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夜の妖精とバトルギアソリッド★

「聖撃十二連装」


 白のマリアと呼ばれる、世界の方向性・秩序における、絶対存在が居た。

 彼女は常に、己の内に天界の十二軍を宿し、それを聖なるロンギヌスの十字架上の槍として操る事ができた。


「オープン・ユア・アタッチメント」


 彼女の言霊によって、周囲に浮遊する槍、それが光り輝きだした、何物をも勝る絶対神聖を宿すかのように。


「エンチェント・コードWE・装填・・・・・発射」


 対するは黒、世界を範囲とする超絶エリア攻撃に対して、己の全てを、その場で捨てる事で難を逃れたのだ。


「ふっふ、いいじゃない、最終的には剣技のみが、己の意志を明瞭に反映するモノが、勝敗をきめる」


 世界の方向性とは、終局へと続く道、そのものだ。

 ゆえに純粋に全てが起き捨てられて、世界においてお互いがお互いのみを認識した場合、

 世界の在り方の初期値はゼロ、たった二人と永遠に続く玉座への道のみが現出する。


「天にまします我らが神よ、絶対悪を断罪する、無上の力をこの手に」


 黒が駆けると合わせて、白が剣を、聖なるを体現し、存在と同一と看做される、世界における絶対の寄り代を中空に呼ぶ。


「それが神の裁きかい? 止まって見えるよ!」


 彼女、黒のナルディアは、ただただ漆黒の剣を持っていた、全てを最初から無かった事にする、只管なる殺傷の意志の体現。

 混沌とは、救いようが無いほどの研ぎ澄まされた殺意だ。

 ただただ世界に在ると云う理由で、無用に怒り、苛立ちのままに森羅万象を乱す為だけに存在している意志なのだから。


「そらよ!」


 真っ直ぐに駆けて、渡り石のように水面を滑るような移動、

 なめらかなる疾駆以外の異音、

 彼女の両腕、ナイフが石のような地面を浅くえぐりながら、火花を散らしているのだ、

 そして突き上げるように、下から白を切り裂くように推移する、火花を加えて目くらましも兼ねるというわけだ。


「くだらない」


 白は何も対処を選ばないかのように、微動だにしない。

 その下からの攻撃、火花を含めて冷静に見極めて、最短最速で、聖なる剣を、ただただ断罪のように刃として振り落とす。



「第十二の聖なる鉄槌、激烈なる光の裁きを経て、イルミナードは泥の侵入を阻んだ」


「その話は、イルミナードから傍受したけどな」


 

 夜、俺にはやる事がある。

 別にやましい事をするわけじゃないがな。


 パソコンを起動し、OSを立ち上げ。

 俺の最強の電波友達、田辺イリスを呼び出す。


「おーい、いるかぁーちょっと野暮用で遅れちまったぉー」


「おお!!!遅かったじゃないか我が友よぉーー!」



 と、目の前(VRMMOだ、あとは分かるよな?)に、軍服を身に纏った、緑髪の美少女が転送された。


 わぁ!!やっぱ美少女率が異常に高い!

 流石ハーレムモードかのような、そんな歪に過ぎて、人生のバグかと疑うレベルの俺の周り。

 非現実的なまでに美少女と、それに加えて美男子、あるいは美少年で溢れかえっているのだぜ。


 更に付け加えると、男女ともに老若問わず、様々な年代の人物もいる所には居る。

 つまり美青年に成年淑女も、俺の周りには沢山存在するし。

 美中年に美高年、渋い老年紳士、婦人に淑女等々、良い感じのクソ親父キャラもいたりするんだがなぁ!!


