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ナルディアと作者と‐博物館の結社と絶対魔術協会と禁断図書館と



「ねえねえ作者、結社と協会が組んだらしいよ?」


「知っている、俺に察知できない物語上の事象は無い」


 哲学者どもの作りだした世界システム、そして結社の作りだしたエシュロンシステムは、

 魔術協会の望む、この世にあらざる真なる事象を生み出す鍵になりうるとは、ずっと昔から思っていた。


「この世界の全てを傍受し、観測者という、俺という作者を外側から観る、つまり読者では無い、

 まあそもそも、読者イコール観測者として定義し、

 多分に過大評価して、己の中の存在規模を底上げして増強するインフレ爆アドテクニックなのだが、まあ

 奴らは俺の中にすむ、読者に対するカウンター、己の道を己で決める為の、自立志向型の外部委託的に存在する哲学思考回路だな。

 そして、

 そいつらの持つ最大にして最強の武器、エシュロンシステム、まあ俺の与えたようなモンだが、は、

 世界の全てを傍受する、博物館勢力が観測者に対して優位、あるいは同等に張り合えるのも、これのお陰だな、

 でなきゃ、世界における絶対におこらない事を生み出す為に、俺が自殺するのが一番早いってのに、俺が生き残っているわけないわな」


「規定現実で、極点ARに縛られて、己という、今眼前に居る、存在する作者を、真に最強という設定に置けないだけ、そうでしょう?」


「読めてんだろうがよ、ああそうだ、

 俺は規定基底現実で、観測者やら四大鉱物種属の顕界存在、女王に睨まれている、

 この物語だって、奴らによって運営されているようなモンだ、俺個人としては、特段メリットは生めそうにない、ゴミ屑のような物語だ」


「私が観るに、絶対存在の絶対の方向性の、ハイネちゃんはね、

 この世に真なる絶対に絶対にするべき、絶対を生みたいって、本当に思っていると思うよ」


「知らん、俺は基底現実で、アカシックレイルコードを名乗る金髪幼女に、付き纏われるのが大問題の俺だ」


「ああ、そっちに彼女行ってたんだ、極点ARの真の目的は、どうせ和平でしかないのだろうけも、

 まあ偶には俗っぽい面も出すには出すよね、あまりにも君が魅力的だからさあ、人間性を半ば強制的に呼び起されちゃったんだろうけども、ハーレムしてるなあ」


「なにを悟った顔をしてやがる、クソナルディア、ぶっ殺してしまうぞ?」


「さて、それじゃあ、そろそろ語ろうか?」


 この世界には、ちょっとうざい奴と、ガチでうざい奴がいる。


 私こと、世界の方向性ナルディアという名の混沌には、だ。

 前者は、例えばリリー副将軍のような、秩序勢力全般。

 そして、後者、例えば今、目の前にいる奴らとか。


 てーか、この作者は”割と”便利だね、 

 ちょっと乗せるだけで、ペラペラと、

 私ですら見通せない、超感知もできない、世界の最秘匿、未開拓領域すら話してくれるのだからねぇ。


 さて、この世界には、大きな波がある。

 絶対の無に内包される、”虚無”と呼ばれる軍勢が、大群を引き連れて押し寄せる周期がソレだ。


 一度ソレが来れば、世界は大団結して、ソレに当たる必要がある。

 なぜなら、虚無とは、それだけ大きな存在達だからである。


 彼らの望みは唯一つ、全てを無に帰する、それに尽きる。

 俗に、完全なる混沌の勢力、とも揶揄される、そんな彼らに、上位世界の”わたし”は四苦八苦してるだろうなぁーと、気侭に思っていた。


 だが、波の影響というのは、如何せんココまで来るようだ。

