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シャルロッテ編‐イルミナード1の戦える超美少女ヒロインアイドル

 

 

「うぅ、頭が痛い、、」


 己の生体ストレス限界値の、限界総量スレスレのギリギリで、直接情報入出力装置で情報を頭に詰め込んでいた。


「ご苦労様」


 こちらが最大限のレベリングをしていたというに、涼しい顔が憎らしい。

 彼女、全宇宙的に見て、十指に入る超スーパーウルトラアイドル、シャルロッテとは彼女のことである。

 でも俺はシャルと気軽に呼んでる、生まれた瞬間からの腐れ縁で幼馴染だからだ。


「私のプロデューサーさん、ご褒美でも欲しい?」


 椅子に座る俺、その横手から中腰になり顔を近づけてくる。

 この宇宙時代、西暦の時代よりも人類の容姿も最適化され続けてきた。

 具体的には、平均的に人類の容姿偏差値はプラス20くらいにはなってる。

 そして目の前のコイツは、なんとそういう世界において”人類一の美少女”と評される存在らしいのだ、真の話だ。


「いらないよ」


 そう言うと、中腰から姿勢を正し、見下したような目線をくれる、そら寒いモノを感じずにはいられないソレだ。


「このヘタレ、愚図、「お前が欲しい」くらい言えないの?

 むしろ、問答無用で押し倒して、わたしの始めてを奪って手篭めにする、それくらいの甲斐性ってモノが欲しいわね、私のプロデューサーさん」


 ふざけた内容台詞を、真顔で言ってくる。

 俺は何時も通りスルーできない、スルーすると怒ってくるからな。


「そんな事よりもだよ、新しい曲ができたよ」


「まあ、嬉しい、わたしが歌うべき、わたしに最高最適な、そういう曲を期待してるわ」


「とりあえず聞いてくれ、歌詞はこれだ」


 パソコン画面に映し出される映像を、シャルは食い入るように見つめる。

 先ほどまで、掛け値なしに命を削るような苦痛に耐えながら、膨大な情報を収集をし、莫大遠大な試行錯誤で情報を加工し完成させたモノである。

 マイクピンにヘッドイヤホンを差し込み、身体全体を微妙に振動させリズムを取りながら、目を瞑って声の入っていない音を聞く彼女。


「~~♪~~~~♪」


 鼻歌を収録すれば、それだけで飛ぶように売れそうな音色を、なんでもないように奏でる彼女。

 俺は規格外としか思えない、この幼馴染にある種の疑念を抱いている。

 それは純粋なる直感で思えること、ただただありえないレベルでハイスペックに過ぎる存在であること。

 この全宇宙における人口が、西暦の時代よりも破格に多いといえども、これほどの才物が発生しえるのだろうかという疑問である。

 彼女は完璧超人の、その果てに位置するような存在なのだ。

 アイドルとしては言うまでもなく、その他の面でも溢れる才能を有する。

 その領域はあらゆる分野に及ぶ、簡潔に言って、一個の存在の総合力として、彼女以上の存在はいるのか定かではないほどに。


「流石ね、貴方は私の最高のパートナーよ、これからもよろしくね」


 頬を紅潮させて微笑し、情熱的な瞳を向けられる。

 それに対して、俺は何も言えずに頷くことしかできなかった。


「でも、わたしはまだまだ満足しないわよ?

 貴方は、この世界でトップ、一番の最高の存在なの。

 この程度じゃ、わたしは許さないんだから、頑張ってよ?」


 俺から見て、この宇宙で最強最高無敵に究極な彼女に言われると、プレッシャーが半端ない。

 俺は彼女の、果てなく膨らむ夢のようなソレに、幾らかでも期待に応えられるだろうか? しょうじき確信的な自信は、、、うーん。


「できる限りで、頑張るよ」


「ダメ、全部かなえて?」


 俺は彼女の言うことに逆らえない、だが、できない事はあるのだ、それは厳然たる事実だろう。

 できない事を、できるようにする為に、俺はなんでも全力でやるけれども、あらゆる手段を尽くしてもできないなら、彼女には諦めて欲しい所だ、無理だろうけれど。

 彼女は不満を募らせ爆発させるタイプだ。

 しかも、少しでも不満があれば、宇宙がビックバンするレベルで感情的に怒り、同レベルの理性をもって俺を追い詰めてくる、最悪に始末が悪い事態がある。

 ハネッ返りの子供みたいに、無垢に惨酷に純粋に在り、そのように振舞う彼女に、俺の悩みは尽きる事がこの先も一生ないだろう。

 彼女は俺に、果てなく続く唯一のコトワリを求める、それは”愛は全てを超越し、可能にする”である。

 だから、俺は彼女の無限に限りなく近い望みを、無限に出来る限り高次元なレベルで満たす、そうある事が理想とされているらしい。


「全部かなえたら、シャルは俺に何をしてくれるの?」


 彼女は微笑する、なんだかソレは酷く挑戦的で鋭く尖った物だった。


「わたしをあげる、そして貴方を愛すると誓うわ」


 はあ、やるしかないみたいだ。

 無理でもなんでも、そんな事を彼女から言われたら、やるしかないではないか?

 彼女はただただ果てなく素晴らしいのだ。

 無理でも不可能でも、やってやれない事でも、やる事はできるのだ。

 俺は己の最善を尽くし、限界を彼女の為に、彼女の存在を糧に、最大限伸張し突破し続ける。

 もしそれで、彼女が満足しないならば、それは彼女の力不足ではないか? 

 そう、どんな時でも、俺は俺の最善を尽くす、それ以外に、出来ることも、しようもないのだから。


 俺はまだ知らない、彼女の真相を。

 彼女の存在はあるべき本来からみて、ありえないモノであることを。

 疑念は正しかったのだ。

 サルが適当にタイピングをしても、決して傑作が生まれないように。

 彼女も普通生まれ得ない、この世のバグのように反則的存在。

 俺は知っていた。

 この宇宙に天文学的な確立の奇跡が起きて。

 更に加速度的に幾何級数的に、その奇跡が膨張拡大してもなお。

 彼女の存在は生理的に直感的に”可笑しい”としか思えない。

 そんな俺はいたのだ。

 ただ、彼女の真相を知って、それでも、その存在を受け入れる事ができるかどうか。

 それのみが、これから先、唯一の重要になる。

 この時すでに、彼女だけはその事実を、恐らくは知っていたのだろう。

 後から考えれば、そうとしか思えなかったのだ。

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