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メサイアとエクスラの共同超大プロジェクトについて



「SF的な、ネット小説という形で波及する、現代のおとぎ話、神話や伝説譚とか、何かの因縁話だな」


 ネットの最奥の底に、そのサイトはある。


「エクストラシャペルンも、随分見ないうちに、というよりアルドが居なくなって、寂れたか?」


 現存、掛け値なしに最高レベルの娯楽小説が、そこには掲載されている。

 内容はスペースファンタジー。

 物語の舞台は、光速の壁を突破して、移住圏を全宇宙に拡大した世界。

 概要は、そこで巻き起こる、壮絶で凄惨、涙も枯れ果てるような戦役の時代を生きる、少年少女とその周りの人間達の成長とドラマである。


「おい、アルドの後釜は誰だ?」


 現在、本編は13部まで更新されている。

 全17部が予定されており、プロットは既に完成している、と公表されてもいる。

 現に、作中世界の架空歴史年表等々、幅広い意味での設定資料は、事細かにサイト内で閲覧することもできる。


「私ですが?」


「マリアか、まあ秩序の絶対存在様なら、役不足には成りえない、言ったら贅沢過ぎるって怒られそうだ」


 文書量は13部の本編だけで、文庫本260冊分である。

 さらに、キャラクターや、作中世界の様々な、戦争・経済・社会・学園生活・過去・IF・未来等々を描いた、外編・外伝等々も存在する。

 それは(無駄に多いので)全890部が(大幅に変更の可能性大とされている)予定されており、現在560部まで完成している。


「それで、例の物語は、どの程度、進んだ?」


「もちろん、進行度は貴方が予想する数値と同じでしょう」


「限界を、不可能を可能に、超越できなかったかよ、クズクソが」


 付け加えると、物語世界における、事象・現象・存在・世界等々の一般に公開されている設定資料集は、上記文章量の十倍以上である。

 これらは分量はもちろん、内容も様々な意味で、相対的に絶対的に超一流の内容である。

 この、全てからして規格外のようなその、ネット小説あるいはサイトは、ある意味での”現代の神話”と呼ばれている。


「おいコラ、限界知性体が跋扈してんだよ。

 奴らが一斉に崩壊したら、てまえの巣だって、危なくなるんじゃねーのか?」


「聖域は大丈夫でしょう、他人の心配をするくらいなら、貴方の図書館の心配でもしていれば良い」


「馬鹿が、常時転移している、真に最果ての図書館だぜ、無論鉄壁に決まってんだろうが」


 そして、それらの実態は、およそ総勢十数人、ネット上での創作者達による合作だったりする。

 目的は、”一生を尽くし掛かっても味わいつくせない、読みつくせない物語の創造”。

 または、”世界の至高位存在たちが退屈して、破滅・破綻・崩壊的な娯楽に走らないようにする為の、深遠なる娯楽の創造”とかである。


「冗談はこれくらいにして、正直ヤバくねえか? どうよ、そこら辺は?」


「ようやく一時の正気を取り戻しましたか?

 ええ、アルド様が居なくなって、世界の特異点が活性化、それも異常に強化され、世界全体が昇華されたのは良いのですが、」


「だろ、暴走を鎮めるには、例の物語を創作し、途中でも良いから公開して、神作品によって世界知性の底上げが必須だろうがよ」


 ワタシは、その小説の敬虔で熱心な信者である。

 さらに言えば、設定資料を創作する、準創作者の一人でもあったりする。

 今目の前には、本編を執筆することができる、類稀な能力と権力を有する存在が、偶然でなくいたりもするわけだが。


「おいマリア、早く続き書けよ」


「いや、最近書いてても、面白くなくなってきたから、これがスランプってやつですぅ?か?」


「はあぁ? なんだ、そのクソムカつく語り口調は、殺すぞ」


「いいですよ、殺しても、殺せるものならね。

 それに、貴方だって、それほど、言うほど書けてないのですから、殺し返しますよ? 返す刃で」


 ワタシが死ぬほど望んでる事柄に対して、本人は酷くどうでも良さそうに言う。

 ムカつくが、それよりも今は、

 目の前のコイツの、ショーツ一枚のあられもない脚線美と、薄地のネグリジェに浮かぶ乳房と、その浮き上がった乳首を凝視しておこうか。

 

「それにしても、マリア、マジでソソル、良い身体してるよな?」


「いやらしい目で視ないでください、穢れます、わたしが」


 まったく、なんてソソル身体してやがる、けしからん。

 グラマラスな体系というわけではない、が、

 細身ながら付くべき所にはしっかり肉がつき、黄金のような比率で絶対に比する美を体現しているのだ。


「本当にお前は良い女だよ、抱きたいくらいだ」


「、、、そんな下賤で下らない話をする為に、わざわざ貴方様ともあろうお方が、遠路はるばる此処まで来たんですか?」


 ワタシは、自分を自分で卑下しない程度には、人間としての格が高い自覚がある。

 しかし、これほどの圧倒的で絶対的な”美少女”という存在に、勝てているかどうか、、。

 ワタシは率直に、彼女、マリアに負けたくない。

 ワタシを負かしていいのは、ワタシの信奉する小説だけだ、それ以外の一切の事象に平伏するつもりはない。

 

