紫陽花と死雨忌都と精神崩壊と
とある物語のプロローグの近辺。
「星図詠禁書&魔本図書館、司書、ホワイトの名でキラキ=優子が命令する。
紫陽花世界、3統合死雨忌都世界、精神崩壊世界、で、指定。
複数以上世界等結合ソフト起動、、、。
全情報ネットワーク網、最適化、調整、整合性等至高理想模索中、、、確定、凝固化。
リアルタイムコンサルティングシステム構築中、、常時監視観測ON、世界安定主義・最小最低限バランスモード。
全情報価値圧縮、偏在点凝縮、、、。
世界全情報、オリジナルAIの情報処理能力、演算能力に対して、最小摩擦抵抗化・適性率最大化に成功、。
絶対超大統合化世界、再現・再生・シミュレーション準備完了、これより世界を始めますか? nowloading、です」
「ふぁあ、ここは何処だ?」
朝起きたら、見知らぬ天上を目にしていた。
亜麻色の空、背中に感じる草の感触。
「よお、ブランだぞ」
「ああ、お前か」
こいつはブラン、月の都に在住する神の一人だ。
「久しぶりだな、私は少しも元気じゃなかったが、お前はどうだね?」
「まあまあだな」
ブランは前別れた時と全く変わらない、鬱々とした表情。
彼女は鬱系統の何かを司る神なのだ。
「なぜ、呼び出されたと、思う?」
「さあ、なぜだ?」
そこで、後ろからガザガザと足音と声。
「それは我が説明しよう!」
振り向く、そこには赤髪の美女が仁王立ち。
太陽のように輝く表情で、俺を見つめていた。
「そうか、それじゃ頼む、フィリア」
「ずばり、地球留学だ!」
「そう、私たちは留学することにした」
「なぜ?」
「退屈だからだ!」
「そう、ここは酷く退屈、まったく憂鬱でしょうがない」
なるほど、確かに此処は娯楽に乏しい場所。
おれ自身、少し前は此処にいて、それを実感しているのだ。
「それで、なぜ俺が呼び出されたんだ?」
「タクミ、お前には、私たちに貸しがある!」
「つまり、恩を売っておいたんだから、手を貸せってこと」
ああ、その留学ってのにおける世話をしてくれって、ことか?
昔の借りの、その俺にとっては債権を、返す。
彼女達にとっては、丁度よく回収できる機会がめぐってきた訳だ。
「オーケー、了解した。
旅行会社張りの、いたれり尽くせりで面倒見てやる」
「よい返事だ、なれば、我たちはこれよりそなたの家に転移する」
場面が一瞬ぶれた、かと思ったら、俺の部屋に光景が移っていた。
「部屋が、きたない」
「ブラン、お前は綺麗好き過ぎる、これくらい普通だぞ」
「わたしは、少しでも汚れがあれば、その隙をついて毒を吐く」
「性格が悪いという、自己紹介をありがとう」
俺がブランと話している間に、フィリアの方が、我が物顔でベッドに腰掛けていた。、
「はっはは、この程度、汚れている内には入らないぞブラン」
「そうだな、フィリアの部屋に比べたら天国だもんな」
「フィリアの部屋は、大きなゴミ箱」
「はっはっは、二人とも、酷い言いようだなぁ」
フィリアはなぜかテンションが高いようで、ベッドのスプリングを頻りに弾ませている。
少しの間くつろいでから、フィリアが立ち上がる。
「さて、我は少し外に出るかな、そなた達はどうする?」
「どうしよっかな」
俺はいま特にすることも、したいことも、何も無いのだった。
「タクミとお喋りする」
ジッと俺を見ながら言う。
ブランは酷く物欲しそうな瞳だ、まるで俺を焼くような熱視線だ、なにか、媚びているのだろうか?
「そうか、我は外で何か食べるとしようか、この世界は久しぶりであることだしな」
「いってらっしゃい」
「付いていく」
さっきのアレは何だったのか。
「タクミも来なさい」
「はいはい」
「はっは、全員分我が豪快に奢ってやろう、何でも幾らでも食い尽くすがよいぞ」
俺たちは夜の街に繰り出した。




