表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

148/588

イリカとラノベと超凡人★



「ラノベ読者はストレスフリーなスライム狩りがしたい、らしいなあ?」


 メサイア図書館と呼ばれる場所だ。

 俺は誘拐された人間だ、ただそれだけ。


「おら、超凡人」


「おい、それって俺の事か?」


 俺は、このイリカとか言う、意味不明超絶電波サイコパス美少女に、座っているイスを蹴っ飛ばされる。


「クソつまらねえ、書籍化になろう、わたしが運営するサイトを、汚してんじゃねえぞ?」


「クソが、

 てまえが、書け書けとクソしち面倒くさい、煩いから、いやいや俺は日常生活が忙しいのに、書いてんだぞ?」


 そうだ、俺は誘拐された、

 だが一定のサイクルで、一端戻されると、向こうの俺の世界の時間は進んでいないのだ、そういう設定なのだろう。


「カスが、さっさと商業ガンガンで売れるレベルの、最高無血開城なクソ至宝のメニューな神小説を、ガンガン量産しやがれ!!」


「簡単に言ってくれるな、てまえがやれや、クソ女が、ゴミ屑以下のウジ虫以下のみどり虫、ゴミ虫」


 俺が罵っていると、イリカがソファーに座って、大口を開いて語るように演説調で言う。

 

「シリアス展開とか、どろどろした18禁な人間関係とかは嫌だってこと」


「さっきのか?」


「ああそうだ、聞け、馬車馬の如く理解しろ。

 子供のころを思い出せば良い、子供は凄く怖がりだったろう?」


「ああ」


「未知なる世界に、ずんずん踏みこんでいけるモノじゃないのだ。

 絵本の延長線上のような、ラノベという親しみと、インパクトのある読みたくなる絵にこそ惹かれるのだ」


「だからどうした、カスが、

 人知を超越した化け物ような有様の、釣り目の美少女だからって、超調子に乗って、

 一度本気でガチで、痛い目を見た方がいいんじゃないか?」


 俺はムカついているのだ、このイリカの、ジンガイ染みた自信満々な有様、

 ああ劣等感に羞恥心、コンプレックス爆発の嫉妬だ、笑いたきゃ笑え。


「ああん?」


「俺は凄まじくムカつくんだ、

 お前の、イリカのクソチート才能も、息吸うだけでニヤニヤしてるような、その魅力的な釣り目も、なにもかもな。

 そのキラキラした瞳も、しなやかで、どこまでも伸びやかな肉体美も、凛々しく若々しい、新緑のような瑞々しさも、なにもかも。

 些事で、ぽろぽろ感動し、ほんの些細な機微に、うるうるできる、素晴らしい奇跡的な、無限の感受性も、

 まるでロボットか機械のように、奇跡的に奇跡、特異点のような絶対強度が無いと、演算処理できない、情報の化け物が」


「盛大な、こりゃ、愛の告白だな、どう考えても、お前はわたしの事が好きみたいだな」


「だまれクズが、ゴミ虫以下のゴミ屑が、だまれだまれ!」


「ああ、最近のラノベは駄目だ、愚にもつかない絵本のような物語が、一切合財無くなった。

 某蒼いタヌキの国民的なアニメが、妖怪の時計に地位を奪われたように、

 これから、超ライトなラノベが、もっともっと必要必須なのだ」


「だろうがよ、だからどうした?」


「それは、書籍化になろうが成り変わったかもしれないが、それでももっと本筋から成り変わるべきだと思う」


「そんな大きな移り変わりが、俺に何の関係がある、下らん、もっと面白い話をしろや、産めず娘が」


「超一流のラノベ作家は、やはりコア層に向けて書いてるな、ライト向けに書いてるのなんて極々少数だ。

 そりゃそうだ、生き残るにはコアな層を相手にしてなくちゃいけないからだ」

 

 とか言いながら、ニヤニヤしながら俺を見つめる瞳が、察しろみたいな色を帯びる、馬鹿にしているのだ、低レベルな俺を、コイツは。


「俺に何が言いたい?」


「超一流の奴らがコア層を狙って、一流レベルがライト層を狙ってるのが、おそらく今の図式だろう?