「だから、、、どうするのか?」


「最高の書き手が邂逅したんです、こんなセクハラいトークをするだけなのですか?」


「下らねえ、所詮は意思のぶつかり合い、知的なブレインの邂逅は、この程度で良いんだよ、ばーたれ」

 

 余りにも可愛くて、綺麗で、美しくて、どうしようもない、はっきりとそう言ってしまえる。

 目に映るだけで、胸が一杯になって、ドキドキして張り裂けそうで、あるのだ。

 ワタシはワタシの認めた、許した、それ以外の彼女、マリアという存在を絶対に否定する、例え何がなんでも、あっても。


「あー、はぁはぁ」


「な、なんだかすごく、凄く的外れな事をしている気がします、貴方、いったい何を考えているんですか?」


 いまこの瞬間も、ワタシの絶対に譲れないアイデンティティ、それと他にも絶対死守するべき何かを圧し折っている。

 絶対に耐え難いほどの劣等感、コンプレックスや羞恥心が湧き上がり、内心で爆発しながら、常時ワタシを責め立てるようにあるのだ。


「うん?」


 今も、横目で彼女がチラッとこちらを見てきた、ただそれだけで、ときめきが大変だ。

 そして言葉で攻められたら、ワタシはどうしようもないだろう。

 なにせ、あの物語を創作する人物なのだ、その言葉は俺を衝天させるほどのモノでも、なんら不思議はない。

 だが、ワタシは認めないのだ。

 ワタシは彼女と物語を完全に分離し、分けて考えている。

 彼女は物語を創造する再現装置で、信仰の対象ではない。

 信仰する神と、聖書を創作した人物とをイコールで結ばないような、そんなモノなのだろう。

 とにかく、ワタシは絶対に彼女に屈しない、ワタシの信愛する物語に誓って絶対にだ。


「うおおおおおおおおおおおおお!!」


「きゃああああああ!」


 組み敷いた、地面に。


「はぁはぁ、マリア!マリア!」


「ちょぉ! どうしたんですかぁ!イリカ!!」


 体格的に多少有利か、マリアを後ろから組み敷いて、そのデカくてエロイ尻を突きだす格好にして、背中に体重を掛けて制する。


「はぁはぁ、俺様の勝ちだ」


「なにを馬鹿な、どきなさい! 不快です!」


「なら、もっと不快にしてやる、こうだ」


 輝く白髪、その長いツインテール、そうだ、この小生意気なツインテールを使って、思いっきり引っ張って、馬乗りでヤル事は一つだ。


「どうどう、おら!」


「きゃあ!!! やめなさいやめなさい!!!ひっぱらないでぇ!痛いわよ! いやあああああああああ!」


 暴れるが、暴れ馬を乗りこなすように、ツインテールを鞭代りにバランスを取って、さらに強力に組み敷く。


「や、やだぁ、、、はぁはぁ、」

「なんだ? もう疲れたのか? だったらこうだ!!」

「やああ! もうやめてぇ!!」


 疲れてはぁはぁしているマリアの頭を抑えつけて、屈辱的に地面を舐めさせるようにする。

 マリアを後ろからやっつけている様なもので、顔が見えなかったのだが、

 一瞬こちらを伺うように見たマリアの顔が、もうそれは、余りにも哀れで涙目で、頬が紅潮しているのもエロくて、俺様のテンションは大いにウナギ登った。


「ほらほら、負けを認めろ! 俺様の勝ちだ!」

「やだやだやだやだ!!ぐぎぎぎぃいいい!もうやめて!もうやめて!」

「馬鹿め! そんな哀れに振る舞っても、俺様は許してやらんぞ!おらおら!」


 お尻ペンペンして、舌付きだして悶える、マリアの醜態を観察して、まだまだ満足しないが、一旦解放する。


「もっと、こんな事を延々と続けたいが、流石に時期が時期だ、控えるか」


「あ、あへぇ、はぁはぁ、、ふぅふぅ、、、ええ、流石に、ですね」


 服を整えて、何事もなかったかのようにする、俺様に対してだけ変態で被虐の趣味を御持ちな、高貴なる秩序の盟主だった。


 そんな醜態醸しだす場に、ぷぴぃいいいいいいいいいいいっと、体育教師しか持たないだろう、笛の音が鳴り響く。


「アウトぉおおおおおおおおおおおおおお!」


「はあ、イリス、観測者」


「そうだよそうだよ、ねえねえ、それって十八禁じゃないの? どうなのさあ、そこらへん?」


「知るか、ひぎぃいいいとか、言ってなかったろ、セーフだセーフ」


「いちゃもん付ける訳じゃないけど、あへって文字が出てたよ、それってもう立派な十八禁じゃないの?」


「知るかばかが、あーうっせえな、唐突に物語に介入して、やる事がそれか? くだらねえ脇役なら、さっさと戦死してカスミに消えろや」


「うー酷い、イリカ」


「せええな、ガキが」


 とりま、物語を統制制御する観測者、極点AR的な物語世界の導き手、そして最高ブレインのワタシが揃ったわけだ。

 まあ全部、物語の設定としてデカ過ぎて、使えないレベルの在ってないようなネタだけど、な、雑談の種には成るだろうって事でOKだろ。

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