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タワーディフェンス!!?


 


「最近、タワーディフェンス的なゲームが流行っているらしい」


 一人意味無くごちる、、さて、設置しますかね。


 このゲームは、敵の地上部隊を、それぞれ十種類のユニット兵器で撃退するという構図だ。

 1~10人程度のプレイヤーでスタートして、10人でやるなら、一人が一種類のユニット兵器のリアルタイムでの設置を担当する。

 ちなみに、ゲームがスタートしてから設置が可能になり、始まってからも状況に応じた臨機応変なプレイが重要になるタイプである。


 さて、今回のステージは市街地である。

 色々と入り組んだ、十キロメートル四方が舞台であり、絶対防衛線を抜かれたら負けである。

 今回の参加プレイヤー人数は11人、一人一つの種類のユニットを専属選任みたいな形で設置する事になるので、迎撃効果の効率的な設置が求められる。

 一人だけで沢山の種類の兵装ユニットを、一杯設置する場合よりも、多少難易度が上がっている、プレイヤーのブレインが多いのだからある意味それが当然だろう。

 まあだから、一人のへまは全体のへまを意味する。

 特に言えば、設置するユニット一つ辺りの単価もあるからな、一人が無謀に無駄に馬鹿すれば、それだけでゲーム的に詰む場合もあるだろうしな。


 よし、まずは最前線に設置しますかね。

 俺の担当する兵装は、”自動歩兵”である。

 これはつまる所”NPC”である、プレイヤーが操作しない歩兵なのだ。


 まずは既存のストックにある五人程度を、市街地の二階家内に設置して、オートで動く状態にしてな。

 残り五人は、まあ緊急事態、敵が防衛線を突破した場合とかの、予備兵力にしておくかね。

 実際のところ”自動歩兵”は戦場の主役じゃない、小回りや機動力が富み、柔軟な戦力として戦場の隙間を埋める役目だからな。


 俺は透明人間になり、戦場に降り立ち、ほかの奴らを見学することにした、敵は既に迫っているのだ、みんなちゃんとやっているだろうな。


 さっそく一人見つけた。

 市街地の中央市庁舎。

 そこの屋上で、こちら下方に手を振る影。

 黒髪黒目のプリティーガールが、巨大な砲台を背にして仁王立ちしていた。


 カヨである、彼女の担当する兵装は”ロケット砲台”。

 市庁舎屋上に四台設置されている、良い采配なのだろう、あの威風堂々とした様子からしてな。

 だがしかし、あの大鑑巨砲主義的な砲台は、攻撃力重視なので、大きな的にしか当たらないのが玉に瑕、味方、特に自動歩兵を巻き添えにしない事を願おう。


 おっ、同箇所、市庁舎にもう一人、金髪の少女が窓ガラス越しにこっちを無言で見つめていた。

 シャルだ、彼女の担当は”リニアランチャー”、要するにガトリングガンだ。

 市庁舎東西南北を取り囲むように、総勢20台、均等に配置されていた。


 これは巨大砲台と良い組み合わせである。

 巨大砲台は、敵の頑丈な兵器にダメージを与えるために必須、あるいは巨大怪獣とか。

 だから敵に壊されたりすると不味い、市庁舎に取り付かれたり、外側からRPGとか打たれてチクチクダメージを受ける大きな的になりうるもの。

 このように、ランチャーで市庁舎を拠点として守る形は良い、要塞としても機能するだろうしね。


「やあぁ!!!」


「うぎゃぁあああ!!!」


 下方から驚かす目的100%で現れる美少女が居て、俺はその緑色の奔流にひっくり返るほどビックリした。


「わぁっはっは!!! おもしろい! おもしろい!! あひゃっっひゃっひゃっひゃぁぁああ!!」


 気が触れた笑い声、なんの影響だなんのぉ!


「このやろう! ふざけやがってぇ!! イリスぅ!!!」


 手を振って怒らせて、目の前の流麗な緑髪を振り乱して逃げる女子を追い掛け回す。


 市庁舎一階、屋内に侵入されて、俺のFPSで培われた勘が警鐘を鳴らす。

 だが、今は観戦透明人間モードだからと思い出し、気にせず一階から屋内に入り込むと、、、。


「何じゃこらりゃぁあああああああ!!!!!!!」


 彼女の担当する兵装は”赤外線式プラスチック爆弾”。

 よりコストを支払って、時限式も買えるが、ここ一階にあるのは全部赤外線式、曲がり角や入り口を中心に隙間無く張り巡らされている。

 まさしくトラップ地獄だな、しかも、全部誘爆しないように無駄に緻密な配置してやがる。


「うっはっはぁ、すごいでしょぉ!!」


「ああ、こんな短時間で、流石だぜイリス」


 こういう細かい作業をやらせたら天下一品、超一流、職人の域に達している感がある仕事ぶりに、素直に感嘆。

 適当にだが褒め称えて、次の奴を探しに行こうとする。


「イツキぃ! なんか皆を見て回っているようだけどぉー、、」


「なんで分かるんだぁ!」


「うわっははぁ! さっきからイツキの経路をマップ上で確認してたんだよ!」


「で、なんだ?」


「そろそろ、敵が来るから、屋上辺りで指揮をとるべきってことだよ」


 ふむ、よく見ると、既に敵が市庁舎前方至近に迫っていた、イリスの仕事ぶりに気を取られていたって事にしておこうか。


「よっしゃ! それじゃ屋上に行くぜぇ!」


「おうよぉ!!」


 二人で全速力で走りながら、階段をぴょんぴょん飛び跳ねて移動する、透明だが壁は擦り抜けたりできないのだぁ!


