とある某エデンの指揮官の☆
「はふぅう、、、」
イルミナード王国には、第二の都市と言える場所がある、
王国が近衛によって最大戦力として、少数精鋭の超部隊によって戦力を成り立たせるのに対して、
この第二の都市は、それはまあ強いものの、比較すれば大部隊によって戦力を成り立たせる。
加えて、王国最大都市に比べて人口規模も大きく、所得の低い王国民の比率も高いので、ぶっちゃけ治安などが悪い。
これに対して、王国は専用の都市治安維持機構に加えて、王国騎士を派遣する形にもしている。
「おいおい、シエル、最近大丈夫か?」
そんな都市、エデンの指揮官が目の前にいた、疲れたような雰囲気だ。
俺はまあ、この世界に異世界転生的なあーだこーだで来て、この少女に過去、あーだこーだ世話になったのだ。
そうしたあーだこーだ色々様々にあるので、この少女の事は割かし以上で大分心を占める存在として、率直に心配なのだ。
「ええ、大丈夫よ、御心配には及ばないわよ?」
強がったような表情だ、執務机に転がるようにある栄養ドリンクなどの空瓶、複数の錠剤の空袋がそれを否定するようだ。
「本当か?」
「本当よ、それより、貴方の幼馴染の方が心配よ」
そりゃそうだ、俺と一緒に召還された幼馴染は一時期大変だった。
発狂したようになって、超絶メンヘラヤンデレ化して、俺とエロゲのルートみたいなあーだこーだがあって、やっと最近は一時小康状態だ。
というより、実は俺は眼前の少女の方が好きなのだが、
その幼馴染が俺が居ないと死んでしまいそうな感じだったので、いろいろ妥協、というより諦めてしまった感だ。
「大丈夫、大丈夫、余裕余裕」
「嘘、見え透いた嘘を吐く意図は?」
さあ、そんな事は俺にも分からない。
「まあ、それはさて置きだ、最近のイルミナード全体、特にエデンの治安悪化は半端ないな」
「まあね、そりゃもう、ヤバいの一言に尽きるわ」
どこの異世界からの勢力の精神攻撃か、または直接的な混乱を誘因する奴らが居るのか分からないが、最近はヤバいのだ。
「俺達の世界にも、異能力を操る人間をつけ狙う、世界の裏側から千年も暗躍する、サウザンドって奴らが居たな、
イルミナードにも、多分そういう奴らが居て、悪さしている、とでも説明されたいシチュエーションだ」
「確かにね、そうじゃなきゃ世も末よ、
高齢の王国民を、ただ道を歩いているだけなのに、思いっきりぶつかって即死させたり、
ほかにも、幼い少女ばかりを狙って誘拐し、その犯人の家を突きとめたら、死体の山とか、そんな反吐が出るような事件ばかり」
「そうなんだろう、だが、王国騎士まで腐敗するのは、流石に可笑しい話だな」
「それは、、しょうがないの、中央の、つまり王国本部から、落ちこぼれみたいな奴、ハッキリ言って、クソ電波な、ゴミ屑のような奴、部下が送られてくるの」
「そんなの首にしたり、すればいいのではないか?」
「無理よ、そいつらはサイコパスの電波だけど、王国の騎士、それも腕には確かな信頼が置ける感じの、やっかいな奴、
有事には必要だけど、平時には血の気が多すぎて暴走しがちな、いわゆる手の負えない問題児よ」
「おいおい、そんな奴を野放しか?」
「違う、貴方も知っての通り、最近の混乱のせいで、そいつらを抑えてたはずの騎士が、色々な方面に派遣されてるの、
私的には、その問題児を派遣して欲しいけど、どうやら任務を任せるには使えない、正面決戦用の使い方しかできないって話よ」
「どうしようもねえなあ」
「そう、どうしようもないの、私の査定も悪くなって、このままじゃ給料が減給よ、最悪よ」
ニヒルな笑みを浮かべて、ため息をつく。
「しゃあないな、そうだ、俺を雇ってくれないか? ちゃんと働くぞ?」
「貴方も暇じゃないでしょう? 幼馴染の件、その他にもいろいろやってるみたいじゃない?
