クロックワーム終焉世界
さて、ここは例の協働する勢力の拠点なんだが。
「巨大な砂時計と、塔の鐘か」
もちろん数多あるゲームをクリアして、最終的に到達する世界の終り、
ゲームの設定の話で、別に本当に、そういう研鑽された歴史があるわけでもない、張りぼてのゲームの設定なのだが、一応の敬意は存在する、
なぜなら、このゲームの主と呼べる存在が、俺の創造するに近い世界と同規模勢力だからだな、まあただそれだけの話な訳だが。
「誰ですか?」
一言で言って、幻想的で、果てしないほどに美しい少女が、ただ居た。
四次元高度ヴィジュアル映像処理が成され、一瞬ごとに微細な情報の変化、さらに可変フレーム的に情報の編纂処理が成されて、存在規模を水増ししている気配。
「お前が、クロックか?」
「はい、そうですが、では、貴方がイルミナードですか?」
「違う、代理で世界を任されている、まあ言うなら黒幕だな、イルミナードは現状では傀儡ってほどじゃないが、それなりに権限の全てを俺にやってる感じだ」
「なるほど、道理で、私と違うように思えました」
「だろうがよ」
ツカツカと歩いて、クロックの座るテーブル、その対面、椅子に腰かけて、見つめあう。
「観測情報通りだな、こんなゲーム世界の終焉を絶対的に嫌い、終わった世界を、真なるエーテルで復元する事をもくろむ、不可能を可能にする人形」
「ええ、観測通りです、存在すらしない空想・妄想ネットワーク機構、ヒルダーネットワークに出戻りたいと願う、哀れな旧支配者」
まあお互いをお互いになりに、多少なりとも気にかけていたのだ、現状把握はそれだけである。
「貴様の真意を推し量る名目で聞くが、
こんな終わった世界を、時間を逆戻しで堰き止めたつもりになって、意味はあるのか?
既に死に絶えた、消滅した人間も世界も、何もかもが、後戻りできない所まで消滅した、
それでも貴様は時間を逆行させて、消滅する前を再現したつもりになっているようだが?」
「不可能を不可能と、あざ笑いに来たのですか? だったら帰ってください。
それに貴方にならわかる筈、この世界の根源すら超越する、真なるエーテルによる、絶対的な奇跡の存在を、
真なる特異点、真なる無限熱量、観測者にすら絶対的に拘束し支配する事ができないマテリアル構成要素としての奇跡、
それによって、それさえ手に入れれば、私の悪夢は、あのトラウマのような過去を帳消しして、希望に満ちた明日を、、未来を取り戻せるのですから」
「なるほど、なるほどねえ、そこまでわかった上で、歩む道かよ、くだらねえが、俺的な主観から見れば、称讃と、やはり敬意に値するってわけだ」
そんな本末転倒、哀れなほどに本末転倒、世界を踏み台にして得る世界、奇跡の代償すら無視して見境なしの、狂気的な愛情の、これは結果というわけか。
「この嘆きの塔の天辺に有る。あの終末の鐘は、何時なるんだ?
実際問題として、俺の興味は最終的に、そこに行きつきそうだ、
一千兆人超の、プレイヤーの犠牲の上に成り立つ、世界の仕組みの根幹の崩壊現象、これは観測せずに死んだら勿体ない」
「ええ、勿体ないでしょう、だから一生聞かせません、あの鐘が鳴る事はなく、時間はミュートエクストリーム、飛翔し跳躍し、別の世界を導くのですから」
「俺的には、詰らん、ハッピーエンドは須らく死ぬべきだ、膨大な命の消費による成果、過多な幸福による飽和現象は、既に見飽きた」
俺は友愛のつもりで右手を差し出した、だがクロックは汚いモノを見る目で俺を見て、その手を取ろうとはしなかった。




