暁の揺り籠☆☆☆
「ようこそ、僕の揺り籠へ」
暁の揺り籠、イルミナードの魔術師を管理・養成する結社。
学長界隈と指揮隊長を別とし、実質的に観測者すら対抗する特質戦力と、実行部隊に分かれている。
「くだらん、やめろ、気障ったらしいクソ女が、挑発的な態度をして、その美し素晴らしい太腿の付加価値とすな」
「君にしかしないよ、過去、イルミナードの危機で、
スマイルウエポンの尻尾があと一つ必要だった時、僕は君の助力を頼んだのを、果たして君は覚えているのかな?」
「クソ、あの件か、くだらん忘れろ、永久に金輪際、話題にも出すな」
「嫌だよ、僕は忘れないよ、あんなにも、心震える変態の勇姿を、どうしたって僕は忘れられない、忘れたくない」
昔の話だ、ゲーム盤がひっくり返るほどの危機において、俺まで最前線で仕事をしなくちゃいけなくなった。
いろいろなモノが根底から瓦解するなかで、死守するべきモノの選定作業、優先順位付け、執務室で行っていた時だ。
コイツが現れたのだ。
「超レアアイテムの取得要請、あの時の此処には、絶対必須だったんだよ。
君は言ったよね? 僕の此処を、ぺろぺろ、飽きるほど舐めさせてくれたら、考えてやると。
僕は身が震えるほど、あの時の羞恥心を今だって覚えているよ、
正直な話、太腿の付き根を舐められるくらい、どうって事無いと、高を括っていたんだよ。
でも実際やられてみると、特に君にそれをやられる事が、あれほど情熱的で、ロマン的な特異点だとは、思ってなかった。
そしてあの後、君が僕の要請を受諾して、最前線の戦地に赴き、しかも一人で、目的を達成したトキは、そりゃ震撼したよ。
一週間で、ほとんど寝ずに、百時間以上も掛けて、見つけてきてくれたんだ」
「ふん、馬鹿が。
ただ、お前のそこは、それほどの男にとって魅力に溢れ過ぎた価値があり、釣り眼鏡のインテリナルシストって付加価値がヤバかっただけだ。
俺は何度もヤバいヤバいと、思っていたんだ。
貴様のような奴が、俺のような超絶魅力なクソ男に、そういう事をされて、
羞恥に身を震わせながら、行為が終わるのを待つ姿、どれほどの観測価値、鑑賞物として、うりさばけるのかを、な」
「アレ? その言い分じゃ、君はまるで、本心からは望んでない、楽しんで無かったような、そういう口調、語り口だね?」
「当たり前だ、俺には一切の変態趣味がありえない、潔癖で高潔な、戦闘狂という自負、プライドがある」
「ああなるほど、それで、そんな態度をとって、僕に少しでも反感を買いたいわけだ」
「そうだ、貴様には絶対に惨めで哀れな、敗残兵よりもなお悪い、
最低最悪な環境で働くクソ劣悪な娼婦よりも、なお超越して余りある、最期を提供してやるんだからな、ちょっと待ってろ」
俺達は、くだらん会話をしながら、暁の揺り籠の、本部へと歩いて移動した。
「さて、此処に来るのは、久しぶりだね」
「そうか?」
「そうだよ、これほど色々な場所に繋がり、無限の感動を与える、特異点の集積所だよ。
連係拡散、そのほとんどが魔法のような、存在リソース的に、全世界レベルを扱う万能奇跡、
バーストリンケージの、極点膨大化による、特異点ネットワークの無限大構築現象を紐解く、対観測者決戦力場なんだから」
俺は暁の揺り籠、本部、その一つ一つが無限大と体現される、大掛かりな無限大の空間に居る。
そこには魔法陣が、緻密な細工で無限大に存在し、
その他にも、様々なモノが、幾らでも幾らでも、俺には観測できるような、実体のある実感を与え続けるような、情報力場。
「こんな世界を超越した、過剰戦力で、する事が、最前線世界のヒロインを生み出す、設定調整作業でしか、所詮は無いとはな」
「それだけ、完全に未開発・未開拓の、最前線力場情報世界で、真っ当なヒロインを生み出すのは、至難の業って事だよ。
この場においては、ゼロを一に、その一が、確かな価値と意味を持つと信じ、一を百に、百を万に、ずっと続けて、
その内に、最初の一において、間違いが、最大に最適化されていない違和感、有意差のある誤差を誤解を見つけて、
一にする前段階における全段階、全ての間違い、違和感、最適化されない、一に至るまでの、確かな情報処理・演算をするのはね」
「くだらん上に冗長で、つまらん、しょうもない話だ。
全てを直観で成せ、意識的に意図的に、全自動的にできないのならば、こういう場所が必要になると、無駄でしかない訳だ。
シャルル、俺を見習えよ?