 情報として、完全に再現した、いや、そうじゃないと色々不具合が出るので、しょうがなかったのだが。

 虚無の発生プロセスまで、シンクロして起きたのだ。


 もちろん、上位世界から、力の根源を呼び出せば、こんな下位世界の脅威なぞ造作もない。

 が、それは出来ない。

 この世界から得られるメリット以上に、そんな後付的な運命力、力の根源は分配できないのだ、それが現実なのだ。

 残酷なほどに練磨された、それゆえ、どこまでも真剣になれる、真実の厳しさや難しさにも通ずるソレである。


 で、今は運命を操り、虚無に対抗できる、力の根源を所有する存在を集めていたのだが。

 ミレニアムと呼ばれる、変な奴が、どうやら多くの力を、世界と相対して、極端なほど集中させていると知れた。

 なので、その存在に、多くのしわ寄せが来るように、多少の誘導、展開を見守る。

 もし仮に、存在が抹消されそうなら、助太刀に行く、確固撃破が一番戦力消耗が激しいのは言わなくても分かるだろう。


 わたしは私を一匹、無力なただの観測地点の存在として。

 ミレニアム、通称ムラクモ神の戦う場から、ちょっと距離を置いた、木の裏に存在させておいた。


「おいナルディア」


「ごめんね作者、私いま、極点ARの最深部、禁断図書館にアクセスしてるから、寝てる感じだよ」


「そうかよ、死ねよ、ゴミ屑が」


 真なるゴミ屑が何か言っていたが、私は華麗にスルーしておいた、

 だって真なるゴミ屑なのだもん、堕胎可能なレベルで無価値、無定義に路傍の石なのだ。

 

「禁断図書館に行ってるなら、奴に伝えておけ、メサイアの鍵で落としてやるからってな。

 落ちた暁には、時には、散々ぱらに情報を解析しまくって、俺の脳内妄想で可愛がってやるからなって、

 あのいけすかない司書の顔をしている、クソクールな女に伝えておいてくれやあ」


「酷く下種だね作者、まあ、この世界が下種の極みで構成されている、既に終わった詰んだ領域とは言え、

 下種は下種、ゴミはゴミ、永遠に永久存在に至れない、絶対ですらないゴミから発せられる戯言を、彼女の耳に入れる気はないよ、ただそれだけだけれどもね」


「ああそうかい、言ってろ人で無しの化け物ゴミ屑存在が」


 性別的には、女性であるようだ。

 腰ほどの黒髪を、ポニーテールにしている。

 白亜の日本刀を、直線的に、化け物にしか見えない、圧倒的大量で、雪崩のように迫るソレラに向けている図。


 なるほどなるほど、そういう経緯で。

 よく見て知れた情報。

 彼女は奇跡の産物であると、知る。


 情報の世界での再現が悔やまれるが、それはしかたない、今更どうにもできないのだ。

 まず、ミレニアムの名の通り、根源にアクセスし、全てを見通す能力。

 そして、なにより凄いのが、神の格を手にしている所だ。


 人間以外が到達できない極致、曖昧性を極めて、やっと手に入れることが出来る、無限大へのアクセス権。

 だがしかし、人間性を無くし、神の域まで、己を後天的に確立し固定させた、その数奇な運命が凄いのだ。

 神に至れば、無限の容量に、無限に情報を集積、奇跡を操る前提を、全くの摩擦なしで展開できる。

 ゆえに、彼女は特異点存在に成る、だから、虚無と呼ばれる軍勢すら、なんなく捌けるほどに達しているんだろう。


 愛情という絶対の矛盾を、絶対に無くし、絶対の決意で、生きる事を選んだ。

 ただそれだけが、無限大と思えるほど難しく、人間程度では、凡そ不可能な事なのに、彼女は成し遂げた。

 ある意味、絶対にして無限大の、そういう矛盾を内包する存在、と言えるかも。

 だって、一度無上の愛を失ったのに、生きているのだからね、多分、同量の生き甲斐を、直ぐに見つけれたのかな? 

