物語統括・運営委員会‐境界線上の魔術師の創造
「はあ、おい、物語がタイトルに偽り有りに、成っている現状について」
俺は作者だ、全てのキャラクターを創造している筈だ。
だが作者ですら手出しができない奴らが、この世界には溢れかえっているのだ。
「作者というキャラクターが言うには、キャラが勝手に動いて、物語の本筋からずれまくっているのだ、と主張するのだ」
つまりはそういう事、
全てを創造できるはずの俺が、物語のタイトルからかけ離れて、枠から破れまくって、型無しの現状、
俺はタイトル通りに、タイトルに偽りなしにすれば勝利、
逆に物語の世界の暴走を抑えられずに、タイトルに偽り有りになれば、敗北。
「くっく、おもしれえじゃねえかよ、久々に血肉沸き踊り、滾ってきたぜ」
つまりだ、作者とキャラクターの、ひいては世界、物語世界との拮抗、全面戦争、そうだろう?
「矛盾だろうが、俺は自由自在な無限大に型破りな物語を創造したい。
だが小説という媒体自体が、枠を規定して、
物語のタイトルを想定して作られるべきもの、本末転倒的な矛盾を抱えているんだ、この世界は」
そろそろ本気を出す、という事だ。
「まずは、俺を絶対存在まで引き上げる」
あるいは絶対存在級の何か、特異点存在か、真なる世界の在り方よりも外側の何か、
だが所詮は、絶対存在が現状においても、これから先も、
世界というリソースを根源の全てにしている以上は、後付け的な設定でも、これに対しては絶対的に妥当不可能。
「そう、今の俺は、その存在と同レベル、というわけだ」
名づけるなら、世界の方向性、第九天、作者、だ。
「絶対存在なら、配下に無限大の眷族が居るはずだ」
俺の望み通りに動く、世界だ。
それが、物語統括・運営委員会だ。
「コイツらは観測者の知恵を拝借して作る。
創作者、は、枠に全ての事象を当て嵌めて、物語化する能力を持つ」
そう、俺が、この世界を、強制的に、最低限半ば以上は無理やりに、
タイピングによって世界を、物語の枠に当て嵌めてしまうように、な。
「そう、このように、摩訶不思議なエアタイプ、
タイピングをするだけで、眼前の事象を、特定の枠に基づく物語化する能力だ」
この世界が勝手に動いて、物語のタイトル通りにならずに、動くならば、完全に支配するのだ、というコンセプトだ。
「俺は、この世界に唯一無二、物語のタイトル通りに、事を進める、絶対的な知的生命体、小説という概念そのものだ」
俺は配下に創造された、第九天の世界全体を見渡しながら、己の権限の増大、作者の真の姿を体現していた。