「とうちゃくぅーー!!!♪」


「おお、既に始まってるぜぇ」


 屋上は四方が見渡せる感じで開けている、ユカが巨大な砲台の頂点に乗っかっている後姿が見える、シャルは確か二階の出窓だろう。


 敵の第一陣は歩兵である、ふん、ド○クエ的に言えばスライムレベルの雑魚である。

 だが、このゲームは第何陣まで来るか分からない、最小のコストと労力で撃退しなければ、のちのち面倒な事になる。


「だから行けぇ! 俺の自動歩兵軍団!」


 俺の号令と共に、俺の左右に分かれた五人の歩兵がライフルを構えてほぼ同時に射撃、市庁舎に迫る敵歩兵を撃ち抜く。

 この自動歩兵も敵を倒せば経験地が手に入る、全ての兵装ユニットがそうだが、この自動歩兵は特にこのレベルアップが重要だ。

 ほかの設置式の兵装は、敵の集中砲火で、一回のゲーム中に破損破棄で、新たに設置し、コスト消費でレベル上げするのが普通だが、こいつは一味毛色が違う。

 俺の歩兵達は、とりあえずはこのゲーム中、最後まで生き残る事が前提だ、そうでなければちょっと話にならない。 

 ダメージを受ければ、ちょくちょく回復、装備を高次元にカスタマイズして、精鋭部隊としてやっていくのがよろしいのだ。

 ちなみに、最後の方になると、レベル1のユニットは相手にならないので、必然的にコスト消費でレベルを上げる事になるのだが、その消費コストが新規ユニット購入よりも数十倍高い、具体的には一レベル上げるだけで一ユニット買えるくらいにはね。


 ぶっちゃけ大まかな流れをここで説明してしまうと、最初は質より量で、弾幕を張って大量の敵を抱えるのも重要な局面もあるが、最後は少数の凄く硬いメタル的な敵を、質の高い小数からなる精鋭兵器でヤル事になるのだしね。


「よし、流石俺の部隊、簡単に敵を殲滅だ」


 屋上から下方の敵を狙い撃ち、短時間で敵を撃退して、とりま第一陣を退けれた。


「まあ~、敵は弱いし小数だったしねぇ~♪」


 隣でイリスが余裕かまして喋りつつ、市庁舎を中心にして、市街地のあちこちに罠を張り巡らせていた。

 うぅーぅ、やはりこいつは良い仕事をする、こういう備えが中盤で効く、役立つんだよなぁ!


「さぁーてぇ!! 第二陣はわたしの出番よぉ!」


 ぶろろろろぉっと、屋上の両側から、二台のヘリが立ち上ってきた。

 その内の一機に、青髪の少女が乗っていた。


「おおぉ! リリ! やったれぇ!!」


「おうよぉ♪」


 ヘリが最前線に飛んでいく。

 まだ第二陣はマップ上に現れていないが、敵出現まで後うん何秒というのは表示されている。


 彼女の担当する兵装”自動ヘリ”が、最高速度で向かえば、丁度マップに現れた直前の敵と接触できるのだ。


「バンデッドレンジ! エンゲージオフェンシブ! フォックスワン!」


 ちょ、リリが良く分からないカタカナ語を叫んでいるぞぉ!


「おいおい乗り過ぎだろ!リリィ!」


「戦闘機パイロットとしては、こういうのはやめられないのよぉ!」


 自動ヘリが敵の第二陣、航空戦力に先制攻撃、二機が自動追尾ロケットを放ち早々に対面の現れたばかりの二機を同時撃墜する。


「おお!だが!お前実際は何もしてないしぃ! 

 エンゲージオフェンシブってのも、、それ戦闘可能距離に入ったてのも、敵のマップ出現ってわけだし、なんだか微妙な口上だなぁ~」


 そんな茶々を入れてる内に、難なくリリが敵を撃滅撃沈、て早すぎだし強すぎだろ!


「おい! どんなズルしたんだぁ!」


「いやぁー、やっぱ航空兵器ってお金が掛かるよねぇー」


 よく見ると、全体で共同管理してる残存コストが、かなり目減りしてる、気がする、よく見てなかったから具体的に指摘できないのが悔しいぃ!