 多分、そうなのだろう、彼女の内心は底知れず見えない、だって特異点だ、底が掛け値なしで、もう見えないほど深まっている、私ですら観測できない深淵だ。



 地球で起こっている事象とも、良く分からない。

 溢れ出る奇跡は、容易く恒星など消し飛ばす、ビックバンを連続で起こし尽くすような、そんな物理現象の極致が絶えず巻き起こっている。 


 日本刀、その銀の流線は、僅かな、最小単位でしか存在しない、その運命を連続で引き当て続ける。

 幾億の可能性、いやそれ以上、那由多の果ての、唯一つ、理想的な軌跡という奇跡を、黄昏の空に示し続ける為に、振るわれるソレ。


 存在が増幅されて、例えるなら、何でも切れるようになった貴金属。

 それが虚無からの侵略者を、永久の闇に葬り続ける。

 幾たびも闘争が展開し、時間軸だけなら、もう何百年も戦い続けたある日、やっと終わりを迎えた。

 本体である私も、どうやら多少傷つきながらも、万事抜かりなく終わらせたようだ、よかったよかった。


 地球だけ、その極、限られたスペースだけ。

 もっと言うなら、地球から観測できる、既知人類宇宙も含めて、限定的な全、ではない、大宇宙の事象を100年分逆再生。

 これなら、時間移動とは比較にならない、最小程度の、いわゆる奇跡や運命力の消費で、もとの生活に戻れるのである。


 と、その前に、図書館に寄って行こう。


 本日の、インペリアル大戦と、後に名称が付けられた、虚無との戦い。


 無限大階層世界の、暫定頂点? 最底辺とも言える。

 そこから来た、虚無と、その他の勢力の、雌雄を決する戦いの舞台から取られた、らしい、ってわたしも結構活躍したんだけどねぇー。


 虚無に対する情報を、図書館くらいには譲ってやろう。


 私が図書館と呼ぶ場所は、ある信頼の置ける人物が管理する、情報公開の場である。


 流石に、世界が崩壊したら、私としても嫌なので、対策を講じる助けになる、その為だけになら、利用させてやってもよいのだ。


 そこは、公共の福祉と、世界の存続、それのみを絶対の基準と定めて、情報を開示する。

 だから、虚無を転用して、化け物を作る機関とかに、情報を売ったりしないのだ、閲覧禁止や制限をしてくれるだろう。


 時空魔術によって、図書館が認めた、”適格者”しか至れない、そこに転移する、わたしだ。


「見返りは必要ですか?」


「くれるなら、全力でもらう」


「ふっふ、ならば、私を上げましょう、もとより、そのつもりでしたし」


「いらない、さいなら」


「ああ、行かないで、愛しの人ぉ~およよぉ」


 混沌に魅せられた、可愛そうな人である。

 この図書館を治める主、ちょっとばかり、頭が可哀想と、私自身を棚上げすれば、堂々と宣言したいくらいに、それはそれは可哀想な奴なのである。


「ふぇーん、しくしく、、、チラチラ」


 全部口で言ってるし、嘘くさ! 


