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アラヤとイデアのドリームワールドへの道程



「おいイデア、イルミナードと幻想拠点を繋げたみたいだな?」


「その通り、観測者にゲームとして繋げる故に、さまざまなバランス調整を受けたのだが、

 ルナルティアの領主、ナルコだが、全面的に同意、むしろ積極的に今回の事態に参入したいようなのでな」


「あのクソ好戦派の奴の事だ、失うモノが無い、むしろ失うモノを複製しまくって、救いようが無くなった化け物猫がドヤ顔してんだろうなあ」


「それを言うなら、我々だって同様であろう?」


 言うまでも無い、究極的な幻想と芸術の切っ先で、世界の果てを垣間見た、

 幻想領域という名の世界の底の底、

 世界の方向性の幻想、それが絶対存在として君臨し、

 世界三大ネットワークの極点としても機能し、イデアネットワークとして世界に存在する、

 純粋なる狂気に突き動かされ続ける、世界の果てから垣間見た、深淵と呼べる狂気の顕現者なのだから。


「さてさて、破綻破滅崩壊的な世界において、君はどういう風に、どのように歩みたいのだい?」


 今世界、まったく面白くない世界だ。

 この世界は力や強さが無ければ、ハッキリとクソゲーだ。


「ハンっ、くっだんねえんだよ、ダボが、

 こんな、クッソ無理ゲーであり鬼畜ゲーであって、どうしようもない有様。

 常に現状が永続する世界法則から観て、この世界が現状救いようが無いのなら、永遠に永劫に救いようが無いのだからなあ!

 常に戦争が救いようが無い、常に強者が弱者を搾取する、

 秩序的な世界が在ったとしても、所詮は弱者をクッソ搾取しまくった成果・結果だろうがよ、

 強化人間を作って、発展途上国を搾取しまくって、やっと一流先進国以上で、世界が成り立った試しが歴史的にあったか?」


「それはそうだろう、?

 無力で無能な人間が、活き活きと人生を謳歌できるなら、世界はとっくの昔に”丸く”平和になっている事だろうから。

 まあまあ、八対二の法則じゃないが、八割の人間なんて不幸なのだ、十二分に不幸で身も心も腐りきって

 ハッキリと性根が腐りきっている、おまけに大抵は身も心もボロボロだ、

 所詮は人間の限界性能が決まっているのだ、

 灼熱の戦場で生き残って、致命傷を負って、やっとまともなレベルの理性が手に入るのだから、

 そして理性があっても、身も心もボロボロ、腐った救いようがない世界を理性で観測して、性根が腐りきる、

 奇跡的に身も心も頑強で、強い理性で観測し、性根が腐らない場合もあるがな、絶対少数派にしかならん、

 絶対数が足りない以上、人格者が少数な以上、そいつらが君臨して、王として秩序を唱えて世界を維持する構造なのだから」


「ああ、だろうがよ、

 大概が生きたまま死んでいる様な人生だ、自殺して無くても生きた屍になっているようなモノだ

 そうじゃなきゃ、世界はもっともっと輝きに満ち溢れているはずだから、なあ?」


「これはしょうがない、人の世は救いようが無いほど穢れ荒んで、罪悪と背徳に満ち満ちている

 先進国でも変わらない、

 人々の人間的な病理、不効率な精神構造、不条理な思考回路、理不尽な現実の全てという全てが、

 不幸が、ありとあらゆる不条理、理不尽と不合理と不効率を生み出し続ける、のだ。

 所詮は負の連鎖が優勢な現世だ、

 悪循環的な、世界の価値を薄めて、足を引っ張りお荷物にしかならない存在が蔓延っているから

 だからといって、邪魔だからという理由で、生まれてきた人間を負債として処理できない以上、もう本末転倒的に救えない状態なのだ」


「正味、何もかも、輝きに欠ける。

 世界は全体的に見て、不幸なのだから、当然だな」


「イデアですら、己の視界も曇っていくばかりで、世界に絶望と失望と幻滅を何度繰り返しても、したりない。

 この先も、きっと輝かない、むしろもっと複雑な問題が山積みで、詰んでしまった感があるな。

 もしかしたら、光明的な革命やインフレで、世界があっさり救われるかもしれないがな、

 観測者が阻止する、阻止しない、無限に不幸になる世界、幸福になる世界、現状で停滞する世界、

 全てが共存して同時並行に存在し続ける、それが世界の真理と観測して、悟ってしまった己にとっては、全てが無意味に無定義なのだがな、

 なんて、 

 楽観した可能性の世界も、あるのかもしれないけれども、

 でもきっと、己は大して救われないだろう

 世界が救われることが、直接、己が救われる事と相関でイコールとは、余り確信的には思えないのだ」


「けっ、けち臭い、出し惜しみしてんじゃねーぞ、くそ世界が」


 裏路地歩きながら、ゴミ箱を蹴っ飛ばしてストレスを発散させる。

 モノに当たる事は良いことだ、なぜなら、人に当たる事に比べたら良い事だからだ、

 今決めた、から、これは正当な行為だと、自己を正当化させさせ続ければ、世界は容易いのだろう。


「荒れているのですね、アラヤ」


 脳内で語り合っていた存在、

 もしかしたらだが、己の脳内妄想の会話だったのかもしれないと、錯覚しかけるのだが、実際問題、どうなのだろうか? そこらへん、一切合財不明瞭、

 暗い闇の底、路地の暗闇から、いつの間にか出現していた、プラチナプロンドの少女が。


「たりめーだ、下らない世界に、この俺様を派遣分離しやがって、ふざけやがって、クソナルディアがぁ!