俺のように全人生において、無限大に灼熱の戦場を渡り歩き、生きてきたなら、
無限熱量を知り、全てを直観のみで、一瞬間の内に、成せるだけの全てを成せるのだからなあぁ!」
「本当に口だけなら、良かったのに。
僕は君のような、圧倒的で絶対的な、特異点的な存在、知っていなかった僕が、残念で、いつも至極ビックリしてしまうんだ。
「そうだろうがよ、こんな場所を使わなければ、この世界において、真っ当に活躍できるヒロイン、一人も作れないのだからなあ!」
「君が可笑しいって、自覚は、まあ直観で成してる以上は、永遠に自覚もできない世界なんだろうね。
どう考えても、ただの凡庸な存在を、君がヒロインと認定し、接している内に、
自然と無限昇華されるシステムの方が、無限大に狂っていると、少なくとも僕は、そう思うんだけど」
俺は内心で思う、それはお前が、実体を知らないからだ。
もちろん、俺の構築する現象の、その秘密、ミステリアスに隠されるモノを、わざわざ教えたりしない、コイツも望まない事だ。
神が隠すようなモノ、神秘を知らない方が、知性体の好奇心が刺激されて、無限大の感動を、ロマンを幻想し実感できる。
実際の一つの手法は、俺の場合は、俺のライフワーク、書籍化になろう、その場において知った存在を、情報として付加する。
イルミナードに居るヒロイン達は、一方的な形だが、いや双方向に影響と干渉力があるのか知らんが、
とにかく、存在に情報が付加される事によって、勝手に動き出している俺が錯覚するレベルで、異常活性化、強化向上されるのだ。
「それでも可笑しいけどね、運命力の釣り合いがとれない、
存在はどれだけ深く熱い、魂の結びつきをしても、所詮は世界が規定する存在のパラメータ、存在比率に縛られる」
「なんだ? シャルル、貴様知っていたのか?」
「当然だね、僕は掛け値なしに、世界を無限大に超越する、
スタープレイヤー的なクラスのキャラクターの存在規模すら、遥かに上回る存在だよ?
基本的に、全てを知っていると、そう認知してもらっていても、一向に問題無いんだよ?」
「ほお、ならば、
この世界が、ある一人の矮小作者の物語世界で、
さらに、その矮小作者の存在する世界自体も、究極無限大の物語世界で在って、
真に究極な、際限のない上位概念が支配する、真に真なる物語世界の作者が、絶対存在のように全てを牛耳っている事も?」
「あっは、あっはっは、面白いね、裏の世界を知るならば、当然の常識を、さも世界の絶対に神秘とされる事にように語るんだもん」
「なんだと?」
「覇者君は、可笑しいと思った事は無いかな?
第七階梯、観測者の最上位、至上の観測者って呼ばれる存在が、どうして無我の領域なのに、知性のような働きを、世界に成すのかを」
「そんな話をするならば、そもそも宇宙法則が可笑しい話だ、整然と理性的に在って、秩序的なモノを創造するのだからな」
「まあ、つまりはそういうこと。
絶対的な上位世界、神々の世界なんて幻想であって、隔離される上と下が有るだけなの。
そして絶対的に隔離されていても、世界を繋げる事が不可能で無いのは、ユニオンメディア、統合媒体が証明済みと」
「何がいいたい? 所詮は幻想的な世界で、遥かに上に居るだけの存在だろう?