私の情報網で得たモノだけど、貴方、物語による系統図の描き方を司る、
セフィロトの樹の計画に加わってるんでしょ?」
「まあな、有名な話になってるみたいだが、そんな大したことじゃない、暇も多い」
「嘘でしょ、複雑に進み続ける世界を変換した、構築現象化した物語を進める過程で、系統的なネットワークを生み出し、
それをセフィロトの系統図に見立てて、真なるエーテルを生み出し、極点としての、真なる神々の遺産レベルの、観測者に対抗できるレベルを志す、
聞いただけで吐き気がするほどの、これは壮大な事業よ?」
「大丈夫さ、俺はそれほど重要なポジションを任されてない、マジで暇だ」
「そう、、、だったら、働いてくれるのは正直うれしいわ、信頼できる貴方は率直に喉から手が出るほど、欲しいモノ」
「うれしい事、言ってくれる、それで、どこ勤務があるんだ?」
「そうね、まずは都市の治安を維持する部署と、、、都市の庶務を処理する事務課かしら?」
「なるほど、俺的には都市の治安や、役所の維持努力よりも、お前の負担を軽くしたいんだが?」
まあ、都市の治安を良くすれば、間接的に楽になる見方もできる、
役所の膨大な事務処理を助けて、査定を上げて、コイツの給料アップに貢献するのも、そうなのだが。
「ダメよ、私に秘書みたいなの、いらないのよ、
私を前々から、貴方は守銭奴のように扱うきらいがあるけど、私だって昔とは違うの、心変りしたの、立派な思想を、貴方がくれたから、、、
だから、貴方は王国民の為に、役所で働いてくれる仲間の為に、手を貸して」
「そうだよな、昔のあーだこーだ、俺の助けがなけりゃあ、金や出世、実家のお嬢様としての人生に嫌気がさして、
一大決起して、こんな場所の指揮官に成ったお前が、ここまで独り立ち、できなかったよなあ?」
「うるさいわよ、ドヤ顔をするな、まるで、「お前はワシが育てた」みたいな顔していると、ブッ転がすわよ」
腰の銃に手をかける、顔は普通に笑っているので全然本気に見えない。
「まあ実際、後悔している面もあるわ、
こんな超常の化け物が跳梁跋扈する、恐るべき灼熱の戦場みたいな場所で、
なぜ私が大した大義も、使えるべき偉大な人物も無く、使役されなければいけないのか?
そういう葛藤も確かにあるのよ」
「そうだよなあ、先の、深淵の樹から這い出てきた、恐るべきモノ達の防衛決戦、お前も参加したよなあ?」
「ええ、あんな闇の太陽、どんな黄昏た神々でも、絶対に打倒不可能だと思える、恐るべき化け物たち、
正直な話、私はずっと実家で縮こまって、お嬢様やってれば良かったと、あのとき、心底から後悔したモノよ」
「それでも、辞めなかったんだな?」
「ええ、貴方に言ったもの、絶対に辞めないって」
そう、昔のあーだこーだ、この過去のエピソードすら、セフィロトを満たすエーテルの循環にしている罪を、俺は自覚していた。
「それで?」
「秘書になる、シエルのそばで、毎日ドキドキしながら、らぶらぶ、イチャコライズできないなら、割に合わない労働だ」
「そう、なら秘書をやりなさいよ、どうせ、貴方は快楽・悦楽主義者、
倫理や人道なんて求められない地平の彼方にいる、仲間なのにラスボスみたいな人よ」
「違う、俺は愛に殉じているだけだ、お前のそばで、お前の万が一でも命の危機に、傍に居られないなんて、絶対に認められない、我慢がならない、許せない」
きゅんと、胸の鼓動が高鳴っているのが明瞭なほど、顔を赤くして、その表情を隠すように俯き、手を翳して俺から見えないようにするのが、堪らなくいじらしく可愛い。




