ロクデナシの屑親と金髪少女
「このクソ親、くたばりなさい!」
うるさい金髪碧眼のガキが、何か言っている。
知った事か、俺は忙しいのだ。
「あんたが、毎日のように暴力の限りを尽くしてきたせいで、私の人生は滅茶苦茶よ!」
「シャロ、どうにも成らない事を、いい加減に言っていても始まらない、建設的に行こうじゃないか」
可愛らしく繊細な睫毛を震えさせて、俺を無限の恨みの籠った、それこそ怨敵を見る目で見てくる、外見幼女のガキ。
「うぅ、クソ親クソ親!あんたは恥ずかしいと思わないの! この簒奪者! 開き直っているんじゃないクソDQN!」
「ざっくばらんに行こうじゃないか、
ハッキリ言って、俺がシャロに与えてきたプラスとマイナスは、既に計測不可能なんだから、
ポジティブにだよ、前向きに考えようじゃないか、ほらほらよしよし」
頭撫でようとすると、気易く触ろうとしたのだ、所詮はその程度の、俺的に低俗に落ち込む所に、コイツは居るのだからな。
シャロ、どれだけ美しい少女でも、所詮は俺程度に手篭めにされてしまって、ありとあらゆる事をされた、実際的な過去があるのだ。
俺だけは、俺以外の全ての存在が、このシャロに平伏しても、俺だけは大上段から接する権利があるし、自信に満ち溢れているのだ。
「触らないで! クソ男! 調子に乗っているんじゃない!」
狂ったように暴れて、俺の手を払いのけるシャロ、俺は笑いが収められそうにない。
俺程度のクソに、こんなにも激情を滾らせていないと、頭可笑しくなってしまうのだろう、この少女は。
頭可笑しくなって当然だ、俺は幼少の幼少期から、そのように成るように、完全に意図して、全てを全て仕込んで来たのだから当然。
「クソクソ! 老若男女、善人悪人の関係も無く、王族も平民も犯罪者も死刑囚の関係も無く、殺しを強要してきた、
暗殺者の斡旋染みた事をしてくる癖に、平然と、例えば売春相手に説教垂れるような、
「親は泣いているぞっ」、そんな事を言いながら、リアルタイムで相手の尊厳を著しく汚してくる。
なお且つ、それで泣く被害者に、泣き寝入りを力技で強要して、
さらに行為をエスカレート、加速させて、相手の屈辱の涙に心を満たす、
救いようが無い劣情を、どこまでも際限なく加速度的に大きくして、興奮の極致を極めようとする奴なのよ、
本当に救いようが無い愚者、クソ人間、
あんたは己の低俗さを自覚して、
他人を、それも自分の娘を、利用し尽くしても、平然と胸を張って、鷹揚にあたしに接して来ないで、嫌いなんだから!」
「うそつけ、むしろ俺はシャロに、無上に感謝してもらいたい位だね、
五体倒置して、つまりは土下座しまくってくれても、十二分に不足は無いと確信に満ち溢れているのだ。
知っているか? シャロ? 世界の現実を」
シャロは、何時もの俺の語り口調に、身を硬くして涙目で俺を睨みつけてくれる、嬉しい限り、喜ばしい反応で少女像。
「今の時代、今の世界、幼少期の十にも満たない時分から、身体を知らない他人、信用もできない相手に、
全部捧げないと生きていけない、媚びへつらって、ぎこちない笑顔を振りまいて、相手の言いなりに成らないと駄目だったりするんだ。
シャロ、お前は運が良かったんだぞぉ?
一人の相手、たった一人の親に奉仕していれば、それで合格点だったんだからな、他の大勢の子供よりも十分幸福だ。
むしろ、今の恵まれて幸福、他から見れば持っている人間の癖に、現状に不満たらたらなんて、無限のバチが当たるぞぉ?」
「下らない戯言を、よくもまあ、そうも意気揚々と語れるモノね、しょうもない、詰らない。
私の小さい頃からずっと、飽きもせずに三百六十五日、私に致命的で致死的、過度な肉体的精神的知的ストレスを、
これでもかと与えまくって、し腐って、その癖に、楽しむだけで何の心の呵責も葛藤も無いの?」
「いいじゃないか、俺がシャロに与えた、ありとあらゆる暴力、その全てが無駄じゃ無かったと思うけどな?
実際、俺の事をシャロは、愛憎を両方含めて、大事で大切、殺すなら自分の手で、絶対に成さなければ気が済まない、くらい、
そう、純粋に俺の事を想ってくれているんじゃないか?
俺はシャロの、そんな別格なクラスで、特別な存在で、どうでも良い存在じゃない事に、無上の喜びを自覚してるよ」
「そうでしょうよ、私は誰よりも魅力的な女である、自覚があるもの。
あんたは、捕まえた可哀そうな子ウサギを、なんの躊躇いも無く襲える、襲いまくってオオカミのような人。
ケダモノよケダモノ、その自覚を持って、少しは恥らって、この恥知らず!」
「ああそうだ、俺はケダモノだ、恥知らずで、どうしようもない奴だ。
クック、はっはっは、シャロぉ? 分かっているのか? お前はそんな奴を、どうでもいいと断じれない、
存在の根底に絡みついた、絶対に解けない絆で結ばれていて、家族で、親で、男で、たった一人の深く結びついた存在なんだぞぉ?」
「ようやく本性らしきモノを表したわね、このロクデナシのクズ野郎、吐き気を催さずにはおれない、クソ親」
「ああそうだ、だからどうした? 今さらだろうが、建設的でも無い、恨み節をいつまで語っているつもりだ? シャロ?」
シャロは暴れに暴れた、そうしていないと死にそうなのだろう、
俺は笑いながら、その無様な様子を観察していた、
そう、こういう結果を手に入れる為に、俺はシャロが生まれた時からずっと、確信的にこの未来の為に動いてきた、自覚があるのだ。
「惨めで無様だな、子供の頃の、本当に俺が確信して、綺麗だと思っていた頃と比べて、相対的に、見る影もない、死ねば?」
「あんたが、こうしたんでしょうがっ!
あんたが私を惨めにした、無様にした、汚くしたのに! なにを言っている!」
「ああそうだな、だが関係ない、知った事か、俺は一蹴できるのだからな。
汚い姿を晒しているんだから、俺に薄汚いゴミ屑を見る目でみられて、なにが疑わしい、当然だろう?」
存在を根底から、底の底、俺以外には誰にも触らせていないだろう、汚されているのだ。
我慢ならないだろう? だから、それこそが良い。
俺によって、絶対的にどうにもならない、この少女の自分すら制御できない所を動かせる。
完全に支配しているのだ、シャロは俺に対してだけは、絶対に感情的に優位に立てない、そういう風に作った自覚がある。
シャロの知らないシャロを、俺は俺の視点だからこそ知る。
全てを知り尽くされて、さらに自らの盲点まで見られて、平然とできる人間は居ないのだ。




