とある少女と、とある勇者
本日3回目投稿です。
今回は視点が2人あります。
誰の視点かはタイトル通りです。
「5級騎士フランシェ・クロツウェル。あなたにはこれより国王勅命極秘任務を行って貰います」
目の前にいる国王様が私に言った。
私は静かに跪き下を向き、国王の言葉を待っている。
「立ち上がってください」
国王にそう言われ、私は立ち上がり国王を見据える。
ああ....美人だな。
国王は真剣な顔で両手に剣を掲げるように持ち、鞘を抜く。
「この剣は我が国の最高峰の技術を用いた剣。あなたの素晴らしい剣術に必ず応えてくれるでしょう。次会うときに剣が帰ってくることを祈っています」
国王はそう言い、剣を鞘に戻した。
「ありがとうございます」
私はそう言って受け取った。
私は今から、この国を立ち去り、勇者のいるギガント学園に入学するのだ。
内容は勇者の監視。
そして、他国の教育というものも見てくるといったものだ。
しかし、不思議なことにその学園では自重しろと何度も言われた。
この国の水準と他国の水準の比較はしない方がいいらしい。
国王がなんやかんやで退室すると、私も静かに退出した。
ことの始まりは、城に行った時からだ。
国王から呼びつけられ、私は恐る恐る行ったのだ。
そうしたら、極秘任務を受けて欲しいと言われ、承諾したということ。
まあ、平凡な日々の退屈が私を承諾させたということね。
ということで、早々に外出。
即入学というわけで、現在ギガント学園の体育館にて入学セレモニーに参加してる。
え?色々、展開が早いって?
しょうがないの。そんなこと話していたら、数ページに分けなきゃいけなくなる。
って、私は何を言ってるんだか。
クラス発表は既にされていて、なんとか勇者何人かと同クラス。
よし、観察ができる。
私はあくまでも仕事に来ているから、公私は分けなくちゃね。
お金もたんまりもらったし。
一つだけ気になるのはジロジロと歩いている時によく見られたこと。
何?なんかやらかした?
他国のことはよくわからないから、不安だ。
そして、仕事上あまり目立てない。
あら、セレモニーが終わった。
私は起立と共に立ち上がり、体育館を出て、教室へと向かった。
何気にクラスメンバーとの顔合わせは初めてだ。
さっきはクラス表を見て、体育館へ真っ直ぐ行けという指示だった。
私はふと、足の宝石を確認する。
足首に巻かれている宝石は魔石。
この魔石は装備者の溢れ出るオーラを抑制することができるらしい。
国王曰く、私はオーラがやばいらしい。
きっと、私よりも強い国王はもっとすごいのでしょうね。
指定座席につくと、前の席の人が話しかけてきた。
この席順は男女交互になっている。
「こんにちは。俺はケイスケ。ティファイン帝国からやってきたんだ」
ああ、彼が勇者の1人ね。
「ええ、こんにちは。私はフランシェ。フランでいいよ」
「よろしく、フラン」
そう言い、ケイスケは手を出してくる。
握手?そう思い手を握る。
ケイスケはそうすると満足するように微笑んだ。
黒髪に黒目。この世界に珍しい容貌よね。
でも、クラスにはあちこちいるから、まあそれなりに結構な数の勇者がいるのかな?
ふと、ケイスケの目に魔力が宿るのを見逃さなかった。
....ああ、鑑定スキル持ちね。
まあ、読まれても大丈夫なように国王が細工してくれたはずだし大丈夫ね。
1人の男がケイスケのところへとやってきた。
「佳祐。同じクラスで良かったな」
黒髪に黒目ね。彼も勇者ね。
「そうだな。おっと、紹介する。今仲良くなったフランシェだ。フランシェ、こいつは俺のだち、達也だ」
「よろしくな、フランシェ」
勇者とはできるだけ仲良くしておきたいものね。
「ええ、よろしく」
そう言い、しばらくケイスケとタツヤの会話を聞いていると先生がやってきた。
「皆さん、こんにちは。私はこのギガント学園の教師、ナリア・ターピルだ。ナリア先生とでも呼んでください。早速ですが、皆さんへテストをさせてもらいます。実技テストと筆記テストです。おっと、魔法を一切知らない子がいたな。そうすれば、この魔法書を配ろう。これを片手に魔法はやってくれていい」
そう言い、先生は魔法書を配る。
自重しなさい。
その言葉が頭をよぎる。
私は新品の魔法書を恐る恐る開いてみた。
開いたのは火魔法のページ。
火魔法の理論や術式、詠唱が乗ってるって....
「なんだこりゃぁぁぁぁ!!!」
ああ!やってしまった。
全員の視線が私に向いている。
先生は不思議そうな顔をして聞いてきた。
「フランシェさん?どうかしましたか?」
私は慌てて嘘を言った。
「あっ、えっと、み、見た事のない魔法が乗っていたもので....あまりの素晴らしさに声を上げてしまいました。すみません」
「そうでしたか。まあ、我が学園はどこの学園よりも最高クラスだと言われていますので。フランシェさんが驚くような魔法も載っているでしょう。次からは気をつけてください」
「はい」
大嘘だよ、バッキャロー。
何?この魔法陣のデタラメさは!!
詠唱が長い!!