 話を眼前の、緑髪緑目、愛くるしいだけでない、中身も高性能でトリガーにハッピィーな娘の話題に戻す。


 目の前の少女は見た目的には、女の子の典型身長、体型だ。

 どこを見ても健康的で、親しみやすさ溢れだす、聖母のような暖かくもドキリとする。

 なにかもうどうでも良くなってしまいそうな、そんな微笑を、なんの屈託もなく、無邪気に無垢に、はち切れんばかりの幼稚さで演出してくるのだ。


 もちろんぶりっ子でもない。

 これが彼女のデフォなのだ。 

 素敵過ぎる、本当に、これほど魅力溢れる生命体に出会えた事を、彼女に会うたびに感謝している俺ガイル。



「どうしたんだぁーい?これから先ゴタゴタするけど大丈夫?」


「おおぉ!もちろんだぜぇ!!やってやるぜぇ!!」


「おお!!いい返事だねぇ!グッドモーニングぅ!!」


 と、朝の挨拶しているが。

 それが全く不自然じゃない此処。


 状況説明が遅れたが、ここはオンラインFPSの待機場みたいな。

 都市の公園部分だけをそのまま分割して持ってきたような、とてつもなく不自然な所だが。

 でもまあネットに夜も朝もないわな。

 もう忘れてる奴もいるかもしれんが今日ってまだ夏休み一日目だしな、いやもう12時は回ってるし一日は過ぎたか。


 そんな訳だから、ここにも沢山のプレイヤーが蠢き溢れてるかと思えば、そんな事もない。

 なぜなら、ここ以外にも沢山の待機上があり、あまり人口密度の高くならない工夫がされているのだ。



「想いってのは積み重ねて、思いを大きくしないといけないのよぉ!!」


「はぇ?一体どうしたんですかぁ? 何が始まるっていうですかぁ??」


「だ・か・ら!!思いを大きくする為に日々想いを!思い出みたいな物を積み重ねないといけないって事!!」


「はっはぁーそうだな、もちろんその通りだ」


「ぜぇーんぜんわかってない!あそこのスタバ入るよぉ!」



 そう言って、俺の腕をむんづと掴み。

 引っ張りながら、公園の近くで微妙に切り取られていない領域にある、スタバに俺を持っていく。


 さて、何かの電波スイッチでも入ったか。

 ここに入るって事は、落ち着いて何か話したいって事だ。

 四人がけの席に誘導され、俺たちは向かい合うように革張りのソファーに座る。



「というわけだ、こいつをどう思う?」


「なにがだ、言いたいだけの意味不明発言か?」


「ちゃうちゃう、今の状況だよ、かなりヤバげだよ」


「そりゃな。 自重もせずあれだけ暴れれば。 さすがにどっかから目を付けられるだろ」


「とりあえず、これからどうしようかぁ~こんなんじゃ攻撃可能エリアに入った瞬間、恨みの鉄槌が下ろされちゃうよ~いやっ激鉄かな?」


「まあ、さっきの想いを重ねるってのも、あいつらとの情熱的な戦闘が、ついに奴らの堪忍袋の緒を切らしたって所だな」


「もうねぇ、逆恨みも良い所だよ。

 自分達から死にに来てたくせに、卑怯だずるだ!ってやってられないよ」



 俺達の周りを、微妙にちかづ離れず纏わり付く。

 怨嗟の念を隠しながらも、俺たちにはばれてしまっているがな。


 そんな彼らは、昨日だったか。

 俺達二人組みがタッグでスナイパーライフルの餌食にし。

 一日にして大量の、それももう、ちょっと可愛そうになるくらい。

 俺達の養分になってくれたプレイヤー達だった。



「で、どうしてくるかねこれ?」


 彼女は、メニュー表を眺めていた。

 そして何か欲しい物でもあったのか。

 鈴式の呼び鈴を鳴らしNPCを呼ぶ、そして何事か注文したようだ。


 そして少し、いや、すれすらもない、そんな間。

 早業でちゃんと作ってきたんです、くらいの、変にならない為の取り繕いの間だけあけて、NPCがまたもやって来た。

 戻ってきたNPCからは、コーヒーらしき、中身黒いカップを受け取る。それも二つである。


「どうした? 何か面白い物でもあったのか? 俺の分まで頼んで一体何を?」


「おい、こいつを見てくれ。 どう思う??」


「しつこい、いい加減止めろ、で。 なんだ、これ? コーヒーっぽいんだが」


「ああ、これはコーヒーって言うものだ、ちゃんと分かってんじゃないか、初心な顔してやる事やってるってか」


「超しつこい、いい加減止めろ。

 でも、意味の分からないもの、いきなり飲んでみるのもあれだ。 まずお前から飲んでみてくれ」


「なんだぁ、こっちがエスコートするつもりが、すっかり手篭めにされちまったぁ、はぁー参ったまいった」