「あっはっはぁ!まあ! 今ぁ敵を倒して獲得した分もあるし、とんとん! 帳消しってことでぇ!」


「まあ、別にいいがな、このさき活躍すればさ」


 独断専行を、こんな戦闘真っ只中で非難するのもあれだしなっと、内心に憤りの矛を収めていると、隣のイリスに肩を叩かれる。


「今のリリの活躍ってさ、アレも関係してるけど、知ってる?」


「ああ、もちろんな、目に見えないアシストだからって見逃さないっての」


 先程リリが活躍した場所から、ちょっと後方の高高度に、なんだか丸い円盤を抱えた飛行体が見える、それを指差して。


「あれだろ?、メルスの展開してるECMシステムの一つな」


「そうそうぉ♪ あれによって、敵の飛行隊の連携・索敵・追尾等を妨害したからぁ♪ あんなに短時間での快勝を実現したのだぁ!」


 イリスはわはわは愉快にラリッてるような調子で笑いながら、第三陣の敵を一瞬で殲滅した。


「ふぅ、お前の仕事ぶりには負けるさ」


 出番を奪われた、待機していたレイア、敵戦車部隊と対面して準備していた彼女が、前方の爆炎を見ながら言った。


「おいおい、どうやって、敵の進路予測を割り出した! どんな裏技使ったぁ!」


 敵戦車部隊の進路上に、予め大量に設置していた、爆弾娘に問いかける。


「うっふっふぅ~♪さぁーて、どうやってだろうねぇ~」


「まさか、、、、チート?、、」


「ちゃうちゃうぅ!!!」


 思いっきり手を振り乱して否定してくるイリス、まあそんな疑いはホントはしちゃないがなぁ!


「種を明かせば、敵の戦車部隊は、この主要公道を通る確立が75%だったのさぁ!

 もちろん! 無駄になる確率もあったけどぉ! 費用対効果を考えれば、分の良い賭けだったのさぁ!」


 なるほどなるほどと、頷いている間に、敵の第四陣が現れた。

 それは第一陣の弱くて、しかも数の少なかった歩兵とは、比べるべくも無い敵だった。

 俗に装甲擲弾兵と呼ばれる概観をした、”自動歩兵”の大集団が、三方向から市庁舎を目掛けて迫ってくる。


 戦車と同等の装甲を纏い、強力なグレネードランチャーを備えた兵装、室内戦闘も得意で、強力な近接格闘兵器”ブームソード”で踊り掛かって来る、中盤の魔物と呼ばれる存在だ。


「イツキ君! イリス! そろそろ本番だね!」


 後ろから駆け足で来る明るい声。


「おおぉ! よくぞ戻ってきたぁ! アイリ兵長!!」


「ははぁ!! ただいま帰還いたしましたぁ! イリス軍曹!!」


 銀髪赤眼の可愛い子が、軍服コスで凛とした姿になっていて、しかもイリスと軍隊コントをしている図。


「ぐわっはっはぁ!!! 我は無敵総帥!! イツキ大総統であるぞ!!」


「わぁ!!!!! きゃぁあああ!!!! 総帥様ぁ!!! この窮地をおたすけくだされぇ!」


「あ、はっはっはぁ!! イツキ君大統帥も! めっちゃ頼りにしてるよぉ!」


 イリスがなんか振り切ったテンションで暴れまわって、アクロバティックに動きすぎて自爆気味に目を回している。

 アイリは清清しく、ぐぅっ!っとして、二カっと何時もより大分ボォーイッシュに笑っている、おうおう意気も指揮も洋々だなぁ!


「うぇ、目が回ったぁ、おぇうぇ」


 イリスがフラフラして覚束ない足取りを晒していたが、己の顔を両手で叩きシャッキとして、アイリに告げる。


「アイリぃ! ちゃんと自動歩兵を使って、いろいろ爆弾設置してくれてありがとうぉ! これから来る敵もよろしく頼むよん!」


「あいあいさぁーぁ!!」


 おっと、ここで言っておくか、このゲームは10種類の兵装があり、現在参加プレイヤーは俺を含めて11人、二人が同じ兵装を扱う事になり、アイリは俺と同じ”自動人形”を扱う。

 そして、彼女は自動人形を工兵型として扱う役回りであるのだった。

 工兵型は通常型よりも、いろいろと能力にマイナス補正や制限があるが、罠設置やその他の特殊技能の完遂時間が圧倒的に高い利点があるのだぁ! 

 だから、イリスとタッグを組んで今まで戦場を裏から暗躍していたのだぁ! もちろんこれからもなぁ!!


 そんな風に三人で盛り上がっていると、少し離れた、今まで黙っていた静けき巨大砲台が、いきなり本性を現した。

 全兵装中最大射程の長距離砲攻撃を、四台ほぼ同時にごうごう大音響で響かせ始めたのだ。


「うわぁ!!!」「どぎゃぁ!!!」「きゃぁああ!!!!!」


 それぞれドッキリして、上方から砲撃に混じって、トリガーハッピーシンドローム発症中のユカの奇声が怪鳥の如く戦場に歪に鳴り響き、遂に本格的な戦いの幕が上がる。

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