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魔都の紅鬼‐円卓会議宣言



 そこは中心点から見て、天文学的に遥か遠方の、城。

 最高難易度な十三方位目。

 いや正確には、別格の宇宙空間が存在するが、実質の最高難度は此処であるだろう。


 此処に援軍を出すならば、行って帰ってくる事は期待しない事が暗黙の了解としてある。

 あまりにも距離があるので、行ってから帰ってくる事を想定するのは、非効率、つまりはそういう事だ。

 

 そのような場所の、最大拠点、ただ単に「城」とだけ呼ばれている場所にて。

 黄金の力を有し、黄金の血統と黄金の種族のクイーン級、女王として有る少女は今、

 この場においての、押しも押されぬ、圧倒的で絶対的な、「主」として在った。



 何千人入っても尚余りそうな、巨大な礼拝堂。

 巨大な十字架に、その巨大さに見合う背後の七色ステンドグラス。

 この部屋は、全体的に白亜に彩られた幻想的なほど神聖な雰囲気を醸す場所で、厳格で静謐な気分にさせる。

 その最奥の祭壇に祭られる、金の瞳の装飾が施されている女神像。


『呪いが一層解けましたかぁ? ムーン』


「ええ、でも大丈夫。

 そのお陰で強くなったし、これ以上は解かないからぁ、、」


 大理石の床下に目を凝らす。 

 微妙に色の異なる隅の隅の白い石を踏みしめると、祭壇横の白板の壁がスライドして隠し地下通路が現われる。

 そこを降りると、またも無駄に広大な場所に出る。

 両側が崖のように成っていて、一本道の狭い通路だけが先の先の対岸に続いている。

 神に選ばれたモノだけが通ることが出来ると言われる其処。

 橋を歩き、礼拝堂を構成する、両側の白銀で出来た柱を眺めて、歩きつつ何柱も通り過ぎる。

 他にも騎士甲冑が幾つも幾つも門番のように、等間隔に数百レベルで不動に立っている。

 唯一中心部だけ、天井から煌びやかな超巨大シャンデリアがぶら下がり、室内を光の乱反射で無駄に眩く光らせていた。


「何、ここ?」


「イス、城を知らないの?

 ここって、昔は城だったのを改築したのよ?」


「うわっ、僕が探してた場所ってここかよ」


「探してた? まあいいわ」


 対岸に渡り、円卓の広場。

 沢山の椅子と、一つの丸い大きな机だけがある場所に出る。


「あれが、って、なに座ってんの!」


「ああ? ちょっと疲れたから休憩に」


「ばっか、そこは私の場所、だいたい座ってるの玉座!?なにさま!!」


「お、怒らないでよ」


 その部屋の最高責任者が玉座に座ると、術式は成る。

 内装に並べられた騎士甲冑が動き出し、整然と円卓の後方に整列する。

 だがそれよりも、迫力のあるモノ達が忽然と現われる。

 私と比べても一切遜色がない、王者の貫禄持つ円卓のモノ達が現出する。

 わたしの、イメージとして持つ過去の情景、想像の羽根が生み出した妄想の産物たち。

 しかし彼らはまさに王様級、一人一人が一騎当千の選び抜かれた猛者の中の猛者。

 それが全員座しながら、興味を持っていそうなそれぞれ赤い瞳で、玉座を仰ぎ見るのである。

 だが、それら全てに対して何も言う必要すらない。

 意志疎通ですら、必要としない、即興で連携の問題すらありえない。

 彼らは私の直接的な手となり足となり、忠実なるとして反抗はあり得ない。

 だが、彼らの身にも起こった変化はある、全身が前に比べれば紅に染まっているのだ。


「えーと、はぁ、みんな狂気に犯されてる前兆あるけどぉ、大丈夫ぅ?

 その紅白くて細い腕とか、ちょっとヴィジュアル的に気の毒なんだけどぉ?

 あと銀色の髪? 赤が混じってる。

 なんか非常に見覚えのある、甲冑に紅の目とか、デザイン的にも大丈夫なのかしら」


 部下達を見回しながら、一応カッコよく黒いドレスをバサァーっと翻す。

 そして同時に魅了を発動。

 この部下達は生来から既に生粋なのだが、意味ない動作だが、なんとなく罪悪感が無いわけじゃないのでサービスである。


「今日、我らの神から宣託が降りたわ。

 頭に響いた声からして………………の?」


 神の声質を思い出そうとしたら、突如クラッと倒れそうになった。 

 現在進行形でいろいろ考えつつ、既に昨日から始まっていた超空間での脳の過剰処理。

 過度に酷使した挙句、特殊な音声を再生しようとした結果、限界に達しかけていた。

 自分の瞳が血走って充血しているのを自覚する。

 神力を常時供給する、この回復系統で固めた完全防備の服装がなければ正直ヤバカッタ。

 やや、髪に浸透蓄積した魔力も合わせて、いろいろ補助増強してコレか、先が思いやられるって話だ。

 そして、今再生した”その”可愛らしい声から検索想像するに、あの存在だと判定断定する。


「我らを守護する、完全なる黄金比の聖女の嘆願だ、どうだ、聞かないわけにはいかないだろ?

 宣託は、上位世界から不定期に零れ落ちる、神の書の回収。

 降臨位置は星図歴換算で四日後。

 敵性勢力は幾らでも多数存在し、把握済みだけで四。

 混沌の輩に、幻想の巫女達、絶対聖教会、イデア会のタカ派。

 これに比べれば脅威度は低いが、他、小規模勢力多数。

 あとに、単一で絶大な力を所持する危険なソロプレイヤーも、多数情報を入手して動いてくるだろう。

 これから分かる通り。

 今回の降臨余波や予測は大分大きい、降臨する代物もそれだけ大きなモノとなるだろう。

 多少敵が大き目だが、で危険も当然高いわけだが、万難を排して手に入れる必要があるのだ」


「ふはぁはぁ、げらげら、ひゃっひゃひゃ」


 人が状況説明を込めた叱咤激励をしているというに、イスは電子端末で動画を見て笑っている、拳骨を振り下ろした。


「みぃ!!!」


「ああ絶対に位置する力を有するソレは、敵性勢力に渡すには惜しすぎる一品だ。

 皆も分かっている通り。

 絶対の力は、その一つ一つが重要で、その総量が総力戦、果ては最終決戦で寛容なのだ

 あと特殊図書館からユニオンメディアカードの使用許可をもらい、既に行使可能になっている。

 自分の現状、今の見た目は、どうやら目の前の事態が巨大な事象ゆえと心得てくれて、一向に構わない」


 言って。

 円卓中央中心に浮かぶ立体絵画の人物を見る、なんかなんと私と一致していそうである。

 アイスクリームをぺろぺろして微笑んでいる。

 ずっと終わりなくその動作を続けているので、上手くループを繋げているのだろう。


「なに、、しているので?」


 数秒程固まっていた、だが、一度完全に停止した脳が即座に弾き出した答えは。


「見てくれよ! この神作を!

 やっぱ神素材が身近にいると、いい動画が容易につくれるよなぁ!」


「なるほど、寝言動作は夢を見ながら言えしろ!」


「イタッ!?」


 また拳骨して消させる。

 円卓に居並ぶ面々が微妙に残念そうな顔をするが、夢幻で断じて結論付ける。

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