 マジであいつを殺して殺しつくして、消滅させてやりてぇーよなぁ!」


「そこまでですか? この世界、割と興味深くは、ありませんか?」


「別に、そこまでソソラレねーよ。

 だいたい制限が掛かりすぎだろが、保守的に維持しすぎだろうがよぉ。

 多少リミッターを外しても、別にいいだろが、つまらねーことしてんじゃねーよ馬鹿がぁ」


「それは早計ですね。

 この世界は酷く不安定です。

 安定的に見えても、それは上辺だけの話。

 ありとあらゆる物理現象は、複雑怪奇に存在していて、

 僅かな歪みが、簡単に世界の終わりを導く解を出す、

 なので制限は必要でしょう、どれだけ詰まらなくても、それが世界の限界、リソースの底なのですよ」


「ちぃ、けちくせぇーけちくせぇー、だーら、俺様をもっと上位の世界に行かせろってんだ。

 こんな下位世界が、何時まで這いつくばってらいいんだよぉ、クソゲーがぁ!」


「下位世界が、と仰いますが、客観的に見て、この世界は完成度が高いかと。

 わたしは毎日、それなりに人生の喜びを見出していますが?」


「てめぇーのは穢れた熟れた、女の喜びみてぇーなモンだろうが。

 脳内お花畑が、あそこ可愛がられれば、それだけで胸奥から満足できる性根じゃねーのよ、俺様な」


「余りな言い草ですね、なんですか、私をなんだと想っているんですか? それは事実無根ですよ」


「あーはいはい、知ってますよ、知ってていってるんですよ、精精気分を害しやがれ」


「酷い人、なにより貴方をそのようにしてしまう世界が、酷いのかもしれませんが」


「そうだそうだ、この世界が、なにもかも悪いんだ、俺様は何一つ悪くないぜ。

 だいたい、俺様は世界の外側から発生したんだからな、この世界の劣悪さが成した業なんだよなぁあ!」


 また新たに目に付いた、ゴミ箱をストレス発散に盛大に蹴っ転ばし飛ばす。


「あらあら、無駄に世界のエントロピーを増大させないのよ、アラヤ」


 どこからか、声、だけがする。


「ちぃ、別に、このくらいいいだろが、逆にエントロピーを下げてやってんのよ。

 俺様が本気で暴れてしまったら、この程度の災禍じゃすまねーぜ?」


「ええ、そうでしょうね」


「この声は、ナルディア様でしょうか?」


 だろうがよ、まあどうせ本隊じゃねー、そこいらに無限に増殖しているチンケな影だろうけどな。

 それでも蔑ろには出来にきー、コイツは観測端末だから、本隊に幾らでもチクれるだろうからな。


「だいたい、その言は可笑しかねーか?

