王国中央大学‐無限夢幻物語
ミスカトニク・オーラルトゥルース、そこが俺の通う学校だ。
今日も今日とで、一人で登校していると。
「あんた、何で学校来てるの?」
金髪の少女にガンつけられる、いつもの日常である。
「ねえ、無視してないでさ、帰りなよ」
「やだよ」
足を引っ掛けられる。
「なにするんだよぉ」
「知らない、ムカつくから」
そうなのだ。
俺は苛められる、どうしようもない程に。
誰からも平等にである、これはそういう星の下に生まれたとか、そういう話なんだと思う。
学校に着くまで延々罵られ続けた。
そして靴箱前、昇降口に入った辺りで、別の美女に声を掛けられた。
「あら、おはよう、「ああおは」ヘイゼ」
隣の金髪の名前であった、俺はオスカだから、どうやら違ったらしい。
でも、どう客観的に見ても、俺に対して言っていたように思うのだが。
「今日も辛気臭い顔、イライラします」
能面つらで、紫の色の髪の毛が眩しいくらいに麗しく、且つ綺麗な顔で酷いことを言う、アリセという美女。
「なんで、そんな事いうんだ」
「さあ、それが使命的に感じてしまいますので、それじゃ」
俺を置いて、二人で先に行ってしまった。
「やあ、元気にしているかい?」
ニッコリ笑顔、俺の横から覗き込むように、黒髪黒目の美女、マリアが愛嬌良く現れた。
「ふっはっはぁ、今日もいじけてどうしようもない、クソ虫のような顔してるね?」
「うるさい、お前の所為で気分が沈んだよ」
「それは良かった、今日のノルマ達成っと!、それじゃねぇ!」
手を軽く振りながら、嫌がらせが済んで満足したような顔しながら去って行く、困惑するしかない。
「おい貴様」
後ろを見ると、蒼髪の鋭利に綺麗過ぎる子が睨みつけていた。
どうやら靴を履くのに手間取ってる俺を、無意味に煽りたいらしい。
「邪魔だ、どんくさいのなら、一度死んで人生をやり直せ」
俺の尻を、大きく振りかぶった足で大袈裟に勢いよく蹴って、進路を開き先に進む。
「おいシリア、何てことするんだ!」
「とんだ災難だね」
無意味にその背に叫ぶと、いきなり俺の後ろ隣からヒョコッと、赤髪の明るい顔が現れる。
「ああ、エステ、あはよう」
「うんおはよう、苛めてもいい?」
「だめ」
「それが駄目、えいぃ!」
俺の尻をアリアと同様に、無慈悲な威力で蹴り飛ばして、そのまま、すまなそうに「ごめんねぇ!」と頭を下げながら両手を合わせて謝った後、アリセの後に駆けて行ってしまった。
「まったく、何時も何時も、意味の分からんがムカつくことを」
「君、通行の邪魔だよ、死ね」
言葉だけで、俺を殺しかねない、白銀の美女、シンイが目の前至近、顔を近づけていた。
「なんで、そんな罵詈雑言を、、、」
「イライラするから、お前は他人の虫唾を走らせる天才だな、どうでもいいがな」
それだけ言って、スタスタ先を通り過ぎる。
ホントにどうでもいいんだな、それだけかよ。
「おはようだ、オスカ」
真後ろから声、振り向く。
手を上げて挨拶する緑髪の美女、ナイスなプロポーションである、見惚れる、今までの女全員に共通する点だが。
「ああ、おはよう「すまない、やはり喋らないでくれ、、、どうもまだ、耐えられないみたいだ、すまないね」、、、」
「君、いやお前、やはり死んでくれないかな? そう思わずにはいられない、罪深い私を許してくれ、いやください、、、、」
エリア、その美女は沈痛な面持ちのまま、その場を後にする。
「あら、可愛そう、大丈夫?」
慈悲深いまなざし、翻る美しい茶色の長髪、大人の女性らしい落ち着いた姿。
「セシア、俺もう駄目かもしれない」
「うーん、最初から駄目だと思うけど、私も加勢するね、明日からもうここには、現れないでもらえるかしら?」
「・・・・・・」
俺を長時間そのまま見つめ、それで興味を失ったかのような顔で去っていく、はぁ、もう、みんな嫌いだ。
「少年よ、どうしたのだ? 今にも死にたそうな顔をしているが」
「そんな言い方可愛そうよローゼ、それ、もとからだし、最高に不幸の星のもとに生まれた子なのよ、だいたい少年って歳でもないでしょうに」
