表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/588

イルミナードの夢の中‐とある塔の館

 


 夢の中を揺蕩っている、ような感覚…誰かの声が聞こえる…?


「さあさあ、ようこそ…今日も今日とで、ただ殺される為だけに生まれた存在達よ」


挿絵(By みてみん)


 彼女は、塔の様な…巨大で広大な、建築物の最頂点。

 そこで只管…優雅に足を組んで眼下を、見下している…ようだ。


「バッカみたいに足掻いて足掻いて、苦しみ抜いた挙句、真に絶望する、見っとも無い姿を晒せばいい」


 嘲笑を含んだ暗い声、彼女の瞳は全てを飲み込み尽くすような、真なる黒色をしている…と思う。


「みんなみんな、生きている奴は無限に苦しみ抜いて、無上に不幸になって、世界に絶望するべきよ」


 彼女は確信に満ち溢れた声音で「絶対にそれが正しいんだから」っと、涙を流しつつ笑い、飛び立った。


 _____________________________


 眩しい、目を開ける。


「はぁーあい、おはよう、マイダーリン」


 美しい女性の声がする。


「あれ?」


 ずっと、踊っていたようだ…わたしはわたしを忘我するほどに、舞うように…一心不乱に、踊っていたのだろうか?

 くるくると、クルクルと…自分自身の遠心力が終わるころに、わたしは…その場に頽れるように倒れ込んだ。


「アンタ、なにやってんだよっ」


 横を向くと、震えるほど綺麗な声と同程度の、美貌の少女がいた。

 無用なほど過剰に溢れる色気が妖しい、そんなアレなタイプに分類できる、黒髪黒目の女性。


「ここは、何処?…わたしは、だれ?」


 そこで、自分が寝てる場所が…広間のような空けた場所、タイル張りの地面と気づき。

 次に、少女が変哲ない横長ベンチに座っている、と気づいた。


「さあ、アタシは知らない…。気づいたら此処って感じ?アンタもそう?…でしょうね」


 質問を勝手に完結させて、しきりに首を振る少女。

 とりあえず寝てる体勢から立ち上がる。トコトコ彼女に近づき、椅子に座ることで…彼女の全体像が見えた。

 ビックリするくらいに、全身が黒で衣装されていた…まあ、それだけの話だが。


「ねえ、わたし…これから、どうすれば良いのかしらね?なにか良案がある?」


 一応聞いてみる、が…私にだって、特にない。もう一度、考えてみるが…特になし。


「アタシの方は、とりあえずはないかな。アンタの方はある?」


「あるわ」


 聞かれたからか、特にないと思っていたが、強いて答えを導き出す。


「なに?」


「あそこに入ってみる」


 指差す先、ベンチの後方。彼女と向き合う形から、後ろを振り返る。

 そこには馬鹿でかい、異様な外装の…建築物。

 全体的に、とにかく大きい。

 下部が館、上部が塔の様な…頭上に細長い建物が、あった。


「へえ、アタシの直感が告げてる…率直に怪しいね」


「まあ、わたしも…一口にそうね。

 他に特になにもないし、行ってみるのがいいんじゃないの?

 あれだけ大きければ、中に人が…誰もいないって事も、ないんでしょうし」


 少し思慮した後、彼女は「そうだね」っと賛意と共に呟き、ベンチから立ち上がった。


「すごっ」


 建物には、正面の扉から入れた。

 内装を見た一瞬間から、条件反射で…感想が漏れた。

 物凄くを、何十にも通り越して、凄まじく豪華絢爛。

 芸術の域を超えて、唯一無二の聖域のような優雅な空間だったのだ。


「さて、どうしましょうか?」


「ああ、どうしようか」


 選択肢でも出てくれれば捗るのだが、、、。

 ・・・・・・周りを見回すと、この空間の装飾に調和する形で、現代的な昇降機があるのを見つけた。

 つまりはエレベーター、建物の外装から判断して…軽く10階以上はあるのだ、あれを使わない手は無い。


「うん、アタシも…それがいいと思うわ」


 視線から察したのか、彼女が言う。

 しかしなぜか、微妙に唇が一瞬釣り上がったのだが、どういうことだろうか?