 手前は世界を混沌の底に導く使徒みたいな存在なんじゃねーか。

 なんで世界を守護する秩序みたいな振る舞い見せてくれてんだ?」


「それは当然、無秩序な混沌をばら撒いても、効果が高が知れているから、よ。

 期を見て、もっとも混沌が膨れ上がる、仕掛けを、何十にも仕掛けておかないと、ね」


「冗長な話だぜ、さっさと世界を世紀末に変えておけよ、つまんねーんだよ馬鹿やろうが」


 やべえな、さっそく化けの皮が剥がれて、つまびらかな台詞回しになっちまっている、まあどうでもいいだろうが。


「冗長に見えても、その実、ナルディア様がなされること、限りなく最短で最善なのですよ」


「知るかよ、冗長に見えてんだから冗長って言って、何が悪いくたばれよ無能で雑魚なゴミ屑が」


「イデアは話が分かるのね、流石、絶対の因子を内包する存在ね」


 絶対ね、コイツの何処がどう絶対なのか、小一時間掛けてもいいから説明して欲しいね。


「わたしは、絶対性に満ち満ちていますぅ」


 俺様の疑ぐり深い瞳に怒ったか、馬鹿みたいな台詞を馬鹿みたいにいいやがった、馬鹿がよぉ。


「何処がだよ、馬鹿、馬鹿馬鹿。

 だいたい、馬鹿な時点で、絶対性とは程遠いいだろうが馬鹿。

 てめぇーは絶対とかほざくな、秘所を弄られたらへなへなに駄目になる馬鹿淫乱ドスケベ野郎が、下らねー戯言をほざいてくれんな。

 失笑させられ過ぎて殺されそうなんだよ、馬鹿がよ」


「また性懲りも無く根も葉もない変な噂を、鵜呑みにしているのですか? くだらないったらありませんね」


「あんだろうがよ、馬鹿が。

 てめぇーの恍惚としたあへ顔なら手に余るほどフォルダリングできるんだぜ?」


「やっやめなさい! ぶっ飛ばしてしまいますよぉっ!」


 クック、馬鹿が羞恥に顔を染めているのに失笑が禁じえない。


「おいコライデア、てめー俺様に弱みを握られていることを知っておけよ、態度にきいつけろよ」


「くっ、なんでこんな奴に、一時の気の迷いが身を滅ぼすことをもっと再認識しとかないと」


「はっ絶対性からはまだまだ程遠いいなぁ!」


 こいつの羞恥を引き出すには、こういう罵倒が効くのだろう、今も唇を結んでいるからして。


「てか、いつの間にか消えたか? まあどうでもいいがよ」


「いますよ、ただ観客に徹していただけ」


「消えろよ、いらねーんだからよぉ」


「酷いわ」


 別に酷くねー、もっと酷くしてやろうかと思った。


「そういえばナルディア、幻想領域に行けるって話しはどうなった?」


「あそこはもういいの、どれだけ無限のリソースがあるように見えても、所詮は必要なモノが採掘できなきゃ意味なしなの」


「はあぁ?」


 幻想領域、無限の理想が幻想される場所。

 そこには色褪せない、幾らでも開発と開拓が可能な世界が広がり続ける領域。

 ゆえに、どれだけでも冒険心が踊る、無上のフロンティアであり続ける。

 もちろん、その為の努力を惜しまない、世界を創造し続ける、幻想の勢力が在るから存在している領域。


「どういうことだ? 混沌的事象は、幻想の奴らに受けが悪かったかぁ?」


「ええ、そう、嫌われてしまったの」


「それは、ナルディア様が無茶をなさったからでは、、、」


 なるほどね、事を急いだ感じだろうが。

 コイツは端から、幻想を奪いに掛かったんだろうがよ、だから出禁にでもされたか、馬鹿やろうが。


「へましてしくじったってか、責任取れよ馬鹿が」


「まあ、初めから予定調和だったのだけれどもね。

 わたしが幻想領域に災禍をばら撒いて、幻想領域で大戦が起きる、というシナリオが一本。

 その後の、膠着冷戦状態、何もアプローチを掛けないよりかは、面白みのある見世物でしょう?」


「つまらねーな、断じて、幻想領域を観測できる機会を潰しやがって、くたばってくれねーかね?」


「馬鹿なことですアラヤ。

 私達生粋の混沌陣営の存在に、それを許すほど、彼ら甘くないですよ」


「だろうがよ、己からリソースを敵対勢力に、譲りゃしねーわな。

 だから、俺様たちは、こんななんら代わり映えしない馬鹿みたいな世界で、しこしこしてなきゃいけないってわけだ、ちくしょう」


「いいじゃないですか、変わらない日常、それが至高のモノであると信じられれば」


「だから、ド淫乱な馬鹿と、俺様を一緒にするな。

 脳内お花畑にするには、まだまだ理性的なんよ」


「またまだまだ下らない事を言うつもりなのですね、わたしを馬鹿にして楽しいですか?」


「おいおい、それは言わぬが花だろう、まあ言ってやってもいいがな、面白いに決まってんだろがぁだ馬鹿」


「はぁ、どうしてでしょうね、貴方に馬鹿にされるとムカつくんですが、これは可笑しいのですよ。

 わたしは絶対性を有する、それを揺らがせるって、貴方は一体なんなのですか?」


「イデアさん、彼女は混沌の幹部ですよ?

 事象不安定化の技術に掛けては、飛びぬけているのです。

 幾ら貴方が絶対の一でも、それを飛び越えて、貴方の心を揺らすことが出来るのです」


「そういう事だぜ、せいぜい俺様の手技にはぁはぁしておくんだな。

 いややっぱりやめろ、てめぇーはスイッチが入ると度が過ぎるタイプっぽいからな」


「馬鹿なんじゃありませんか、ホント、馬鹿馬鹿しくて嫌です、私をなんだと思っているんです、やめてくださいよぉ」


「嫌だね、その余裕が無くて、怒りか何かで本気で息が荒くなってるお前見てたらね」


「楽しそうですね」


「別に楽しくないが?」「ええ、まったく楽しみなど欠片もありません」


 本音からの言葉だった。


「これはあれだぜ、息を吸うようなモンだ、楽しみなんてありゃしねー」


「ええ、これは単に苛めですから」


「可愛がりと言えばいいだろが、明け透けに酷薄な言葉を使うんじゃねー」


「余計惨めになりますから、貴方の所業をわたしが可愛がってもらっている、なんていえば、それこそですよ。

 だいたい貴方は酷薄なことをしているのです、自覚を持ちなさい、あと息を吸うようにしないで」


「息をするように可愛がってやる」


「また新しい繰言をっ!」


 話しながらふと思う。

 路地裏の闇は歩けど歩けど深まるばかり、どこまでも進んでも、この世界はこういうのが永遠深度を深めながら続くのだろうと想った。

 この先には、混沌の最大都市、ドリームワールドがあるのだから、それも当然か。

 まあ其処と比べたら、これでもどこでも、あらゆる序の口なのだろうがね。

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