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マヤネットワーク‐突然だが、絶対存在たちで旅行に行く



「まず世界は矛盾から生まれた、

 その後、秩序と混沌で永劫に矛盾を争い、

 その周りを絶対・幻想・絶無・虚無が周回して無限大を創世した」


 世界は四大ネットワークに加えて、もう一つの世界そのものを核とした、

 核そのものがネットワークを内部に内包し構築し、構成しつくす、特異点ネットワークを持つ。


「それが、絶対存在の意識体による、馴れ合いのネットワークなのだろう」


 絶対存在は同格の存在と群れるのだ、

 知生体なので、多様性を排し孤独に落ちれば、自壊は免れないのだ。


「つまりは、そういう事だ」


「アルド将軍、旅行行こおぉ!」


「やだ、めんどい」


「ぶはぁ! もう行く用意しちゃってるんだなぁ! これがぁ!」


「チッ、それじゃ話だけ聞いてやるよ、ナルディア」


 夏だ、夏で夏で夏だから暑すぎて死に掛けている。

 つぅーのに、コイツは常時元気を売るほど所持してるらしく、呆れる。


「リリーも行くよね!?」


「将軍が行くなら、行く」


 さきほどから、俺がデカイ独り言をしてても、柳に風の如し、存在感ゼロだった奴が口を開く。

 俺の隣にぴとぉっとくっ付いて、本を読んでいる黒髪の少女も賛意を示した。


「それじゃ決まりだぁ! 他にも誘わないと!」


 そして、ナルディアは電波を飛ばしているかのように、髪の毛を先立たせる。

 次の瞬間には、銀髪の少女が中空から現れて、畳の地面に降り立つ。


「やあぁ! ローズ! 久しぶり」


 お嬢様としか形容できない、プラチナブロンドのイギリスの貴族のような夫人が突如出現した。


「そうね、それで、ルナルティアに貴方が来るって、本当?」


「駄目だったかなぁ?!」


「駄目ではない、けど、貴方が来るとなると、それなりに準備がいる」


「そう! それじゃ準備よろしくぅ!」


「しょうがないわ、最速でするから、最低でも半日は待ってね」


「あいあいさぁー!」


 その時だ、この部屋唯一の扉が開かれる。


「やあやあ、あたしを差し置いて、よもや行ったりしないよねぇ~?ナルディア?」


「もち、よく来てくれたよ!ナルコ!それとハイネ!」


 毎度おなじみ、仁王立ちするちびっ子銀髪赤目少女、

 そして、その横に高貴凛然と立つ神のような金髪美女。


「諸君、今日も元気そうでなによりだ」


 金髪の方がスタスタと前に出てきて言う。


「ハイネ! もちろん君も行くよね!」


「丁度よい機会だ。

 ルナルティアの信仰心を高めておく為に、是非とも行こう」


「んう? なんのことかな?? ハイネ?」


「私のだ。

 偶にはルナルティアでも、我の偉大さを示さなければな」


 その二人の会話に、にょって感じで、ナルコが首を突き出す。


「くっだらないんだけどぉ~それ。

 純粋に遊ぶって事を知らないの? あんたはさぁ~」


「ふっ、滞在中、ずっと”そういうこと”をするわけでもない、案ずるな」


「だったらいいんだけどさぁ」


「よしよし、段々役者が集まってきたぞぉ♪☆」


 俺は窓辺にいるので、ツイと何となく外を見る。

 そこには、白っぽい髪の少女、その後ろに釣り目の美女が剣呑な表情でこちらを睨んでいる。

 少女の方が俺が気が付いたのに気が付いたらしく、口パクで何か伝えようとしてくれる。


「ここを開けろ?」


「さもなければ、窓をぶっ壊して強制進入するって話だねぇ♪アルド将軍!

 最近は物騒だから、屋内に転移できないようしたんだけど、それが裏目に出た感じだね」


 傍に来ていたナルディアがピンと指を鳴らすと、窓が独りでに開く。


「おじゃまします」


 白色の、いわゆるアルビノの究極形のような、真っ白で眼だけが異様に赤い奴が、頭を下げながら少女が入る。


「オラ、おじゃましてやるぞ」


 こちらは、先に入ってきた少女と真逆。

 酷く偉そうに、上からの高圧的な視線でこちらを眇め見つめてくる。


「おいおい、ナルディア。

 どうして転移できないように、世界座標から此処を隠したんだ?

 とんでもなく面倒だから、俺様が次来るときの為にちゃんと直しとけよな」


 ひしひしと物理的な暴力のような、常時堂々たる威風を振りまいている。

 見た目的にもなんか凄い感じの全身黒尽くめ、黒髪紅目の美女である。


「うん了解!、いや!できないかなぁー」


「なんでだ? 簡潔に答えろ」


「そうしないと、爆弾が沢山直接転移されるんだぁ~」


「直接転移技術か」


「うんうんっ、本当ならマスターに対応してもらえるんだけど、マスター忙しいのよね、昨今のロプスの大侵攻で」


「規定基底現実も荒んだな、法則の隠蔽に観測者と博物館は手をやいているとみえる、自業自得だな、ざまぁ」


 どうやらこの二人も、来ることになるらしい。


「おい、そこの」


 俺がジッと黒髪の美女を見ていると、声を掛けられた。


「俺か?」


「ああ、アルドとか言う奴の事だ」


「なんだ?」


「見つめすぎだろ、照れるじゃんか」


 そう言って、窓辺に座る俺に接近、顔を寄せてくる。


「ゼロ、近い」


 これは俺じゃなくて、逆隣にいるリリーの台詞だ。


「お前もだろが、リリー。

 俺様に離れろというなら、お前が先に離れろや」


 なんだか居心地の良くない火花が散っているんだがね。


「あっはっは、それじゃ連絡が来るまで待機だね!

 みんな居るし!なにしようかなぁ~!」


 こちらの、俺の心情を慮らないか、ナルディアは陽気に大声をあげた。

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