからなかったので。




「基底現実に着きましたね」


「ああ、ここまで逃げ込むとは、余程俺に従いたくないと見える、調教が必要だな」


 そう、ここは現代、制服の群れが群集する場、学校と呼ばれる場所である。


 そこに俺とエンタ二人、机を合わせて、対象、観測者”ベルン”を凝視している。

 あと実際時間にして数分、その程度で魅了は完了する、それまで精々足掻くが良い。


 この最終基底現実、最も法則が厳重に作用する場、流石の俺でも権限の効力が多少弱まってしまう。

 だが、所詮は多少だ、絶対的力で、今まさに同クラスの観測者を陥落できているので問題はない程度。


「来ましたね」


「そのようだな」


 机の目の前、スラリとした長身痩躯、釣り目の観測者、漆黒の長髪の持ち主ベルンが、魅了された者特有の乙女の目をしていた。




 またも、魔界のベッドにて。

 女の獣のような声、それを散々響かせて、最終的に身も心も、全て俺に捧げた女が一人、情熱的な目で俺を見ていた。


「ラスト、貴方に一生付き従います」


「ああ、そのようにしてくれ」


 これで、観測者のナンバーツーと一人を、まあとりあえずの手中に収めた。

 気になる対象を順繰りに、これからも優先的に魅了し捉える事にしよう。


 しかし、特異点存在、それには直接的に手出しができない、魅了も効かない。

 それだけが残念であり気がかりだ、同時に最大級の無上の楽しみでもあるが。

 全力を持ってしても、どうしても容易ではない事態、観測者として腕が鳴るというモノ。


 特に、特異点存在は、俺から視てもとても魅力的な対象だ。

 黄金の種族の中に何人か、他にも様々な上位種族や、その他異能力者に、無上に無尽蔵に生命力に溢れる沢山の女達。

 ふっふ、手に入れるために、多少これから画策する必要があるか。

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