「ありゃ、ミレニアムさんも来ましたね」


「ああやっぱ、ここから情報収集してたんだ」


 件の黒髪の、まるで現代のサムライガールのような美女が、図書館の入り口から現れた。

 とうぜん、退出しようとしていた私と、向き合うようになるわけだ。


「私の剣が、今まで感じた事のない波長に、戸惑っている」


「ああ、それはそうですよ。

 なぜならナルディアさんは、混沌でも秩序でもない、ただ気紛れなだけの、巨大過ぎる存在ですから」


「ふむ、ならば、特には気にする必要は、ないか」


 そして、スルーするように、私の横を抜ける。

 ちょっと、興味がわいて、退散を中断、彼女のうしろを着いていく。


「群雲ちゃんは、今日はどんな用事なの?」


「??、、馴れ馴れしいが、まあよい。

 今日は、倒した虚無のデータを、渡しに来たのだ」


 そして、刀を図書館長に渡す。

 ソレにデータが入っているのだから当然。

 変幻自在に、無限にありとあらゆる情報を出力し、かつ入力し、保存機能まで持つ、万能な代物なようで。


「少しお時間をください、群雲様」


「ふむ、わかった、適当に、時間を潰す事にしよう、、、うぅ」


 顔を覗き込むように、中腰で、彼女の横手から見てる人がいる、わたしだ。


「なんだ? わたしにようでもあるのか?」


「ないよ、ただ、見てるだけ」


「あまり、気分が良いものでもない、やめてくれると助かる」


「ごめんね、でも、やめないよ」


「、、、ならば、好きにするがよい」


 図書館を、スタスタ突き進む背中を追う。


「へえ、こんな本を、、、いいご趣味をお持ちで」


「。。。。。。」


 群雲は、剣の指南書とかが沢山置かれた、そんなスペースを呼び出して、立ち読みしていた。

 念じれば、勝手に出現するような感じなので、恐らくは、そもそもが読む必要のない、本当に暇潰しなのだろう。


 この図書館で得られる情報は、伝送不可能な禁書以外は、全て先程の剣か、彼女の奇跡で、遠方からも読み取れるだろうし。

 多分、精神を最大限統一したりして、紙媒体で読む趣とかを、大事しているのかもしれないね。


「っ!!!」


 肩をちょんちょんしてみた。


「、、、なんだ? ようがあるのなら、ハッキリ言いたまえ」


「ないよ、ただね、からかって遊んでるの、ありざした」


「、、、、そうか、私が怒らない前に、やめる事をお勧めする」


「やだよ、だって、怒らせたいんだからもん」


「、、、、、」


 私から視線を本に、無視ですか、はいそうですか。


 彼女のスラリとした背筋。

 制服のような黒を基調とした、キッチリパッツリした感じで、スタイルが強調されるソレの上からツぅーーっと。


「っ!!!!!!!!!!!」


 ちょっと顔を赤らめて、こっちをバッと向き直る群雲たん、はぁはぁ、なんかかなり、可愛らしい人だな、個人的な主観によるが。


「お前、名は?」


「ナルディアだよ」


「そうか、、、面白い奴だな、ちょっと遊んでやろう」


 彼女なりの遊ぶ、コミュニケーションとは、いきなりの抜刀だった。


 紙一重、ではない、バッサリ切られて、盛大に出血。

 図書館を血で汚し、地べたにだらしなく倒れるわたしが居た。


「なにをしている? 遊ぶといったが、真剣ではない、とは言わなかったのだぞ」


「あー、確かにこりゃ真剣であるぞよ、死ぬー」


「死なない、お前はその程度で、というより、物理的に殺せない存在であろう?」


「むぅー、確かに半霊だけど、だからって半分は物理なんだよぉ」


「半霊ならば、消滅しても存在は有る、存在を消費し、いくらでも実体は戻せるであろう?」


「そうだけど、ただじゃないんだから」


 言われたとおり、回復、立ち上がってみる。


「やるきに、なったか?」


「ならないよ、だって、相手にならないもの」


「わたしがか?」


「そうだよ、仮にも世界の覇者だもん、ただの一個存在に、遅れは取らないし、果てしなく力量差があるつもりだし」


「面白い、ならば、その実力、見せてもらおうか」


 あー、力を求めるものが、自分よりも大きな力を感じたら、こうなるものなのか? 良く分からない。

 いや違うな、彼女、群雲は戦闘狂いなのかも、血肉が踊るタイプの、そういう面倒な、でも面白い人なのかな?


 目の前で、ビッククランチ、宇宙創成劇が繰り広げられる寸前。


「はい、刀ですよ」


 群雲の首筋に、ミリ単位で剣を突きつけ、こめかみをヒクヒクさせる図書館長のお陰で、なにも起こらなかった。


「私の図書館で、火遊び厳禁です、この誓いを守れないなら、一生出禁にしますよ?」


 狂おしい笑顔で言われて、群雲も多少なりとも罰が悪そうだ。


「たしかに、私としたことが、無配慮なことをした、許してくれ」


「ふっふ、群雲様の、そういう真面目で律義な所、好きだから、特別に許しちゃいます」


 なんだなんだ、この二人、ちょっと仲良さそうじゃん、わたしも入れろ。


「もういい、帰る」


「あれ? ここで暮らしませんか?」


「いやだよ、こんな所に閉じこもるなんて、狂ってる」


「いや、それは違いますよ、ココからだけ、世界の全てが見渡せるんですよ」


「一理あるけど、私は自分の身で体験しないと、満たされない性なの。

 それじゃね、また来るよ。

 あと、群雲も、また会おうね」


「は? 、、、ああ、次の機会を待とう」


 いきなりのフレンドリーな言葉に、面食らっているのだろうか? だとしたら嬉しいな。



「おいお前、最近なんか、変な気分なんだが、余計な事してないだろうな」


「なんでそんなピリピリしてるの? そういうキャラだったけ?」


「知るかよ、もう俺は何もかも、意味分からなくなってるんだ」


「はぁ、ストレスで、これはもう毛根の寿命も可哀想な感じなってるよ」


「くぅ!!!このやろう!!!」


 顔を真っ赤にして、怒るアルド将軍。

 最近、ナルコちゃんと、凄く仲良さそうで、ちょっと疎外感だ。


「その代わり、仲良くしない? リリーちゃん」


「私に見返りがあれば」


「可愛くない、やっぱりわたしにはアルド将軍だけだわ」


「お前なんて! 銀髪でちんちくりんで! どうしようもない存在の癖に! 俺に楯突くんじゃねぇー!」


「うるさいですね、私の事は関係ありませんよ、貴方が最低最悪で、気持ち悪いのは、誰の所為でもなく、他ならない貴方自身の所為なんですよ!」


 指をビシッと、これ見よがしの極致で突きつける。


「うぜぇ、るせぇ、そんな話はしてねぇ! お前が見っとも無い見た目だって話だろが」


「私の台詞です、だいたい、超絶に芸術的なんですけど? なにか?

 それに比べて、貴方は、、、ですね」


「くおらうせしずふじこ!!」


 あーあ、なんか蚊帳の外って感じ。

 もっと、みんなと仲良くなる為の、そんなイベントが必要だ。

 でないと、そのうち、なんか死にたくなっちゃいそうだもん、そうしよう、今から早急にプラン製作だ。


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