 スタスタ彼女は歩き、エレベーターの呼び出しボタンを押す。


「さあ、お先にどうぞ」


「ありがとう」


 彼女はエレベーターガールのように先導し、内部に入る。

 外側からは呼び出しボタンしか無かったようだが、内部には階層指定のボタンがある。


「何階に行く?」


「・・・・・・」


 さっきも思ったが、選択肢が出てくればいいのに。

 こういう主体的な判断や、決断を迫られる場面は…なぜか苦手だ

 それが、なぜかは…わからない。

 本当に…なぜか、"ニガテ"と感じるのだ。

 この空間では、不可思議な感覚に苛まれてしまう…ような気がする、すべて自動的に決まって欲しいと思う、それはなぜか?。

 果たして、意志が介入すれば…責任が生まれる、必然のように…逆に介入しなければ…つまりは、そういう事だった。

 わたしは、ただただ見るだけの…観測者に、なりたかった?…???。


 それでも、少し考えた。

 答え、イコール…最上階に行って、周囲を確認する。


「最上階に」


「そう、それじゃ、アンタは…それはつまり、27階という事でいいのね?」


 なぜか念を押してくる、訝しく思いながら頷く。


「本当に、それでいいのかい?」


「いいよ、、、なにか問題がある?」


「いいえ、ないわ、、、アタシにはね」


 よく分からない返答だった、まあ特に気にもならないが。

 エレベータが上昇する感覚、27階ならば多少時間が掛かるだろう、目を瞑る。


「うん?」


 少し経った、しかし、これは。

 目を瞑りながら疑問に思う。

 あまりにも、時間が掛かりすぎてはいないか? 目を開ける。


「あっ!」 


 誰も居なかった、というより彼女が消えている。

 どういう現象か意味が分からない、こんな密室、外部から隔絶された場所から忽然と消えるなんて、、。


「お、おい、、、おーい」


 と、いうより、気づいた、気づいてしまった。

 上昇するエレベーターの、その天井が、なぜか微妙にズリズリと下がってきているのだ。


「あああ、ぁぁぁああ」


 混乱が混乱を呼び、恐怖と不安が加速度的に高まっていく。

 なにか打開策はないかと、検索、検索。

 だが、何もない。

 その間に、天井は手を伸ばせば届く高さに。

 ジャンプして、手で押し返せないかと試してみる、だが案の定、無情に無理だった。


「ううぅ、、」


 だんだんと恐怖が本格化してくる。

 真近に迫った死、不安は一線を越えて現実に、むしろ詰んだ感すらある。

 それでも、諦めなかった。

 諦めたら、そこで"終了"だと感じるから。


「ぐっうぅ!!!」


 まず、頭上から迫る、既に身長ほどの壁を全力で押し返してみる。

 まったく動じず、それでも力の限り押し続ける。

 だがすぐに、真っ直ぐに立っているだけで…押しつぶされる高さになったので、だんだんとしゃがまされる。

 それでも死力を振り絞って、微かすぎて…感じれないほどの希望に縋るほかなかった。

 そして、最後、地べたにへばり付く様に…なった。


 完全に、頭上の天井と地面の隙間に、自分がいる形だ。

 一切身動きできず、もう終わりだと思った瞬間だった。

 そこでガタンと、大きな音がして…エレベーターが止まった。

 何のチャイムの音も無く、扉が左右に開かれるのが分かった、

 扉の方を向いてへばり付いていた、外の光景が見える。

 誰かの黒い靴が見えた、その後…その人物がしゃがみ込む様な仕草、彼女だった。

 黒い瞳と目が合う、哀れな姿が面白いのか…なんだか愉快そうな感じ。唇が笑みを結んでいる。


「どう?」


「わたし、動けないんだ…どうにかならないかな?」


「そうじゃなくてさ、どんな気分?」


「はあ?」


「だからさ、ああ…なんて言えばいいのかなぁ、、、。

 つまりさ、もう直ぐ…もうあとちょっと。

 うん、掛け値なしで数十秒後には…ちょっとづつ押しつぶされて、痛くて痛くて実際痛くて圧死な展開について…だよ」


「え?」


「えっじゃないわよ、その件について…どんな気分かを教えてよ、お願い一生のお願い」


「た、助けられないのか?」


「うん無理、だから…最後にアンタの言葉が聞きたくてさ」


「し、死にたくないよ! どうにかならないのかぁ!」


「ふっふっ、いいよいいよ、でも、ごめん無理。

 てかさ、なにも思わないの?」


「っ!、はあ?!」


「いやだからさ、馬鹿じゃないんだから…平然とこちら側にいるアタシについてだよ」


「それは、、」


「うんうん、その目は本気で意味不明と。

 あーあーぁそりゃ分からないよね、そりゃそうか…面白い推理が聞けると期待したけど、裏切られちゃったぁー」


「う!!ぅぅ!!、、ぎぃがっがぁ!!!」


 天井が、先ほどよりもずっとジリジリと…感覚的には1mmづつくらいで、降りてきた。


「ありゃ、もう時間だねっにゃははっ…うふっふっふふうっ、死ぬんだね」 


 頭蓋骨が割れる、ように痛い。

 体中が圧迫されて、引き裂かれるような痛み。

 これは、死ぬような痛み…だ。


「ぐぅっぁあっああああ!!! どっどうすればぁああああ!!!???!!!!!!!」


「どうすれば? 

 そりゃ簡単だよ、いきなり最上階に行くなんて…あの時、選択しなければよかった…ただそれだけだよ」


 もう、彼女が何を言っているのか分からなかった…思考が曖昧に…曖昧になっていく。


「馬鹿じゃん。いきなりクリアさせるなんて、あるわけないじゃん。

 ちゃんと、段取り整えてくれなきゃいけない…ってこと。

 で、事前に定めてたルールによって…死刑ね。ばいばーあい」


 目が霞む、視界が滲んでいるのを自覚。

 ぐしゃん。 


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 眩しさを感じた

 目を開ける。


「おはよう。って、別に朝じゃないけど…目が覚めた相手には、言いたくなるよね」


「、、、、」


 意味が分からなかった。

 だが、微かにこの状況を連想的に言い表す…言葉を知っていた。

 幾ら想像しても納得いかないが、ループ的な状況らしい。


「、、、、」


「あれ、もしかして…これは超レアなタイプかな?

 引き継いでる? もし引き継いでるなら、どのレベルで?」


 興味津々な猫のように、迫って質問してくる。

 さて、どのように…この場合、次の対応を選択しようか? 

 熟慮の余地が…ありそうだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