このレベルの初級魔法なら一文字発せば発動だよ。
っと、心を乱してはいけない。
国王の自重という言葉がよくわかる。
レベル低すぎ。
筆記試験は簡単すぎた。
魔法に対する基礎知識に剣術のしきたりや外交の際に気をつけること、あとは言葉の使い方。
私はもちろんわかっていて全て間違えました。
初級魔法に驚いた私という設定だからね!
次は実技。
最初は剣術から。
自分の剣を用いて先生に剣術を使うということだ。
とりあえず、力を抜いて、型は崩さないようにするつもり。
もし、型をくずしたら、トアル王国に戻った時に苦労する。
だから、私はこれだけは譲れない。
『フランシェは剣だけは譲れないはずよね?だから、剣術スキルは少し落とすだけにしとくわ』
国王の言葉を思い出す。
さすが、国王。お見通しか。
まあ、その前にケイスケの観察ね!
side佳祐
「達也と同じクラスだったらいいな」
独り言を呟き、俺、佳祐はクラス表を見る。
「お、同じか」
クラスA組。
俺は達也と同じクラスだ。他にも同級生何人かと同クラスだ。
そしてそのままセレモニーへ。
セレモニーが終わり、俺は体育館を出て、教室へと入る。
ひと、目に付く女の子がいた。
ピンクのセミロングに優しげな青い瞳。
美人で、優しそうな雰囲気だ。
キョロキョロしているあたり、誰かを探しているのだろうか。
彼女はモテるだろうな〜。
そう思い、俺は指定された席につく。
なんと、彼女は後ろの席だ。
こんな機会はなかなかないと思い、俺は彼女に話しかけた。
「こんにちは。俺は佳祐。ティファイン帝国からやってきたんだ」
彼女は微笑んで答えた。
「ええ、こんにちは。私はフランシェ。フランでいいよ」
「よろしく、フラン」
フランは俺の手に気づいたのか握手をしてくれた。
握手、異世界にもあったんだな。
俺は驚きながらも鑑定を使った。
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フランシェ
17歳
Lv.7
スキル
剣術Lv.自重しても余裕
調理Lv.3
薪割りLv.2
調和Lv.4
魔法
火魔法Lv.2
水魔法Lv.2
風魔法Lv.2
土魔法Lv.1
治療術Lv.1
特殊
田舎の乙女
少女の加護
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....よくわからないけど、普通だと思う。
ちょっと覚えている魔法は多いけどね。
........ちょっと待って?
自重しても余裕って何?
おそらく、俺の予想だと王女以上か。
あっ、そういえば王女もここに入学したらしい。
どこのクラスかは知らないけど、美人だから目立つだろうな。
フランみたいに。
そして、達也がやってきて談笑して、授業へと移行した。
先生はとても良さそうな人だった。
驚いたのはフランが叫んだことだった。
皆も俺も思わずフランを見た。
フランは恥ずかしくなったのか顔を赤くして話していた。
まあ、魔法レベルは王女以下だし、魔法書に驚くのも無理ないよな。
俺も驚いたし。
そんなこんなで筆記試験はむずかった。
初めて見る、魔法の説明にマナー。
でも、剣術Lv.が10のおかげか、剣術の問題だけは問題なくできた。
次の実技で頑張ろう。
そんなこんなで実技。
俺の出番。
俺は、帝国に貰ったミスリルの剣を使う。
魔力が通しやすく、鋼でも斬れない剣だ。
「ほう、ミスリルですか」
先生は俺のミスリルの剣を見て不敵に笑った。
「いつでも来ていいですよ」
先生の剣術は鑑定で見るとLv.30。
流石だ。
俺は全力で剣を振るう。
先生は俺をいなしながらも言った。
「ほおお、オートドックな型ですね。Lv.10くらいですか」
先生曰く、このレベルはこの歳でなかなかいないらしい。
しばらく俺が攻撃していると、先生が攻撃をしてきた。
キィン。剣が弾かれ飛んだ。
「試験、終了ですね。体を休めてください」
そう言い、次の人を呼んだ。
悔しい、先生は息一つ乱していない。
次はフランだ。
そういえば、フランは剣術Lv.自重しても余裕だったっけ。
先生とどちらが上なのだろうか。
フランは恐る恐る剣を抜いた。
「?それは....?」
先生が驚きの目でフランの剣を見ている。
「先生、私はいつでもいいですよ」
フランがそう言い、構えた。
どうやら剣について話すつもりはないらしい。
先生は笑い、静かに構えた。
「すみません、どうぞ」
しばらくして、フランが剣を振るう。
シュパッ。
....見えないのは俺だけか?
「....この型は見たことないですね。しかも早いっ」
先生はなんとかしてフランの攻撃を避けているようだ。
フランは丁寧に一つ一つ動作を続けていく。
ピタッとフランが止まった。
「先生、終わりです」
首に剣を突きつけられた先生は驚きながらもなんとか対応する。
「これは....失礼しました。流石ですね。この型は誰に教わったんですか?」
息一つ乱していないフランが答えた。
「剣....故郷の師に教わりました」
その答えに納得したように先生は次を呼んだ。
その後、他の生徒もやったが特に言うことはないので省略。
魔法試験は先生の疲れで明日に延期された。
おそらくフランのせいだろう。
そんなフランはそれを聞いて、ホットしていた。
おそらく、魔術は苦手なのだろう。
剣術は凄いから、帝国でも上の方に入れるだろうな。
そんなふうに入学一日目は終わった。
3回更新でした。
おそらく次はかなり間が開くと思います。
見てくださった方、ありがとうございます。