覇王の時間
「おい副官、イルミナードを取り巻く、各勢力の状況はどうなっている?」
俺は、全宇宙世界を取り巻く、最終決戦の場である舞台の、全てを決する場に居る自覚がある。
世界を司る方向性すら巻き込んで、最終起源世界、アウルベーンという新領域を手に入れた勢力が究極的な勝利を収める舞台。
このゲーム世界で無限にインフレしたはずの世界が矮小化、厳密にバランス調整された上で数値化され、戦い、全てが決まる。
この世界を完全支配した勢力が、アウルベーンのゲーム丸ごと生贄にして成す、儀式召喚のエーテルの源となり、
つまり新しく現れる絶対存在、世界の方向性としての”新領域”を手にして、均衡していた、停滞の世界を破壊し支配し、己が世界の究極化、最大化、
とかを色々様々に成すのだろう、と。
「はい、黄金の種族は、相変わらず天界の神族として、宇宙を中心にして艦隊で侵攻を継続中、
しかし、かのモノ達の脅威は一強故に、全ての勢力が連合して軌道する連合艦隊軍が迎撃、とうぶん敗走の心配はないかと。
次に、銀の種族ですが、やはりエルフという種族の弱点が露骨に出ていますね、
理性が強く、全体的に好戦的でなく、講和で秩序的な世界支配を目指しています、
ユニットの特性的にも、拠点防衛に強く、侵攻戦に弱く、上位プレイヤーで無ければ、エルフの固有魔法も有用に扱えない、
ですが、どう考えても長期的には、これも黄金の種族に並ぶほどに強キャラ的なのは明らか、黄金に対して行った対連合プランを検討中です、
さて次は、青銅の種族ですが、彼らは心配には及びません、傭兵のような動きだけです、
第一に、この状況を永久に続けることのみを考える輩です、血に飢えた青銅の種族、
全勢力をゲーム内に降臨させる時の、臨界エーテルを消費する拠点構築のボーナスで、
ひたすらに世界において辺境に、果ての果てに続き続ける、防御に特化しまくった、かの蒼の回廊を作って、アナグマを最初から決め込んでいるとおりです、
例のチート兵器、ルクレティアの兵装群も、常に青銅球を見張っておけば、とりあえずの問題もありません、
ですが、どう考えても、世界の決戦を決めるときに介入は必然です、対策が待たれます、無駄にゲームの長期化を招きます、戦いが読みにくく成りまくります、
次に、鉄の種族、この勢力は色々と未知が多く、読みにくいのですが、魔王に隷属する傾向が見られます、
悪という悪を行うのは知っての通りで、最近は大魔王というクラスに集中してきています、また魔王討伐を盛んに推奨する必要がありそうです」
「なるほど、鉱物種族の動向は第一にしろ、他の勢力は、ぶっちゃけ話にならん、後発組の連中は所詮は所詮レベルなのだからな、どうにでもなる」
「そうですね、掛け値なしで、どうにでもなります、彼らは我々の勢力に媚びる形で、協力して恩を売る事しかできないでしょうからねえぇ」
「まあ、多少の駆け引きはしてくるだろうが、
だが最終的には、盤上の全てを圧倒的に支配する俺達が、全てを牛耳り、全ての方向性を最終的に定める事が出来る訳だ」
「当然ですね、そもそも、盤上の駒達を、どのように操り、成長させて、先発組、我々もですが、四大鉱物種族に打ち勝つか、のゲームと言えるでしょう」
「もちろん承知だ、その為の最高の頭脳である四大図書館も、博物館勢力も、全ての絶対存在すらも、既に俺の掌中の中なのだからなあぁ」
そうだ、俺は、世界の全てを手に入れたのだ、既に、
だが、世界の全てを完全に手に入れても、まだ足りない、
まだ、あの領域の最果ての階梯に、僅かばかりでも、今をもって届いていないのだ、俺は、
これからは、俺は世界の全てを使って、世界を超越した、世界とも形容できない、何か、超越的な世界と、対峙するのだろうがよ。