規定基底現実において、神成る絶対領域が存在するのは、確定的に明らかだ。
なぜなら、幻想が存在しない、法則を超越すること自体が、不可能なのだからな」
「前提が間違っているね、幻想が幻想である、そのこと自体が幻想なんだよ、既に確定情報として定義されてる事さ」
「はあ? 馬鹿が、現実世界が存在する、それだけが、むしろそれが幻想の否定とイコールで同義だ。
お前はまさか、この世界が幻想で無いと、前提条件すら否定し、いったいぜんたい、何を定義しようとしているんだ?」
「うーん、なんというか、ハッキリ言って、生きている世界がちがうんだよねえ。
いやこの場合は、君と僕って、そういう話をしているんじゃない、
それもまあ真理で、真実の一側面、ていうか大部分を占めるんだけど、この場合着目し焦点を当てて、語りたい認識共有じゃ無い。
僕が言いたいのは一つだけ、
この無我の領域において、知性の働きを成すモノ、
全自動的に、全てが幻想として定義されているけど、現実的な世界において、確かな数量で物理学的に計算されるモノ、だよ」
「馬鹿が、馬鹿だ馬鹿だな、それが運命力、存在比率、世界が定義する魔法、神秘だろうが。
世界が現実として存在し、現実としての物理法則が、まるで魔法のような働きをするからって、際限の無い幻想と一緒くたにするな!」
「幻想否定だね、シンプルに単純な、それは真理とは言えない、絶対真理なら、既に語る必要すら無いのだからね、永遠に。
僕が言いたいのは、世界が幻想を提供し、幻想によって、際限の無い幻想が生まれて、それを現実でないと拒否でき無いって事」
「くだらん、つまらん、しょうもない。
自重の無い、際限の無い幻想、無限大や特異点を持ち出し、物理学を否定するような、絶対秩序の宇宙世界に存在しないのが、幻想だと俺は昔から言っている。
つまり、精神世界で成せるだけの全てが、まっとうな幻想であり、俺ような直観で一瞬間で全てを成すのが、真の幻想だ」
「どうあっても、この空間、物理というテキストを無限に近く昇華させて、幻想領域において、絶対上位世界に切り込める力場を否定したいのかな?」
「当たり前だ、幻想に幻想を上塗りし、確実に絶対的に現実、世界と乖離して、隔離されて、初めて成せる事に、どんな実際的な価値と意味がある?
お前は、自分ひとりだけが判別し、解読できる言語体系で、世界から切り離されて、
運命力すらも、世界が定義する存在比率、それを無視して、勝手に動き回って、現実世界で暴利を貪り、搾取するだけなのだからなあ!」
「いやいや、確かに、そういう側面もある、だけど、新たな意味と価値を、現実世界で提供しているでしょう?
この力場だって、変換し、良質な翻訳者が、幾らでも実際的な意味と価値にしてくれるでしょうよ?」
「うるさい、黙れ、
俺の知らん理論で、勝手に盛り上がり、絶頂を貪り、超絶ハイテンションで、俺の現実世界で、心ぴょんぴょん、しているんじゃない!
ムカつくんだよ、そういうのが、一番な」
「はあ、なんだ、ただの負け惜しみか、もっと何か、根底から僕の揺り籠を、完全否定でもするのかと思った、あまり無用に期待も落胆もさせないでよ」
「馬鹿がクズが、下らんだろうがよ、際限の無い無限大の幻想、風情が、不正なんだよ、そういうのはよ。
なんの血も滲まないような、努力も研鑽の歴史も、鍛錬も節制も無く、
ただただ、幻想的な計算結果が、情報として価値や意味がある、
だから貴様は、永遠に幻想に居座って、確実な価値と意味のある、基底規定現実に切り込めないんだからよお!」
「それが直観力の正体で、果たしていいのかな?
もし仮に、僕達のような魔術師が、万に一つ現れたら、君の現実世界観は、全て崩されて、後になにも残らないんじゃない? 危惧は無い? そういう」
「ありえん、貴様のような幻想が、現実に確固として存在した、ためしも、歴史的な事実も、絶無にないのだからな。
所詮は現実世界に否定される存在だ、
このような際限の無い幻想を、貴様は現実として絶対的に崇めて、盲目的に浸っていないと、息すらできない存在なんだろう? 自覚を持て、哀れな幻想風情がっ」
「でもさあ、現実を絶対的に生きていれば、魔法、この場合は魔術だね、
際限の無い、それはまあ直観力、運命力の系統でも言える事だけど、あとネットワークでも、様々に言えるんだけどさ、
とにかく、この際限の無い幻想力、魔法力、物理学すら手玉にとり支配する、使わないのは勿体なくない?」
「だから馬鹿が、最初に俺は言ったはずだ、昔からずっと言っている話だ。
貴様とは、ハッキリ言って一言で、生きている世界が、絶対的に確実に、違うのだと」
俺は横目で見る、観る。
この場で生まれ、俺と直接接触した、新しいタイプのヒロインを。




