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対ロプス戦線‐大指揮官と混沌神ナルディア



「世界は無限大に破綻しているのだ」


「ニア、お前は何時もネガティブでマイナス思考の極点を極めているな」


「そう、世界は深淵の木、混沌から生まれているのだ、

 あふれ出る無限大の不幸のような泥の塊、混沌の底から一つの木、生命の木、セフィロトが実態のある世界を作る、

 そして、アストラル、イデア、果てへと続き、しかし幸福の極点は未だに見えないのだ。

 無限大の外側、この世界の外側には無限大の幸福があると歌われる、

 だが俺は懐疑的だ、

 無限の不幸は確定的に存在するのに、この世界には無限の幸福と呼ばれる存在が、

 無上に未知の神秘に閉ざされているという、只管なる絶望が存在するから」


 ある日、とある観測者、ニアなのだが、

 そいつが一人の女を連れて、此処にやってきたのだが。


「はいはい、だからどうした? くたばり損ないすら超越した、ただの超越者よ」


「ロプス、対混沌に特化した私、世界の方向性、観測者を除外した、存在序列第一域第一位、真なる混沌神ナルディアは言うよ。

 君はおそらく、、」


「黙れ」

 

 眼前の女、いや存在を制するニア、

 当然だ、この気まぐれな世界の主は、奴、ニアという極点からの導きが無ければ、世界の規定する正常には機能しないのはわかりきっている。


「ずいぶんと苦労しているみたいだな?」


「この程度は苦労とは言わんが? 

 あと言っておくがな、極点AR、天界から見れば、貴様など一人の観測者にも劣る事を思い知れ、

 世界リソースが在るからと言って、貴様は命の一つも真には刈り取れないのだからなあぁ、ナルディア、貴様もだ、

 俺は命すら抹消できる」


「くっくっく、それにどんな意味があるんだ? 

 生殺与奪を持ちながら、世界に拘束されている己自身を思い知れやっ」


「ふっふっふ、君たちは、ただただ鉄板の上で踊り狂う人間たちを見て、楽しんでいるだけじゃないの?」


「ああ、我々観測者が支配する世界、最高の舞台だ、ここは。

 この無限に無情な、、、勇気は死を招き、神は全てを無価値と断じ見殺し、愛は悲劇に直結する、

 救われない世界だ、

 だが俺たちが導くことによって、この世界は救われ続けているのだ」


「確かにな」


「君たちが究極天に世界の均衡とバランス、天秤を究極的に水平に保たなければ、知性すら存在することは絶対に不可能なのだからねえ」


「原初の法則、一から全てを規定する権利を有し、この世界に法則を生み出しているのが、

 俺達で、全てのエラー、特異点すら規定し、制御し、矮小化させているのだ」


 当然の事実を告げながらも、俺は世界の観測を続けていた。


「だから、どうした? 対ロプス指揮官、貴様はさっさと行け」


「はいはい、そして来たのが、ここだよバーカ。

 状況を簡潔に説明するが、深淵の木から活性化した、いわゆる”恐るべきモノ達”は、

 黄金卿の秘蔵っ子、にして最終級の兵器、シャルロットの例のアレ、まあゴルデミック・パンドラの絶対化の威力行使、

 そして青銅球のエクスぺリア・ブルー・レクイエムの一斉射によって、大方が消滅、あるいは退いた」


「そんな事は当然のごとくで、俺は知っている、だから良いんだろうがよバーカ」


「バーカ、だったら俺様は此処に来てねえってんだよクソが」


 奴は液晶の端末、極点ARの世界を直接全てを観測し制御する、マスター権限クラスの法則を流用しただろう、

 未確認の技術を行使して、空間に局所的な、そしてありえないほどに詳細なリアルタイムの世界図を写す。


「世界リソース的に考えて、深淵の木からの、真なるエーテルという意味での糧の流入は歓迎すべき事なのだが、

 観測大領域、極点ARからの計算と、四大領域、つまり青銅やら黄金やらの計算には誤差があり、

 てーより、奴らは所詮は下位だからな、最善を尽くすうえでリスクを嫌う癖がある、

 本当ならロプスの迎撃は強硬策を取り、本来ならもっと引きつけてから、って話だったんだが、こいつ等はリスクを嫌って我々の試算よりも早く動いたわけだ」


「で、だから? というより、世界の支配者を気取るなよ、

 観測者は世界の頂点だが、特異点によって頂点を極める四大領域だって、既に世界の支配率の、創造率的に無視できんだろうが」


「はあ、所詮は真なる神が創った、被造物、そいつらの手柄は全自動的に、我々の手柄だと見做せば、あとは、わかるよな?」


「はいはい、で?」


「あいよ、それでだ、実務的な話から率直言うが、てめえらは世界の位置的に言って、最前線の先、果てに位置するモノ達だ、

 果てって云うのは領域の、こちら側に近いって事だから、少なくとも対深淵の木との正面戦力としては使えるんだな、

 だから力を貸せ、いやよこせ、俺様からの命令だ、以上」


「死ね」


「死なねえよ、絶対にな、それでだ、

 イルミナードは現実世界の絶対的なキーパーソンを巻き込んで抱き込んで、チート的に膨れ上がった勢力だが、

 それと違って、アウルベーンの運営する、ソーシャルネットワーク的分散コンピューティングによる魔術儀式の成果の正攻法でなった一つとして、

 クロックワーク終焉世界ってのがあるわけだが、

 距離的にも近く、協働と世界結合が容易なのもあって、お前ら二つの勢力が組んで、今回は打ち漏らしのロプスを片す事に、世界会議で決まったからな、よろしくな」


「だから、死ねというに」


「それじゃあ、さっき言った通り、俺は持ち場に戻る、

 ナルディアは余剰になるから、いつも通りの規約規定則って貸してやる、大事に使えよ、エッチはダメだ、そいつは俺の女だからな、あばよ」


 それだけ言って、奴は消えた。


「覇者君、なかよく、しようね」


「しねえよ、死ね」


 俺は頭を抱えて、やるべき事が無数に、それこそ無限大に有る中で、さらに俺の無理やり背負わされた仕事が増えたのだから、それは当然の事だったのだ。

 

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