 だがそれでは駄目なのだ、超一流の人材が、生き残りを度外視して、ライト向けに書かなくちゃ、絶対に駄目だ。

 もちろん、超一流の奴らだって人間だ、書かないだろうがよ、絶対に書いてくれない絶対に」


「だから?」


「だったらどうすればいいんだ?

 純粋でシンプルで、親しみが持ててストレスフリー、シリアスもどろどろ人間関係も無い。

 書いてて面白くない、そういう小説を、誰が超一流の技術力で、ラノベとして書いてくれるんだ?」


「俺にやれって事か?」


「ああ。

 というより既に、ラノベ読者が高齢化して、子供が少なくなってきているのだ、市場が縮小傾向なのだ、

 詰んでいるとも言える、後に広がり続けないのだから、そりゃコア層の取り合いにもなるわなあぁ」


「無理だな」


「それでも、子供が楽しく読めるような、そんなラノベが無くちゃ、駄目だろうがよ!

 最近のラノベは駄目だ、全部が全部、子供に見せられるような内容じゃないのだ!」


「はあ? で?」


「さて、ここまで語ったが、実際はもっと違う。

 ラノベ読者は大人だが、子供なのだ、ぜんぜんガキだと思ってくれて結構。

 難しい事は好きだが、むずかし過ぎても嫌うのだ」

 

「クソ共だな」


「ああ、しごく面倒くさい、ツンデレのような扱いを心掛けないと、駄目だ。

 これを分かって無いと、ツンデレに嫌われるようなテンプレのパターンを晒す羽目に成る」


「ツンデレで形容十分かよ、ゴミ屑共確定的に明らかだな」


「だろう?

 つまりはツンデレの、ツンを指摘して、デレを逃すような、そんなケアレスミスをする作者が酷く多過ぎるのだ。

 もちろんツンデレに対するコミュニケート能力は、案外に高度だ。

 ツンデレのツンに触れて欲しい時もあるだろうがよ、恋愛のように難しい領域の、特化した技術力が必要とも言える」


「糞みたいな奴だな」


「そうだ、読者と作者は恋愛関係をイメージしてくれると、酷く分かり良いだろう」


「クソ共と、誰が望んで恋愛関係に成るかよ、金が絡まねえと至極、やってらんねえなあ」

 

「とかく難しいのだ。

 スライムを倒すようなイベントをやってると、飽きたとか抜かす。

 少し難易度を上げると、糞ゲーとか言い出す」


「バランスを極めなくちゃいけねえって事だろ? どんな事でも至極当然の理論を仄めかして、悦に浸ってんじゃねえぞゴミ」


「こんな面倒くさい奴らは居ない、神ゲーを常に求めているのだ。

 人知を超越した作者じゃないと、正直やってられない、聖女や聖人君子以外に商売相手として成り立たない」


「てめえが、てまえがしろ、まんま適任だろうが」


「嫌だね、わたしは忙しい、雑魚共に雑魚の面倒はみせるのが、費用対効果が正しい、つまりお前がしろって事だよ!察しろ!」


「無理だ! ことわる!」


「拒否権なんてねえ! やれなくてもやれ! 以上だ!

 とにかく、超一流の奴がライト向けに書いてないから、一流レベルでも売れるから、希望をもって書けとなるのだ!」


「希望? はあ?」


「ハッキリ言って、一流レベルになら、誰でも成れる。

 お前だって成れるだろうがよ、一流レベルで売れるのだから、頑張ろうみんな、頑張ろう日本と最終的結論とす」


「はあ?」


「人類みな兄弟。」


 それだけ言い残して、イリカはどっか行った、マジでガチで、正味からして意味分かんねえ。

 だが俺は、命じられた通りに書いてみた、奴が好きなわけが無いが、暇つぶしにはコレしか用意が無いからだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