「ヒルデ、それを言うならお前たちだって少女って歳じゃないだろうに」
「誰も自分達を少女、なんて言ってないけど?」
「同年代であるコイツを、少年と言ったことから、私たちに少女の自覚があると、勘違いしたのであろう。
話を戻すが、どうしたのだ?」
こちらを心配している振りをして、俺の不幸を聞き出そうとしてくる、橙色に光り輝く長髪の美女。
その横に寄り添うように存在する、桃髪の太陽のように優しそうな容姿の美女、そんな二人が哀れな体勢にある俺を凝視する。
橙色の方は、強気が激しく内包される目を細め、一気呵成、倒れている俺を踏んづけてきた。
「うげ」
「可愛そうよ、ローゼ」
「いやしかし、こうせざるを得ない、それは分かってくれるだろう? ヒルデよ」
「うーん、そうね、私もあとちょっと、精神の枷が緩めば、一緒に踏んづけちゃいそうだもの。
そうなる前に、もうさっさと行っちゃいましょう?」
「そうであるな、さらばだオスカ、達者で暮らせ」
「ばいばーい」
手を振り去る二人。
俺は計十人の美女に苦渋を味合わされて、頭が可笑しくなっていた。
「あ、あっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!!!!!」
夢落ちだった、なんて事はない、十数年ずっとこの調子だ、精神がついに可笑しくなって、むしろ当然だ、遅すぎるくらいだ。
「やっとサン値がマイナスになったね、やっと私の出番か」
虹色の髪の毛、ちっちゃい幼女が現れた。
「やあぁ!!!、私はナル子!!混沌の世界から華麗に参上だぁ!!!」
「何しに来たんだぁ、、、?」
「いやいや、君の精神の限界がやっときて、異次元から現れることが出来たんだよ、原理説明は省略するよ。
私はね、君を救いに来た、そのように思って欲しいね」
「俺は救われない、誰からも苛められるんだ、お前だって、そうなんだろう?」
「私は違うよ、混沌だからね、誰も苛めないし、誰でも苛める、気紛れなのさ」
「へえ、それは、面白いね」
「でしょでしょ、それでさ、君を苛めてた奴に仕返ししたくない? いやしたいよねぇ!!しようぉ!!」
「はぁっはぁっはぁ!!お前面白ぉ!!よっしぃ!やろうぜぇ!!!」
俺は可笑しくなっていたのだろう、そうとしか思えない、そんな精神状態だったのだから。
そのままで少し時間軸を進める。
「うっはっはっはぁ!これ!面白いねぇ!」
笑い転げる虹髪の少女と、変態的なゲームをしていた。
先程、俺を罵詈雑言した少女たちを、二次元の世界で監禁緊縛調教している、そんなパソコンゲームをテレビでやっている構図。
俺のサン値も、なんだか遊んでいる内に回復したようだ。
「ありがとうよ、ナルコ」
「いやいや、別にぃ! それじゃねぇ!」
学園長と噂される、そんな少女は一瞬で、霧のように消えてしまった。
てかココ、学園長室なんだが、噂かどうか、良く分からない事実である。
そんな所で、変態ゲームを続けていると、扉が開く音。
「ナルコさぁーん、って、え? えぇえええええええええええ!!!!!!」
少女を陵辱しているパート、白熱するシーンで白熱していた俺を見て、そんな感想を漏らす少女だった、金髪である。
「マティじゃねぇーか、よぉ!」
「よぉ! じゃありませんってぇ、なにしてるんですぅ??」
目を白黒させて、こちらに寄り添ってくる少女、俺の懐に納まってゴロゴロする。
「なにしてるんだぁ?」
「大好きな人を、一番感じられる事してるの」
「てか、お前が来たってことは、釣られて芋蔓式に他の奴も来るのか?」
「うん、たぶん」
それから数分後、因果のようにキアラも現れた。
紫の髪の毛の少女、というよりも幼女っぽい見た目の奴。
年齢的にはその程度の存在だが、体付きはそうでもない、完璧に成熟している、アンバランスな印象である。
「うおわぁ! 変態性欲のオスカに! マティが陵辱されているぅ!助けねば!」
とか、ワザとらしく叫んだ後、俺の懐に突撃してくる。
二人して俺のお腹の辺りに頬を寄せる、愛らしすぎる女の子だから、まあ我慢できるレベルだ。
