電波少女と楽しく暮らせるだけの夢の島にて
エレクトロマグネティク、という場所がある。
この俺こと作者が”電波っぽい可愛い少女”のみの存在を許し、俺を愛でる為だけに創作した、
つまりは”俺の王国”、俺が王様みたいに、絶対覇者として振る舞って良い場所なのだ。
ほとんど母親であるイリカには知られていて、俺の事を軽蔑する材料の一つに成っているのだが、
だがしかし、俺の根源的な高次元な欲求を満たす為に、作らざるを得なかったのだ、
俺の愚かな性質を、諦めて受け入れて欲しいと思う。
「うぉおおおおおおおおおおおおおお! 俺は帰った来たぞぉおおおおおおおおおおお!」
ショーシャンクの空的な感じに、時空艇から下りた俺は、カッコ良い感じのポーズを決める。
「おかえりなさい」
出迎えは一人だ、当然だ、作者である俺が、意図して作ったのだから。
この島には色々いるが、俺直属なのは、おおまかに六人。
「いや待て、なぜヒルダ、お前が此処に居る?」
「あっはっは」
金色の巻き毛、まんまお嬢様のような見目麗しい、イギリスの貴婦人ポケモンのような有様を呈するのは、
俺を生み出した、母親の中でも最低の意地悪さを持つ人、ヒルダーネットワークという観測機構の名誉会長だ。
「笑ってないで、答えを言ってほしい、ヒルダ姉さん」
「そりゃね、君がこんな良い場所を支配しているって知っちゃたら、
そりゃ簒奪して、君の悔しがってる様を見て、わたしも欲しかったし、存分に満喫したくなっちゃうじゃないのよ」
おっほっほ、と上品に笑いながら、俺に近づいてくる姉さん。
「本来なら、君の目の前に、ぽやぽや系の長女、ルナが居て、ニコニコ纏わりついてくるんでしょうが、
残念、彼女はわたしに鞍替えして、好感度最大にして至上、無限大設定にしておいたからね」
「ぐううぅ、酷いぜ姉さん、ここは俺の夢を叶える為だけの、理想の島だったのに」
「いいじゃないのよ、弟のモノは姉のモノ、わたしが貴方のお姉さまに成ってあげた時に、貴方が誓った約束よ?」
それは半ば以上で、強制的に誓わされたモノであり、
まあ俺も、この手練手管に百戦錬磨のヒルダに、アホらしいほど持ちあげられて、全ては流れの中で確定した事なのだがね!
「全員を、そのように設定していた君と違って、わたしは趣味が広いから、いろいろやってみたのよ。
まずは、六人の直属の中で、正統派BL電波系の次女、トウコ、次点のまあまあ歓迎の好感度設定よ。
次に、クール系超絶技巧電波系の二女、クウ、普通の好感度設定。
次に、非干渉見下し系の三女、オトメ、低好感度設定。
次に、罵倒S幼女系の四女、ティア、最低好感度設定。
次に、積極的に逃げ出す男性恐怖症の系の五女、イリス、無限マイナス好感度設定。
どう? 楽しそうでしょう?」
それぞれの設定を、パラメータとして見せてくる、ヒルダ姉さん。
俺はなんというか、やっぱこの人、超絶に可愛いよなぁ、とか普通に思っている。
金色に光り輝く、スーパーロング巻き毛のツインテールは、舐めてしまいたいくらいに艶があって、女としての魅力を際限なく発揮してる。
「はぁ、、はあはあ」
「うん? どうしたの?」
駄目だ、とんでもない美女と一緒に居たら、唾が際限なく出てきて、発狂しそうなくらい興奮、発情してしまった!
まあこんな事は、存在リソースほぼ無限大の絶対存在級と一緒に居れば、日常茶飯事、所詮は凡人の俺は耐えられなくて当然なのだ。
「えい!」「ひゃああうううううううう!!!」
ヒルダ姉さんは、俺のそんな様が楽しかったのか、さらに助長するように、手なんか握りやがってくれやがってくれ遊ばれた!
俺は身体を飛びあがらせて、硬直した、
目の前の、全身を光り輝かせるほどに、
素晴らしい超絶ウルトラハイパーアルティメットドラゴンラスト的に可愛い人が、俺の手なんか握ってくれちゃってるのだ!
「ぎゅっ♪」「ひいいいぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!」
俺はヒルダに手を強く握りしめられて、軽く逝きかけました。
「あっはっは、君、幾らなんでも、ほぼほぼ童貞だからって、あの程度でっ、あははは、絶頂しすぎでしょうぉっ、うっふっ、あっはっは」
「あうぅっ、絶頂してない! 童貞でもちゃうわぁあ!!!」
「はああああああああああああああああああん!!!!」
突然、ヒルダ姉さんがエロっぽい声を出した。
俺はひっくり返って、ジタバタ、痙攣して、何度も飛びあがってしまう。
「ほらね、君は、童貞だよ、こんなに敏感に、女の子を幻想の神様のように崇めちゃう、体質がその証拠だよねえっっうふああっはっは!!!」
むくり、何事もなかったように立ち上がり、俺は服に着いた汚れを落として、ばさばさして立ちあがる。
「うるさいよ、俺は俺自身の、こういう純真な童貞気質を、何よりも好きで、俺の良い所だと自覚している」
「あっはは、童貞を開き直って、そこまで私の前で、女の子の前で、ドヤ顔で居直れるなんて、君最高!」
さて、ヒルダが此処に来た。
どうやら、
「ああうん、そうね、
この場所を、ヒルダネットワークの、絶対中核ネットワーク発信受信地点、つまり拠点にする事にしたからね、
その辺をよろしくね」
巨大な立体端末を周囲に展開し、膨大なネットワーク機器の構築作業を、ほとんど一人で無限に並列作業している、
俺はそんな姉を、ハルカしたから見上げながら、ため息をついた。
「そんな顔しない、ここがイルミナードっていう、最前線特異点力場領域から、最短にして、最上に堅牢な、世界位置なのよ、勘弁してね」
なるほど、そういう筋書きか、
俺は作者として、次なる伏線の末を読み解き、なんとか面白くできないかを俯瞰しだしたのだった。