「殺していいか?」


「や・ら・な・い・かって事なら受けて立つがぁ?」


「うがぁあああああああ!!!表ででろやぁ貴様!!今すぐ蜂の巣にしてやるよぉ!!!!」


「うわぁーー面白い面白いぃ!!ひっひぃひぃ!!」


「くっそ!!このぉ!こんにゃろう!!」


 俺は、すぐさま席から立ち。

 彼女を捕獲した上、痛い目に合わせてやろうとしたが。

 彼女はすいと跳躍し、椅子やら机やら、それらを華麗に足場にし。

 店の入り口の方に行ってしまった。

 駄目だ、こいつは俺の追えるスピードじゃない、さすがニュータイプって所か。



「くそがぁ!このゴミクズやろうが!もういいよ!!許すから戻ってこいよ!!」


「はっはは!ごめんごめん、なんだか調子に乗ってしまうこと、君にもあるだろ?!今のそういう事だよ」


 うーむ。俺も、かなり頻繁にそういう事があるので、なんだか毒気の様なモノが抜かれてしまった。

 またしてもくそが。

 こんな小娘にいいようにやられて。

 男のプライドが限界値を下回っちまうぞ。



「それで。 ちょっと、本当にこれを飲んでみようか」


「で、これなんだ? おいしい飲み物か?」


「まあ、美味しいんじゃないかな? 少なくとも私は嫌いじゃない、むしろ私は好きだよ」


「好きだよ? 俺の事がか? 残念だな、俺はお前のこと嫌いだ」


「うん、知ってる。 まあ飲んでみなよ、たぶん美味しいと思うから」


「なぜ断言をしない? 人を選ぶタイプの飲み物か?」


「うーん、それは難しい問いだね、そうであるとも言えるし、そうで無いとも言える」


「まーいいや、とりあえず飲んでみるか、、、、ぅぷぁぶがぁあ!!」


「まあ、そうなるよねータバスコ入りおしるこ飲料だもん」


「ぐへぇ、ぐがぁあ、はぁはぁ。

 おい、どういう事だよ? これ、何か俺、お前を怒らせるようなことしたか?」


「うーん、それは難しい問いだねー。

 ただその場の流れで、こういう事態が起きたのか? 

 それとも何か因縁や確執があるのか、説明できると言われれば言ぇ「うるせぇええええええええええええええ!!!!」お前がなー!お前がなー!」


「はぁー。まあいいがな、このくらいなら許せるんだよ。

 ありがたく思えよ。

 これ以上やったら、さすがにプッツン切れると思うが。まじで命拾いしたな」


「まるでDQNのような台詞。

 まあそうだね。

 これはなんだか君がちょっと今日は浮かない、元気のない顔してたから、っちょっと元気になるかなって仕掛けてみたんだけどぉ、、「うわぁああああ!!!ごめんよイリスぅうううう!!」


「うんうん、よしよし、何かいやな事や大変なことが。 今日はあったのかい?」


「あったんだよぉー!今日一日だけで凄く疲れたんだよぉ!!

 ありえないんだよぉ!夏休みの一日目がこんなハードだなんて、こんな調子でステップアップして行ったら、最終日に俺は死んでると思ったんだ!!」


「そっかー、本当に大変そう。 じゃー今日はもう、ここで駄弁ってるだけで終わらそうか」


「うぅ、そうだな、そうしてくれると助かる。 それに外で張ってる面倒臭いのもいるしな、それ採用」


「よしわかった!じゃー先言った、想いは積み重ねないといけないのよー、思い出の積み重ねが想いの強さだぁーーだっけ?

 あれについて話そうか」


「え、マジで? 何がそんなにしたいんだ?」


「率直に言うと、もっと君の事を想いたいんだ、君の事を考えると胸が一杯になって。

 なんというかそういう心的状態になりたいんだ。

 君との思い出をもっともーっと積み重ねて。

 想いの強さを高めれば、そうなれるんじゃないかと思ったんだよね」


「つまり、恋とかしたいってわけ、しかも俺と」


「そうだよ、他ならない、親愛なるディア、君とラブしたいんだ」


「うんうん、こういうの超展開なんだな。

 大丈夫だ、そういうのは沢山経験してきたじゃないか、、、」


「それでね!!

 この夏休みはもっと君との逢瀬を増やしたいと思うんだぁ!!」


「ああ、それに関してなら、出来る範囲でなら、俺も望むところだよ」


「とりあえず、昼夜は逆転して生活することになるよね」


「お前には昼おきて夜寝るって発想はないのか!」


「ないよ、昼に起きるとかワロスワロス。

 夜にゲームやるから面白いってのがすこしある」


「まあ、それも十歩ぐらい譲っていいが。まあそれで」


「それ以外? 