「うっふっふ、オスカぁー、今日も不幸そうな顔してるね」
「だったら、キアラ、お前が俺を幸福にしてくれよ」
「いや、貴方は不幸に沈んでるくらいが、尽くし甲斐があるから」
その後を続くかのように、アオイも現れた、黒髪の令嬢のような姿である。
「ちょっと、なに、ムカつく姿晒してるの?」
ツカツカ歩み寄って、俺の頭をポカンと、それなりの力で叩いてきた。
「別にいいだろが、お前には関係ない」
「そうでしょうよ、別にどうでもいいし」
「だったら叩くな」
「やだ、ムカつくから叩く、なにか問題でも?」
イラついたような顔して、俺の隣に立ち続けるアオイである。
更に更に続いて、蒼髪の少女も駆けるように部屋にやってくる。
「オスカぁーーーー、やあぁ!!!!!!」
腹に二人の少女を抱える俺の中央、そこに割り込むようにダイブ。
柔らかい存在達だからか、特に衝撃無く、三人がそれぞれ更に密着して収まる。
「はっは、噂を聞きつけて、来てしまった」
「帰れ」
「つれない事を、本当は嬉しいくせに」
蒼く光り輝く凛とした瞳、それを俺に向けて、うっとり語るように囁く。
ちょんちょんと、いつの間に空気のように存在していた、淑女然とした長い紅髪の少女。
「おお、アデハ、こんにちは」
「朝、おはよう」
「ああ、おはようだったな」
「おはよう」
「うん、おはよう」
ちょんと、肩をくっ付ける程度に近づく、頭を横に傾けて、それだけで静止した。
扉から更なる少女。
「おいこらぁ!!!変態野郎ぉ!!今日こそ成敗してやる!」
昨日、散々苛めてあげた、銀髪緑目、ちんちくりんクール系ツンデレ勝気少女が、肩を怒らせて現れる。
「くっそぉ! またも幼女を侍らせて! ぶっ殺してやるぅ!」
ズンズン足音立てて近づくが、幼女にガードされる俺に手出しできないのか、すんでで止まる、怒りを溜めて爆発寸前だ。
その後ろに隠れるように存在していた緑髪の少女。
ヒョコッと出でて、こちらに接近、本を懐から取り出し、俺に差し出す。
「昨日、えと、あの、うわ、、、、、うわぁあああ、貸してくれって頼まれた本ですぅぅううう!!!!受け取ってぇ!!!!!」
本を投げて、俺の頭に角が命中、痛すぎて死ぬ。
部屋を飛び出し、即効で戻ってきた。
「こほん、いやぁー、今日も良い天気だなね、うほん、やぁああああ!!!!!今日も元気しってるぅ~♪??」
途端明るく、きゅるるん♪ といった感じの素敵な笑顔を向ける少女ミドリ。
「ああ元気だが、今日もお前は大変そうだな」
ちょっと引き気味で、頭のコブを抑えながら対応する。
その後あれやこれや、周りに犇めく少女幼女と大変なお戯れをした後の、少し経ってから。
「わっはっはぁ~! やぁやぁ! みんな今日も元気だねぇ~♪」
重役出勤のように、大仰に手を振りながら、現れる茶髪の少女。
「ドロシー、こいつらどうにかしてくれ」
「いやーそれ無理無理、自分でどうにかしてねぇ」
そして俺の後ろにまわり、肩を揉みし抱くようにしてくる、そのうえ俺の頭の上に、顎を乗っけて体重を掛けてくる。
「うへぇぁ~、落ち着くぅー」
そのまま眠るように瞳を閉じる、おいこら、どけや、おめぇーよぉ。
そしてもう何度かも分からない、更に一人少女が走ってやってくる。
「ぜはぁっぜはぁっ、うわぁ、遅かった、凄く」
桃髪の少女が、疲れたように息を切らしながら、俺に近づいてくる。
「こんにちは、じゃなくておはようだね、オスカ」
「ああ、おはようだ」
俺に会いに、わざわざ来てくれたスズハを撫でてあげる。
すると、心底幸せそうにする、単純だが可愛い反応だと思う。
最後、冷たい眼差しを湛えて、軍人のように入室してくる、橙、オレンジっぽい髪の毛の理知的な幼女っぽい外見の女性。
「死ね!!!!どこまでも果てしなく死に晒せぇ!!」
本日初対面で、強烈過ぎる第一声。
クラウは回りに九人もの女性を侍らせ、まるでハーレムのキングでも気取っている俺に、そんな風に冷酷で過激な宣言をくれた。
そして接近してビンタ。
俺が頬を押さえて痛そうにすると、キツイ目で睨み据えながらも、その場を動かずに直立不動、メッチャ気まずい。