 特には、、、あぁ!

 君とこういうゲームの外じゃなくて、ちゃんとしたリアルの外で遊びたいなぁ!!、、駄目かなぁ??」


「そんな上目遣いされたら駄目なんて言えるわけないだろ、いいよ、外でなんか遊ぼうぜぇ!!」


「おお!! 乗りいいね、その意気だよ。

 それでねそれでね! この際だから、一人じゃ行けなさそうな所一杯行ってみたいんだぁ!!」


「ほぉほぉー、お前がそんなアウトドア系のことにそこまで積極的になるとはねぇー面白い、何をしたいのか聞こうじゃないか」


「あのねあのね、わたし前から行きたかったけど一人じゃいけなかったんだー。」


「うんうん、それで、それはまあどこなんだね?」


「ちょっと待ってね、沢山在り過ぎて、選別したい」


「選別するほどあるのか、てかメモ帳まで出してなにしてんだ?

 それに一々書き止めてるとでも?」


「そのまさかさ、君との思い出を出来る限り沢山作って、君への思いをこの夏だけで最大にしたいんだ」


「そりゃ、まあ俺もそれなりに張り切らないといけなくなったな、それでぇ? 決まったか? とりあえずの第一候補」


「うーん、どうしようかなぁーこれがいいかなーあれがいいかなー」


「何で迷ってるんだ? 

 言ってみろよぉ、俺も参考でアドバイスしてやれる」


「だーめぇ! これはイリスが自分で決めるのぉ!!」


「わーたわーたじっくり決めろ。 ってヤベヤベ、この飲み物は飲んじゃいけないんだった」



 イリスがメモ帳と睨めっこしている内に、俺は呼び鈴を鳴らして新しい飲み物を頼んだ。

 ついでに彼女の奴も一緒に頼んでやる。

 もちろん俺はガキじゃないので、普通のお茶に見える青汁を彼女の方には注文した。

 さて泣き叫び嗚咽を漏らす様をみせろ。



「じゃーこっちかな、吉野家!」


「ぶぅ!おめ!そりゃーねーだろ!!吉野家くらい一人でいけやぁ!!」


「いやーだってぇー!

 多少雰囲気は緩和したみたいだけど、まだなんか殺伐とした感じがあって行けてないんだよ!」


「だめだだめだ! 別のにしろ、そんなところにわざわざ行く為に、付いていくほど暇してないぞ」


「うぅー!しかたないなぁー、ならこれはどうかなぁ~?」


「なんだ?またしょうもないモノじゃないだろうなぁ?」


「馬鹿にしないでよ、わたしにだって学習能力はありますよ、どうだこれならオッケーでしょ!松屋!!」


「はぁああ!!

 さっきとの違いが全く見受けられねぇ!!何がすまし顔で学習能力だよ、馬鹿かよホント馬鹿かよぉ!!」


「うぅ~ぅ!もう!何だったらいいの!

 適当にネズミーマウスとか言ってれば良いって事!!!デートがそんなにしたいのぉ!!!」


「だれもそんなこと言ってないだろうが。

 わかった、とりあえず好きなものぽんぽん言ってみろ、それで俺が取捨選択してやるから」


「もう!初めからそう言ってよ。

 じゃー次いくよぉーすき屋「っぅ」てっ!!言うと思ったでしょ~!!ぷっぷぅー引っかかってやんのぉー!!」


「がぁー!!もう!!終いには一緒に行ってやらんぞぉ!こらぁ!!」


「ごめんごめん、わかったわかったって、これからは真面目に言うって。

 それじゃー新たにー、、、???女性モノの下着コーナー!!」


「はぁー、やっぱネタ尽きてたんすかぁーがっかりですよ、僕はがっかりですよー」


「っぅー!!うきゃぁあああ!!!!めちゃくちゃ悔しいいいぃ!!でも感じちゃうのぉ!!びくんびくんぅん!!」


「はあ、もう普通の提案を出そうぜ、本当に二人で行くなら、それなりに楽しみたいだろ?」


「ぐぅすっふぇえ、まったくもってその通りだべらんめぇー」


「よし、それじゃ、次はまともなこと言ってくれよ」

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